リンクス「ラ・ストラーダ」

 
 2月に行われた 「ジャパン・キャンピングカーショー」 を皮切りに、大阪、名古屋、北海道、神奈川、広島、熊本など、各地で春のキャンピングカーショーが盛大に開かれる季節になりました。
 今年は各キャンピングカーメーカーから意欲的な新車がたくさんリリースされています。
 このblogでも、機を見て、『キャンピングカースーパーガイド2014』 に収録する話題の2014年モデルをご紹介いたしましょう。

ラ・ストラーダ(リンクス)

● 欧州キャンパーの先端を行くクルーズバン

(後半読み物)アメリカ経済と世界のキャンピングカーのゆくえ

 ヨーロッパの高級キャンパーを扱うリンクスでは、昨年よりドイツの高性能バンコンであるラ・ストラーダを導入して好評を博しているが、2014年度は昨年評判だったAVANTIシリーズの中から、さらに強力なモデルをプッシュしている。
 それがAVANTI-EB。昨年の中心であった全長5990mmのシリーズより若干サイズアップした6360mmの車種が新型車のメインとなる。

 コンセプトは夫婦の 「2人旅」。欧州キャンピングカーは基本的にみなシニア夫婦の 2人旅を想定した作りになっているが、AVANTI-EBでは、それが徹底されているのが特徴だ。 
 ダイネットは運転席・助手席を回転させ、テーブルを挟んでセカンドシートと向い合せるスタイル。中央にキッチンとトイレ・シャワールームが振り分けられ、リヤは縦方向1970mmという広大なベッドが展開する。
 
 
 
 バンボディをベースにしたバンコンだが、その作り込みはモーターホームに近く、リヤ扉なども強度と安全性を確保するために 1枚物のオリジナルリヤ扉が設計され、外壁の鉄板の内側にも、手間ひまをかけてウレタンの断熱材が丁寧に貼り付けられている。 

 内装デザインにも独特のセンスが発揮されていて、木目を生かした温かみのある家具と、研ぎ澄まされたメタリカルな輝きを持つステンレス系の装備類とのバランスが絶妙。そこが、これまで “家庭” の味わいを重視してきたキャンピングカーインテリアとの一線を画す。
 
 
 
 エンジンは定評あるフィアット・デュカトの3リッターディーゼルターボ。踏み込んだだけでトルクフルな力強さが実感できるエンジンで、ワイドトレッドのアルコシャシーとのベストマッチングにより、高速走行の安定感は抜群。キャンピングカーのスポーツセダンという趣もなきにしもあらずだ。
 夫婦 2人が気軽な旅を楽しむ新時代のクルーズバンという位置づけをキープするこのクルマ。日本のハイエンドユーザーの遊び車として人気が出そうだ。

《 AVANTI – EB データ 》

車両価格 13,250,000円(税込み)
乗車定員 44名/就寝定員3名
全長 6360mm
全幅 2050mm
全高 2790mm
車両重量 3000kg
ベース車両 フィアット・デュカト
エンジン MulitiJet-II 3.0㍑ ディーゼルターボ 
ミッション 6速AT
埼玉県入間市宮寺3104-1
電話:04-2934-7505
HP :www.lyncs.co.jp
 
 
Staff Talk
(株)リンクス 三原幸富 代表

テーマ 「アメリカ経済と世界のキャンピングカーのゆくえ」

【町田】 ラ・ストラーダに関して、まずプライスですが、バンコンで1300万円という価格は、知らない人が見るとドキッとするかもしれませんね。
【三原】 でも、現地価格に輸送費、ガス検、予備倹などの費用を加え、保証も付けて、オプションのなかでも実用頻度の高いものをセットしていくとリーズナブルなプライスだと思っています。
 輸入車のなかでは、実際に旅行するときは使わざるを得ないオプション類を省いた価格を表示したり、ガス検、予備倹などの費用を加えないプライスを掲げているものもありますが、うちの場合はすべて込みになっていますから、“明朗会計” (笑)。それ以外のお金はかからない。
 ヨーロッパでも認められているラ・ストラーダレベルのクルマになってくれば、きわめて当然という表示額だと思っています。

