第2回 世界RV会議レポート

 
 世界の主要キャンピングカー生産国が集まり、それぞれ自国のキャンピングカー事業の現状を報告し合う場として「世界RV会議(World RV Conference)」というものがある。

 第 1回目は2008年9月4日にドイツのデュッセルドルフで開かれたが、この1月中旬、アメリカ・フロリダ州のタンパにおいて、その2回目が行われた。
 日本からは一般社団法人「日本RV協会」の福島雅邦会長ならびに猪俣慶喜輸入キャンピングカー部長らが出席し、各国代表とグローバルな視野に立った意見交換が行われたという。(※ 日本RV協会発行リリースより

 欧米やオーストラリア、中国などでは、いま何台のキャンピングカーが生産され、その国のユーザーたちはどんな車を買っているのか。
 実は、そのような情報は、日本にはあまり入ってこない。
 しかし、今回の会議によって、世界のRV産業の全貌が浮かび上がることになった。

今回はその貴重な情報を、日本代表としてスピーチを行った猪俣慶喜さん(JRVA輸入キャンピングカー部長/ニートRV)から直接お話をうかがうことできた。

15カ国 211人の参加者を集めた世界最大のキャンピングカー会議

▼ 会議に出席した各国のRV業界の首脳たち

【町田】 今回の「世界RV会議」に出席した国々には、どのような国があるのでしょうか ?

【猪俣】 日本を含めて15カ国でした。人数もそれなりに集まりましたね。
 開催地がアメリカだったので、参加者もアメリカ人がいちばん多く、その数は112人。 以下カナダ29人、中国25人、オーストラリア15人、ドイツ11人、日本3人、南アフリカ3人、オランダ2人、スロベニア2人、イタリア2人、イギリス2人、ベルギー2人、スウェーデン1人、ブラジル1人、フランス1人。総勢211人に達しましたね。

【町田】 それらの国々の代表がすべて基調報告を行ったのですか ?

【猪俣】 いえ、ヨーロッパなどは “ユーロ圏” ということで一つにまとまり、代表者を一人立ててヨーロッパ全域の状況を説明していました。
 また、アメリカとカナダは、 “北米” ということで、ひとつにまとまっていましたね。
 だから15ヵ国といっても、スピーチを行ったのは6エリアの代表ということになります。

【町田】 会議の雰囲気は、どんなものだったのでしょう ?

【猪俣】 RV業界というのは、欧米では国会を代表するような大産業ですから、その国際会議ともなれば、やはりそれなりの格調の高さがありましたね。
 初日から華やかなレセプション・パーティーがあり、2日目の夜はハーバーに船を浮かべてディナークルーズがありました。
 最後の夜は、フロリダのRVショーを視察したあとにバーベキューパーティが開かれました。

【町田】 華やいだ光景が目に浮かぶようですね。

【猪俣】 アメリカのRVIA(レクリエーショナル・ビークル・インダストリー・アソシエーション = RV工業会)はこの会議を開催するにあたって、相当なお金をつかったと思いますよ。
 ただし、上手にスポンサーを見つけて運営費を出させていますね。
 たとえば、会議の合間にふるまわれる昼食は、航空機リースや金融業で有名な「GEキャピタル」がスポンサーになっていました。ディナークルーズのスポンサーは、ディーゼルエンジンメーカーの「カミンズ」でしたね。
 最後のバーベキューパーティーは、「フロリダRVトレードショーアソシエーション」と「セットフォード」がスポンサーになっていました。
 そのように、大手企業がこの「世界RV会議」に積極的に出資しているんですね。

【町田】 その見返りは ?

