ジャパン・キャンピングカーショー2012感想

 
 
 今回幕張メッセで開かれた 『ジャパン・キャンピングカーショー2012』 。
 日本の現在のキャンピングカーシーンがどのような段階に達したのかということを象徴的に語る、非常に興味深いイベントだったように思う。

 その傾向を一言でいうと 「熟成」 。
 日本のキャンピングカー文化というものが、非常に高度なレベルにまで上がってきたということがよく分かるのだ。

 なにしろ、このショーは、日本のキャンピングカー業界の各社が、この 1年の自社の方針を世に示す最初のイベント。
 それだけに、今までは装いの派手な新車で来場者の目を引こうという姿勢が目立った。
 
 しかし、今回は見た目の派手さというのは、従来ほど際立っていない。
 それよりも、既存のクルマの 「熟成」 に主眼が置かれている。
 「モーターショー」 のような乗用車ショーでいえば、実際に路上を走りだすまでには時間のかかりそうなコンセプトモデルではなく、ユーザーが使えば、即座にその快適性や利便性が肌で感じられるような、機能性向上に神経が注がれている車種が多いと感じた。 
 
 もちろん、画期的な新機軸を打ち出した新車も少なからずあった。
 だが、それといえども、単なる 「思いつき」 ではなく、十分な開発期間と検討期間を費やして、ようやくこのショーで姿を現したという 「地に足がついた」 堅実性がある。
 それだけ日本のキャンピングカーは、RV先進国の欧米と肩を並べるほどのレベルに近づいてきたのだということが分かる。
 
 その一つの取り組みとして、シャシーへのこだわりがある。
 日本には、欧米のような自動車メーカーが供給するキャンピングカーシャシーというものが熟成していない。あることはあったとしても、設計思想が古かったり、安全性への取り組みが不十分だったりするものもある。

 そのため、各社とも独自のシャシーチューニングを行なってきたわけだが、ここにきて、シャシー供給メーカーとタイアップしながらオリジナルサスを開発し、乗り心地の向上や安定性の確保などを積極的に進める動きも顕著になってきた。

 また、安定した電力を確保するための電装品への取り組み姿勢も、そうとう高いレベルに上がってきている。
 これは、昨年の震災の影響もあって、住宅への電気やガスの供給が止まった時、緊急避難場所としてキャンピングカーを使うというユーザーニーズが生まれたことを物語っているともいえるが、省エネなども射程に入れた 「再生可能エネルギー」 への着目が進んできたことも反映されている。 

 具体的にいえば 「ソーラーパネル」 の積極的運用である。
 そのようなソーラー充電を軸として、それを蓄電するためのバッテリー強化を進めながら、時にはAC電源や発電機との組み合わせも考慮するなど、総合的電装システムの開発に取り組むビルダーが増えてきた。

 さらに、ベッドの寝心地などへのこだわり。
 乗用車による車中泊とキャンピングカーによる宿泊の違いは、従来は 「フルフラットなベッドが作れるかどうか」 というセグメントで語られることが多かったが、現在一部のキャンピングカービルダーが取り組んでいるのは、そこからさらに一歩先を行った 「家庭用高級ベッドと遜色のない寝心地を確保するベッド」 。

 このように一目見ただけではすぐに伝わってこない、内容的な深化、細部へのこだわりがものすごく際立っていたのが今回のショーの特徴だ。

 それを一言でいうと、やはり 「熟成」 。

 素材においても、軽量化とリサイクル性を追求したアルミボディのキャブコンが浸透してきているし、スタイル的な煮詰めにおいても、シャシー供給のハンデを乗り越えて、もうヨーロッパの伝統的なキャンピングカーと遜色のないものが生まれている。
 そういった意味では、ここ数年、日本のキャンピングカーは、加速度的にレベル向上に向けて走り切ってきたといえそうだ。

