RVパークとキャンプ場の関係

 
 日本オートキャンプ協会に 「RVパーク」 の印象を聞く
 
 キャンピングカーユーザーの便宜を図るために、日本RV協会 (JRVA) では全国の道の駅などにおいて、キャンピングカー専用の宿泊エリア 「RVパーク」 を普及させようとしている。
 これは、道の駅などに、キャンピングカー車内における照明、テレビ観賞、冷蔵庫の駆動などに必要なAC電源を供給できるシステムを整えたり、身近に入浴施設を備えたりしたもので、これが普及していけばキャンピングカー旅行の便宜が一段と図られるようになる。

▼ 写真左は、JRVAの 「RVパーク」 認定 1号目となった山口県・萩市の「RVパークたまがわ 。右は 2号目のRVパークおおた

 
 現在キャンピングカーユーザーの8割が道の駅の駐車場での宿泊を経験しているが、ごく一部のマナーの悪い利用者のため、「駐車場におけるキャンプはお断り」 という方針を打ち出した道の駅なども出るようになり、マスコミでも一時それが社会問題化する気配を示したこともあった。
 
 元来、道の駅の駐車場は、「宿泊スペース」 として法的に明文化されていないため、道の駅での車中泊は 「休憩の延長としての “仮眠” にとどまる」 という見解も流布していた。
 そのため、キャンピングカーユーザーの中には、肩身の狭い思いをしながら泊まっていた人も多かった。
 
 しかし、「RVパーク」 ともなれば、有料とはなるが、管理者が公認した宿泊施設となるので、そこでの寝泊まりにも遠慮は要らなくなる。
 概して、電源使用料も含めて料金体系も安く、しかも長期旅行となればどうしても発生するゴミ処理なども引き受けてくれるため、利用者にとっては便利なシステムが登場したといえる。
 
▼ 写真左は 「RVパークたまがわ」 の電源供給システム (コイン式) 。右は 「RVパークおおた」 の電源ボックス

 
 ただ、そうなると、キャンプ場との関係が微妙になる。
 キャンプ場の経営者の中には、キャンピングカーユーザーを積極的に誘致するために、キャンピングカーが使いやすいようなサイトを整備したり、営業時間を見直すなどの努力を重ねているところもあるからだ。
 
 キャンプ場にしてみれば、テントキャンプのお客だけを相手にしていると、どうしてもシーズンオフはサイトの稼働率が低くなるので、キャンピングカーのお客も誘致したい。
 もともと、断熱加工が施されたキャンピングカーの場合は暑さ・寒さにも強いので、悪天候においてもキャンセル率は低いというデータもある。
 だから、テントキャンプのシーズンが終わっても、安定した利用率が見込まれるキャンピングカーユーザーは、キャンプ場にとってはありがたいお客なのである。
 
 そのキャンピングカーユーザーを惹きつける魅力のひとつが、AC電源の供給であったが、「RVパーク」 のように、常時電源供給できるスペースが道の駅などに増えていくと、キャンプ場には “ライバル ( ? )” が生まれたことにもなりかねない。
 そのへんをキャンプ場サイドはどう考えているのか。
 
 各キャンプ場オーナーにその感想を聞くことができなかったので、代わりに、全国のキャンプ場の声を集約している日本オートキャンプ協会 (JAC) の堺廣明課長に率直な意見を聞いてみた。
  
 RVパークに対する期待
 
 「RVパークが、今までのキャンプ場にできないことを補完してくれる施設であるならば、それは大歓迎です」
 と堺氏は、むしろRVパークが増えることに期待を寄せている。
 
 「もちろん、キャンプ場の多くは、やはりキャンピングカーユーザーにも利用してほしいという気持ちはあるでしょう。
 しかし、いま地方経済はどこも不況の影を引きずっていて、地方自治体が観光行政に力を入れても、なかなか地域全体の活性化を果たせないでいます。
 そういうときに、『RVパーク』 のようなものが普及し、それによって地域の観光事業が振興するならば、それはキャンプ場だけでなく、そのエリアの住人にとってはうれしい話ではないでしょうか」
 
 したがって、RVパークを拠点に、そのエリア周辺を広く観光する人の数が増えることによって、「その波及効果としてキャンプ場も活性化させたい」 というのが関係者の方々の願いだろうとも。
 
