伝説の歌姫サミー復活

 
 このブログでも何度かご登場いただいた米国在住の日本人シンガー・サミーさんが、日本の 「インターFM/ソウル・サーチン・レイディオ」 というラジオ番組で新曲を披露して以来、巷では “復活” の兆しを見せ始めている。

 「ソウル・サーチン・レイディオ」 (4月24日) においては、DJ吉岡正晴氏が、サミーさんが1972年の録音された 『女・ロビンソン・クルーソー/ロック・ステディー (サミー・稲垣次郎とソウル・メディア) 』 を知り、「サミーという女性シンガーには僕も驚きました。こんなレコードが1972年に出ていたんですね」 と賛嘆の声をあげている。

 また、6月30日の放送では、「 (問い合わせの多かった) サミーの 『サマータイム』 と 『ロック・ステディー』 をかけたところ、大変な反響を得た」 ともブログで書かれている。
 同放送内で番組を持っているピーター・バラカン氏も、サミーさんの曲を気に入って、自分の番組でオンエアーしているとも。

▼ 1970年5月の日比谷野音でのコンサートで、稲垣次郎氏らをバックに歌うサミーさん

 このような 「サミー再発見・再評価」 の動きに呼応して、1970年当時の復刻版CDも相次いで再発されるようになり、ファンの方からYOU TUBEに曲がアップされるようになった。

 私も、そのYOU TUBEによって、ようやくサミーさんの昔の歌に接することができた。
 これが凄いのなんの !!
 たとえば、「I Want a Sugar Little In My Bowl」 という曲がある。(サミー&フリーダム・ユニティ 『朝日のあたる家/SALUTE TO SOUL』 収録)
 原曲は、ジャズシンガーの大御所ニーナ・シモンの持ち歌で、ニューヨークのジャズバーで聞くと似合いそうなトロリと濃厚なジャズフィーリングに満ちた曲だが、これをカバーしているサミーさんのバージョンも素晴らしい。

▼ I want a Sugar Little In My Bowl/by Sammy 

 なんと、1971年の吹き込み。
 その後、日本でもジャズのスタンダードをカバーする女性歌手が何人か脚光を浴びたが、そういう人たちをまったく寄せ付けない。
 ソウル、ロック、R&B系のパンチの効いたシャウトがサミーさんの持ち味のように思われているが、こういうお洒落なジャズバラードを聞くと、サミーさんの本当の実力というものがよく分かる。
 ちなみに、下はニーナ・シモンのバージョン。

 確かに、ニーナ・シモンの歌には、年代モノのワインが持つような芳醇なコクと香りがあるが、サミーさんのカバーも引けをとらない。サミーバージョンにはスパークリングワインの爽やかさがある。

▼ 『稲垣次郎とソウル・メディア・フィーチャリング・サミー/女友達』 のジャケットを飾るサミーさん

 自分が気に入っている曲のひとつに、「I Love You More Than You’ll Ever Know」 という曲がある。アル・クーパーがリーダーを務めた初期のB,S&Tの 『子供たちは人類の父である』 (1968年) というアルバムに収録されているという曲だが、これもサミーさんが 『朝日のあたる家/SALUTE TO SOUL』 の中でカバーしていたのを発見して狂喜した。

 まずは、オリジナルのアル・クーパー版を。

▼ I Love You More Than You’ll Ever Know /Blodd,Sweat & Tears

 次に、サミーさんバージョン。

 この 「I Love You More Than You’ll Ever Know」 は、ダニー・ハサウェイや、エイミー・ワインハウス、ゲイリー・ムーアのカバーなどもあるが、歌詞の内容も含め、アル・クーパーの伝えたかったメッセージにいちばん近いものを感じさせたのは、やはりこのサミーさんのバージョンであると思う。

 この時代特有の、人間の内面の “海” に、ずしりと錨 (いかり) を下ろしていくような曲のモチーフを保つためには、やはり歌い手の内面性というものがそれなりに深化していなければならない。
 原曲は、異文化の言語と感性によって作られたものだが、サミーさんは英語の歌詞をたどりながらも、日本語を母語とする我々の感性にも届くように、エモーショナルな部分で、原曲の精神をトランスレーションしているような気がする。

 そのサミーさんが、すでに 「ソウル・サーチン・レイディオ」 で発表した新曲 (Join Us Come To gather) を含む新アルバムのレコーディングをもうじき完了させるらしい。
 放送された 「Join Us」 は最終ミックスの終わっていない “プロトタイプ” のようなものらしいが、ラジオで聞いたかぎり、見事な完成品に思えた。ゴスペル風味をまぶした躍動感のあるピュア・ソウル・ミュージックで、実に元気が出てくる。歌詞もコーラス以外はすべて日本語。常に太陽に向かって花を開かせるヒマワリのような曲である。

 ちなみに、新アルバム以外に、現在のサミーさんの歌声が聞けるのが、下記の曲。
 もう何度も聞いているけれど、歌と一緒にピアノが絡むイントロから、ウッと一呼吸置いて、ドラムスとベースが滑り出していくときの美しさは、スリリングですらある。
 もちろん、中盤から後半部に盛り上がっていくヴォーカルの圧倒的な迫力に打たれると、切ない夜には涙腺が緩みそうだ。
 こういうのを、本当の Soul Music というのだろうな。
 
▼ Sayonara Bye Bye

   
  
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