四方寿太郎ライブを楽しむ

 
 同じ高校に属していた友達の付き合いって、いいもんだな。
 特に、音楽の趣味が似ているということは、大人になってからも、話題が尽きることがない。
 音楽の趣味さえ合えば、会うまでにどんなブランクがあろうとも、即座に旧知の仲として話がはずむ。

 若い頃、お互いに共有していた音楽というのは、過去をしのぶ懐メロでありながら、それを解釈し直すことによって、いかようにも現代的テーマをたぐり寄せることができる。

 たとえばビートルズ。
 昔のビートルズが持っていて、現代のポップソングに欠けているもの。
 逆に、今のポップスが持っていて、当時のビートルズに欠けていたもの。
 そんなことを語り合ったりすることは、音楽を語っているようでありながら、ある意味での社会学的・歴史学的考察に触れることにもなる。

 … なんていう難しい話はさておき、実はこの土曜日、久しぶりに、高校時代の友人が開いたライブを堪能してきた。

 ライブの主催者は、Jerry Shikata & Rock-O-Motions (ジェリー四方とロコモーションズ) 。
 このブログでも何度か紹介したことのある四方寿太郎さんの率いるバンドである。

 ▼ Jerry Shikata & Rock-O-Motions のライブ。中央がバンドマスターの四方寿太郎氏

 私にとって、彼は数少ない高校時代の友人の一人。
 しかし、高校時代はクラスが違っていたので、口をきいたこともなく、大学も同じ大学だったらしいが、お互いにその存在を知ることもなく、社会人となってからも、仕事や生活が交じり合うこともなく、4年ほど前に、ようやく会話を交わしたという友人なのである。

 きっかけは、私が書いたブログであった。
 高校時代の学園祭で、プロ顔負けの力量を発揮した伝説のバンド 「キックス」 のライブを思い出しながら書いた記事を、バンドのリーダーであった四方君が偶然読んでくれたのだ。

 で、ライブのお誘いのメールがコメント欄に届いた。
 「わぁお !! 」 である。
 四方君というのは、私にとっては、高校生活のなかでも最高にカッコいいヒーローだったのだ。

 イケメン。
 歌はうまい。
 楽器も上手。
 しかも、身のこなしが颯爽としている。
 なんとなく、家柄が良さそうだ。
 でも、本人には不良っぽい雰囲気がある。

 最近話題になっている “スクールカースト” という言葉を使えば、そのカーストの最上位にいた男だったのである。
 当時、学ランをちょっと改造して、上着もズボンもちょっと細身に絞ったりしたものを着こなすのがスクールカースト上位にいる連中の “作法” だったのだが、同じように学ランに細工を施しても、私のような人間と四方君たちの着こなしは、何かが違うのだ。

 ほとんど目に見えないような微妙な差異。
 なぜかそれが圧倒的な力となって、私のような下位カーストの人間と上位カーストの人間を分けてしまう。
 それは、学ランの形にあるのではなく、着る人間の “センス” のようなものだったかもしれない。 

 で、そんな “上位野郎” の四方君から、二度目のライブのお誘いが来た。
 場所は東京・赤坂にある 「カントリーハウス」 。
 ごくごく親しい人間50人だけを厳選したプライベートパーティだという。 

 学生時代にはまったく口をきいたこともない、(私の方は憧れていたにもかかわらず、向こうは私の存在などまったく知らなかったらしい … という憎たらしい) 四方君が、その “親しい50人” に混ぜたくれただけでも、こっちは感激なのだが、なんと 「一緒のステージで歌いませんか ? 」 と声までかけてくれたのだ。

 ま、こうして、ついに、40年来の憧れであった四方寿太郎氏の隣りに立って、彼の演奏とバックコーラスのサポートを得ながら一緒に歌うという念願の夢が実現したわけである。

 ▼ Rock-O-Motions のしっかりした演奏に支えられ、なんとかビートルズの 「All My Loving」 を歌いこなした私 (撮影 北村良輔氏)