【猪俣】 スポンサーとなった企業のコマーシャルが会場でなされるんですよ。いろいろな場所でその企業のロゴデザインが飾られるとか。
 さらに、これほどの規模の会議ですから、その記録が参加した企業のホームページなどを通して画像として配信されますよね。その画像データのなかに、スポンサードした会社のクレジットやロゴマークなどが残る。

【町田】 なるほど。それぞれのスポンサーが広告効果を期待できるほど、アメリのRV産業というのは、社会的認知度が高いということなんですね。
 … ところで、日本における開催もありそうですか ?

【猪俣】 そのへんはまだ分かりませんが、次回の開催地は決まっています。2015年にオーストラリアで、3回目が開かれます。それについて、オーストラリアの担当者が壇上に上がって挨拶をしていました。

ヨーロッパでは、自走式キャンピングカーとトレーラーの販売台数はほぼ同じ

【町田】 さて、それぞれのエリアのお話を伺いたいのですが、まずヨーロッパの現状報告はどのようになされたのでしょうか。

【猪俣】 スピーチに関しては、RVパーツメーカーの「セットフォード」CEOを勤めるステファンさんという方が、ヨーロッパのRV企業を代表して現状報告を行ったのですが、これが見事なものでした。
 まず、ムービーを大画面を流しながら解説が行われたんですよ。そのムービーが簡潔明瞭にヨーロッパにおけるRVの歴史を物語っているんですね。
 「現在のヨーロッパのキャラバン(トレーラー)のスタイルが完成されたのは1950年代であり、それがヨーロッパの北と南では違ったスタイルに発展し … 」といった調子で、とても面白くまとめてありました。
 RVの変遷だけでなく、その時代の政治状況・社会現象も分かるようになっていて、エルビス・プレスリーブーム、ウォーターゲート事件、ベルリンの東西の壁の崩壊などといったニュースを混ぜながら、ヨーロッパRVのたどってきた道を解説しているんですね。とにかく、とても洗練されたスマートなプレゼンでした。
 
【町田】 ヨーロッパのキャンピングカーの総保有台数とか生産台数などで、なにか分かったことはありましたか ?

【猪俣】 現在ヨーロッパを走っているキャラバン (トレーラー) およびモーターキャラバン (自走式) の総数は540万台とのことでした。
 単年度のデータとして最新のものは、2011年に取られたデータになりますが、それによると、2011年の販売台数は14万6,600台です。
 この14万6,600台のうち、トレーラーの占めている台数は7万4,000台なんですよ。
 約半分。
 これを「多い」と見るか「少ない」と見るか。
 つまり、かつてヨーロッパは “トレーラー王国” のような印象が強かったのですが、現在はトレーラーと自走式がほぼ同じ比率で並ぶようになったんですね。

【町田】 それはどういう理由からなんでしょうか ?

【猪俣】 ひとつにはフィアット・デュカトをベースにしたような、安くて性能のいい自走式が出回ってきたということも関係あるかもしれませんね。

【町田】 トレーラーと自走式が半々ぐらいというのは、ヨーロッパだけの現象なんでしょうか ?

【猪俣】 あとでご説明しますが、アメリカなどはヨーロッパとは逆に圧倒的な “トレーラー王国” なんですよ。南アフリカなどはさらにトレーラーの比率が高くなります。
 トレーラーと自走式が半々というのは、ユーロ圏の独特の現象のようですね。
 まぁ、日本も自走式の多い国なんですけど … 。
 で、面白いのは、「ヨーロッパの人口 1万人当たりにRVは何台あるか」ということを調べたデータがあるんです。
 それによると、たとえばスウェーデンでは1万人当たりに350台ということになります。
 概して、スウェーデン、オランダなどはRVの所有率が高いんですよ。フランスも高いですが、逆にドイツは意外と少なくて、フランスの3分の1ぐらいなんですね。

【町田】 なるほど。海外のキャンピングカー事情は、漠然としたイメージで語られることが多いんですが、こうしてデータと付き合わせてみると、意外なことが浮かび上がってきますね。
 特に、ヨーロッパで自走式の比率が上がっているというのは、面白い現象ですね。

