満身創痍

 
 最近、あまりよくない趣味に染まっている。

 「病気自慢」というやつ。

 とにかく、次から次へと体の不調が襲ってくる。
 「病気」や「怪我」が行列をつくって、私の体に入り込む順番を待っているかのようなのだ。
 こうも病に侵され続けると、もうそれを盾にとって、わざと大げさに言いふらし、サボりの口実として主張するしかないじゃないか。
 
 糖尿病、高脂血症とかいうのは、もう私の体の中に安住の地を見つけた古参兵。
 恥ずかしい生活習慣病なんだけど、こいつらは私が甘やかすこといいことに、わがもの顔で体の中に居座り続けている。

 それに1年前からは「血栓症」という “新顔” が加わった。
 からだの中に血が固まってしまうというやつ。
 もともと左足は静脈の弁が弱っていて、心臓に送り返す血が滞ってしまうという「静脈瘤」という病気に冒されていたのだが、とうとうその血が固まって、羊羹(ようかん)状態になってしまったのだ。
 過度なデスクワークが続いたため、一種の “エコノミー症候群” に近い状態になってしまったらしい。

 発症して、そろそろ1年になるが、いまだに病院通いをしている。
 月一の割合で通院し、血液検査をしてワーファリンという血液の粘度を薄める薬を飲み続けているわけだ。
 3回の通院に1回ぐらいの割合でMR I 検査を行い、左足の断面を調べるのだけれど、先生に言わせると、「厚い羊羹が薄い羊羹」になっただけだという。

 「いつ治るのさ?」と聞きたいところだけど、医師がいうには、「とにかく薬を飲み続けて今後の経過を見ましょう」と繰り返すだけ。
 もうじき1年だぜ !!
 その先生、薬屋と結託して儲けようとしているだけなんじゃないのか?

 で、この13日から16日に行われた「ジャパンキャンピングカーショー2015」の直前には歯通に襲われた。

 こういう大きなショーでは、事前の搬入日から車両撮影に入るのだが、奥歯の根元がキリキリと傷みだし、とてもカメラを担いで会場を歩き回るなんて余裕などなかった。

 最初は家の近所の町医者に行った。
 「虫歯ではない」
 という。
 年寄りがよく患う「歯肉炎」とか、「歯槽膿漏」とか、「歯周病」のたぐいらしい。
 特に、ストレスが溜まると、歯の神経が過敏になり、弱っているところが傷みだすのだという。
 
 もともと歯は丈夫なのだけど、ストレスが溜まると真っ先に歯に来る。
 以前も、納期が重なった仕事が続いたとき、イライラして、無意識のうちに歯ぎしりばかりした挙句、奥歯を割ってしまったことがある。

 そのときに治療してもらった先生は、平然として言い放った。
 「歯が割れるというのは、別に珍しいことではないです。中堅管理職の中年男性に多い症状ですよ。上層部からプレッシャーをかけられ、下の部下たちから突き上げられた人たちが歯ぎしりをしているうちに、歯を割っちゃうんですね」
 というのだ。
 私には上司もいなければ部下もいないのだけど、締め切りを抱える仕事というのは、やはりどんな職業でもプレッシャーがかかるものだ。

 今回痛み出したのも、その割った歯のところだった。
 で、歯が痛いために、物を食べるとき、反対側の歯だけに頼ることになる。
 したら、酷使していた反対側の歯の犬歯が傷み始めた。
 歯痛の挟み撃ちだ。

 そこで、少し大きな病院の歯科医を訪ねることにした。
 診断の結果は、痛いのはすべて基本的に歯ぎしりが原因。
 それも寝ているうちに、ギリギリと歯をこすり合わせているらしい。
 (どうりで最近、悪夢ばかり見ていると思ったよ)

 根本的な治療は、やはり痛い歯そのものを抜くか、神経を抜くしかないという。
 「ジャパンキャンピングカーショー」の直前だったので、歯を抜いたりする余裕もなく、腫れを取るための抗生物質と痛み止めの薬をもらって様子をみることにした。

 痛み止め(ロキシニン)というのは、とにかく効く。
 歯痛など、最初からなかったような気分になる。
 そのため、その日のショーが幕を閉じたあとは、毎晩痛飲した。
 とにかく、誘ってくれる人たちがたくさんいて、(それはうれしいのだけれど)、気持ちのいい仲間が多いから、飲みだすと止まらない。

 しかも、幕張メッセの駐車場に自分の“ねぐら”(キャンピングカー)を用意しているため、会場近くの居酒屋で飲んでも、歩いて帰られるという余裕がある。
 だから、痛みどめを飲みながら、酒もグイグイと飲む。

 深夜になって、千鳥足で自分のキャンピングカーに戻る。
 痛み止めと酒のブレンドが体にわざわいしたのか、キャンピングカーに入る前に、酩酊して転倒した。
 腰をしたたかに打って、地面を叩く自分の体の音と、そのときの痛さで意識が戻った。