 そして堺氏は、「RVパーク」 に対して、具体的には次のような期待を抱いている。
 
 「最近の観光事業では、昔のように、一箇所だけ魅力あるスポットを建設するのではなく、観光客を誘致できるスポットが横に広がって、 “線” としてつながることに重きを置いています。
 そうなると、『RVパーク』 を、その先にあるキャンプ場につなげる “中継基地” と見なすこともできるわけですね。
 日本のキャンプ場は、幹線道路からかなり遠く離れた山奥などにあることが多い。だからこそ “豊かな自然” を満喫できるわけですが、旅の途中に寄る場所として考えると、そこまで行くのに時間がかかる、と敬遠されてしまうこともあるでしょう。
 しかし、そこに至るまでの “中継基地” として 『RVパーク』 があるならば、そのついでに、少し先にあるキャンプ場にも出向いてみようか、と考える人たちも出てくるでしょう。
 そうなれば、『RVパーク』 がキャンピングカーとキャンプ場を結ぶ接点ともなりうる。それを期待したいですね」
 
▼ 空気の良い大自然に囲まれて過ごせるのがキャンプ場の魅力 (山梨県・ウエストリバーオートキャンプ場)

 
 キャンプ場の利用料は、はたして高いのか ?

 『キャンピングカー白書』 (2012) によると、現在キャンピングカーユーザーが泊まる場所としてもっとも活用されているのが 「道の駅」 で、その利用率は 85.2%。次が高速道路のSA・PAで 73.6%。3番目となるのがキャンプ場で 48.1% (いずれも複数回答) 。
 
 キャンプ場を利用しない人たちの意見を集約すると、「料金が高い」 という理由が必ずいちばん最初にあがってくる。
 確かに、子どもたちが夏休みを迎えるハイシーズンとなれば、キャンプ場の料金は跳ね上がる。場所によっては7千円台から8千円台まで上がるところもある。
 そうでなくても、平均すると 1泊 1サイトで5千円台。時間をかけて日本を一周しているようなシニアのキャンピングカーユーザーにとって、常時キャンプ場に泊まるというのは大変な負担になることは確か。
 
 「しかし、最近は、シーズンオフには割引料金制を導入したり、シニア料金を設定するなど、安く泊まれるような料金体系を組むキャンプ場も増えています」
 と、堺氏はいう。
 
 ハイシーズンのピーク時では8,500円。通常シーズンでも5,000円取るようなキャンプ場でも、オフシーズンでは1,500円でサイトを開放しているようなところも出てきたとか。
 さらに、利用者がシニアともなれば、10%程度の割引もよく行われているという。
 
 「キャンプ場の料金が高いというのは、たぶんに先入観が左右していることもあるのじゃないでしょうか。ネットなどで検索してみると、意外とオフシーズンでは料金設定を安くしているキャンプ場を探すことができると思いますよ」
 と堺氏。
 
 キャンプ場泊のメリットはセキュリティーの確保
 
 それでも、「道の駅やSA・PAならただで泊まれるのに、わざわざ料金を払ってまでキャンプ場に行く必要はない」 と考えるユーザーは多いだろう。
 そのときに、料金を払ってまでキャンプ場に泊まることのメリットがあるとしたら、それは何か ?
 堺氏は、その一つが 「セキュリティー」 だという。
 
 「日本の治安の良い国であるというのが定評ですが、しかしこのご時世では何が起こるかわからない。それを警戒して、人のいない 『道の駅』 などで泊まるのは怖いという方もけっこういらっしゃいます。
 その点、キャンプ場は利用客しか入れないクローズド空間ですから、泊まることにはまったく心配がありません。
 多くの場合、管理人が常駐していますし、夜間はゲートもクローズされる。
 キャンプ場の利用料金には、このセキュリティー代が含まれていると思えば、決して高くはない、と思うのですが … 」
 
 だから、女性だけのグループや、小さな子どもがいるファミリーでも安心して泊まれるのがキャンプ場のメリットだという。
 
 「若い女性を中心にしたガールズキャンプも増えていますが、それはやはりキャンプ場泊の安心感が貢献していると思いますね。
 また、日本のキャンプはファミリー中心に発展してきましたので、多くのキャンプ場では小さな子どもが楽しめる遊具が完備しています。
 それに、天体観測、クラフト教室、野鳥観察ハイキング、魚のつかみ取りといったような、親子で楽しめるイベントが数多く企画されているのもキャンプ場ならではの特徴でしょうね」
 