【猪俣】 ただ、「自走式」といっても、昔のような大型モーターホームではなく、どちらかというとバンコンのようなサイズが小さいものが人気を集めているようですね。
 それにはいろいろな理由が考えられると思うのですが、ひとつはユーザーの高齢化が進み、大きい車体のキャンピングカーを扱うのが億劫になってきたということ。
 また、欧州では金融危機が慢性化してきたことも、その背景にあるかもしれません。つまり、経済分野でリスクを抱えてしまうと、雇用が減ったり、失業率が高くなったりしますよね。
 そうなると、金額の高いモーターホーム型のキャンピングカーを買える層が薄くなってくるということもあるでしょうね。特に、若い人たちにはキャンピングカーがだんだん “高嶺の花” になっていく。

【町田】 それに対する対策なども考えられているのでしょうか。

【猪俣】 やはり、価格を安くして、若者にも買いやすい車を増やしていかなければならないというのがヨーロッパの業者たちの共通認識のようです。
 要するに、開発車両のローコスト化とダウンサイジング。それがエコロジーの精神にもつながると見なすところが、いかにもヨーロッパ的ですね。


▲ スモールカー、ハイブリッドカー、エレクトリックカーが時代のトレンドになりつつあることを示すヨーロッパの主張を補足する掲示

若者層にいかにキャンピングカーの魅力を説くか

【町田】 先進国はこれからのきなみ人口減少社会を迎えるようですから、それも懸念材料となりますね。

【猪俣】 そうなんです。それが、いま世界中のキャンピングカー業界の大きな問題になっているんでね。
 ヨーロッパでも2050年代になると、日本と同じように上の世代のボリュームが圧倒的に増えてくるといわれています。先進国は、いずれみな日本のような少子高齢化現象を迎えなければならないわけですね。

【町田】 それはある意味で、マーケットの縮小につながりますよね。

【猪俣】 ええ。だから、今のうちにキャンピングカーに関心を持つ若者層をしっかり確保していなければならない。

【町田】 有効な対策というものがあるんですか ?

【猪俣】 まず、新車よりも価格の安い中古市場に若者を導入させようという動きがあるようですね。
 中古ならば、装備の充実した本格的なキャンピングカーでも安く手に入れられる可能性がある。そこでまずキャンピングカーそのものの魅力を肌で感じとってもらう。そのなかで、キャンピングカーに興味を抱いた人たちを新車の方に誘導していく。
 ヤングマーケットの開拓については、そのように中古を “ブリッジ” にした販売戦略の有効性が訴えられていました。

【町田】 ヨーロッパにはキャンピングカーライフを満喫できるシチュエーションが整っていますから、買うための現実的な条件さえ整えば、キャンピングカーそのものの魅力を訴求するのは難しいことではないのかもしれませんね。

【猪俣】 そうなんですね。そのへんは彼らは徹底してますね。ヨーロッパ代表のスピーチの最中にも、会場ではヨーロッパの美しい自然のなかでキャンピングカーが使われている画像をたくさん流すわけです。見ていると、ほんとうに「こんなところでキャンピングカーを使ったら素敵だな」と “洗脳” されてしまう(笑)。
 そういった意味で、広告宣伝においても、彼らはキャンピングカーとアウトドアの結びつきを真っ先に訴求しますね。「自然を大事にする」という民族の伝統があってこそ可能になるのかもしれませんが。

アメリカのRVの歴史は102年 !!

