最も都会的なポップスとは何か

  
 正月休みに長男が家に帰ってきて、いろいろ話したけれど、最近の J ポップのなかで 「最も都会的な曲はなんだろう ? 」 という話題が面白かった。
 
 パソコンのモニターを開き、私が 「お気に入り」 としてリンクを張っておいた YOU TUBE の流行歌を見ながら、長男が 「これは都会的。これは都会的な感じがしない」 と直感的に仕分けをしていく。
 その仕分け方で、イマドキの青年が感じる “都会性” というものがどんなものなのか、おぼろげながら思い浮かべることができた。
 
 以下、それぞれの曲の 「都会性」 に対して長男が下した寸評を思い出しながら書いてみる。
 
 
 AI 『ハピネス』
 

 《 長男の談話 》
 洋楽っぽい作りになっているから、「都会的」 ともいえるけれど、でもそれは大都会ではなく、地方都市の駅前にできたショッピングモールの “都会性” だね。新しさは十分感じられるし、適度に快適で、適度に刺激的。
 しかし、それは 「歴史」 とか 「ルーツ」 を欠いた都会性なんだろうね。洋楽っぽいけれど、アメリカのものとは繋がっていない。
 
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 J SOUL BROTHERS 『Make It Last Forever』 
 

 
 《 談話 》
 これはあんまり “都会的” じゃないね。お洒落な感じの曲だけど … 。
 どちらかというと、地方に住んでいる若者がガールフレンドを乗せて、田舎道をドライブするときに流すような曲。
 「ほら俺はダサい音楽は流さないだろ ? 」 みたいなことを言うための証拠として用意する曲かな。
 
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 GReeeeN 『Kiseki』 (ドラマ 「ルーキーズ」のテーマ) 
 

  
 《 談話 》
 都会的な匂いもあるけれど、ただし東京なら23区以外。そういうところに住んでいる小学生から高校生ぐらいまでの曲という感じだよね。大人の歌じゃない。
 子どもって、ビールが嫌いでしょ ?
 もちろん法律的に未成年がビールを飲んじゃいけないんだけど、彼らが飲まない本当の理由は 「苦い」 から。
 子供にとってはおいしい味じゃない。
 だから子どもは、甘いコーラみたいなものが好き。コーラにはビールの苦さはないけれど、炭酸の刺激はある。
 この曲は、その 「炭酸の刺激」 の歌だね。いい曲だけどね。
 
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 少女時代 『Gee』
 

 
 《 談話 》
 Kポップだけど、今まで聞いた中では、これがいちばん都会的。
 何なんだろうなぁ … 。
 たぶんリズムなんだね。
 人間が生理的に心地よくなれるリズムというのを、ものすごく計算づくで割り出している感じがする。
  
 J ポップは日本のマーケットだけで商売が成立するけれど、Kポップは日本だとか、海外に進出しなければ産業として生き残れないわけじゃない ?
 だから、そのあたり、国際基準で作っているという雰囲気があるよね。データ取りなんかも、システム的にやっているんじゃないのかな。
 
 たぶん日本だとマーケティングする場合、マクロミルのような調査会社を使って1,000人ぐらいのデータから割り出しているんじゃないかと思うんだ。
 だけど、Kポップあたりになると、… これはあくまでも想像だけど、おそらくね、人間の脳波とか心音あたりまで調査してリズムを作っているような気がする。
 
 そういう “理詰めの心地よさ” があって、それがある意味の都会性を感じる理由になっているんじゃないのかな。
 
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 きゃりーぱみゅぱみゅ 『つけまつける』
 

 
 《 談話 》
 これもすごく都会的。
 でも、Kポップの 「少女時代」 とはぜんぜん違う。
 ぱみゅぱみゅは、日本のパフュームと同じ系統のサウンドだけど、パフュームの方がむしろ 「少女時代」 に近いかもしれない。
 つまり、サウンドを作っている人たちがあくまでも主役であって、歌手はその人たちのロボットなのね。
  
 しかし、きゃりーぱみゅぱみゅは、どんなに人間の日常感覚とズレちゃうパフォーマンスを演じても、やっぱり人間としての実体があるんだよね。歌い手の 「人間」 の部分が見えるもの。「個性」 といっていいのかな。
  
 彼女自身は、確かに変わった女の子だけど、探せば身近なところにいそうな感じだし、話しかければけっこう自分の内面をさらけ出してくれそうな感じ。
 だけど、さっきの 「少女時代」 は、たぶん自分の生活圏では会うことがない人たちだろうな。
 「実際に韓国に住んでいる」 という意味ではなくてね。会ったとしても、そこで交わされる会話の向こう側にいる人間像がつかめない気がする。
 
 ぱみゅぱみゅの場合は、あの奇抜なファッションが、あたかも都会で生きる人間たちの共通のルールを示唆しているんだね、あれは … 。
 つまり、都会でコミュニケーションを取るためには、普段着の自分を相手にさらすんではなくて、「まず、こういう感じのお洒落のルールを理解してね」 とか言っている感じかな。
 
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 ナオト・インティライミ 『Brave』
 

 
 《 談話 》
 ラップ的な唱法を取り入れて、現代的感覚と都会的な匂いを打ち出しているけれど、ただ 「4~5年前の都会」 という感じ。
 ちょうど10年前に、こういう 「声を加工する」 という手法が大流行したんだよね。
 そのときは新しかったけれど、… もちろん今でも通用するんだけど、でも10年前くらいからあった手法という感じがしないでもないよね。
 
