カテゴリー別アーカイブ: 創作

小説 「階段」

   歳のころは、70代中頃といったところか。  表情やシワの寄り方を見ていると、もう少し上かもしれない。  いずれにせよ、事前に渡されたデータによると、夫に先立たれ、10年以上寡婦を続けている老女だという。  娘が茨城 … 続きを読む

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冷たいバラード

  トラッドロック夜話 15  「櫛(くし)を拾うと、つき合っている人と別れることになると、昔の人はよく言ったわ」    そう言って、女は喫茶店のシートに置き忘れられた誰かの櫛を、そっと自分のバッグにしまい込んだ。  半 … 続きを読む

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夢の途中

   どこでも寝られるというのが、私の特技である。  ほんのちょっと座れる場所があれば、それがホームのベンチだろうが喫茶店のシートだろうが、あっけなく眠ってしまう。  眠る時間は、せいぜい10分程度なのだろうが、その短い … 続きを読む

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ワイルドサイドを歩け

トラッドロック夜話 14    物憂げに重低音を響かせるベースライン。  静かにストロークを刻むサイドギター。  アタックを抑えて、どこか不安げなテンションを維持するドラムス。  曲全体が、都会のネオンを避け、裏町を忍び … 続きを読む

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幽霊狩り

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夢十夜 (3)

  第7夜 外国の町に住む両親    夏目漱石の 『夢十夜』 に刺激されて、厚かましくも自分も書いてみた “夢十夜” を続ける。  私は、ヨーロッパ市街地の高層アパートに住む年老いた両親を訪ねている。  どこの国なのか判 … 続きを読む

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夢十夜 (2)

  第4夜 見ているうちに形が変わる建物  夢の話だ。  私は、地下街から地上に上がった場所に立っている。  目の前に、ネオンがきらめく繁華街の夜景が広がっている。  正面に見えるビルのさらに後ろ側に、インドのヒンズー教 … 続きを読む

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青い海の下

   休日の午後。  昼間からぬるめの湯に浸かって、のんびりくつろぐことにした。  近所の犬の鳴き声も聞こえず、子供たちの笑いも途絶えた静かな午後だ。  湯船の窓から、庭木の葉を通して、昼下がりの陽光がちらちらと踊ってい … 続きを読む

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Had To Cry Today (泣きたい気持ち)

トラッドロック夜話 12  渡された台本には、キスシーンがあった。    「え、本当に舞台の上でキスするんですか ? 」  僕は、キスの相手役を務める先輩の顔をチラっと眺めた。  彼女も動揺しているのかと思ったが、意外と … 続きを読む

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手を拾う

    夜の歩道に、人の手が落ちていた。  ひからびた枯葉のように縮こまりながら、それでも最後の力を振り絞って、その手が助けを呼んでいるように見えた。      近づくと、ただの手袋だった。  風が舞って、手袋が揺れたの … 続きを読む

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