ミッドナイト・クルージング

 
 本能のおもむくまま … というか。

 目覚ましの音で起きることなく、寝たいだけ寝て、時間にとらわれず、腹が減ったときに食べ、観たいテレビがあれば漫然と深夜まで観る … という元日と2日目を経験しました。
 パソコンも開かなかったしね。 
 人間、そういう暮らしをしようと思えばできるんだな。

 ま、今日から3日目になるので、身も心もそろそろ正常モードに切り替えなければならないと思っているところなんですけどね。

 で、気持ちを切り替えるきっかけをつかむために、ちょっと深夜のドライブを楽しんできました。
 意味のないナイトクルージング。
 そういうことをしたのも何十年ぶりという感じでした。

 静まりきった夜の国道。
 いつもと違って人もクルマもほとんど姿を消して、街路灯だけが幾何学的に並んでいる風景の中を、スピードを落としてゆっくり走りました。

 普段は深夜でも部屋の灯りが漏れてくるオフィスビルが、正月ともなれば、太古の昔からそそり立っている遺跡のように、黒々としたシルエットを星空に浮かび上がらせています。
 まもなく仕事始めの人々でにぎわうオフィス街が、ほんのいっときだけ眠りにふける “静寂の一夜” 。 

 いやぁ、正月のミッドナイト・クルージングも、なかなか味のあるものです。
 車内に流れるビル・エヴァンスの 『My Foolish Heart』 が、なぜか人気のないオフィス街の深夜の冷気にぴったりと合いました。

  
 

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ミッドナイト・クルージング への6件のコメント

  1. keiko より:

    深夜の東名を走り 帰り着いてPCに向かいました 何気なく本当に何気なくミッドナイトクルージングをピックアップして読みはじめたのです もうおわかりでしょう
    今日は今月創刊(JAZZ100年)、,,1号のCDを持ち出して往復聞いて走っていました まさに 大好きなマイフーリシュハート、、、 ビルエバンスです
    どんなに吃驚したことでしょう 幸福な吃驚、、、
    昨日共時性のことを書いたばかり、、、今はこんなことばかりおこっています気をつけます
    これによると丁寧なシンバルとドラムはポールモチアン、,私でも感じる意表をつくスコットラファロのベース、、、しかしなによりはビルエバンスのピアノがわかりやすいこと、、、
    ミッドナイト、、というフレーズに惹かれて 新しい夜が来ました

    バッハのマタイに悲痛を慰められjazzに新生を助けられる、、、音痴の私がおずおずと音楽に救われて生きて行きます 今日も有り難うございます

    • 町田 より:

      >keiko さん、ようこそ
      ビル・エヴァンスというピアニストは、あんなに知的な大学教授みたいな相貌をしていながら、そうとう麻薬中毒で苦しんだ人ですよね。
      バップの創始者であるチャーリー・パーカーもそうでした。
      やはり、インプロビゼーションに命をかけるジャズメンは、お客を熱狂させるフレーズを思いつかなければならないというプレッシャーから、一時的にハイになれる薬物を頼らざるを得なかったということもあるのかもしれません。

      いずれにせよ、「マイ・フーリッシュ・ハート」 のリリカルな静謐感は、そういうビル・エヴァンスの苦しみの底から浄化されてきた魂の “上澄み” のような気もします。
      根っこに自己破壊に近い負の衝動があるから、そこからの脱出を図ろうとしたときに、戦慄を誘うような旋律 (あらら、ダジャレになっちゃった)、が生まれるのでしょうね。
      鬼気迫る美しさと静けさ。
      それがあの曲の魅力ですね。
       

  2. Get より:

    ’60から’70。
    当時六本木の交差点近くにMistyというジャズ・クラブあり。
    当時の六本木の夜は交差点付近はさておき、周辺は暗かったように記憶します。
    アマンドを麻布十番の方に下ると暗くて人通りもまばらでした。
    交差点を狸穴方面に向かうと右手にゴトウ生花店があり、そこを過ぎるともう暗くて町外れの感でした。
    オリンピックにあわせて急ピッチで建設の高速道。
    これの為、町並みを一列溜池辺りまで立ち退かせて道幅を拡張。
    乃木坂と平行した裏道が表になり、”えぇ?あそこに風呂屋が?” などと新発見。
    Mistyの一階はエントランス・ホールでレセプション・カウンターだけでした。
    入り口ドアーの横は二階のクラブに行く階段が隣接で、三島由紀夫氏が降りてきたり入っていかれるのを見かけることも。
    Mistyは地下で、段差のあるステージは無く奥にピアノがありました。
    ビル・エヴァンス氏のGig には客が満杯でタバコの煙もうもう。
    皆さんとても静かに、真摯にエヴァンス氏のプレイに傾聴没頭している客層でした。
    確か8時ごろが初演で明け方近くまで数回だったと思います。
    他には、マル・ウォルドロンもMistyの常連プレーヤーでした。
    罰当たりな私は彼等の演奏はチラッと覗くだけ。
    ビル・エヴァンス氏のファンが読んだら憤慨されますねぇ屹度。
    今からみると、全てが黎明期のような時代と云えるのかも。
    Jazz、コードに合わせてフリーで演奏するには、バッハのカンタータを聴くのが一番です。
    と、愛聴していた時代もありました。
    アッ!!又寝言を言ってしまいました!
    ヨタなコメントには送信バリアが堅固なようで、第一送信は宇宙遊泳中です。

