エートゥゼット 「アルファ」

 
AtoZ ALPHA (α)
 
 キャブコンビルダーの老舗 「エートゥゼット (AtoZ) 」 が開発したライトキャブコン 「アルファ」 シリーズは、これまでのキャブコンの流れを一新するニュータイプのキャンピングカーといえる。


 
 ベース車は、ミニバンキャンパーとして使われることの多い日産NV200。
 それをボディカットして、スポーティーなロープロファイルボディのキャブコンに仕立てたのが、この 「アルファ」 シリーズである。
 
 ボディカットそのものは珍しくない。
 しかし、その多くはワンボックスカーのハイエースを使ったものが中心で、この 「アルファ」 のように、ボンネットをしっかり前に突き出したミニバンタイプのシャシーを採用したという例は、現在ではない。
 
 ボンネットのあるキャンピングカーは、全長に比して居住部分の割合が狭められるため、スペース効率においては、キャブオーバー型のキャンピングカーより分が悪い。
 しかし、運転席下にエンジンがマウントされているキャブオーバー型の車両と違い、エンジンが前に出ているため、エンジンの熱が車内にこもらない。それが夏場のエアコンの効きにも影響してくる。
 さらにいえば、前突の場合も、エンジンが前にあれば、その分被害が直接ドライバーに及ぶのを食い止めてくれる。
 
 そういった意味で、ボンネット型キャンピングカーは一部の根強いファンを持っているのだが、残念ながら、現在は理想的なベース車がない。
 
 かつては、救急車用にホイールベースを伸ばしたトヨタ・グランドハイエースや日産エルグランドのシャシーを利用したセミボンネット型ボディカットキャブコンが存在したが、それらはいずれも重架装・重装備の “高級キャブコン” という位置づけになり、今回の 「アルファ」 のコンセプトとは一線を画する。
 

 
 では、アルファの特徴とは何か ?
 それは、バンコン並みのリーズナブルな価格と、取り回しの良いサイズに収まった “ミニバンライクなキャブコン” というところではなかろうか。
 
 ミニバン … 。
 そう。まさにこのキャブコンは、サイズ、取り回しなどにおいてはミニバンのような使いやすさと手軽さを身にまとい、乗用車とまったく変わらない軽快な走りを約束する。
 それでいて、キャブコンならではの居住性、断熱性もしっかり確保し、ベッド機能や荷物の収納性においては、乗用車にないキャンピングカーとしての能力を発揮する。

 一言でいうと 「魔法のクルマ」 。
 その魔法が生まれた秘密を、開発陣の指揮を採った渡邉崇紀常務に尋ねてみた。
 

 
 「鍵は “軽量化” だと考えています。キャブコンというと、多くの方が重量のあるクルマというイメージを浮かべられると思うんですが、積む家具の重量も絞って、シェルも軽量化していくと、案外 “軽いクルマ” になるんです。
 特に、このNV200の場合は、5ドアのためベース車に付いているスライドドアだけの重みでも相当なものになります。
 それをすべて取って、軽量シェルを載せているから、(このアルファは) キャンピング車といえどもベース車の走りを決して損なっていないんです」
 
 ちなみに、渡邉常務が自分で運転した 「アルファ」 の感想は、
 「アクセルをちょっと踏み込んだだけで、気づかないうちに150kmぐらい出てしまうクルマです。横風がそうとう吹き荒れる高速道路などを走っていても、120kmぐらいなら片手で運転できるくらいです」
 … とのこと。
 
 それでいて、
 「燃費がすごくいい。キャンピングシェルを架装したクルマなのに、リッター10kmは走りますね。埼玉にある本社と三重県鈴鹿市の展示場ぐらいなら、うまく走らせれば無給油で走り切ることができます」
 
 走りの良さは、軽量化のほかに、バンクを削ぎ落としたロープロファイルスタイルがもたらす “空力の良さ” や低重心設計とも関係がありそうだ。
 全高は2.3m。
 一般的なキャブコンの車高が2.6mから2.9mぐらいの間に収まっていることに比べると、まさに “バンコン並みの高さ” に収まっているといえよう。
 ちなみに、この車高は、エートゥゼットがリリースするライトキャブコンのアレン (全高2.5m) やアミティ (全高2.7m) よりも低い。
 

 
 また、しっとりとした走行フィールを実現できた秘密は、ボディ剛性の高さからも来るという。
 「アルファ」 はボディカットキャブコンとはいえ、キャブ部を含めたボディ部分とシェルの占める部分を比べてみると、ボディとして残っている部分の比率がかなり高い。
 
