さいばしん (彩羽森) さんインタビュー

 
 キャンピングカー専門誌『オートキャンパー』に、抱腹絶倒の4コマギャグ漫画を連載されているさいばしん(彩羽森)さん。
 さいばさんは、自らキャンピングカーを運転して、くるま旅を楽しむだけでなく、その豊富な旅行情報やキャンピングカーの知識を生かし、日本RV協会が進めている「RVパーク」を全国に広めるためのお手伝いもされている。

▼ さいばさんの描く漫画の一コマ

 そんな忙しいさいばさんが、わざわざこのブログのインタビューに応えるために貴重な時間を割いてくださった。

 あの面白い漫画のアイデアはどういうふうに生まれてくるのか。
 また「くるま旅の達人」として、どのようなキャンピングカー旅行を楽しんでいらっしゃるのか。
 今回は、創造的なお仕事をされているさいばさんの天才的な脳の働きの一部をチラッと覗かせてもらうことにした。

▼ さいばしん さん (近影)

電気メーカーの商品企画を、漫画で説明したことがはじまり

【町田】 「キャンピングカー漫画 というのは、今の日本にはどこにもないジャンルですよね。それを20年近く描き続けてこられたのは素晴らしいことだと思うんですが、連載を始められたきっかけは、どんなところにあったのでしょうか ?
【さいば】 私は、もともと漫画少年だったんですよ。物心のついた頃から「鉄腕アトム」の絵ばかりを描いていて …… あ、年がバレてしまいますね (笑)。
 ま、今みたいにパソコンゲームなどがない時代でしたから、僕の場合、絵を描くぐらいしか楽しみがなかったんです。

【町田】 でも、 プロになるお気持ちはなかった ?
【さいば】 ええ。プロになるなんてとてもとても(笑) …… 。そのまま電気メーカーに就職したのですが、配属されたセクションが商品企画だったんですね。そこでウォークマンやCDラジオなどの開発を担当していましたけれど、なにしろ、今みたいにパワーポイントもないような時代でしたから、重役や設計担当者にコンセプトを説明するときに、この世にまだ生まれていないものをビジュアル化する手段がない。

【町田】 そこで、「漫画でも描いちゃえ ! 」と ?
【さいば】 そうです。設計担当者や営業担当者に商品のイメージを伝えたいときは、漫画に描いていたんですね。営業の人に説明するときは、その商品を買ったユーザーさんが喜んでいる姿まで 「絵」 にする。
【町田】 それは、重宝がられたでしょう !!
【さいば】 いえいえ(笑)。しょせん “マンガ” ですから、最初は「いい加減なヤツ」と思われたみたいですよ。
 でも、そのうち「こういう商品企画なら、あいつに絵を描かせよう」ということで、いろいろなところからお声がかかるようになりました。
 最後はロボットの担当ということになり、ロボット犬のアイボの企画などにも携わっていました。

若い頃は、バリバリのアウトドア派

【町田】 キャンピングカー漫画を描き始めたきっかけは ?
【さいば】 自分自身がキャンピングカーを使っていたし、キャンピングカー旅行も好きだったんですね。
 それで、自分の経験を生かしたキャンピングカー漫画を描いてみたら、けっこうそれが楽しくて、18年ぐらい前でしたか、当時の『オートキャンパー』誌の編集長に見ていただいたんです。
 そのとき、編集長から「自分のキャンピングカー体験を生かしている漫画というのは、きわめて貴重だ」と認めていただきまして、それから連載が始まりました。

【町田】 それにしても、漫画を拝見するかぎり、キャンプ全般に関してもお詳しいですね。
【さいば】 もともと、僕がアウトドア派だったからでしょうね。小学校時代から遠足というと山歩きでしたし、それこそ三角テントを張って、その周りに溝を掘るような時代からキャンプを経験しています(笑)。
 とにかく自然が好きだったので、その後は「森林インストラクター」という、一般の人に森林における野外活動を指導できる資格を取りました。

【町田】 そういうアウトドア好きが高じて、キャンピングカーに興味を持つようになったわけですね。
【さいば】 そうなんですけど、キャンピングカーを持つことで、活動領域がアウトドアからもっと広がりましたね。「くるま旅」という世界が見えてきた、というか … 。もちろんキャンピングカーはキャンプにも使えるクルマなんですけど、それ以外の使い方の方がさらに広くて、深い。