    • 町田 より:

      >Get さん、ようこそ
      昔の六本木の詳細なレポート、ありがとうございます。
      いい雰囲気ですね。60~70年代の六本木は…。

      今の六本木は、ドンキがあったり、ドラッグストアがあったり、風俗店があったりで、もはや歌舞伎町化していますけれど、50年前ぐらいの六本木は素敵だったのですね。
      「街」 には暗さが必要です。東京に比べて横浜が洒落て見えるのは、暗さがあるからでしょうね。3・11のあと、東京も節電ムードが広がり、街のネオンが半減したことがありましたけれど、ストックホルムみたいな北欧の洒落た感じの街に見えました。

      Misty には行ったことがありませんでした。
      しかし、ビル・エヴァンスとか、マル・ウォルドロンが常連プレイヤーだったのですか !!
      見逃してしまった。
      なんともったいなことをしていたのでしょう。
      自分は吉祥寺の 「Funky」 が拠点で、新宿の 「Dig」 「Dug」 「Village Vanguard」 あたりまでは遠征していましたけれど、六本木までは行きませんでした。

      貴重なレポート、ありがとうございました。
       

  3. keiko より:

    マル、ウオルドロンって ビリーホリデイと一緒に組んでいた方ですね それをたぐって left aloneを聴きました なにか控えめなお人柄なのか 確かめるように弾く地味なピアノですが これにまとわりつくようなサックスが泣いているよう、、インプロビゼーションってこういうことですか そばに歌い出そうとしているビリーがいるような、、、歌詞はビリーだと書いてありました
    近くにケニーギャレットのleft aroneがありましたので聞き比べてみました あとで物凄い大御所とわかりましたがそれでもなおこちらには切迫感が足りないなあと思いました(お粗末)
    昼前に同級生の突然の逝去を告げられました 半月前のメールに庭に白い木蓮が咲き始めあたりが一斉に明るくなった この頃特に白い花が綺麗と思うようになった 年々歳々花相い似たり歳々年々人同じからず、、、とあった、、、
    始まったものは必ず終わる 父が全て順繰りだよと云っていたっけ
    少し目の下が濡れます

    そうでしょうね だからやっぱりひとは一生懸命にそのひとを生きること、、いろんな皆様がいて下さりほんとうに感謝です 
    当分舌足らずをお許しください お元気で

    • 町田 より:

      >keiko さん、ようこそ
      『レフト・アローン』 は、マル・ウォルドロンの代表曲ともいえる名曲で、文字通り、ビリー・ホリディーを偲んで、「一人残された寂しさ」 を演じた曲です。いろいろな人が演奏していますけれど、やはりサックスを吹いたジャッキー・マクリーンの泣き節が一番ですね。

      でも、自分はそれよりも マルがピアノを一人で引いた 『オール・アローン』 のアルバムの方が好きです。昔読んだレコードのライナーノーツによると、このアルバムを録音する日、とうとうサイドメンたちが来なかったらしいんですね。しばらく待ったけれど、演奏者たちが一向に現れないので、仕方なくマルは一人でピアノに向かい、あの “鬼も涙する” ような寂しくも美しい曲を演奏したんですって。

      アルバムの中に、「忘却のワルツ」 という曲があります。螺旋階段をひたすら地下に降りていくような曲で、いつ果てるともない闇の向こうに、さらに階段が伸びているような感じが伝わってきます。
      それに触発されて、盲目の少女がその曲をずっと引き続けるという小説を書いたことがあったんですが、モチベーションが途中で枯渇して、放り出してしまいました。

      亡くなられたお友達のご冥福をお祈りもうしあげます。
       

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