【町田】 さて、次はアメリカのお話を聞かせてください。

【猪俣】 アメリカは、RVIAのプレジデントであるリチャード・クーンさんという方がスピーチを担当したのですが、これがヨーロッパ代表に負けず劣らず素晴らしいんですね。彼らは、最初の一言からグイっと聴衆の心に切り込んでくるんです。
 まず、「アメリカには102年のRVの歴史がある」と切り出すんですよ。
 その「2年」という端数はなんだ ? と、そこでみんなの意識が集中するんですね(笑)。
 すると、そのタイミングで、幌馬車のような形をしたトレーラーの画像を出して、「102年経っても変らないものがある。RVは普遍的な存在なのだ」とたたみ掛けてくるわけです。

【町田】 つまりRVは西部開拓時代からの伝統を反映したものである … と。

【猪俣】 ええ。アメリカもヨーロッパと同じように、自然との結びつきを強調しますね。
 だから、「アメリカ人がいかにアウトドアが好きか」ということを示す様々なデータが公表されるわけです。
 たとえば、
 「アメリカの国民の14.9%はアウトドアで過ごす」
 「2011年には、4,200万人がアウトドアに遊びに行っている」
 「アメリカ人は年間一人あたり12.6日はキャンプに行っている」
 … などという数値をまず発表し、その中での “RV人口” が明らかにされるんです。
 それによると、「バックヤード・カー・キャンピング」の人口が3,290万人 ……

【町田】 「バックヤード・カー・キャンピング」とはなんでしょう ?

【猪俣】 ピックアップトラックを使って、その荷台の上に簡易的にテントを張るという宿泊スタイルですね。
 実は、アメリカではけっこうこのスタイルが定着しているんです。
 「CAR CAMP」ですから、「RV」ではない。
 だけど、日本のようにミニバンにテントを積んでいって、サイトでそれを組み立てるのとも違う。ピックアップトラックが普及しているアメリカならではのスタイルでしょうね。
 で、この「バックヤード・カー・キャンプ」の人口が3,290万人。それに対して本格的な「RVを使ったキャンパー」の人口は2,600万人。
 たぶん、両者のキャンプスタイルの違いは、日本でいう「テントキャンプ」と「キャンピングカー」の違いに近いかもしれないですね。

【町田】 アウトドアに行くアメリカ人の年齢構成は分かりますか ? 日本ではテントキャンプは若いファミリー層。キャンピングカーを使う人は中高年・シニアという傾向がはっきり出ていますが …

【猪俣】 それはアメリカも同じなんですよ。簡易的な「CAR CAMP」を楽しむ中心年齢は「33歳」だということでした。
 それに対する「アールブィーヤー(日本でいうキャンピングカーユーザー)」の中心年齢は「48歳」。やはり年代的開きがかなりありますね。

【町田】 ただ、昔得た知識だと、アメリカのキャンピングカーユーザー層の年齢はもっと高いという印象があったのですが … 。

【猪俣】 そうですね。 「48歳」というのは、私もやはり、ちょっと若いように感じました。
 ただ、この調査データにはトレーラーユーザーも含まれていますから、それで平均年齢が若くなっているのかもしれません。もしこれが、モーターホームユーザーだけならば、年齢層はもっと高くなるように思います。
 また、当社(ニートRV)のようなハードを扱っているディーラーには、ハードに関する研究資料とかデータしか送られてきませんから、アメリカのRVユーザーの全貌はつかめなかったんでしょうね。
 テントキャンパーも含めた調査というものははじめて目にしましたから、「48歳」という数字には、ちょっと驚きました。

アメリカは圧倒的な “トレーラー王国”

【町田】 いま「トレーラーユーザーも含めた数」 … とのお話があったのですが、実際にアメリカにおけるトレーラーとモーターホームのユーザー比率はどのくらいなのでしょうか。

【猪俣】 アメリカにおけるRVの総保有台数は960万台。2012年の出荷台数は28万5千台です。
 その大半は、実はトレーラーが占めているんですよ。逆に自走式はぐっと少なくて、どれも一桁のパーセンテージです。
 ちなみに、アメリカで売れているキャンピングカーをジャンル分けると、次のようになります。
 クラスA  5%
 クラスB 0.7%
 クラスC  4%
 トラベルトレーラー 62%
 フィフスホイールトレーラー 23%
 フォールディングキャンパー 4%
 トラックキャンパー 1%
 パークトレーラー 2,800台。

【町田】 なるほど。トラベルトレーラーとフィフスホイールトレーラーだけで85%を超えてしまうんですね ! 


