大好きスモーキー・ロビンソン

 
 仕事を終えて、家にたどり着くと、たいていこの時期は深夜の1時を回る。
 急いで風呂に入り、寝る前に、パソコンのスイッチを入れ、ちょっとだけ自分の時間を取り戻す。
 
 … といっても、接するのは文字情報ではない。
 音楽。
 YOU TUBEから拾って 「お気に入り」 に入れた音楽を聞く。
 
 グラスにペットボトルの紅茶を注ぎ、そこにウィスキーを数滴垂らす。
 それをチビチビ舐めながら、気に入ったアーチストの気に入った曲を聞く。
 そして、そこから、夜の音楽の海への漂流を開始する。

 YOU TUBEの面白さは、検索しているうちに、思いもかけないアーチストの曲を知ったり、見たこともなかったライブに接したりして、音楽情報が広がっていくところにある。

 知らない人たちの知らない演奏を聞くだけでなく、過去に愛したミュージシャンの思わぬライブに接したりと、YOUTUBEの “散策” は本当に楽しい。

 この前、昔の懐かしいR&Bをずっとたどっていたら、スモーキー・ロビンソンのところで、ホール&オーツのダリル・ホールと共演しているライブ映像 (↓) を発見した。
 

 
 これがいいんだな (涙)!
 スモーキー・ロビンソンは、もちろんシンガーとしても大好きな人だけど、ソングライターとしてもっとも敬愛する人の一人だ。
 特に、バラードを作らせたら、R&B界でこの人の右に出る人はいない。

 
 
 70年代に入って、フィーリー・サウンドが一世を風靡した時代が来て、ギャンブル&ハフとかトム・ベルのような人たちが、ライターとして、アレンジャーとして、さらにプロデューサーとして、数々の華麗なバラードを作ってきたけれど、スモーキーの素晴らしさにはかなわない。

 なんといったって、スモーキーのバラードは、 “鼻歌” で歌えるのだ。
 つまり、演奏(カラオケとか…)の助けを借りなくなって、気持ちの良い朝に、自転車を漕ぎながら歌えてしまう。
 これぞ、 “名曲” の原点である。
 坂本九の「上を向いて歩こう」だってそうだけど、鼻歌で歌えるからこそ、世界に広まったのだ。

 話が逸れたけれど、スモーキーと、ダリル・ホールの共演は、ほんとうに涙モノなのだ。
 演奏された場所が、どういうところなのか、よく分からない。
 (アップロード情報を見ると 「Live from Daryl’s House」 とある)。
 ダリルの持ち家で行われた観客のいないセッションなのかもしれない。

 で、この映像のいったい何が「涙」なのか。
 
 それは、ダリル・ホールのソウル・ミュージック(R&B)へのリスペクトがしっかりと感じられるからだ。
 そして、そのソウル・ミュージック界の(ダリルにとっては)神様のようなスモーキーへの熱いリスペクトが、こちらにも伝わってくる。

 スモーキーを、一人置いた横に座らせ、そのスモーキーの持ち歌である「ウー・ベイビー・ベイビー」のイントロを、ちょっと恥ずかしげにギターで引き出す。
 たぶん、打ち合わせもない選曲なのだろう。
 ダリル・ホールが歌いだすと、スモーキーの方も、「ええ? オレの歌やるの?」とばかりに、照れとはにかみを漂わせながら笑う。

 バックのミュージシャンも、ニヤニヤしながら、その成り行きを見守る。
 で、 “師匠” の前で、あの …、あのですよ! あのダリル・ホールが、ずぶの素人のような初々しさで「ウー・ベイビー・ベイビー」を歌い始め、師匠がバックに回ってサポートする。

 この心の通い合う温かいやりとり!
 師匠スモーキーを慕うダリル・ホール。
 弟子の成長ぶりを温かく見守るような、スモーキーの笑顔。
 ソウル好きには、感涙なくして見られない。
  
 本当に、スモーキー・ロビンソンは素敵だな。
 ちなみに、ミラクルズを率いていた時代(1965年)の「ウー・ベイビー・ベイビー」はこちら (↓) 。

 もし、スモーキーのバラードが気に入った人がいたら、こちらもどうぞ。
 これもモータウン時代の傑作バラード「ザ・トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」。
 

 
 ああ、紅茶に垂らしたウィスキーがうまい!

