急速に老人化を進める週刊誌

 
 週刊誌が、ものすごい勢いで “おじいちゃん化” している。
 若者に読まれることをとっくに諦め、今はもう40代~50代くらいの働き盛りのオジサマ世代も捨てている感じだ。

 たまたま手元にあった 『週刊朝日』 の12月6日号を手にとってみた。
 ペラペラと開くと、前半部分を占める特集記事のひとつが、「孫が本気で喜ぶクリスマスプレゼント45」 。
 そのページが終わるあたりに載っている朝日新聞出版社の広告が、「定年後のお金と暮らし」 。

 中頃の特集は、「母を介護する娘たち」 というタイトルで、68歳の落合恵子が、84歳の母を介護していたときの思い出話や、56歳の綾戸智恵が、88歳の母を介護する奮闘記。

 音楽ルポでは、71歳のポール・マッカートニーの来日公演を取り上げ、「再び、ビートルズ・ブームが巻き起こる」 という団塊世代あたりを喜ばせる記事が掲載されている。

 終わりの方の特集では、「人生の収穫期を迎えた女たちが、 “墓友” 仲間と集うワケ」 というタイトルを掲げ、一つの墓を女の友だち同士でシェアするオバさんたちの取材記事を載せている。

 連載漫画は、岡野雄一の 「ペコロスの母の玉手箱」 という65歳の主人公が認知症になった90歳の母を介護する話。
 常連ライターによるエッセイも、「暖簾にひじ鉄」 を連載している内館牧子の今回のテーマは、スマホになじめない老人たちのボヤキ。

 いやぁ、見事に “老人雑誌” になってますな。

 そのほかの週刊誌も似たようなもので、「60を過ぎた夫婦の性生活はどうあるべきか」 とか、「65歳からがバラ色の人生」 みたいな記事で大半が埋められている。

 結局、週刊誌の編集部も、もうそういう年齢の人しか買ってくれないという現実に直面してしまったのだろう。
 週刊誌どころか、新聞も取らないという人が増えてきていているなかで、週刊誌のよりどころは、スマホのような “携帯パソコン” にアクセスできない老人しか頼るしかなくなってきたのだ。

 しかし、そういう老人たちが、やがて完全に定年退職し、通勤電車に乗らない時代が来ると、そこで週刊誌の使命も終わる。週刊誌の大きな販売拠点であるキオスクに寄る人がいなくなるからだ。
 週刊誌の過剰なる “老人シフト” は、その最後のあがきとも読める。

 私は、そういう週刊誌なら終わってもいいと思う。
 編集者たちは、何か勘違いしているのではないか ?
 私も、60歳を超えた老人世代だが、最近のペーパーメディアの老人化にはうんざりしている。

 老人だから、老人をテーマにすれば買ってもらえるだろうというのは、編集者の怠慢ではないのか ?
 老人は、自分が老人だから、老人がどういうものか十分に分かっている。
 「あんたらに、ゲートボールの楽しさとか、老人のセックスの回数なんて、教えてもらいたくねぇや」
 という気分がある。

 俺たち老人が知りたいのは、若者のことだ。
 若者たちが好む遊び、若者たちが好きなアイテム、若者たちの愛するファッション、若者たちが楽しんでいる音楽。
 そういうものを知りたい。

 老人が、若者の文化を知りたくなっても、今の若者文化の担い手たちは老人のことなど念頭に置いていないから、そこに直接コミットしても戸惑うばかりだ。

 そこのところを、客観的・統計的な分析ではなく、若者の心がナマの形で伝わるような切り口で提示してほしい。
 音楽一つとったって、老人は自分たちが若いころ聞いていた音楽しか知らないので、いま流行っている音楽が、なぜ若者たちの心を捉えているのか。それを批判的・分析的に論じるのではなく、その魅力を肯定的に教えてほしいのだ。

 たとえば、今のJ – POPなどを聞いていると、けっこう 「絆」 とか 「連帯」 、「応援」 をテーマにしている歌が多い。
 われわれ老人世代は、「孤立を恐れるな」 と教えられてきた。
 「 “群れ” に迎合したり、つるんだりするのは恥ずかしい」
 そんな偏屈な思いを固めている同世代人もけっこういる。
 だから、教えてほしいわけよ。若い人たちの本当の思いを。 

 週刊誌に生き残る道があるとしたら、若者文化と老人文化の間に立って、その架け橋となるしかない。

 老人だって、結局 「今」 を生きてるわけさ。
 だから、「今の気分」 、「今の文化」 、「今の世相」 を知りたい。
 老人になったら 「サプリメント」 と 「資産運用」 と 「孫との遊び」 ぐらいしか興味がないなんて思うなよ。
 お前ら、バカにしているよ、チクショ~ !!
   