▲ フィフスホイールトレーラー

【猪俣】 日本ではフィフスホイールトレーラーといえば、どちらかというとキャンプ場などでコテージ代わりに使われる定置式トレーラーのイメージが強いのですが、アメリカではみんなフィフスを牽引しながら移動しています。

【町田】 フィフスホイールが多いというのは、どういう理由からなんでしょう ?

【猪俣】 これはほんとうにアメリカだけの現象ですね。一つには国土が広いため、車体が大きくても取り回しに不自由しないということがあると思います。
 もうひとつ言えば、ピックアップトラックが普及しているからではないでしょうか。フィフスホイールトレーラーというのは、ピックアップトラックをヘッド(牽引車)にしますから。

【町田】 それにしても、ヨーロッパとは逆に、アメリカでトレーラーが増えた理由は ?

【猪俣】 それはアメリカ人のアベレージインカムとも関係してきているでしょうね。現在のアメリカのRVオーナーのアベレージインカムは、7万5千ドルだそうです。これは2005年の7万8千ドルと比べると下がってきているんですね。だから、メーカーとしても、安いものを作らなければならなくなる。
 そうなると、自走式のモーターホームよりも、やはりトレーラーの方が安く作れるんですね。安いから、顧客もモーターホームよりもトレーラーの方を選ぶ。
 そんなこともあって、自走式が伸びやんでも、アメリカのRV全体の生産台数は上がっているのです。

▼ 北米のトラベルトレーラー

【町田】 アメリカの業者さんたちにとって、いま一番の問題となっているものは何なのですか ?

【猪俣】 ビルダーたちが問題にしていたのは、規制が厳しくなっているということでした。つまり、「安全基準や排ガス対策などの政府の規制が、年々厳しくってきていることが大変だ」と言っていましたね。
 また、ディーラーサイドでは、「発注してから製品が送られてくるまでのリードタイムが長くなってきた」ことを嘆いていました。規制の強化や熟練工の不足などでビルダーの体力が弱ってくれば、やはり販売サイドにも影響が出てくるわけです。
 もうひとつ、顧客側の問題をあげれば、やはりユーザーの高齢化が進んできていること。RVが若い人たちにも浸透していかないと、産業として先細りになるのではないか、という危機意識を彼らは抱いていましたね。

【町田】 その対策は ?

【猪俣】 やはり「RV的なライフスタイル」というものを、若い層にも積極的にアピールしていこうという方針が出ています。イメージとしては、「アウトドア志向」「自然志向」を育てていこうと … 。
 アメリカの教育ではカリキュラムの中に「自然学習」のようなものが含まれていますから、そういうアピールはかなり有効なんですよ。
 そうすれば、マーケットとしてのポテンシャルはあるわけですから、しっかりした対策を施していけばまだまだRVは伸びると、彼らは考えています。

オーストラリアでは91%のキャンピングカーが現地生産

【町田】 次回の世界会議の開催国となるオーストラリアはどうなのでしょうか。

【猪俣】 オーストラリアも、豊かな自然環境を生かしたRV文化が栄えている国ですね。
 オーストラリアの総人口は2,200万人。日本でいうと、名古屋市の人口と似たようなものです。それに対して、登録されているRVの台数は47万5千台。日本ではようやく8万台ですから、日本に比べると、やはりそうとう高い普及率です。
 
【町田】 登録されているキャンピングカーは、すべて自国で作られたものですか ?

