魔物の宮殿 入道雲

 

  
 空には、魔物の棲む 「宮殿」 がある。
 夏空いっぱいに広がる入道雲を見ていると、いつもそう思う。
 
 時おり、雲そのものが 「魔物」 に見える。
 凝りに凝ったCGによる怪獣映画ですら、入道雲の奔放な迫力にはかなわない。
 

   
 頭上に展開する自然の一大スペクタクル。
 「自然」 を創ったのが神だとしたら、神様はなんと不思議な光景を人間に授けてくれたのだろう。
 
 いや、もしかしたら、人間が 「神様」 を思ったり、「天国」 を夢想したり、空飛ぶ 「龍」 を想像したのも、雲がヒントになっていたのかもしれない。
 

 
 なにしろ、雲は、この地上に存在する物を測る尺度 (スケール) をやすやすとブチ壊してくれる。
 入道雲はときおり、天高くそびえる山脈を装うことがあるけれど、そのスケール感において、地上に存在する山々など及びもつかない。
 

 
 雲は、人間が考えだした遠近法の骨組みを、あっけなく 「無」 にしてしまう。
 それは、「人知を超えた世界」 が天空にあることを、無言のうちに示唆する。
 
 あまりにも荘厳な雲は、人間に 「畏れ (おそれ) 」 の感覚を授ける。
 そして、それを、この世ではないところから来たメッセージではないかと思わせる。
 

 
 雲は、大自然が創り出した巨大なアート。
 これほど凄まじい芸術を、人間は逆立ちしても創りだすことができない。
 
 人類にとって、雲は、「空想」 を喚起させる母のような存在であり、人間の感性を遠いところまで運ぶ 「想像力」 のふるさとである。 
 

 
  
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