バンコンとキャブコン、どっちが売れている ?

 
 私のようにキャンピングカー業界に近いところで仕事をしていると、案外、普通の人がキャンピングカーに抱いているイメージというものが分からなかったりする。
 
 ちょっと前のことだったが、あるキャンピングカーショーの会場で、来場した見学者たちにインタビューしたことがあった。
 
 「今日は、どのような車種を探しに来られたのですか?」
 と、小さな子供を連れたヤングファミリーに尋ねた。
 すると、
 「特にキャンピングカーを見に来たわけではないので … 」
 と、その母親が元気にいう。
 
 「では、何を見にいらっしゃったんですか?」
 「今日はね、ハイエースを見に来たんです。キャンピングカーじゃなくて」
 「 ? ? ? … 」
 
 では、彼女のいう “キャンピングカー” とは何なのか ?
 
 興味を感じたので、ちなみにそれを尋ねてみると、
 「ほら、キャンピングカーっていうと、ああいうの … 」
 と、彼女が指さした先には、いわゆるキャブコンが並んでいたのだ。
 

 
 よく聞くと、このヤングファミリーの求めていたのは、ワンボックス系のバンコンであることが分かった。
 
 彼らには、キャンピングカーが 「キャブコン」 とか 「バンコン」 などというタイプに分かれているという感覚はない。
 しかし、そういう感覚はなくても、彼らはしっかりと自分たちの欲しいものを見定め、そのなかで競合車種同士を検討し、自分たちにとって賢い選択をしようとしている。
 
 私などが、ついつい何のためらいもなく使ってしまう 「バンコン」 とか 「キャブコン」 などという用語も、まだまだ多くの人たちには 「なんのこっちゃ ? 」 であるという現実に触れ、メディアに位置する人間として多少なりとも反省せざるを得なかった。
 
 しかし、そのとき同時に感じたことは、「キャンピングカーが新しい普及の時代に入ったのかもしれない」 ということだった。
 つまり、そのヤングファミリーは、ことさら 「キャンピングカーを買う」 などと身構えることなく、ごく自然に、自分たちの欲しいクルマとして自動的にキャンピングカーを選んでいたわけである。
 真の意味での 「普及」 というのは、そういうことなのかもしれないと思った。
 
普及率が拮抗する 「バンコン」 と 「キャブコン」
 
 では、バンコンとキャブコン、果たしてどっちがユーザーに普及しているのだろうか。
 日本RV協会が発行した 『キャンピングカー白書2012』 によると、現在ユーザーが所有しているキャンピングカーのタイプを次のように紹介している。
 
 それによると、
 ① 国産バンコン (36.0%)
 ② 国産キャブコン (35.2%)
 ③ キャンピングトレーラー ( 6.4%)
 ④ 輸入キャブコン=クラスC ( 5.2%)
 ⑤ バスコン ( 4.5%)
 ⑥ 軽キャンピングカー ( 3.4%)
 ⑦ 国産フルコン ( 2.5%)
 ⑧ 輸入バンコン=クラスB ( 2.5%)
 ⑨ 輸入フルコン=クラスA ( 1.6%)
 ⑩ トラックキャンパー (1.1%)
 
 こうしてみると、やはり国産バンコンと国産キャブコンの二つが抜き出ていることが分かる。その 2種類だけで、全車両の71.2%を占めているのだ。
 
 では、バンコンとキャブコン。それぞれどんな特徴があるのだろうか。
 
 まず、「バンコン」。
 正式にいえば 「バンコンバージョン」 。
 
▼ バンコン。ファーストカスタムの 「ジョイン」

 
 バンコンとは、バンシャシーをベースに改造 (コンバージョン) したクルマという意味である。
 具体的にいえば、トヨタ・ハイエースや日産キャラバンなどの国産ワンボックスカーをベースにキャンピング架装を施した車両のことで、通常ボディの外側にはあまり手をかけず、主に室内の改造を中心としたものをいう。
 構造的には、キャブコンよりシンプルなものが多いが、その分価格を安く設定することもできるし、大きさも乗用車サイズに収まることが多いので、取り回しに優れる。
 
▼ バンコン。ビークル 「フューチャー」

 
 このバンコンとほぼ占有率で拮抗しているのが、「キャブコン」 である。
 正式呼称は 「キャブコンバージョン」 。キャブ (運転席) 付きシャシーをベース車に使って改造 (コンバージョン) したクルマという意味だ。
 具体的には、商業用トラックあるいはワンボックスカーのキャブ部分だけを残し、その後ろにキャンピングカーメーカーが製作した独自の生活スペースを架装した車両を指す。
 
▼ キャブコン。バンテックセールス 「ジル520クルーズ」

 
▼ キャブコン。キャンピングワークス 「オルビス・ルナ」

 
 キャブコンは、概してバンコンより設計の自由度が高く、かつ居住スペースも広く取れるので、充実した装備類を搭載することができる。キャンピングカーに住居並みの快適さを求めようとすれば、キャブコンの優位は揺るがない。
 代わりに、一般的にバンコンよりもサイズが大きく、かつ重量もかさむものが多いため、機動力や取り回しにおいて、バンコンのような軽快さに欠ける。
 