【猪俣】 国内生産の比率は91%だといっていました。ここもアメリカ同様 “トレーラー王国” で、登録台数47万5千台のうち42万台がトレーラー。5万台がモーターホーム。
 ただアメリカと違って、フィフスホイールの割合は少ないですね。わずか0.1%です。やはりピップアップトラックが普及しているかどうかの違いでしょうね。

【町田】 キャンピングカーを使うときのインフラはどうなっているのでしょう ?

▼ 猪俣氏

【猪俣】 オーストラリアにはけっこうキャンプ場があるんです。そして、どこのキャンプ場でもコテージが普及しています。
 だから、彼らのアウトドア体験というのは、基本的には乗用車でキャンプ場に来てコテージに泊まるというものなんです。
 ただ、キャンプ形態には年齢構成によって特徴があり、18~29歳ぐらいの若い人たちは、キャンプ場に行ってもテントキャンプです。
 その上の35~49歳ぐらいの少しお金のある人たちがコテージ。
 50歳以上の本当にお金のある人たちがトレーラーやモーターホームを使ってキャンプするという感じです。

【町田】 RVを普及させるためのオーストラリアの問題点は何でしょう ?

【猪俣】 欧米と同じように、RV人口の高齢化が始まっていて、その下の世代にRVが広がっていっていないということでした。
 欧米やオーストラリアなど、RV先進国というのは、基本的にみな同じ問題を抱えていますね。
 そう考えると、若いファミリー層が伸びている日本の未来はかなり有望なのかもしれないですね。

オフロードトレーラーの製作・販売が主力の南アフリカ共和国

【町田】 世界RV会議に南アフリカ共和国が出場してくるというのが、ちょっと意外な感じもするのでが、この国が参加するようになった経緯は ?

【猪俣】 実は、ここにはかなり大きなRVマーケットがあるんです。ただ、そのことは世界的にもあまり知られていないんですよ。
 だから、南ア代表のスピーカーは、「皆さん、南アフリカという国をどのくらいご存知ですか ? 」というところからスピーチを始めていました。
 そして、アフリカこそ人類の発祥の地であるとか、自然が豊かでそれが大きな観光資源となっているとか、でもジニ係数 … 貧富の差を数字で表したものですね。そのジニ係数は低く、人口構成では、少数の白人の富裕層と多くの黒人の貧困層に分かれている … などということを包み隠さず話すんですね。

【町田】 RVを買うのは、その一部の白人のわけですよね。それでもマーケットは広いと言えるのでしょうか ?

【猪俣】 確かに、自走式のモーターホームともなると、2011年の統計では70台しか売れていないんです。
 この国もやはりトレーラーが主力なんですね。現在、南アで登録されているトレーラーは10万台以上。日本はキャンピングカーすべて合わせて8万台ですから、それよりも多いわけですね。

【町田】 それでも、欧米やオーストラリアに比べると、まだ市場規模は小さい感じがしますが … 。

【猪俣】 実は、この南アの場合は、一般的なモーターホームとトレーラーのマーケットとは別に、それとはまったく異なる独自のRVが存在するんです。
 それが、「フォーバイフォーキャラバン」といわれるものです。
 トレーラーですから「フォーバイフォー(4×4)」という言い方は正確ではないと思いますが、分かりやすくいえば「オフロードトレーラー」ですね。
 つまり、オフロード走行を容易にする大きなタイヤをつけた特殊なキャラバンで、その用途はサファリ観光用なんですね。

【町田】 いかにも南アフリカ共和国らしい製品ですね。

【猪俣】 ええ。これが年間2,000台以上作られているんです。そして、そのトレーラーを、サファリ観光を楽しむ自国の白人や海外からの観光客に買ってもらう。
 それが南アのキャンピングカー産業の大きな部分を支えているんですね。

マーケットの広大さをアピールした中国
 
【町田】 さて、中国のRV業界の発展状況はどんな感じでしょう ?