▼ “ガールズキャンプ” を楽しむ若い女性たち (栃木県・塩原グリーンビレッジ)

 
 キャンプ場はペットにも優しい
 
 また、最近はペット連れで旅行している人も増えた。
 そのペットにも “優しい” のがキャンプ場だという。
 キャンプ場の多くは、サイトが芝生か土なので、コンクリートの地面と違って夏場でも犬に負担をかけない。
 さらに、公共の駐車場と違って、基本的に入ってくるクルマはキャンプ場利用者だけ。だから、ペットを他のクルマの通行から守ることができる。
 
 だが、必ずしも、すべてのキャンプ場がペットを受け入れているわけではない。
 それに対して、堺氏はこういう。
 
 「キャンプ場というと、 “ペット禁止” だと思われる方がいらっしゃると思うんですが、確かに、少し前までは半分くらいのキャンプ場は禁止の方向を打ち出していました。
 しかし、今は70%ぐらいのキャンプ場がペットを受け入れるようになっています。
 しかも、ドッグランを設けているようなキャンプ場も増えていますし、場所によっては、エリアを区切って 『ペット専用サイト』 を設けているようなところもあります。
 そういう専用サイトでは、周りを全部塀で囲い、ノーリードで飼い主とペットがともに遊べるようになっています」
 
▼ ペットをノーリードで遊ばせることのできるドッグフリーサイト (群馬県・北軽井沢キャンプ場スウィートグラス)

 
 概して、これまでは民営キャンプ場は 「ペットOK」 、公営キャンプ場は 「ペット禁止」 という色合いが濃かったが、最近は公営キャンプ場においてもペットを受け入れる傾向が強まっているとか。
 堺氏にいわせると、「ペット可」 を打ち出すキャンプ場は今後さらに増えそうだという。
 
 キャンピングカーユーザーのペット保有率は、統計によるとかなり高い。『キャンピングカー白書』 によると、ユーザーの40.1%がペットと一緒の旅行を楽しんでいるという。これは、日本の一般的な犬猫飼育率の28.0%を大きく超える。
 そんな “ペット好き” の多いキャンピングカーユーザーに対しても、キャンプ場は安心して泊まれる宿泊施設になりつつある。
 
▼ キャンピングカーオーナーには愛犬家が多い

 
 宿泊先に 「遊び」 を求めるならば、キャンプ場は楽しい
 
 このように、最近のキャンプ場がかなり “キャンピングカー・ウエルカム” の方針を打ち出してきていることが分かる。
 ただ、堺氏がいうには、「キャンピングカーを受け入れたくても、キャンピングカーの基本特性を知らないキャンプ場オーナーもまだいる」 とか。
 
 「ある程度の大きさを持つキャンピングカーを受け入れるためには、アプローチロードが広いのか、狭いのか ? あるいは植栽の木の枝が通行の邪魔になっているかいないか ? … などを確認する作業がキャンプ場オーナーにも必要になってくると思います。
 最近は、そういうことを意識して、積極的に対応しているオーナーさんが増えていますが、やはり都心から離れたキャンプ場などでは、大型キャンピングカーの基本特性を知らない人たちがいることも事実です。
 今後は、そういう方にもキャンピングカーの特性を知ってもらい、よりキャンピングカーを受け入れる機運を高めていきたいと思っています」
 と、堺氏は結んだ。
 
 確かに、キャンプ場泊には多少のお金はかかる。
 しかし、それなりの良さがある。
 まず、たいていロケーションがいい。
 
▼ 湖水に面したロケーション抜群のサイト (山梨県・山中湖フォレストコテージ)

 
 野山や湖のほとり、海辺に面していることが多く、コンクリートの駐車場で寝泊まりしているのとは段違いの開放感が得られる。
 場所によっては、温泉・食堂などを完備しているところもあり、手ぶらで気楽なキャンプが楽しめる。
 
▼ お風呂のあるキャンプ場。左は有野実苑オートキャンプ場 (千葉県)。右は大子広域公園オートキャンプ場グリンヴィラ (茨城県)

 
▼ 食堂のあるキャンプ場。左は塩原グリーンビレッジ (栃木県)。右は斑尾高原どんぐり村 (長野県)