 で、70年代に入って、フィリー系の新しいバラードが生まれる時代になっても、スモーキーは相変わらず、ソウル界のシンガー&ソングライターのトップを走り続ける。
 次に紹介する「ベイビー・カム・クローズ」は、70年代にFENで聞いたものだが、その時代、日本版どころか、輸入盤も手に入らなかった。
 これを買うために、( … だけでもなかったけれど)、アメリカに行ったことがある。
 
 ねっとりとした甘みを持つ、極上のワインの味わい。
 触れると肌がとろけそうな、シルクの感触。
 ストリングスのアレンジがなんともいえずに心地よいんだけど、決してフィリー系のような華麗さを追求するものではなく、繊細さを大事にしている。
  
 この「ベイビー・カム・クローズ」という曲には、自分が思い描ける最高の快楽の姿があった。
 自分の「恋愛シーン」を思い浮かべるとき、愛する女とベッドインする機会があったら、ぜったいBGMはこれだ! と思い込んでいた時期がある。 
 
 
 
 参考記事 「70年代スイートソウル」
 
 

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大好きスモーキー・ロビンソン への9件のコメント

  1. guchi3 より:

    今回音楽ネタなのでお邪魔します。
    スモーキー・ロビンソンいいですね!私はソウル系は不勉強で詳しくないのですが、
    ホール&オーツは大ファンで、今もアルバムが出れば買っています。
    特にダリル・ホールのR&Bに対するリスペクトは本物で、インタビューで「ホール&オーツはロック・バンドではなく、R&Bバンドだ。」と言っていたのを聞いた記憶があります。
    実際、アルバム「Private Eyes」の中からのシングル「I Can`t Go For That (No Can Do)」がR&Bチャートで1位になったときは、「これで、やっとR&Bバンドだと認めてもらえた!」と語っていました。
    ちなみに、町田さんが見た「Live From Daril`s House」ほぼ毎月1回ダリル・ホールの別荘(自宅?)にアーティストを招待して、そのゲストと一緒にライヴを行い、ディナーを食べながらおしゃべりしている動画が無料配信されています。
    ぜひ見てください。めちゃくちゃ渋いミュージシャンが出ていますよ!
    又ゲストを迎えに行く車が、町田さんや私が見れば、涙ものです。

  2. guchi3 より:

    追記です。
    「I Can’t Go For That(No Can Do)」はR&Bチャートの他、ダンス・チャート、そしてソウル・チャートでも1位を獲得していました。

    • 町田 より:

      >guchi3 さん、ようこそ
      ホール&オーツ、私も大好きです。
      いちばん最初に聞いたのは、1977年の 「リッチ・ガール」 でしたね。
      わぁおー! なんとR&Bしているポップスなんだろう! とびっくりした記憶があります。
      もともと、白人が歌うR&B (当時ブルーアイドソウルなんて呼ばれていましたけれど …) ライチャス・ブラザーズとか、ヤング・ラスカルズなんかも好きだったから、ホール&オーツにも入れ込みましたね。

      最近 (… っていっても2004年ですけど) 買ったもので気に入っているのは、『アワ・カインド・オブ・ソウル』 でした。これは、70年代ヒットソウルのオール・カバー・アルバムなのですが、その選曲がいかにもダリル・ホール的で、すっごくセンスがいいです。
      本当に、彼がR&Bにリスペクトを持っていることが分かります。

      「Live From Daril’s House」 の情報ありがとうございます。
      やっぱり、彼の別荘 (自宅?) のライブなんですか。
      どうりで、アットホームな温かさが伝わってくるんですね。
      さっそく探して見てみます!