【猪俣】 今回の会議の出席者は210人以上で、やはり主催国であるアメリカとカナダの人が一番多かったのですが、次が中国だったんです。総勢25人。
 その25人が自国のプレゼンテーションともなると最前列を占めて、賑やかに拍手をしていたのが印象的でした。
 
【町田】 その25人というのは、中国でキャンピングカー作りをやっている人たちなんですか ?

【猪俣】 いえ、「CAAM=チャイナ・アソシエイション・オブ・オートモービル・マニファクチャー(中国自動車工業会)」という団体の職員のようでした。
 だから、話はちょっと抽象的で、CAAMという組織がいつ誕生して、世界にどのように認められ、現在は何を目指して活動しているのかという話が中心でした。
 要するに、CAAMという組織が、現在、「RVの定義」や「RVのスタンダード」というものを確立し、それをいま普及させているというアピールなんですね。

【町田】 具体的なキャンピングカーの話はどうだったのでしょう ?

【猪俣】 現在中国では約6,000台のキャンピングカーが走っており、年間700台~800台が販売されているという話でした。
 ただ、写真やグラフの提示もないので、それらの数字がどれくらい正確なものなのかは不明でした。
 
【町田】 中国でキャンピングカーを買う人たちというのは、どんな人たちなのでしょうか ?

【猪俣】 中国で販売されるキャンピングカーのほとんどは法人需要だそうです。ただ、法人登録といいつつ、内実は企業経営者が個人で使っているということが考えられますね。

【町田】 中国の富裕層というのは、人口比率でいえば小さいのでしょうが、人口の母数そのものが巨大ですから、絶対数では大変な数になりますね。そう考えるとマーケットとしては大きいですね。

【猪俣】 日本と比べると富裕層の数も違いますし、持っているお金の額も違いますからね。だから、豪華な大型キャンピングカーが一気に売れるようになる可能性もあります。
 確かに、もうアメリカのRVIAなどは中国専門の担当者を養成していますね。今回も中国のスピーカーが演壇に立って中国語で話し始めると、すかさず一方の演壇には中国語のできるRVIAの担当員が登場して、英語で同時通訳をしていました。
 実際にRVIAの中国支局も作られていますし、アメリカの力の入れようはすごいです。
 要するに、アメリカにとっては、日本よりも中国のマーケットの方が大きいと踏んだのでしょうね。
 で、中国の方でも、アメリカのRV法の規格をほとんど受け入れたという話でした。

世界の人々が下した日本のキャンピングカーの評価

【町田】 さて、日本の番ですね。日本のRV業界を代表して、猪俣さんがどのように日本のRVを紹介されたのか、ちょっと骨子だけお聞かせ願えませんか ?

【猪俣】 恥ずかしいですね(笑)。… まぁ、まずは日本のキャンピングカーの歴史から説明しました。
 日本のキャンピングカーはオート三輪から始まったとか、最初は輸入車が導入され、70年頃から国産車も作られるようになってきた、… などという話ですね。
 これに関しては、自動車週報社さんの出された 『日本のキャンピングカーの歴史』 を参考文献にさせていただきました。
 その次には、現在日本で最も購入されるキャンピングカーの価格帯、それを買うユーザーの年齢層、職業などですね。
 また、どういうキャンピングカーに人気が集まっているのか、そういうことも画像を使いながら説明しました。このへんはRV協会の『キャンピングカー白書2012』を参考にしました。

【町田】 日本のキャンピングカーのジャンル構成は、欧米に比べると特殊だと思うのですが、そのへんは通じましたか ?

【猪俣】 特にハイエースなどをベースにしたバンコンというものが向こうにはないんですよ。これを「クラスB」などというと、かえって混乱させてしまう。
 また、現在日本で増えている “8ナンバー以外” といわれる3ナンバー及び5ナンバーのキャンピングカー。この説明にも困りました(笑)。
 この概念を向こうの言葉で説明しようとしても、対応する言葉がないんですね。

【町田】 ではなんと訳されたのですか(笑) ?

