サミーさんからのカレンダー

 
 アメリカ在住の日本人シンガーサミーさんより、今年もアメリカのカレンダーを送っていただいた。

 このカレンダーは、なにしろ写真が素晴らしい。
 サミーさんが住んでいらっしゃるカリフォルニア州ストックトンの銀行が毎年発行するもので、住民が残した昔のモノクロ写真を集め、それに人工着色を加えることで面白い映像効果を上げている。

 下の画像は、1901年に撮られたもの。
 「Traveling Steam Car To Yosemite National Park」
 というタイトルが付けられているところをみると、どうやらこれは蒸気自動車に乗って、ヨセミテ国立公園に出かける家族たちの様子を写したものらしい。
 
 
 
 この自動車、いったいどういう構造になっているのか。
 動力部分がよく見えないので、非常に好奇心をくすぐってくる。
 後ろの建物は、「HOTEL & STATION」 。
 まるで、西部劇の 1シーンを見ているかのようだ。

 下の写真は、蒸気機関車。
 石炭を補給し、これから出発するところを撮ったものだろうか。
 白い蒸気を噴き上げ、今にも車輪が動き出すように見える。

 あらためて見ると、蒸気機関車の力動感というのはすごい。
 アメリカ大陸に鉄道網が張り巡らされ、蒸気機関車が荒野をばく進し始める光景を眺めるようになった当時の人々は、きっと 「新時代が来た」 という実感を強く抱いたことだろう。

 西部劇では、蒸気機関車はよく強盗団に襲撃される。
 しかし、それはたいてい “ならず者” たちの挽歌となる。
 映画に出てくる馬に乗った鉄道強盗たちは、いずれ鉄道によってもたらされた新時代の秩序に滅び去っていく運命にあるからだ。
 アメリカの蒸気機関車の画像を見ていると、いつも 「馬の文化」 が終焉する時代を感じてしまう。

 下の写真は、1910年に、ストックトンの 「Sperry Milling Company」 という会社が紹介した 「GREMEA」 という新しい朝食用食材の宣伝ポスター。
 GREMEAというのは、小麦が原材料なのだろう。イラストに描かれる少女の両側には、小麦の穂が見える。 
 形態はオートミールのようなものかもしれない。
 このあたりから、アメリカのファーストフード文化というものが生まれてきたのだろうか。
 そう思うと、これも歴史が動き出す瞬間を捉えた画像といえなくもない。

 1903年のアメリカのベースボールチームを写した写真。
 なんという不思議なユニフォーム。作業衣か軍服という感じがしなくもない。

 ベースボールは、19世紀の中頃から徐々に今のようなスタイルを取るスポーツになっていったようだが、アメリカ独自のスポーツとして認知されるようになったのは20世紀の初頭ぐらいらしい。
 そうなると、この写真は、アメリカのベースボールが生まれた瞬間を捉えた貴重な画像の一つとなる。

 いやぁ、なんとも面白い !!

 こういう写真を集めたストックトンという町は、いったいどんな町なのだろう。
 サミーさんによると、町を出ると 「関東平野がいくつも連なるような」 平坦な農業地帯が広がるという。
 東には、シエラネバダ山脈。
 ヨセミテ国立公園も近い。
 
 東南に向かうとラスベガス。
 デスバレー、グランドキャニオン、モニュメントバレーなど、往年の西部劇の舞台が広がる。

▼ モニュメントバレー

 その光景を 「絵に描いたような、作り物的な “不自然な” 自然」 と、サミーさんは表現する。
 
 確かに、そうかもしれない。
 自分も6年前に、レンタルモーターホームで、この地を走ったことがある。
 まさに、人工物より “人工的な自然” が広がっていた。
 「神の創造」 という概念を持ち出さなけれあ説明のつかないような自然。
 このような光景を日本で見ることはできないので、そう語ったところで、実物を見ない限り、説得力には欠けることは分かっている。

 カントリーミュージックのライブハウスで歌っていた日本人のシンガーが、演奏の合間に語っていたことが記憶に残っている。

 「世界中の歌で、カントリーソングほど “ロンリー” とか “ロンサム” という言葉が多く出てくる歌はない」

 上の写真のような光景を見る限り、それは当たっていそうに思える。

参考記事 「アメリカの原風景 (モーターホームでアメリカを走る 9 」

関連記事 「サミーさんからの手紙」
 
 

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サミーさんからのカレンダー への4件のコメント

  1. クボトモ より:

    素晴らしい写真ですね!
    映画のシーンを切り取ってきたかの様です。
    このカレンダーは購入できるのでしょうか?
    ところで最初の一枚に写されている自動車。
    これに近いものをどこかで見たなと思って調べましたら、
    「トヨタ博物館」のホームページでした。
    一度は行ってみたい博物館です。
    http://www.toyota.co.jp/Museum/collections/list/data/0003_OldsmobileCurvedDash.html

    • 町田 より:

      >クボトモさん、ようこそ
      あ、なるほど !!  「トヨタ博物館」 にあったわけですか。
      これで、この自動車の正体が分かりました。

      トヨタ博物館の自動車管理は優れていて、みな実際に運転できる状態で保存されているようです。
      昔、近くの公園でパレードをしているところを取材した記憶があります。

      それにしても、博物館でしか見ることのできないような自動車が、当時の人々の生活の様子といっしょに描かれているというところが、このカレンダーの魅力ですね。
      残念ながら、このカレンダーは一般には市販されていないようです。
      ストックトンという町の銀行利用者だけに配られているものだと思います。
       

      • クボトモ より:

        町田さん、こんにちは。
        先月末、このカレンダーについて書き込みをさせて頂いた直後、
        サミーさんより私のブログへ書き込みがありました。
        1冊手持ちがあるのでお送りくださるというお申し出。
        わぉ、これは信じられない出来事!
        厚かましくもお願い申し上げ、先ほど手元に届いたばかりです。

        >サミーさん、本当に感謝です。ありがとうございました。

        今まじまじと眺めてましたが、本当に素敵な写真満載ですね。
        1900年前後、近代化が進む前の米国。興味深い時代です。

        今回のサプライズ、町田さんのおかげです。
        ありがとうございました。

        • 町田 より:

          クボトモさん、ようこそ
          いやぁ、おめでとうございます。
          このカレンダーは、日本ではなかなか手に入らないもので、まさに希少価値です。アーリーアメリカンの風俗・文化を知る意味でも貴重なものだと思います。
          もちろん、インテリアとしても洒落ていますね。
          それを送っていただいたというのは素晴らしいことですね。
          サミーさんには、私の方からも御礼を申し上げます。

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