▼ ラ・ストラーダ EB リヤベッド

【町田】 そのラ・ストラーダのような高機能バンコンがヨーロッパでも人気を集めているというのは、どのような理由からでしょう?
【三原】 大きな背景としては、ヨーロッパにおいても格差社会が広がってきて、富裕層と貧困層に分かれる傾向が顕著になってきたことでしょうね。
 そうなると、いままで “高級モーターホーム” といわれた車種が不調になってくるんです。それは貧困層が買えないというよりも、富裕層がさらにその上のキャンピングカーを求めるようになってくるから (笑)。
 それはもう日本円で5~6千万円の世界になる。そうなると、本当の富裕層でないと買えない。
 そこで、架装メーカーの方も路線転換を図らなければならなくなって、子育てを終えたシニア夫婦を中心に、車体も取り回しの良いサイズに収め、よりコストパフォーマンスに優れた車両に力を入れるようになるわけですね。それが、このクラスのキャンピングカーの人気を高めているわけです。
 ただ、このラ・ストラーダは、そのようなジャンルの中でもハイエンドユーザー向けのバンコンですから、現地でも価格が高い。それだけに他のバンコンよりもステータス性が強いわけですね。

欧州キャンピングカーの購買層が変わってきた

【町田】 富裕層の買うキャンピングカーというのは、どういうものなのですか?
【三原】 「ライナー」 と呼ばれるもので、GVWRが 4トンを超えるようなものになるんですね。モレロ、コンコルド、バリオなどといったメーカーがあるのですが、ほとんどワンオフに近い特装車です。ゴルフプレイヤーやテニスプレイヤーたちがよく使っているんですが、要は、1台のクルマの中に事務所機能やホテル機能がすべて整っている。さらには、持ち主の体のメンテナンスができるような設備を持ち、手の込んだ料理も作れる。床は50cmくらいのダブルフロア。暖房はスチーム暖房。
 もう実際に 「家」 に近いものですね。「モーターホーム」 というのが、クルマに家の機能を搭載したものだとすれば、「ライナー」 というのは “家にタイヤが付いている” という感覚です。
 いまヨーロッパでは、かつてハイマーのSクラスなどに乗っていた人たちが、みなそちらの方に流れているわけですよ。だから今年はもうハイマーもSクラスを出していない。それよりも、新しい顧客層を求めてエクシスなどに力を入れているわけです。
 フランスのラピード社にも同じことがいえて、かつてはいちばん高いモデルとしてベンツベースの 9シリーズというモデルが 6種類ぐらいあったのですが、今はもう 2モデルぐらいしかない。
 代わりに、クラスAの9シリーズに近いスタイルを保ちながら、その廉価版である 8シリーズに力を入れるようになっているんです。その 8シリーズというのが、ハイマーでいうエクシスですね。

【町田】 そのクラスを買う人たちというのは、若い人たちなんですか?
【三原】 いえ、必ずしもそうではなくて、やはりシニアが中心です。そういう人たちは今までハイマーのSクラスやラピードの 9シリーズを買っていた人たちですが、年をとってくると、小ぶりなクルマの方が取り回しが良いという判断も出たきたのでしょう。
 それと、そういうクルマはベンツと同等のパフォーマンスを持つフィアットシャシーが中心になるので、相対的に価格も安い。
 今のフィアットは、馬力においてベンツと10%ぐらいしか違わない。それなのに価格が30~40%も安い。
 それとキャンピングカーのベース車として使う場合、トルクが高いんです。ベンツは2700ccでトルクが33kg。それにくらべて、フィアットの場合は2.3リッターエンジンですら、トルクが35kg。キャンピングカーシャシーはトルクが大事ですから、当然走りも良い。だからヨーロッパのキャンパーシャシーがみなフィアットになっていくわけですね。
 しかし、ベンツシャシーのハイマーのSやラピードの 9シリーズでも中古車は人気があるんですよ。
 やはり、そのくらいのクルマになれば、作りもしっかりしているので、中古になっても機能が衰えない。10年ぐらい経ったクルマでも家具や装備は現役のままなんです。新車のときには10万ユーロぐらいだったそういうクルマが、中古だと 5万ユーロぐらいまで下がる。それを待っている人たちも多いわけです。