 それでもアルコールのせいで、激痛をこらえることができたため、なんとかバンクベッドにまでは登ることはできたけれど、目が覚めてから傷みが尋常ではない。
 ヤベェ…と思ったけれど、取材をサボるわけにはいかない。
 痛みをこらえて、なんとか最終日の取材を終えた。

 あれからそろそろ1週間経つけれど、歯も腰も治らない。
 自分が悪いんだけどさ。
   
 

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満身創痍 への8件のコメント

  1. 幕張ではお世話になりました。
    私の記憶ですが、以前もコマンダーのエントランスで転倒されたような。。。
    「階段落ち」でなかっただけ良かったんでしょうか?
    ご自愛ください

    • 町田 より:

      >わたなべ たつお さん、ようこそ
      こちらこそ、ほんとうにお世話になりました。
      いろいろと楽しいお話、ありがとうございました。

      そうとう酔っぱらっていたので、もしかしたら失礼なことを言ってませんでしたか?
      もし、そうならばお詫び申し上げます。お許しください。

      コマンダーのステップを踏み間違えて転んだ話、よく覚えていらっしゃいましたね。
      あのときの傷が悪化して、その後、蜂窩織炎になり、それが現在の血栓症にまでつながったようです。

      実は、階段落ちもあるんですよ ^_^;
      これも幕張ショーの後の話ですけど、足腰が立たないほど酔っぱらって、海浜幕張駅のホームに上る階段の上から下まで転がり落ちたことがあります。
      不思議なもので、そのときは傷一つ負いませんでした。
      でも、恥ずかしいよね。
      深酒は禁物…って、いつも心に誓っているんですけどね。
       

      • 失礼だなんて、こちらこそ失言がなかったか、冷汗三斗です。
        キャンピングカーの話はもちろんでしたが、あの晩一番盛り上がったのが音楽談義だったのは、意外と言えば意外?
        楽しい集まりで酒を控えろと言うのが酷です(笑)

        • 町田 より:

          わたなべ たつお さん、ようこそ
          確かにあの晩は盛り上がりましたね。
          お隣の席に座らせていただいて、いろいろなお話をうかがえたことを嬉しく感じます。
          わたなべさんのキャンピングカーの見方にはいつも感心させられておりますが、今度は一度、わたなべさんが愛してやまないタワー・オブ・パワーや、さらに「ブレードランナー」とか「イノセンス」などの映画・アニメ談義もご教授ください。
           

  2. かたなねこ より:

    私は町田さんより少し若いですが、何時の頃からか同年代が集まると「成人病自慢」が始まる様になりましたね。キャンカー友達で成人病が全く無いと言っていた人が癌になったりしますから病気は分かりません。(その方は町田さんも知ってる人ですが、今は元通り元気になって一緒に遊んでいます)
    町田さんもお大事に!

    • 町田 より:

      かたなねこ さん、ようこそ
      そうですか。
      やはり、お仲間が集まると「成人病自慢」が始まるというのは、中高年の常なんでしょうね。どうしても、実際に治療に当たったり、日常生活のケアに時間を取られたりする機会が多くなるからでしょうね。

      かたなねこ さんも、健康にくれぐれも注意されて、ご健勝にお過ごしください。
      また、いずれキャンプのときにでもお目にかかれれば幸いです。
       

  3. 木挽町 より:

    年とともに若い頃の不摂生が祟っていろんな病気になりますよね。どうぞ健康第一で。私も2型糖尿病というやつで毎月病院に。血圧の薬やらなんやら毎月1万円以上。糖尿病は痛くないけど医療費薬剤費がけっこう痛いです。今年から日に4回の自己注射も。慣れたらなんでもないのですが、血糖値があがらないという安心感があって食べたいものをしっかり食べてるから体重は増え気味。歩きもしないし。やばい。けど、A1Cは6台で納まってますよ。インスリン注射のおかげです。

    • 町田 より:

      >木挽町さん、ようこそ
      糖尿病って、確かにお金のかかる病気ですよね。私も薬だけで5種類。インシュリン注射の分はなく、高脂血症やコレステロールを抑える薬も混ぜての話ですが、それでも月に4千円から5千円ぐらいかかります。

      これって、製薬会社の陰謀じゃないですかね。
      今は、昔に比べてずいぶん病気の種類が増えているそうですね。
      昔だったら、「病気」に入らないものまで、今は「立派な病気」。それを治療するための薬がしっかり用意されるようになり、その種類もどんどん増えているそうです。

      国際級の製薬会社というのは、いま全世界に販路を広げているグローバル産業なんですね。TPP交渉のなかにも、アメリカの要求として薬輸入の規制緩和が強く主張されているとか。

      精神医学の方でも、昔と比べて「うつ病患者」がどんどん増えているとされています。たいていのメディアは、それを「現代社会のストレスの増大」という切り口で報道していますけれど、内実は、ひょっとして違うのではないかしら。
      昔だったら「うつ病」とまで認定されない症状も、今は医師に「うつ病」と判定させて、薬をどんどん買わなければならない状況が意図的に作り出されているようにも感じられてならないのです。
       

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