【猪俣】 3ナンバー5ナンバー登録となるキャンピングカーは、強引に「マルチパーポス・パッセンジャー・ビークル」と訳しました。
 しかし、そのひとつの例として、プリウスをベースにした車両を紹介したとき、かなり反応がありましたね。欧米の業界では、最近エコロジーとか低燃費を重視するようになりましたから、低燃費のプリウスをキャンパーに仕立てるという発想には、みなかなり好意的でした。
 また、日本の軽キャンピングカーも、意外と話題になるんです。
 車両サイズが欧米人の体格には合わないでしょうから、自分たちで使う気はないと思うのですが、やはり燃費性能がいい、経済効率がいい、というところに好奇心を募らせた人たちが多かったようです。

【町田】 なるほど。日本人が当たり前に見ているキャンピングカーでも、海外の人にとっては興味深いものであったり、不思議なものに感じられるということなんですね。

【猪俣】 日本でいう「車中泊」というのも、海外では珍しい概念なんですね。
 だいたいアメリカなどでは、モーターホームはRVパークに泊まるものだということが常識になっていますから、「道の駅」や「高速道路のSA・PA」で泊まるという発想そのものがない。その前に「道の駅」というものが、アメリカなどにはない(笑)。

【町田】 そのような日本独自のインフラを、どう説明されたのですか ?

▼ドッグランもある日本の高速道路のサービスエリア

【猪俣】 やはり、画像で示すと一目瞭然なんですよ。だから、日本の高速道路のSA・PAを設営するときには、伊勢湾岸道の刈谷や新東名の「ネオ・パーサ」の例を紹介しました。
 すると、温泉があったり、観覧車があったり、ドッグランがあったり、ショッピングエリアもトイレも、まるで高級ホテルのようにグレード感があると。みんなびっくりしているわけです(笑)。
 で、日本のキャンピングカーユーザーは、こういう場所で休憩して、ときには仮眠をとっていると。
 だから画像だけ見た人々は、日本のキャンピングカー向けインフラはそうとう高級だと思ったかもしれませんね(笑)。

【町田】 なるほど(笑)。… いやぁ、長い時間、面白い話をありがとうございました。
 
 
関連記事 「第1回 世界RV会議」
  
参考記事 「ヨーロッパのキャンピングカー事情 (リンクス三原氏の談話) 」
 
  

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第2回 世界RV会議レポート への2件のコメント

  1. solocaravan より:

    ヨーロッパで牽引式と自走式が半々というのは意外でしたが、国によっても違いがあるような気がします。おそらくイギリスはまだまだキャラバンの比率が高いのではと思います。

    トレーラーについていえば、10~20年くらい前までは5ナンバー車でひっぱれるコンパクトなものもたくさんありましたが、いまやほとんどなくなってしまい選択肢が細る一方です。今後ふたたびそのサイズの魅力的な新モデルがでてきて欲しいと願っていますが、エコといいながら全体としてはクルマもキャンピング車(住宅も?)もどんどん大型化の方向に向かっているのは皮肉なことです。

    • 町田 より:

      Solocarvan さん、ようこそ
      確かに、イギリスは昔からトレーラーの方が多い国であるとは聞いています。
      今でも、この国はそうかもしれませんね。今回のデータでは、まだ国別の実情が解析されていませんので、なんともいえないのですが … 。

      おっしゃるように、トレーラーの場合は、日本では牽引免許対応の大型のものが増えましたね。もともと普免で牽引できる 「750㎏」 という枠組みが、今となっては、現状に即していないという話もあり、そこのところはやむを得ないのかもしれません。

      ただ、昨年あたりからトレーラーを扱っているショップさんのなかには、再びライトトレーラーの導入に力を入れているところもあり、そのクラスが新たな購買層を掘り起こしていけば、「5ナンバー車で引っ張れるコンパクトなトレーラー」 もまた増えてくる可能性がありますね。
       

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