 
 さらに、キャンプ場には “人の触れ合い” がある。
 オーナーとの会話などを通じて、その地方の隠れた観光地や手に入りにくい物産の情報を教えてもらうこともできる。
 向こうが 「特別のお客だ」 と認めてくれたときは、家族のような付き合いをしてくれる場合もある。
 音楽が好きなオーナーがいるキャンプ場では、管理棟内の一角がスタジオのようになっていて、お客が自由に楽器を使って遊べるようになっている。(写真下 栃木県のファミリーパーク那須高原)
 

 
 キャンプ場は、一つひとつそれぞれの個性が違う。
 似ているようでも、自然の地形にまったく同じものがないのように、同じたたずまいのキャンプ場というのはないし、オーナーのキャラクターもすべて異なる。
 だから、相性が合う・合わないというものが生まれる代わりに、気に入ったキャンプ場ができれば、とことん通いたくなる。
 宿泊先に、「遊び」 を求めようとするなら、キャンプ場のだいご味もあなどれない。
 
    
 関連記事 「RVパーク全国に続々誕生」
  
 参考記事 「キャンピングカーはどんなところに泊まれるのか ? 」
 
 参考記事 「キャンピングカー白書2012」
 
 参考記事 「2012オートキャンプ白書」
 
 参考記事 「 『観光立国』 にキャンピングカーの果たす役割」
 
 

カテゴリー: campingcar, コラム&エッセイ, 旅&キャンプ   パーマリンク

RVパークとキャンプ場の関係 への2件のコメント

  1. ヒゲ艦長 より:

    日本は先進国ではありますが、こと「遊び」に関しては、後進国です。ですから、遊ぶ方も、受け入れる方も、心構えが少ないと、準備不足からくるトラブルも多発します。最大の心構えは、「只でビバークしようと考えないこと」これはもう鉄則となりつつあります。

    山中湖のパノラマ台では、狭い駐車場で何日も道具を広げて来訪者を締め出しながらオートビバークしている高齢者の車を複数台見かけました。「タダで使えるところは、タダではない」と自主的に心を律することを求められているのだと思います。それができない人が多い日本人は、未だ子供民族だと言われても仕方ないと思います。

    日本は国土も狭く、アメリカ並みの原野的ビバーク利用は望めないと思います。どこへ行っても私有地であり、管理の緩い国有地は、沖縄の離島等に少しあるのみです。本土のものも、国定公園や世界遺産に指定され、自由にビバークできない場所も増えました。釣り人の防波堤でのビバークも禁止され始めています。治安・風紀の維持、ホームレスの定着阻止の理由からもビバーク禁止が叫ばれ始めていますね。しかも、スマートフォンの普及で、キャンプ場の検索が旅先でも可能なことから、路駐泊は許さない風潮が定着しつつあります。

    「自由」の意味をそろそろ、「大人の感覚」で捉えないと、遊びの場は「統制」を受けてしまうでしょうな・・・。

    • 町田 より:

      >ヒゲ艦長さん、ようこそ
      今回寄せられたご意見、ほんとうにおっしゃる通りだと思います。

      そもそも日本RV協会さんが現在進めていらっしゃる「RVパーク」の構想そのものも、観光地の駐車場などを占有し、無許可でキャンピングカーを長期的に止めて宿泊を繰り返す人々に対するマナー啓蒙という意味合いで企画されてきました。

      RV協会さんは、RVパークの建設を増やしていきながら、マナー啓蒙のための「パンフレット」を作成してユーザーに配ったりしながら、キャンピングカーオーナーのマナー違反をいさめる活動を今日までされてきたと思います。

      そのため、一時は公共駐車場を占有して違法のビバークを重ねる人々がだいぶ減ったこともありました。
      ただ、キャンピングカー人口のすそ野も広がって新規ユーザーなども増えてきましたから、再びマナーに無頓着な人々も出てきたのかもしれませんね。

      また、キャンピングカーユーザー以外も普通乗用車を使って、キャンプをしてはいけないところで道具を持ち出し、キャンプしているという話も聞きます。

      そういうケースが増えてきて、見るに見かねるようになれば、いずれ自治体の指導により「キャンプ禁止令」のようなものが出るでしょうけれど、できればそうならない前に、ユーザー自身が「大人の感覚」に身に付けて、恥ずかしい宿泊を自主規制していかなければならないでしょうね。

      今回貴重なご意見ありがとうございました。
       

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">