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 湘南乃風 『純恋歌』
 

 
 《 談話 》
 名前が 「湘南乃風」 で、しかも、神奈川出身のメンバーが中心だから、その先入観もあって、都会というより、湘南あたりの地方性を感じるんだよね。そこから 「東京」 を眺めているという感じかな。
 なぜかというと、歌自体が分裂している。
 
 このラップで歌われる部分からは、歌詞から家族や恋人を大事にするというベタベタな印象が強く臭ってくるけれど、メロディー部分になると、「そういうものは都会では通用しないんだ」 という、 “あきらめのさびしさ” が出ちゃうんだよね。
 メロディー部分の旋律が美しいだけに、都会で生きることの辛さみたいなものが逆に浮かんでくる感じ。
 
 人間ってさ、ほんとうはみな人と繋がっていたいと思う生き物でしょ ? でも都会に出ると、ほら、「相手の立場を尊重して自分の我を押し付けない」 というルールが確立されているじゃない ? 
 「それは分かってますよ、自分もそうしますよ」 と覚悟を決めるんだけど、そのことで人間関係の希薄さみたいなものも助長されるわけね。それが、メロディー部分の悲しい美しさを浮かび上がらせているんだと思う。
 だから、彼らは東京まで出ずに、湘南に “とどまっている” のじゃないのかな。
 
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 東方神起 『どうして君を好きになってしまったのだろう』
 

 
 《 談話 》
 これは都会的ではあるんだけど、その都会性になじめない人たちの歌だろうな。歌詞の意味がそうだというわけじゃなく、サウンドや歌声から伝わってくる印象がね。
 
 「都会的って何か ? 」 といった場合、それは、ドライに割り切ることだと思うんだよね。人間関係でも何でも。
 
 田舎の人間関係って、ベタベタしているじゃない ?
 しかし、都会ではそのベタベタが嫌われる。
 だから 「都会になじむ」 ということは、相手に対してしつこく突っ込まないことを意味するし、シガラミにとらわれないことを意味する。
 別の言い方をすると、打算と計略で生き抜くワザを身につけることだと思うんだよね。
 
 そうなれば、当然 「お金」 も身に付く。高級マンションに住んで高級車を手に入れることも難しいものではなくなる。
 「都会の歌」 というのは、そういうすべてを手に入れた人たちの哀しみを表現できる歌のことをいうんじゃないのかな。
 
 つまり、手に入れたいものはすべて手に入れたけれど、それでも、どこからかにじみ出てくる孤独感やら、飢餓感とか虚無感。
 そんなものを美しく取り出せた歌が 「都会的な歌」 … って感じがするわけ。それはこの曲のメロディーとかサウンドから感じた印象だけどね。
 
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 まだ、いくつかの例が残っているけれど、印象として残っているのとはこんなところ。
 私はそれほど最近の流行歌に詳しくはないので、長男の言っていることがマトを射ているのかどうか分からない。
 でも、彼の言っていることを聴きながら、その音楽を聞いていると、「そんな感じもするなぁ … 」 という気もした。
 こういう遊びは、いろいろな人とやってみると面白いかもしれない。
 
 

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最も都会的なポップスとは何か への2件のコメント

  1. michitenji より:

    きゃりーぱみゅぱみゅと、少女時代の比較(両方都会的なんだけど、全然違う)という所のコメントに大いに共感しました。

    この「つけまつける」の歌詞をよく読んでみると、町田さんの指摘されているポイントに通じる何かを感じます。実は私、去年、きゃりぱみゅさんに興味持って、ブログに記事書いたり、Yahoo知恵袋に質問したりしてました。(ウェブサイトの所、そこへのリンクにさせてもらいました)

    アラフォーの、2人の息子(小学生&幼稚園児)の子持ちの私、あんまり大っぴらにきゃりぱみゅさんのファンである事を公言しにくいのですが、AKBや少女時代、Perfumeのような没個性というか、歌に合わせている感じがするグループより、自分の個性を積極的に表に出そうとしているアイドル・歌手の人達に魅力を感じます。

    AKBの中だと、ともちん(板野友美さん)みたいなタイプ(笑)

    • 町田 より:

      >michitenji さん、ようこそ
      きゃりーぱみゅぱみゅさん、私もけっこう好きです。
      彼女の場合、自分の 「個性」 というものをかなり戦略的に練り上げているという感じがしますね。けっしてプロデューサーやディレクターの言いなりになっていないという気迫が伝わってきますもの。

      何かで読んだんですが、昨年の 「紅白歌合戦」 の日。
      約束の集合時間にきゃりーぱみゅぱみゅが現れなくて、大騒ぎになったんですって。
      そうしたら、出演者たちが集まるいちばん隅っこの方に、メガネをかけた地味な女子大生のような女性がいて、それがきゃりーだと分かって、みんな安堵したとか。
      そんな話がとてもほほえましく感じられます。

      AKBのことはあんまり詳しく知らないんですよ。
      でも、“卒業” した後、誰がタレントとして生き残っていくのか、ときどき息子と話したりしています。
      板野友美さんは、CMなんかでもしっかりキャラクターを作り上げているし、あとは篠田麻里子様かな。ゆるそ~で、眠そ~で。それでいて芯が強そうな感じもあるし。ちょっと独特の個性がありますね。将来ソロになってもうまく生き残っていきそうに思えます。
       

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