参考記事 「日本には 『老人の文化』 がない」
 
  

カテゴリー: コラム&エッセイ   パーマリンク

急速に老人化を進める週刊誌 への4件のコメント

  1. スパンキー より:

    面白い発見ですね?
    うーんと感心してしまいました。
    言われてみれば、ホントに陳腐な企画ばかり。

    全然考えてないのがよく分かります。
    まあ、週刊朝日だから余計に納得してしまいますが…

    私はまだ老人ではありませんが(?)、
    こんな企画ではおじいちゃんもおばあちゃんもうんざりでしょう。
    確かに、バカにすんじゃねぇぞ、ですよね。

    いまという時代の空気感とか気分とかって、かなり大事です。
    人はいつもそういうものを、いくつになっても欲していると思います。

    町田さんの言われるように、みんな「いま」を
    生きている訳ですから、老人だからといって、そこが抜けていたら、
    ふざけるなと…

    町田さんのおっしゃるとおりだと思いますがね。

    • 町田 より:

      >スパンキーさん、ようこそ
      ここのところ、週刊誌だけでなく、テレビなどを観ていても “老人シフト” を感じます。番組もCMも、対象をシニアに絞り込んだ企画がやたら目立ちますね。
      それらを観ていると、かえって老人に与えられる “世界の広がり” を閉ざしているような気がしてきます。あまりにも 「お前たちはこれから、こんなことをケアしていけよ」 と強制されている感じで。

      シニアは、若者よりも人生経験があるわけだから、さらに若い世代が興味を抱いているものを取り込んでいけば、本当は、ものすごく世界が広がっていくはずなんですね。
      それなのに、メディアの影響を受けて、アンチエージングやゲートボールに励む老人たちはさびしい。
      老人たち自身の問題もあるかと思いますが。
       

  2. クボトモ より:

    町田さん、こんばんは。
    つい先程、うちの事務所の39歳♂が27歳の後輩にこんなことを言ってました。
    「オジサンはさ、若い人の恋バナが聞きたいのよ。
    僕らはもう縁遠いからそういった話はとってもご馳走なんだよ」
    思わず吹いてしまいましたが、いや、そうなのかも知れません。
    町田さんの視点になるほどと思いました。

    僕は40代ですが、小学生の話も中学生の話も面白いと思いますし、
    20代の社員と趣味について語り合うのも楽しいです。
    彼らが現代をどう切り取っているかを聞くのはとても興味深いです。

    シルバー商戦のためのマーケティングデータ、
    あれがどうも世の中を誤読させているのではないかと思うのです。

    • 町田 より:

      >クボトモさん、ようこそ
      「最近の若い人は年上の人間のいうことを聞かない」 などとよく言う老人がいますけれど、それは老人たちの方で、若い世代に心を閉ざしているからかもしれませんね。
      結局、自分が経験してきたことしか分からないので、新しいモノに接したとき、自分の経験と比較したことしかいえない。
      そうなると、誰でも、つい分析的・批判的になってしまう。

      そうやって、老人たちは自分の知識や感性の幅を狭めているけれど、それに関しては、“老人志向” のメディアにも問題があるような気がします。

      それが、クボトモさんがいみじくも指摘された 「シルバー商戦のためのマーケティング」 ということなんでしょうね。
      「老人に必要なもの」 という視点でモノを開発しようとするから、訴求項目もどんどん絞られていく。メディアは “老人商品“ を開発した会社の広告が欲しいばっかりに、そういう商品を 「トレンドだ」 と主張して記事を構成する。

      でも、ほんとうは年を喰った人間だって、クボトモさんのおっしゃるように “若い人の恋バナ” を聞きたいわけです。そうやって、時代の空気を吸いたいんですよね。
      今回のご意見、よく分かります。
       

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