ますます巨大化するグローバル企業

【町田】 ヨーロッパ車の動きもずいぶん変わってきているんですね。
【三原】 ええ。超富裕層のためのとんでもない機能と豪華さを持つ夢のようなクルマ。そして、その下の層に向けたコストパフォーマンスに優れた合理的なクルマ。
 いまヨーロッパではそういう二極化が進行していますね。
 しかし、それはキャンピングカーの世界に限ったことではなく、世界のどんな商品開発でも同じようことがいえるのではないでしょうか。
 お金持ちのための浮世離れした超豪華な商品がどんどん企画されてくるのと平行して、一般庶民のための商品はどんどん安くなって大量に売られている。

【町田】 どういう世の中になってきたということですか?
【三原】 グローバル経済の浸透とともに、それぞれの分野における企業の吸収合併が進み、巨大企業がどんどん膨らんできて、儲けを独占するようになってきたからでしょうね。
 いまどんな産業でも、それを動かしているのはもう三つか四つぐらいの限られた企業なんです。
 そういう巨大企業ともなれば、材料の仕入れなどもとてつもないほど大量になってくるわけですよ。
 そうなれば、当然コストが安くなる。それが大量に売られるようになれば、それまで頑張ってきた中小の企業では太刀打ちできない。そのため、それらをつぶしたり吸収したりする巨大企業はますます大きくなっていく。
 こうして一般庶民の買う商品はどんどん安くなっていくわけですが、その量的拡大がハンパじゃないために、売る方は巨額の儲けを得ることができるわけですね。

【町田】 そうなると、その企業に投資している投資家たちも莫大な利益を得るということですかね。
【三原】 そういう人たちが今の世界経済を動かしているわけですね。

【町田】 キャンピングカー業界における企業の統合・合併もヨーロッパやアメリカではずいぶん進んできましたね。
【三原】 ヨーロッパでは、ハイマーグループ。それとトリガノグループ。その二つが抜きんでてきましたね。アメリカではフリートウッド。
 そういう形でグループ化が進行し、経営難が見えてきた中小企業はそのどこかの傘下に入って延命を図るわけです。
 そういう動きを加速させたのがリーマンショック以来の世界的な景気後退だったわけですね。これから景気が回復したとしても、もうこの流れは止まらない。
 で、いま面白いのは、世界的に 「 2番手企業」 というものが消えつつあることなんです。
 いちおう会社規模として、1番手の企業の下に 2番手の企業があるわけですが、その差がどんどん開いていって、2番手企業以下はみな “どんぐりの背比べ” 。「 2番目」 といっても 「10番目」 といっても、もう変わらないんですね (笑)。そういう世界になってきているんです。

アメリカ人が物を買わなくなると、世界が止まる

【町田】 そういう社会が進行していくと、これからの世界経済はどうなるんでしょう?
【三原】 けっきょくすべてはアメリカ次第ですね。どんなにグローバル企業が成長しようが、アメリカ人が物を買わなくなったら、世界経済は崩壊です。
 なんだかんだと言っても、ほとんどの消費はアメリカを中心とした北米でなされているんですよ。
 いま北米マーケットの消費人口は約 3億人。東欧を入れたヨーロッパ全体が 6億。アジアは20億。
 数字だけみるとアジアの20億人は大きいように感じられますが、それは人口の多さを示しているだけであって、一人頭の購入額でいうと、高額商品が買われる北米マーケットの消費額がダントツなんです。