【町田】 実際に泊まるところは、今は道の駅などが多いのですか ?
【さいば】 いえ、自然のなかにも入っていきます。そして気づいたことが一つあるんですが、それは一般的にイメージされるものとは異なり、キャンピングカーは「自然に対して優しい」乗り物であるということなんですね。
 実は、山歩きなどをしている人のなかには、今でもキャンピングカーに対して心理的な抵抗感を持っている人がいるんですよ。
 「山の中にクルマを持ち込むのは自然破壊に通じる」と、そういう人たちは思い込んでいるんですね。とにかく “文明の利器” はすべてダメ。パソコンや携帯電話も疎ましい … みたいな。

キャンピングカーは自然に優しい

【町田】 過剰な精神主義ですね。
【さいば】 ええ。実際に、キャンピングカーが自然のなかに入っていって何かを壊すでしょうか。
 戻るときに残すのは、せいぜいタイヤの跡ぐらい。移動のときは多少の排気ガスを出すかもしれないけれど、寝泊まりするクルマなのだから、エンジンを切っている方が多い。
 むしろ山の中にテントを張ったりするほうが、よほど環境破壊かもしれないですよね。ペグを打てば、それだけで大地を荒らす。ペグの下に冬眠しているカエルがいたかもしれない。
 今ではあまり見かけませんが、昔は石ころを集めてカマドを作り、平気で直火を焚いていましたよね。
 それに比べると、そぉ~っと自然に分け入って、そぉ~っと出てくるキャンピングカーの方が、よほど自然に優しい。

【町田】 さらに、クマが出てきても安心 !!  さいばさんの漫画では、キャンピングカーを占領してしまうクマたちがよく出てきますけれど (笑) 。
【さいば】 ハハハハ … 。クマもキャンピングカーを知れば、冬眠用の穴を掘るより、キャンピングカーを盗みたくなるかもしれない。
 まぁ、まったく何もない自然のなかに、突如ホテルや事務所のような機能を持つ “小屋” を設置できるというのがキャンピングカーの魅力ですよね。
 よく考えると、I T 機器を利用すれば、大自然の中でも「都会のオフィス」と繋がることも可能なんですね。
 キャンピングカーがあれば、どんな森の中に分け入っても、そこの自然を損なうことなく、最先端のサイバー空間を手に入れることができる。

「さいばしん (彩羽森) 」 の秘密

【町田】 サイバー空間を森の中で … 。もしかたら、それって …… !?
【さいば】 当たりです !!  サイバー森(彩羽森 = さいばしん)。
 私のペンネームには、その「サイバー空間を森の中で実現する」という意味を込めているつもりなんです。
【町田】 いかにも、キャンピングカーライターらしい名前ですね。漫画・イラストだけでなく、時に文章でキャンピングカーレポートや、キャンピングカー旅行情報も書かれているので、肩書は「キャンピングカーライター」でよろしいんですよね ?
【さいば】 けっこうです。ま、自分では「くるま旅作家」と名乗っているんですけどね。

【町田】 ところで、お名前では、漢字と平仮名の両方をお見かけするんですが、どちらが正しいんでしょう ?
【さいば】 昔は漢字を使っていました。しかし、人から “当て字” なので読み方が分からないと言われたこともあって、今は平仮名を使っています。どちらでもいいんですけどね。

恐妻ネタには困らない

【町田】 それにしても、毎月あれだけの4コマ漫画のネタを考えられるのは大変なことでしょう。しかも、みな例外なく面白い。アイデアをひねり出すための秘密というのがあるんでしょうか ?
【さいば】 実生活で「恐妻」を持つことですね(笑)。よくお読みいただければ分かることなんですが、私の漫画のネタには実は恐妻ものが多いんです。そのネタだけは尽きることがない。実生活で日々体験していますから。

【町田】 そんなものをネタにして、奥様から怒られませんか(笑)?
【さいば】 うちのヨメはまったく私の漫画を読まないんですよ。ハナッから関心がない。おかげで、恐妻ネタを扱うときはビクビクすることなく、ありのままの姿が描けるので楽です(笑)。

【町田】 そんなぁ !! (笑)。
【さいば】 いえいえ、ホント。もしかしたら、うちのヨメは身の回りのことに超然としている観音様か菩薩様みたいな人間かもしれないんですよ。普通の人間の神経とは異なる神経回路の持ち主かもしれない。

【町田】 どういうことなんでしょう ?
【さいば】 自分の家のキャンピングカーが変わっても気づかない(笑)。
 実は、いま乗っているキャンピングカーは、ヨメさんには内緒で買ったんですよ。
 で、しばらく経ってから、それに乗ってヨメさんの会社までむかえに行ったことがあるんですね。
 そのときに驚かせてやろうと思ったんですが、彼女、まったく気づかない。
 ま、前のキャンピングカーも同じベース車でしたから、お面のところだけは似てるんです。
 しかし、以前のキャンピングカーはバンコン。今度はキャブコンですから、もうシルエットそのものが違う。
 なのに、ドアを開けても変わっていることに気づかず、助手席に乗り込んでから後ろを振り向いて、「あれ !? … なんか変」と、やっとつぶやいた。
【町田】 あ、それは天女様です。大切にしないと(笑)。

