Sammy Chino 「サクラ De ブルース」

 
 周囲に、次第に春の気配が漂うようになった。
 あと一ヶ月もすれば、もう桜の季節となる。

 桜は、開花したときの息を呑むようなあでやかさと、その散りぎわの無常観との対比があまりにもドラマチックで、まるで人間の一生をわずか一週間ほどに凝縮して見せてくれるような印象すらある。
 そのため、古来よりあまたの文学や歌に採りあげられて、まさに日本人の精神風土を象徴するような植物となっている。

 その日本文化が結晶したような桜をテーマに選び、もしアメリカの伝統的な黒人音楽のブルースのスタイルで音楽にしてみたら、どういうことになるのか。
 そんな意欲的な試みが、アメリカ在住の日本人シンガー「月の兎サミー」こと、Sammy Chino さんの手によってなされた。

 曲名は「サクラ De ブルース」。 
 曲調は、12bars のブルース形式で仕上げられており、音階もブルーノート風だが、もともとブルーノートは日本音階の “ヨナヌキ” にも似た、西洋音階とは異なる旋律を奏でることから、これがドンピシャ ! に、日本の伝統音楽とアメリカの黒人音楽との融合を実現している。

▼ 日本で活躍していた時代のサミーさん(1970年当時/74年より米国移住)

 では、その曲をここでご紹介。
 作詞・作曲はSammy Chino さん。
 間奏のピアノ部分は、サミーさんと長年ともに音楽活動を重ねているJAMESE MALONEさん。
 ここでは、ちょっとオーティス・スパン風の都会的で小粋なフレーズを聞かせてくれる。

 そのような伝統的な正統派ブラックミュージックのサウンドに乗って、まったく声量の衰えていないサミーさんの朗々としたソウルフルな歌声。
 サミーさんの歌い方というのは、どんなに哀しいバラードにおいても、苦悩を突き破って、陽射しのある外に広がっていこうとする力強さがある。

 では、どうぞ !!
 たぶん、本邦初の公開となるはずだ。

▼ Sakura De Blues / サクラ De ブルース /Sammy Chino

 歌詞は次の通り。
 
  吹く風は、時に寒く、
  待ち侘びる、その心に
  絵本のページ メクルように、
  去年(こぞ)の約束、春のため息
  さくら、桜
  弥生の空に

  色隠した、冬の景色
  それも何時しか、気の付かぬ うちに
  Sepia color は、薄紅色に
  去年の約束 春のパステル
  SAKURA,、サクラ
  弥生の空に

  風にそよぐ、花に遊び
  囀る(さえずる)鳥、夢告げ鳥
  今も昔も、変わらぬものは
  去年の約束、春の戯れ
  サクラ、桜
  弥生の空に

  道野辺は 花吹雪
  揺れて、乱れて、空に溶けて
  散るも、咲けるも、かざし草
  去年の約束、春のパノラマ
  桜、SAKURA
  弥生の空に
  
  
 イントロは、伝統的なR&B。
 ホーンの入り方などは、昔のオーティス・レディングらを擁したアトランティックレーベルのサザンソウルっぽいアレンジになっているが、イントロに続いて繰り出されてくる歌詞の世界は、まぎれもなく日本の野辺を彩る満開の桜の情景。

 YOU TUBEにアップされた画像には歌詞も掲載されているのだが、「桜」という言葉を彩る表記が、「SAKURA」、「さくら」、「サクラ」、「桜」 …
 それらの異なる言葉が画面に躍るたびに、陽の角度や風のそよぎによって桜の花が多面的な表情を見せてくれるようだ。
 そこには、かすかに古今和歌集や万葉で歌われた桜花爛漫の気配が漂う。

 歌詞の中に出てくる「春のため息」、「春の戯れ」という言葉からは、うららかな陽気の底に潜んでいる、ちょっぴり妖しげな“桜のエロス”のようなものさえ浮かび上がってくる。

 サミーさんの歌に興味を感じられた方は、次のような作品もどうぞ。

▼ Sayonara Bye Bye/ Sammy Chino

▼ 生活の柄 /Sammy Chino

▼ I Want A Little Sugar Im My Bowl/Sammy Chino

▼ 手紙 THE LATTER/Sammy Chino

 
 
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Sammy Chino 「サクラ De ブルース」 への4件のコメント

  1. sammy より:

    町田様
    御ブログ拝読
    こんなに素敵なブログでの扱い、この上もなく感謝しております。
    素晴らしい文章でのディスクライヴを頂きました。
    素敵な扱いを頂き感謝です。

    生きていて、それぞれの分野での活動を続ける限りが人生だど云うならば、
    末期の日までも好きなことが出来るのが理想です。!
    もう声も出なくなりましたが、相変わらず唄うことを楽しみにしている昨今です。
    で、ずぅ~と続けるつもりです。

    こんな昨今で吹き込んだ歌曲、
    もし楽しんで聴いて頂けたら、歌い手冥利に尽きます!

    町田氏のブログ・ファン(私も含めて)、
    常に楽しませて頂いています、有り難う。

    サミー

    • 町田 より:

      >sammy さん、ようこそ
      わざわざこのブログに直接コメントいただけるなんて、光栄に存じます。

      思えば、サミーさんとは「甚助の餃子」というエントリーにコメントを頂戴したのがきっかけでしたから、もう6年ほど、こうやってブログを通じてのやりとりをさせていただいているわけですね。

      この間、音楽活動の報告以外にも、こちらの記事ネタになるようなアメリカンRVの最新画像、アメリカの美しいオールドカーの画像など、現地でなければ手に入らないような数々の情報をお寄せいただき、本当に感謝しております。
      なかには、人間に混じって行列に参加しているキツネの画像などもあって、笑わせていただきました。

      またプライベートなメール欄にお寄せいただく、「歌」を通じて人生の妙味を会得されたサミーさんのお話はどれも含蓄に富むものばかりで、勉強させていただいています。

      どうか、これからも末永いお付き合いをさせていただければ、幸いです。
       

      • Sammy chino より:

        誠に有り難う!!
        今夜はとびきりのワイン(’68)ものをオープンして御ブログに乾杯!
        サミー

        • 町田 より:

          >sammy さん、ようこそ
          ありがとうございます !
          喜んでいただけたら、ほんとうに嬉しいです。
          こちらも、2015年ものの「月桂冠 カロリーゼロ」の日本酒パックの封を切って、乾杯いたします。
           

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