 どちらを取るかは、まさにユーザーの使い方によって異なってくるだろう。
 旅行が長期間にわたり、かつ一箇所の滞在日数が長くなるようだったら、断然、居住性と装備類に恵まれたキャブコンが快適だ。
 一方、1泊2日程度の短い旅が中心となり、かつ通勤、買い物などの日常使いもこなすようなクルマを選ぶとしたら、必然的にバンコンという選択になる。
 
 もちろん、キャブコンの中にも 「軽量・小型」 をテーマに掲げて開発を進めた結果、バンコン並みの機動性を持つものも登場しているし、逆にバンコンの中にもキャブコン並みの居住性と充実装備を備えるものもある。
 さらに、「工法」 よりも、むしろ 「ベース車」 の違いによって、そのキャラクターが大いに変わることもあり得る。
 だから、車種を絞り込むときは、タイプ別に割りきってしまう前に、その両者をくまなく見て回るということも必要になる。
 
バンコンを支える 「8ナンバー以外」 というキャンピングカー
 
 以上のように、キャンピングカーユーザーが所有するクルマをタイプ別に見ていくと、現在は国産バンコンが僅差でキャブコンを抜き、ユーザーの所有率でトップに立ったことが分かったが、それを売っているビルダー側のデータと付きあわせてみると、ちょっと趣きが変わってくる
 
 以下が、国産メーカーが出荷したタイプ別キャンピングカーの出荷比率である。
 
 ① バンコン (37.9%)
 ② 8ナンバー以外 (32.0%)
  キャブコン (27.4%)
 ④ キャンピングトレーラー (1.3%)
 ⑤ バスコン (1.0%)
  
 バンコンがキャブコンを抜いてトップに立っているのは、ユーザー調査と同様であり、その出荷比率も、ほぼ似ている。
 しかし、2番めに上がってくるのは、キャブコンではなく、「8ナンバー以外」 といわれる車両である。
 これは、どのようなものをいうのだろう。
 
 はじめての人には分かりづらいと思うが、実は、一般的に 「キャンピングカー」 といわれる車両は、国土交通省によって 「キャンピング車」 として定められた条件を満たした車両のことをいう。
 つまり、一定の基準を満たしたシンク (流し) コンロ、ベッドなどを有することが義務付けられており、そのような構造要件を満たした車両を、登録上 「8ナンバー車」 という。
 
 したがって、「8ナンバー以外」 といった場合、必ずしもそのような 「キャンピング車」 の構造要件を整えていなくてもよい車両のことを指し、一見普通のバンコンのように見えながらも、よく見ると、シンクやコンロが省かれていたりする車両が、これに入る。
 
 このような車両は、登録上は3ナンバー登録もしくは4ナンバー登録となるが、一般的な乗用車やバンと違うのは、キャンピングカービルダーが架装するだけあって、フルフラットになる快適なベッドを持つことを特徴とし、車種によっては、ゴージャスなラグジュアリーバンのテイストを持つものから、遊びのギアを積むのに適したトランポ系のレイアウトも持つものまでさまざまなものが企画されている。
 
▼ 3ナンバー登録となるマリナ’RV 「ラテ」

 
▼ かーいんてりあ高橋 「プリウス・リラックスキャビン」 3ナンバー登録

 
 現在、このような 「8ナンバー以外」 と呼ばれる車両が著しく増加しており、出荷台数においても前年比19.0%増を記録し、全体の構成比では32.0%となっている。
 
 RV協会の 『キャンピングカー白書2012』 では、このような 「8ナンバー以外」 の車両の増加を、「キャンピングカーのSimple & Light (シンプル&ライト) 化」 と呼んでおり、本格的なキャンプ旅行やヘビーデューティーな環境にも耐えられる重装備のキャンピングカーから、「車中泊」 をメインとした気軽な感覚のキャンピングカーへとマーケットが移ってきている、と分析している。
  
 
関連記事 「バンテックセールス ジル520クルーズ」

参考記事 「フューチャーが 『ものづくりブランド』 に認定」

関連記事 「マリナ’RV 『ラテ』 」

関連記事 「プリウス・リラックスキャビン」
 
 

カテゴリー: campingcar, news   パーマリンク

バンコンとキャブコン、どっちが売れている ? への7件のコメント

  1. 新井 芳夫 より:

    こんにちは 町田さんの記事をよく拝見しています。わたしも軽トラキャンパーで来年から家出旅を計画中です。昨年から軽トラ積載の中古のキャビンを手に入れ、室内に床の間付、畳敷きで窓には組子障子を入れて純和風のスライドアウト仕様のトラックキャンパーを造っています。室内は自分で改造しました、ボデー本体は、HMCC 八街工房の山田さんが仲間と造ったものです、今、細部の手直しの為八街工房に預けています、一度取材をしてください、すごく夢のある車が出来ました。見たら驚くと思います、ミニシンク、電子レンジ、冷蔵庫はソーラーパネルで作動します。ほぼフル装備にしあがりました。アメ車と同じ様にスライドアウトします。