 
 もともとRock-O-Motions は、ビートルズ・ナンバーを中心としたバンド。
 もちろん、同時代のR&Bやリバプール・サウンドなどを広くにこなすフレキシビリティーに富んだバンドなのだが、得意としているのはやはりビートルズ。

 「さぁ、ビートルズ・ナンバーが2曲続きましたのでね、さすがに皆さんうんざりでしょうから、3曲目こそは本気でビートルズをやります」
 とMCの四方君が挨拶するくらい、ビートルズを自家薬籠中のものとしている。

 とはいっても、レコードの完璧コピーというわけではない。
 ビートルズの曲を、場の雰囲気や自分たちの気分に応じてうまくアレンジし、パーティーを盛り上げる素材としてうまく使っている感じ。
 そのへんは、ライブで鍛えあげられたメンバーの勘どころが冴えて、むしろビートルズのキャバーンクラブ時代とかハンブルク時代の匂いが漂う。

▼ “厳選された50人” の聴衆。四方氏の仕事を通じての知り合いも多く、年齢構成的にはシニアが目立つ
 

 とにかく、このライブ。
 演奏もさることながら、四方氏のトークが絶妙。
 のっけの挨拶が、
 「だいたいうちのバンドは、前半はエンジンがかかるまで時間がかかり、セカンドステージは中だるみ、最終ステージはぼろぼろ」
 なんていうくらいだから、聴衆も気楽にメシを食ったり、酒を飲んだりできるというリラックスした気分になれる。

 とにかく歌と歌の合間のトークが楽しいのだ。

 「ライブでいちばん困るのは、リクエストが入ってくることなんですね。レパートリーとして扱っていない曲が来ると、もう対応できないから、その “間のとり方” が難しくて冷や汗モノなんですけど、今日はあえてリクエストを受け付けます!
 今日は意を決して、メンバーたちにも覚悟を決めさせました。
 もう、どんな曲でもOK。
 これから皆様に 『リクエストカード』 をお配りしますから、そこにすでに書かれている曲の中から、お好きなものに丸をつけてお返しください」

 おとぼけというか、人を食っているというか。
 なにしろ、「SMAPや嵐に比べ、最近は観客動員数が激減して、マネージャーも頭を抱えている」 という、この大胆不敵な ( ? ) なメンバーの醸し出す愉快なムードは、由緒あるカントリーミュージックの聖域を 「寄席小屋」 のような猥雑さで満たす。
 
▼ 最終ステージは、老若男女が入り乱れるダンスホールと化した

 
 飲んで、食べて、音を楽しみ、笑い転げるという贅沢なウイークエンドの一夜。
 四方さん、Rock-O-Motions の皆さん、お招きいただいてありがとう。
 

 関連記事 「伝説のキックス」
  
 

カテゴリー: ヨタ話, 音楽   パーマリンク

四方寿太郎ライブを楽しむ への18件のコメント

  1. Dreamin' より:

    学生時代は親交があまりなかったのに、
    卒業してから仲良くなる友人って、なぜかいますよね?
    しかも、今回はうん十年ぶりの劇的な再会の上、
    いっしょにステージまで立って、いやぁ、これはちょっとしたドラマみたいだなぁ。

    ちなみにライブの動画はありませんか?
    町田さんの 「All My Loving」 を聞いてみたいですし、
    Rock-O-Motionsさんのサウンドや軽快なトークも興味津々です。

    写真だけ見ても、ハートフルでエネルギッシュな空気が伝わってきます。
    次回のライブレポートも楽しみにしていますね!