【町田】 アメリカ人は借金をしながらも、どんどん新しい物を購入していきますからね。
【三原】 我々は、よくアメリカ人の “使い捨て文化” をバカにしがちですが、アメリカ人たちの使い捨て文化がなければ、アジアの発展途上国家の今日の成長もなかったわけです。もちろん、戦後の日本経済の復興もなかったわけですね。
 要は、アメリカ人は 「大量生産・大量消費」 というものを最初に考えて実行に移した民族ですからね。「高くても物持ちの良い物を買って、長く使おう」 という発想を持たない。安くて実用的なものをどんどん買って、どんどん捨てていく。
 だから、戦後になって、ヨーロッパのようなブランド力を持たない日本製品でも、安さを武器にどんどん輸出できた。
 それがやがて家電やカメラ、自動車のような産業を育成することにつながったわけですが、アメリカ人の旺盛な消費欲に助けられたようなものです (笑)。
 
【町田】 その日本が、やがて自動車のようにアメリカの産業を脅かすようになっていくわけですが … 。
【三原】 でも、もうアメリカは自動車産業を基幹産業としてはみなしていないですよね。もっと高額で利潤率の高い産業を独占しているから。
 軍需産業などその最たるものです。それと航空機のエンジンとか。
 いま飛行機のエンジンなどは世界中で3社だけで70%のシェアを占める寡占体制になっているわけですね。
 それがGE (ゼネラル・エレクトリックス) 、プラッツ&ホイットニー、そしてロールスロイス。ロールスロイスは英国だけど、あとの 2社は北米です。GEなどは、ロケットから原発まで手掛ける巨大産業で、日本の石川島播磨とか、三菱重工とか、川崎重工などの重工業企業が束になってもかなわない。

【町田】 なるほど。アメリカは自動車産業に頼らなくても、大儲けできる企業はしっかり抱えていると … 。
【三原】 そうなんです。ただ自動車産業というのは、底辺が非常に広いですから、今これをつぶしてしまうと雇用の問題が出てくる。その雇用を維持するために、やはり国家としても守っていかなければならない。
 だから、技術的に突出した進化がなくても産業として維持されているんですね。
 たとえばモーターホームのベース車としてよく使われるフォードのE350シャシー。V10の6800ccで350馬力を発生していますけれど、あの排気量だったら500馬力ぐらい出てもおかしくないんですよ。
 でも、そこまで追求しない。
 逆にいえば、それがアメ車のいいところなんですね。耐久性を確保するために、わざとパフォーマンスを落としているという言い方もできる。だから故障も少ないし、V8ぐらいのエンジンのうち6発しか働かなくても、立派に走っちゃったりする。ヨーロッパは技術力を高めて耐久性を追求しようとするのに対し、アメリカは逆 (笑)。

「高級品」に対するアメリカとヨーロッパの意識の違い

【町田】 アメリカらしい (笑)。おおらかな話ですね。
【三原】 基本的に、アメリカの消費文化の特徴は 「高級品というものを目指さない」 ことなんですよ。プラグマティズムの国だけあって、実用的であればいい。その “実用性” の中に価格の安さも入ってきます。 
 そこがヨーロッパ文化との違いですね。ヨーロッパ社会ではいまだに高級品神話がある。
 彼らのいう 「高級」 とは長持ちすること。
 長持ちさせるためには、経年変化に強い耐久性のあるものを追求することになりますから、そこで商品のクオリティとか、それを支える技術力が重要視される。
 だから、自動車でもベンツのようなクルマにステータスが出てくる。それは耐久性があるからです。ドイツなどに行くと、ベンツのタクシーがものすごく多い。要は長持ちするからですね。

【町田】 そういうヨーロッパとアメリカの自動車に対する価値観の相違を考えると、日本の自動車はヨーロッパ寄りということになりますか?
【三原】 いや、最近はそうでもないんですよ。いまの日本車が世界で評価されているのは初期不良がないだけなんですね。
 もちろん耐久性のあるものも作れるわけですが、経済産業省とか国交省が 「耐用年数 6年」 という規定を設けてしまって、それを過ぎてしまえば部品の保管などもそんなに必要ないという制度をつくってしまった。
 要は、アメリカのように買い替え需要が進むようにしたんですね。このあたりは、日本も官と民が一体となって産業の振興を支えようとしているわけです。
 しかし、ヨーロッパなどでは耐用年数10年を目標としてパーツの保管などにも力を入れている。さらに自動車メーカーも自社のプライドをかけて部品を残そうとするから20年~30年ぐらい前のクルマが現役で動くようになっています。

シェール革命でアメリカが世界最大の産油国になる?

