最近のアメリカR&B事情

 
 好きな音楽のことを聞いたり語ったりすることは楽しい。
 自分の場合は、どうも60年代~70年代初期あたりのR&B、ブルース、ソウル系の音に弱い。

 ガキの頃からラジオで洋楽ばかり追っていた人間だったけれど、それまでは 「耳で聞く」 音楽しか経験したことがなかった。
 R&B、ソウルというのは、高校になってディスコなどに顔を出し始め、はじめて 「身体で聞く」 音楽として親しんだせいかもしれない。

 だから、今でもサム&デイブ、フォー・トップス、テンプテーションズなどの音が身体の中を “血液” として滞留している感じがする。
 当然、その手の匂いを強く持ったミュージシャンが出てくると、相変わらず血が騒ぐ。

 ここのところ、アメリカ在住の日本人歌手サミーさんから立て続けに最近のアメリカのR&B、ブルース、ソウル系の音をメールで紹介していただいた。
 そして、現代のR&Bやブルースを歌う歌手のなかには、ライアン・ショウのように若いながらも60年代~70年代風のテイストを追求している人間が多いかということを教わった。
 
 もちろんサミーさんは、こちらの趣味を感知して、それに合せた曲やアーチストをセレクトしてくれたのかもしれない。
 それでも、教えていただいた情報からは、60年~70代音楽的なスタイルを生かした実力派アーチストがいっぱいいることは伝わってきた。
 たぶんヒップホップ調の歌ばかり聞いて育ったライアン・ショウのような世代にとっては、その頃の歌が、逆に新しく聞こえたのかもしれない。

▼ ライアン・ショウ

 そういう “新しい (?) 歌” を、自分一人で聞いているのがもったいなくなって、少し紹介してみようと思う。 
 好き嫌いはあると思うけれど、あの時代の音が好きな人には楽しめるのではないかという気がする。

 で、今のところ、自分の好みにぴったりの歌手が、ライアン・ショウ。
 1980年、アトランタ生まれ。
 「サム・クックやオーティス・レディングを思わせる歌声」 が昔のR&Bファンを泣かせているというが、もちろん本人はその時代にはまだ生まれていない。
 しかし、動画などを見ていると、家庭環境のせいなのか、とにかく、この人はほんとうにこういう手の音楽が好きなんだな、ということが伝わってくる。

 

 ここに紹介するライアン・ショウの 『Get Previous』 は、サム&デイブの 『ソウルマン』 とか 『ホールド・オン・アイム・カミング』 の感じ。
 まさに60年代中頃のアトランティック・レコードの音。ブッカーT&MG’sの匂いがぷんぷん。 

▼ 『Get Previous』

 
 下の 『What A Woman』 は、ホーンの入り方やスネアの跳ね方、ピアノのリズムの刻み方などが、やはり昔のアトランティック・レーベルあたり “メンフィスサウンド” そのもの。
 ライアン・ショウの声質はオーティス・レディングとはかなり違うけれど、このバックの演奏に支えられて、まさにそこにオーティスが立っているように錯覚する。

▼ 『What A Woman』

 次に紹介する 『Evermore』 (2012年) は、サザンソウル的なちょっと “垢抜けない (?) 甘さ” を、都会的なフィリーサウンドで調合したような “とろりとしたたる” メローさがあって、私のツボをズバッと突いた曲。
 特に、メジャーセブンス系の音を 2コードで反復するバックのギターワークにほろり。
 もうこの手のミディアムテンポのバラードに弱い私。
 涙が出てくる。

▼ 『Evermore』

 下の 『It’s Gets Better』 は、見事な60~70年代R&B。
 コンガや派手なホーンが盛り上げていくサビはモータウンの香りが漂い、テンプテーションズやフォー・トップスの雰囲気がにじみ出る。

▼ 『It’s Gets Better』

 
 次の 『Morning Noon And Night』 では、50年代後期の香りすらする。
 特に、ちょっとカリプソ風の明るさを持つこの曲などには、特にサム・クックの 『ワンダフル・ワールド』 (1958年) に通じる嗜好が感じられる。
 