  2. 新井 芳夫 より:

    すいません、コメントではないのですが---
    こんにちは 町田さんの記事をよく拝見しています。私も軽トラキャンパーで来年から家出旅を計画中です。昨年から軽トラ積載の中古のキャビンを手に入れ、室内に床の間付、畳敷きで窓には組子障子を入れて純和風のスライドアウト仕様のトラックキャンパーを造っています。室内は自分で改造しました、ボデー本体は、HMCC 八街工房の山田さんが仲間と造ったものです、今、細部の手直しの為八街工房に預けています、一度取材をして見てください、すごく夢のある車が出来ました。見たら驚くと思います、ミニシンク、電子レンジ、冷蔵庫はソーラーパネルで作動します。ほぼフル装備になっています。アメ車と同じ様にスライドアウトします、八街工房には、いろいろな自作キャンパーが週末に集まります。取材対象はたくさん有ると思います、女性の軽トラキャンパーもいますよ。  

    • 町田 より:

      >新井芳夫さん、ようこそ
      ご自分で内装を手がけていらっしゃる経トラックキャンパーのコメント、たいへん興味深く拝読いたしました。
      床の間付き、組子障子に畳敷きですか。しかも、スライドアウト。
      軽トラのキャビンといえば、それほど大きくはないと思いますが、いったいどういう機構のスライドアウトを実現されたのでしょう。大いに好奇心を刺激されました。

      八街工房に集まられる仲間の方々との交流も楽しそうですね。文面からもそれがしっかり伝わってきます。
      計画されている “家出旅” も面白そうですね。
      時間があれば取材もしたいし、完成されたキャンパーの様子や旅の記録などが採れましたら、またぜひ情報をお寄せください。
      楽しみにしております。
       

  3.  軽トラキャンパー 家出人 より:

    先日コメントした、家出人です。こっそり教えます、軽トラキャンパー スライドアウトで検索すると、2ペーシ゜目に
    私の作っている和風キャンパーの画像があります、見てください。

    • 町田 より:

      >軽トラキャンパー 家出人さん、ようこそ
      「手作りキャンピングカー」 というblog の 「スライドアウト」 という記事ですね ?

      あ、すごいです !! これは …
      まず室内の家具の作り込みが “ビルダー並み” ですね。
      シート下の収納スペースなど、とても使いやすそうです。
      スライドアウトのような難しい機構に果敢に挑戦されている姿勢には、本当に頭が下がります。

      ただ、記事を拝読する限り、まだスライドアウトスペースのスライド量などには、いろいろ課題が残っているようですね。

      それでも、たゆまぬ努力を続けていらっしゃるご様子。
      きっと理想の室内空間が生まれることと思います。
      どのような最終形に収まるのか。
      楽しみですね。
       

  4. ロ-トルパワ- より:

    キャンピングカ-について一言
    現在、キャブコンに乗って3年目です。
    年間20泊程度で、快適に過ごしています。
    バンコンとキャブコンの比較について一言
    利用する人の体系(身長)によりますが、ズバリ
    室内高が180cm以上ないと、まず連泊は快適ではありません。
    (私は175cm)
    天候がいつ悪化するか分かりません。室内で過ごす時間は、
    十分考慮することが大切。
    背のびが出来て、着替えも立ったまま楽にできないとストレスが
    たまり、夫婦だと思わぬ喧嘩の元になりかねませんぞ。
    もう一点
    使用する電気製品は、とことん省エネをチョイスしてください。
    電子レンジは、車載専用だと普通の家庭用レンジの倍の時間は使用が
    可能です。テレビの消費電流は、10インチで0.6アンペア、15インチで1.5アンペア以上
    です。冷蔵庫は、最低に冷やすのではなく、腐らない温度の12度程度をキ-プ
    すればよいですね。
    バッテリ-は、計算とおりには電流容量と電圧の関係は分かりません。
    12.8ボルトでほぼ満充電です。(充電終了後30分経過後の値が正確)
    11ボルトを下回ると要充電。早め早めの充電が肝心。

    • 町田 より:

      >ロートルパワーさん、ようこそ
      キャンピングカーの使い方について、ご自分の体験を生かされた貴重なレポートをいただき、誠にありがとうございました。
      やはり、パワーユーザーのご意見は本当に参考になります。

      現在キャンピングカーメディアの記者の方々も充実した記事を書かれていると思いますが、それでも日常的に同じ車を使われているユーザーのレポートの充実ぶりにはかなわないように思います。

      バンコンとキャブコン、それぞれ一長一短があり、どちらの使い勝手がよいかということは、本当に実際に使っていらっしゃる方でなければ正確なところは突き止められないように思います。
      特に、電装系の装備は日進月歩ですし、配線や機器の容量などによってもずいぶん変わってきます。そのため、常に新しい情報や他のユーザーさんの使い方などにも気を配っていなければなりませんね。
      その点、ロートルパワーさんのレポートは、他の方々にも参考になることでしょう。
      貴重なご報告、どうもありがとうございました。
       

町田 への返信 コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">