【町田】 そのアメリカの買い替え文化ですが、石油資源の枯渇とか地球の温暖化とか、そういうエコロジカルな観点からみると、今後もずっと続いていくものなのでしょうか?
【三原】 もちろん化石燃料をエネルギーとするかぎり、いつかは立ち行かなくなるでしょうね。
 しかし、それがいつなのか、そのへんの目安がどんどん変わってきているわけですね。かつてローマクラブは1972年に 『成長の限界』 というレポートで、「世界の石油の可採年数は20年しかない」 と警告したわけですが、90年代に入ってからも石油の枯渇は訪れなかった。むしろ現在は、可採埋蔵数が大幅に増えているわけですよ。
 それはどういうことかというと、アメリカでシェールオイルを採掘するめどが立ってきたからですね。
 シェールオイルというのは、頁岩 (けつがん = シェール) という岩盤層から採取されるオイルを含んだ有機化合物のことで、熱分解することで合成石油にすることができるんですね。これが石油の代替エネルギーになるといわれているんです。
 一般的には 「シェールガス」 といわれていますけれど、あれは天然ガス。シェールオイルとは、その石油版。
 ともに “ポスト石油時代” の新しいエネルギー資源として期待されているわけですね。
 この頁岩層から石油や天然ガスを採掘する技術がアメリカで確立され、それを 「シェール革命」 などといっています。
 このシェール革命が起こる前のアメリカのエネルギー自給率は60%程度だったのですが、そのエネルギー自給率がもうすぐ100%を超え、2020年にはアメリカは世界最大の産油国になると予想する人もいます。
 
【町田】 でも、シェールガスもシェールオイルも、石油や石炭と同じ化石燃料ですよね。なぜその発見が遅くなったんですかね。
【三原】 いや、その存在は前から知られていたらしいんですが、岩盤をぶち抜いて採掘するにはコストがかかりすぎたんですね。商売として考えると割が合わなかった。
 しかし、シェールオイルを採掘するコストよりも現在の石油の方が高騰するようになると、採掘のメリットもあるという計算が成り立ってきたんでしょうね。
 それによって、いまアメリカ経済がまた活性化してきている。リーマンショック以降、アメリカが徐々に衰退していくように見えたのですが、その予測が外れちゃった (笑)。
 ただ、シェールガスやシェールオイルにバラ色の未来がありそうに思えるのは、投資家たちの思惑も絡んでのことなので、実態としては石油の代替エネルギーになるかどうかは疑問視する声も出てきていますけれどね。
  
【町田】 それにしても、アメリカがシェールオイルやシェールガスを世界に輸出するようになる、一方では、ロシアが西欧や東欧にパイプラインを走らせて天然ガスを供給している。
 一時代前は中東の石油が世界のエネルギー供給国として絶対的な力を持っていたのに、世の中のエネルギー事情は刻々と変化しているんですね。
【三原】 ただ、ロシアの場合はなまじっか天然ガスのような地下資源があるから、それに頼りすぎて、自国の産業が思うように伸びていないですよね。
 ロシア経済が伸びているように見えるのは、投資家たちの投資額が莫大だからです。
 たとえば、いまイギリス企業に投資しているロシア人たちの平均的な投資額は10億円ですって。みな地下資源で儲けた人たちですよね。
 その人たちは、海外の企業には投資するけれど、それを自国の産業には投資しない。そのせいで、ロシアの産業は一向に進歩しない。だから軍艦などもフランスから買ったりしているわけですよね。
 そもそも、ガガーリンが人工衛星で宇宙に進出したときですら、主力戦闘機のミグは真空管を使っていたという国ですから。
 中国も似たようなものでしょう。どちらも兵器の数はやたら多くて、軍事大国のような体面を保っていますが、兵器の精度などはやはりアメリカにはかなわない。