 そのほか、ショー全体を見て感じたことは、本格的な長期旅行に備えた充実装備のキャンピングカーと、車中泊を軸とした簡易的キャンパーの棲み分けがはっきりしてきたこと。
 長期旅行・長期滞在に意識したキャンピングカーの設計思想の充実ぶりには目を見張るものがあるが、それと同時に、車中泊を気楽に楽しむためのミニバンコンセプトのクルマも相当増えた。
 それだけ、キャンピングカーに関心を持つ人々の層が厚くなってきたということなのだろう。
 「間口は広く、奥行きは深く」
 という感じだ。

 ほかには、トレーラーに復調の兆しが見えてきたこと。
 一時は、ショーで展示されるトレーラーのほとんどが、リピーターに向けた牽引免許を必要とする大型トレーラーばかりだった時期があったが、今回のショーでは、750㎏クラスの普免で引けるライトトレーラーが数多く出回ってきた。
 
 価格的にトレーラーはやはり買いやすい価格帯に収まったものが多い。
 「車中泊」 のみを念頭においた人たちは、やはりミニバンコンセプトの簡易キャンパーや軽キャンピングカーの方向を目指すだろうが、リーズナブルな価格で本格的なキャンプや長距離旅行を目指すとなると、やはりトレーラーという選択肢は魅力的だ。  
 
 トレーラーニーズが定着してきたとしたら、それも、キャンピングカーに関心を持つ人々の層に厚みが増してきたことを象徴的に物語る例となるだろう。

 ショーそのもののグレード感も上がった。
 ホンダや日産というメーカーが参加したこともあったが、モーターショー並の華やかさが感じられた。
 ブース作りにおいても、キャンピングカーイベントとしての大事な 1年のスタートを表現するにふさわしい充実したものとなっていた。

 細かいことかもしれないが、フードコーナーも、 “B級グルメフェスティバル” 風の出店者数とにぎやかさがあって、会場全体を盛り上げるのに一役買っていた。
 「アジア最大のキャンピングカーショー」 という文言にふさわしいイベントになっていたと思う。
 
 

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ジャパン・キャンピングカーショー2012感想 への2件のコメント

  1. outdoor_dad より:

    私も行って来ました。
    一時期はRVショーも兼ねていた?のかメーカーもコンパニオンを引き連れ、キッズコーナーはTOMY等の大手おもちゃメーカーが手掛けるという、モーターショーさながらだったと記憶していますが、またメーカーが戻って来て盛り上がりを期待できるショーでした(今回は3社?:ホンダ、日産、三菱←間接でしたが…)。
    しかし、長い間見てきて(最初に見た会場は船の科学館の駐車場だったかも?)、ビルダーも入れ替わり勢力図もどんどん変わって行く、言わば本当の意味での過渡期であると考えられ、未来はそう簡単には予想できませんが、明るい未来を願うばかりです。
    PS.
    私にとって今回のショーで一番衝撃的だったのは、キャンピングカーよりもフードコートの充実でした。

    • 町田 より:

      >outdoor dad さん、ようこそ
      「船の科学館」 の時代を知っていらっしゃるなんて、outdoor dad さんもなかなかの経験者なんですね。
       
      おっしゃるように、あの時代と比べると、参加されているビルダーさんも変わり、展示車両もずいぶん変わってきていますね。
      まず、展示台数そのものが違いますね。昔は、ひとつのビルダーさんが3台も持ってくれば多いぐらいでした。それが、今では10台ぐらいの展示車を並べるショップさんも当たり前のようにいらっしゃいます。それだけ、市場も広がっているということなのでしょうね。
      やっぱり、車中泊という楽しみ方を覚えた層の急増も大きいかな … と思います。

      おっしゃるように、今回のフードコーナーの店の数と料理の種類の豊富さには圧倒されましたね。ほんとうに、B級グルメフェスティバルみたいな感じで。
      キャンピングカーの楽しみとして、「食文化」 との結びつきって、やっぱり大きいと思います。
      けっこう美味しい料理、ありましたね。多少高いかな … と思うものもありましたけれど。
       

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