 それも 「剛性確保に寄与している」 と常務はいう。
 したがって、家具の 「きしみ」 などがほとんどないことが自慢だとか。
 
 もちろん、ボディをコンパクトに絞り、低重心フォルムを追求したために生じたデメリットもある。
 それは、就寝スペースが限定されてしまうこと。
 バンク部分が低いので、そこでは小さな子供が寝られるぐらいのスペースしか取れず、基本は “収納庫” 。
 また、現在三つほど揃ったレイアウトでは、いずれも、寝る場所はダイネット部分をベッドメイクする以外に確保することができない。
 
 従って、(今のところは) ユーザーが限定される。
 すなわち、基本的には、「夫婦の 2人旅用キャンピングカー」 なのである。
 この秋に開かれたお台場キャンピングカーフェアでは、従来の 「アルファLE」 に加え、「LE type 2」 と 「RR」 という 2パターンのレイアウトが加わったが、いずれも就寝定員は 2名。
 もちろん、それ以上の人数でも寝られないわけではないが、構造要件で保証される大人の就寝定員の規定を満たすには至らず、2名以上の大人が寝る場合は、多少は窮屈な思いをせざるを得ない。
 
▼ アルファLE type 1
 
 
▼ アルファLE type 2
 
 
▼ アルファRR
 
 
 ただ、現在エートゥゼットでは、ファミリーにも対応する中段ベッドを入れ込んだ仕様も開発中だという。
 その場合は、トイレルームとしても使える 「マルチルーム」 が犠牲になるが、代わりにベッドスペースは広がるとのこと。
 やはり、このクルマをファミリーで使いたいという声も多く、就寝定員を増やす仕様も加えなければならないと同社は判断したようだ。

 それでも、夫婦 2人で使うというのであれば、現在この 「アルファ」 には、理想的な 3パターンのレイアウトがそろっている。
 
 ① アルファLE type 1
 セカンドシートが前向きになる。乗用車ライクなシートポジションが取れるため、セカンドシートに座った人も移動中は快適。
 ただし、後ろのクローゼットが狭くなる。
   
 
 ② アルファLE type 2
 Type 1の前向きシートを横座りの対面シートに変えたもの。Type 1に比べるとクローゼットの幅に余裕が生まれる。また、マルチルームにカセットトイレを入れることも可能。2人旅なら、こちらの方がその分使いやすくなる。
  
 
 ③ アルファRR
 真後ろに入り口を設けたバックエントランス仕様。LEのtype 1、type 2に比べるとマルチルームが若干狭くなるので、トイレルームとして使用する場合は、ポータブルトイレの使用に限定される。
 代わりに、ダイネットもキッチンカウンターも広くなり、居住性に余裕が生まれる。ちなみに、フロアベッドを展開したときの広さは1300×1900mmとなり、3パターンの中ではいちばんベッド面積が広くなる (他は1300×1800mm) 。 
 
 
 「今までのキャブコンに乗っていた方々が、このアルファを運転されると、その軽快な走りと取り回しの良さに、びっくりされると思います」
 と、渡邉常務はいう。
 
 「ただし、乗用車からいきなり乗り換えられた方には、その良さが伝わりにくいかもしれない。当たり前過ぎて … 。なにしろこれは、 “キャブコンの形をした乗用車” ですから (笑) 」
 
 このクルマの個性が一般的に認知されていけば、たぶん、従来の「バンコン」 vs 「キャブコン」という図式は、仕切り直しが迫られるかもしれない。
 
 ちなみに、価格 (税込) は下記の通り。

 アルファLE type 1 3,696,000円~
 アルファLE type 2 4,179,000円~
 アルファRR      4,179,000円~
 
 エートゥゼット HP → http://www.atozcamp.com
 
 
参考記事 「AtoZの 『Be-cam』 」
 
参考記事 「AtoZ 『バンビ』 」
 
参考記事 「キャンピングカーのペット同伴旅行誌 『wancam』 」
 
 

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エートゥゼット 「アルファ」 への2件のコメント

  1. 山本 秀光 より:

    以前資料請求させて頂いた者ですが、ALPHA RRの横向きシートの横幅と奥行を教えていただけないでしょうか。よろしくお願いします。

    • 町田 より:

      >山本秀光さん、ようこそ
      メールありがとうございます。
      ALPHAというキャンピングカーはなかなか魅力ある車で、私も欲しい車両の一台です。
      そのRR のシートの寸法の件に関してですが、詳しいことは下記のメールでお確かめいただくか、またはAtoZさんに直接お電話を差し上げて確認されるのが一番いいような気もいたします。
      よろしくお願い申し上げます。

      AtoZさんのホームページ → http://www.atozcamp.com
      問い合わせ先電話番号 → 048-760-5668
       

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