世界のビジネスモデルを決めたアメリカンスタイル

【町田】 けっきょく、相変わらずアメリカが中心となって、世界が回っているということですか。
【三原】 そうですね。世界中が “アメリカ化” している。経済も、社会も、文化もそう。それを我々は 「グローバル・スタンダード」 と呼んでいるわけです。
 日本のビジネスの現場でも、いまはアメリカン・スタイルが当たり前になってきましたね。
 終身雇用も崩壊したし、実力のある者はヘッドハンティングも当たり前。どこの会社でも接待費などというものはなくなったし、残業代もつかなくなってきた。
 これからの日本のサラリーマン社会は、もう入社したときから将来の進路が決められてしまうのではないかな。
 昔の日本企業では、東大出であっても最初は現場でトレーニングさせられて、仕事以外の人生経験も積まされたけれど、いまはもう出身校などで 「この人は管理職」、「この人は現場」 というふうに会社から峻別される。
 そして、一部の頭の良いエリートが、多くの労働者に仕事のマニュアルを暗記させ、単純労働をこなせるようにして仕向けていく。
 
【町田】 それがアメリカ化ということなんでしょうね。
【三原】 この50年の間に、アメリカではニュー・アッパーミドルというプロフェッショナルなエリート層が誕生しているんですね。
 そういう人々は、夫婦ともども知的レベルが高いので人生設計も計算済み。そして、徹底して子供の教育には時間をかけるんです。当然その子供もいい学校へ行って、いいところに就職する。
 こういう人たちがビジネス社会の上層部を形成する。もうそこで経済格差のみならず、文化格差が生まれているわけですよ。
 一方では、ニュー・ロワークラスの層も広がっていて、半分は結婚相手も見つからないし、子供がいたとしても母親はシングル・マザー。その子たちは教育も十分に受けられない。
 教育が受けられないから、政治を批判する力もないし、貧困の理由をさぐる力もない。
 そのような形で、経済格差と文化格差が広がっていくわけですね。
 日本も含め、世界がそういう傾向になり始めているのではないでしょうか。

【町田】 かといって、いまの経済成長のモデルがアメリカ的なものを基盤としている以上、この流れは止まらないでしょうから、あとは個々人がしっかりした世界観を持って、時代の流れに対処するしかないということなんでしょうね。
【三原】 そのとおりですね。
 
 
関連記事 「リンクス三原氏の語る 『高級キャンピングカーのイメージが変わる時代』 」
 
 

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リンクス「ラ・ストラーダ」 への2件のコメント

  1. スパンキー より:

    キャンピングカーの豪華さに圧倒されました。
    そのプライスにもね!
    でですね、クルマの素晴らしさも去ることながら、
    ここの代表であられる三原さんの博識にも敬意を表します。
    下手な評論家やマーケのひとより面白い。
    為になりました!

    • 町田 より:

      >スパンキーさん、ようこそ
      コメントありがとうございます。

      リンクスの三原さんという方は、もともと理系の素養を積まれた方で、若い頃は外資系の企業に勤められ、米国シリコンバレーで研鑽を積まれて来られた方らしいです。
      だから、金融工学などにも明るいのではないかな。

      この方のお話はほんとうに面白くて、いつも取材に行くと4~5時間費やしてしまいます。
      そのうち、キャンピングカーの話は30分程度。
      あとはキャンピングカー業界のトレンド解析から始まって、市場の変化をもたらした欧米・アジアの経済分析などで、3~4時間。
      面白いですよぉ、これが。
      私は密かにここの取材を “三原ゼミ” と呼んでいます。
       

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