    • 町田 より:

      >Dreamin’ さん、ようこそ
      今度、Rock-O-Motions のライブ、ご一緒しませんか ?
      バンマス四方氏のトーク、最高に面白いです。
      ちょっとブラックがかった … というか、ブラックまでいかずに、ほのかなグレーゾーンにとどめたジョーク、これ最高です。
      「芸」 ですね。
      きっと、コピーライティングを進められる上で、何かの参考になるかもしれません。

      YOU TUBEにアップされたとしたら、かなり話題になると思うのですが、今のところ映像はないようですね。
      期待したいところです。

      実は、当日のライブの様子、一部だけ音で収録しております。
      Rock-O-Motions の迫力ある演奏と、四方氏の絶妙なトークのいくつかはご紹介できると思います。
      もしよろしければ、今度お会いした時に、聞いてみてください。
       

  2. Jerry Shikata より:

    町田さん
    ライブご参加最高でした。1曲では物足りなかったでしょうから、次回は2-3曲お願いします。
    元来、褒められ強く、打たれ強い性格ですので、いつでも木に登ります。もっとお褒めのコメント続けて下さい。健康にも害は無さそうです(笑)。
    町田さんのドラマチックな文章の構成力には圧倒されます。いつも参考にさせて頂いております。
    5月に入ったら声掛けさせて下さい。ありがとうございました。
    Jerry Shikata & Rock-O-Motions
    バンマス 四方寿太郎

    • 町田 より:

      >Jerry Shikata さん、ようこそ
      ご丁寧なコメントいだだき、ありがとうございます。
      四方さんのバックコーラスのサポートを受けてリードが取れたなんて、いまだ夢の中をさまよっている感じです。
      わざわざハモリまで入れてくれたというのに、余裕がなくて、合わせる間もありませんでした。

      それにしても、Rock-O-Motions の演奏の迫力は脱帽モノでした。あんなに分厚い “音の波” が背中から押し寄せてくるなんて、ステージと向い合っているときには想像もしませんでした。やっぱりカラオケとは違いますね。いい思い出になりました。

      >> 「次回には2~3曲 … 」

      とんでもない !  1曲歌うのが精一杯です。

      でも、まぁ、こちらも “木に登る” 性格ですから …
      では、
      Ben.E.King の 「Stand By Me」 とか、
      Steppenwolf の 「Born To Be Wild」 とかで … (*´Д`)
       

      • Jerry Shikata より:

        町田さん

        次回はワンステージ分(45分)を、そっくりお渡します。
        助かります。7-8曲ご準備頂き、つなぎのMCで時間を稼げば何とか行けそうです。

        アバウトなJerry Shikata& Rock-O-Motionsより

  3. 町田 より:

    >Jerry Shikata さん、ようこそ
    お戯れを !!

    ワンステージ45分ですか !?
    それでは、こちらはせっかくの Rock-O-Motions のステージを眺めて楽しむ時間がなくなってしまうではないですか。

    どうかご慈悲を。
    have mercy on me
     

  4. Eddie Hayakawa Rock-O-Motionsのキーボードです より:

     遅ればせながら先日は有り難う御座います。また沢山の写真も感謝です。
    ステージを見ながら写真って大変ですも!
     また次回のステージに遊びに来て下さる事を願っております。

    Eddie

    • 町田 より:

      >Eddie Hayakawa さん、ようこそ
      当日は、楽しい演奏をお聞かせいただいた上に、さらにこのようなご丁寧なコメントまでいただき、ほんとうにありがとうございます。

      やはり、バンドにキーボードが入ると、音の厚みがぐんと広がりますよね。
      プロコル・ハルムの 『蒼い影』 なんて、まさにキーボードが主役のような曲ですものね。

      ステージの位置関係で、Eddie さんの画像があまり撮れていなくて、もうしわけございませんでした。
      次のライブも楽しみにしております。
      またお会いできる日を願って。
      それではお元気で。
       

  5.  友人のオジサンバンドのLiveは私がYouTubeにアップした物はあるのですが、Rock-O-Motionsの場合はいつも私自身がステージでキーボードを弾いていますのでまだ無いんですよ。