▼ 『Morning Noon And Night』

  
 
 次に紹介するテレンス・トレント・ダービー (サナンダ・マイトレイヤー) はロック、ファンク、R&Bなどをクロスオーバーさせた音楽を確立した人 ( … だという) 。
 2001年に 「夢のお告げ」 で、名をサナンダ・マイトレイヤーに変えている。1962年生まれだというから、マイケル・ジャクソン (1958年生) よりやや若いが、年齢的には近い。


 
 そういうこともあって、たぶんマイケルを意識しながら、自分の音楽スタイルを確立していったのだろう。次の曲などは、新しい音なのに、どこかマイケルが小さかった頃のモータウンの香りをとどめている。


 
▼ Terence Trent D’Arby 『If You Let Me Stay』

 
 次のタブ・ベノワは白人ブルースシンガーのようだが、こういう古典的なR&Bのリズムに乗った歌がうまい人のような気がする。


 
 アメリカのネットで調べてみると、1967年生まれ。
 ミシシッピ川のバイユー (デルタ地帯) に生まれ育った人らしく、ケイジャンブルースミュージシャン新世代の旗手だとか。
 彼の歌うこの曲は、南部の土臭さとおおらかさをもったR&Bテイストのブルースで、まさに私たちの世代にとっては、 “懐かしい音” 。
 
▼ Tab Benoit 『Next To Me』

 
 
関連記事 「往年のR&Bファンにお薦めのライアン・ショウ」
 
 

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最近のアメリカR&B事情 への4件のコメント

  1. ようこ より:

    こんばんわ 町田さん

    R&Bやブルースが一番好きだけど
    踊りはじめはロックンロールで
    ちょっと年上のお姉さん達はジルバだったけど
    私はツイストからでした。

    https://www.youtube.com/watch?v=bFSYAVLMKJw
    アハハハ それがどうしたっていう話ですね。

    • 町田 より:

      >ようこさん、ようこそ
      私もまたツイストからでしたね。
      あ、「モンキー」とかいうダンスも知ってるぞ。

      その前の世代は、ジルバにマンボ。
      でも、70年代に入ってからも、新宿のディスコなどでは、ジルバとマンボを踊る人たちがいましたよね。2ステップで、ススッと前に出ていく横浜グループのマンボはカッコ良かったな。

      チャック・ベリー いいよね。
      自分がギターで、ブギのリズムを刻みながら歌える唯一のロックンロールが「ジョニー・B・グッド」です。
      でも、一番の歌詞しか覚えていないので、しつこく一番だけを繰り返しています。しかし、それを聞いている日本人は、たいていそのことに気づきません。
       

  2. 木挽町 より:

    Ryan Shawっていいですね。かなり引き込まれます。オト造りが渋くてカッコいい。Early Soulのオト造りで楽しませて頂きました。CD買おうかな。ありがとうございました。もちろんチャックベリーも大好きです(有名な曲だけしか知りませんが)。

    • 町田 より:

      >木挽町さん、ようこそ
      返信がたいへん遅くなって、失礼しました。
      現在、9月中発行の本の締め切り前作業に忙殺されていたということと、自宅のパソコンのメールサーバー(?)が不調で、一時メールの送受信がまったくできない状況になっていました。(このメールも会社のパソコンから送っています)……スイマセン、ようこさんの返信と同じ文章をコピペしてます。

      ライアン・ショーはサミーさんから教えていただいたシンガーで、ほんとうに60年代~70年初期のR&Bの雰囲気を濃厚に持っていて、びっくりした人です。
      ヒップホップを聞いて育ってきた若い人が、こういう歌を唄うというのも、面白いもんですねぇ。
      バックの演奏のアレンジも昔の音を研究している感じで、私のようなオールドR&Bファンとしては、なかなか楽しめます。
       

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