【さいば】 もうひとつ困ったことは、彼女、ドライブは好きだけど、車中泊が好きじゃない。
 「泊まるならホテル」派なんですよ。
 だから、一緒に旅行に行っても、彼女はホテルの部屋をとって、私だけ駐車場で車中泊。時間が来ると、「ハウス !! 」と指図されて、犬みたいに追い払われるんです。
【町田】 まさか(笑)。それネタでしょ ?
【さいば】 そういう状況を自分でも面白がっているところはありますね。

RVパークは画期的なインフラ革命

【町田】 ところで、日本RV協会(JRVA)さんが進めている「RVパーク」に関しては、認定申請地を調査されることもあったりして、現行のRVパークはかなり視察されていらっしゃると思うのですが、このRVパークの意義を、どのようにお考えですか ?

【さいば】 まず、ここ10年ぐらいから、キャンピングカー旅行の形態が変わってきていましたよね。
 その昔は、キャンピングカーの宿泊場所として公認されていたのはキャンプ場ぐらいでした。
 キャンピングカーがアウトドアと密接に結びついていた時代は、それで良かったのですが、次第にキャンピングカーを普通の旅行の一手段と考えるユーザーが育ってきたわけですね。

【町田】 わざわざキャンプ場で、バーナーを出して肉を焼いたりするよりも、町中のおいしい食事の店を探して気楽に食べたい、というユーザーは確かに多いですものね。

【さいば】 ええ。そういう人たちのニーズに応えたのが、全国の幹線道路で次々と建設されていった「道の駅」でしたね。
 ところが、「道の駅」は、正式に車中泊する場所として認められたわけではない。そのため、多くのキャンピングカーユーザーは、そこに泊まるときに、どこかうしろめたい気分を感じていたと思います。
 今、全国に整備されつつある「RVパーク」は、そういうユーザーの不安を取り除いただけでも画期的なものです。
 しかも、キャンピングカーに不可欠な電源サービスやゴミ処理サービスがある。これは、ものすごく大きなインフラ改革だったと私は思っています。

【町田】 そうですね、有料でもキャンピングカー泊の専用スペースがあるということは、実に心強いですね。
【さいば】 設備としてはやはりAC電源が供給されることが、ユーザーの立場に立つとありがたい。
 キャンピングカーには断熱処理が施されているものが大半ですから、昔は、猛暑といわれるような日でも、標高の高い場所に行けばなんとかしのげたのです。
 しかし、ここ数年は、真夏は40度を超える地域がどんどん増えていますよね。もうキャンピングカーも室内エアコンなしでは過ごせない。
 そういうときに、室内エアコンを駆動させる電源が供給されるということは、ユーザーを熱中症から守ることにもつながると思います。

【町田】 また、夜の楽しみ方も多様になりましたね。
【さいば】 そうですね。町のなかにオープンしているRVパークというものも増えてきましたから、夜は近所の居酒屋などに徒歩で繰り出せる。
 熊本の「RVパークやまが」は、まさに町のど真ん中ですし、青森の「RVパークさかた温泉」も歩いて5分で繁華街。山形の「RVパークエビスヤ」も歩いてすぐのところに飲み屋街があるという感じで、夜の楽しみが増えてきたのも最近のRVパークの特徴ですね。
 小さな子供がいれば、キャンプ場のサイトにバーナーを持ちだしてバーベキューというのも楽しいでしょうけれど、シニア夫婦になると、夜は居酒屋に繰り出すというのがいちばん気楽です(笑)。

【町田】 いやぁ、長い時間、楽しい話をありがとうございました。漫画の連載にも、RVパーク情報にも期待しております。
 
 
さいばしんさんのblog は、こちらをどうぞ (↓) 
『くるま旅の車窓から …… 』 http://cyberforest55.blog37.fc2.com/ 
 
全国RVパーク情報 (2013年8月現在)

「RVパークたまがわ」 (山口県)

「RVパークおおた」 (群馬県)
 
「RVパークやまが」(熊本県)
 
「RVパーク豊平どんぐり村」 (広島県) 
 
「RVパークひなの里かつうら」 (徳島県)
            
「RVパーク毛馬内 七滝温泉」(秋田県)

「RVパークさかた温泉」 (青森県)

「RVパークエビスヤ」 (山形県)

「RVパークアップルランド」 (青森県)
 

カテゴリー: campingcar, コラム&エッセイ   パーマリンク

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