     お暇な時にでも見て下さい
    http://www.youtube.com/results?search_query=oldManBrothersBand

    Eddie

    • 町田 より:

      >Eddie Hayakawa さん、ようこそ
      YOU TUBEの画像紹介、ありがとうございます。
      ここに登場する 「Uncle Boozy」 は、2011年 7月に銀座の 「TACT」 でも出演されていた方々ですよね。「You Keep Me Hanging On」 や 「Come Together」 など印象に残っています。
      また、このYOU TUBEでも楽しめたので感激です。

      それにしても、「old Man Brothers Band」 というのは、Eddie さんのハンドルネームなんですか。絶妙のネーミング !
      笑ってしまいました。
       

  6. YouTube見て下さったんですね!感謝です!!!
    old Man Brothers Band と言うのは僕のハンドルネームと言うより、このページの名前にしよう!と思いました。
     old Man Brothers Bandと言う言葉を考えたのはUncleBoozyのリーダー、ギターを弾いて真ん中で弾いてる彼です。
     old Man Brothers Bandですから、どなたでのライブの動画でも載せます、old Man の Bandが条件かな!(笑)
     動画を増やしたいんですが、なかなか出来ないです。僕が客席にいる時は気軽にiPhoneで撮って即アップ!みたいに出来ますが、、、、
     old Man Brothers Bandの中のフォークを演奏しているグループも成蹊の方々ですよ。四方さんの同級生です。PPMなんかを演奏している方々です。

    • 町田 より:

      >Eddie Hayakawa さん、ようこそ
      音楽を趣味とされている方の 「横のつながり」 というのは、やっぱりいいもんですね。
      「old Man Brothers Band」 などというギャグがすぐ通じ合うなんて、素敵です。
      私は 「Allman Brothers Band」 もわりと好きで、けっこうアルバムも持っているんですが、さすがに “old Man” までは思いつきませんでした。

      Eddie さんが紹介してくれたYOU TUBEは、その後もけっこう楽しんでいます。
      今度は、Eddie さんがキーボードを担当されている 「Rock-O-Motions」 の画像もみたいですねぇ。
      そのうち、ぜひお願いします。
       

  7. 先日の赤坂のステージをビデオで撮ってありました。
    撮っていたのがあの日That’ll be the dayを歌った山崎 由香です。Uncle Boozyのヴォーカルです。
    彼女からのメールで今週末にDVDに焼くので必要な枚数を聞かれました。町田さんの分も頼んでおきました。次回のステージまで随分と間が有ります。
    彼女から郵送してくれるとの事ですので、私に住所をお教え願えないですか?
    メアドはここにあるところでも良いですし
    oldmanbrothersband@gmail.comでもOKです!
    宜しくお願い致します。

    • 町田 より:

      >Eddie Hayakawa さん、ようこそ
      ええっ !?
      ほんとですかぁ !!
      それはぜひ観たいですねぇ。

      DVDをお送りいただけるなら、それにまさる喜びはありません。
      お手数ですが、ぜひお願い申し上げます。

      本当に、お気遣いありがとうございます。
       

  8. それではメールで住所をお教え下さい。
    四方さん経由でも大丈夫です。
    お待ちしております。

    早川

    • 町田 より:

      >Eddie さん、ようこそ。
      どうもありがとうございます。
      せっかくのご厚意をいただきながら、お返事遅れまして申し訳ございませんでした。
      住所はEddie さんのメールアドレスの方にお送りしておきましたので、よろしくお願い申し上げます。
       

      • すいません。もう一度送って頂けますか。
        見当たらないので、こちらの不手際だと思います。
        お手数ですが宜しくお願いを致します。

        Eddie

        • 町田 より:

          Eddie さん、ようこそ
          コメントいただきながら、返信遅くなり申し訳ございませんでした。
          4月8日にいただいたメールは確認しています。
          ほんとうに、どのように感謝のお言葉を差し上げればいいのか。
          山崎由香様にも、よろしくお伝えください。
           

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