      スモーキー・ロビンソンの曲は、けっこう白人のアーティストたちが取り上げていますよね。それだけメロディに普遍性があるんでしょうね。
      有名なところでは、ビートルズの 「ユー・リアリー・ゴット・ア・ホールド・オン・ミー」 。
      リンダ・ロンシュタットも 「ウー・ベイビー・ベイビー」 や 「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」 を歌っています。
      これらのカバーもけっこういいです。「ユー・リアリー・ゴット・ア・ホールド・オン・ミー」 は、ビートルズの方がいいかも。

      また、いろいろ音楽の話、聞かせてください。
      お会いできる日を楽しみにしています。
       

  3. 森 勇太 より:

    町田さん、どうも今晩は。私は19歳の今時の少年ですが、町田さんと同じように昔の洋楽をこよなく愛してやまない者です。「町田の独り言」は好きで、度々拝見させて頂いています。今回、是非とも町田さんとメールでのやり取りをしたいと思い、メールを送らせて頂いた次第です。もし、町田さんがこのメールに目を通して頂いたのであれば、気が向いた時にでもよろしいので、私の方に返信のメールを送って頂ければ有難いです。

    • 町田 より:

      >森 勇太さん、ようこそ
      はじめまして。
      メール、ありがとうございました。
      ご挨拶代わりにお送りいただいた曲も聞かせていただきました。
      いい感じですね !!
      それに関しては、個人メールの方でもお返事差し上げます。

      19歳で、昔の洋楽 … 特にブラックミュージックがお好きだとか。
      私が、このブログで紹介しているR&B、ソウル系の曲というのは、60年代~70年代初期のもの … 特に歌ものが中心で、読んでくださる方もその時代に青春を送られた方々だろうと思っておりましたから、森さんのように、10代の方が関心を持ってくださるということがとても意外に感じられ、かつうれしい気持ちでいっぱいです。

      もし、差支えなければ、森さんがどのようなきっかけで、昔の洋楽を聞かれるようになったのか、また、そのどのような部分に惹かれているのか、ぜひお話をうかがわせてください。

      下世話な関心で、申し訳ございません。
      自分には、10代の音楽フアンと話す経験がまったくないもので (笑)。
      ぜひ、またお越しください。
       

  4. ぴろっと より:

    こんにちは。古い記事のようですが「スモーキーロビンソン 来日」でヒットしましたので。私は周囲にソングライティングがえぐいのだと酔って力説しておるのですが遠まわしに彼の評判を貶めてる気がしてつらい。良さの説明に窮していたのですが「鼻歌で歌える」というのはすばらしい感受性です胸のつかえがおりました。スモーキーは全然評判になってないレコードでさえ、良い曲ばかりなのが信じられません。トラックスオブとウーベイベの歴史的2曲がさらっとおなじアルバムにはいってることにもっと敬意を抱くべきでしょう。いったいソウルミュージックのなにを聴いておるのだといいたい。LPで聴くと気分でます。本日雨なので大阪キングコングの20%引きを目当てに帰りに寄ります。スモーキーはビートルズレベルで語られるべき存在です。

    • 町田 より:

      >ぴろっと さん、ようこそ
      はじめまして。
      スモーキー・ロビンソンのファンの方と直接コンタクトが取れたのはとても嬉しいです。
      >>「ビートルズレベルで語られるべき存在」というのは、まさにその通りですね。
      R&Bは、とかくリズムやグルーブ感のようなもので語られることが多いのですが、やはりメロディーの美しさがあってこそ、名曲として語り継がれるのだろうという気がします。

      その点、スモーキー・ロビンソンは卓越した歌詞創作能力とともに、誰でもが親しめる美しいメロディーづくりで一世を風靡し、まさに “ソウルミュージックの父” ともいえるような存在であるかと思います。

      ビートルズがデビューして解散するまで8年。スモーキーは、1950年の終わり頃から活躍を開始して、いまだに現役ですから50年以上音楽活動を続けているわけですよね。ヒット曲を連発していた時期も、ビートルズより長い。

      やはり、もっと注目されてしかるべきアーティストであると思います。
      モータウン系のアーチストといえば、マーヴィン・ゲイ、シュプリームス、スティービー・ワンダー、テンプテーションズといった人々がよく話題に登り、スモーキーはその“次点”というような扱いを受けている印象もありますが、本来はそれらの人々の一段上にあってもおかしくない人ですよね。
       

  5. 木挽町 より:

    ミラクルズ。かっこ良すぎ。ラブ・マシーンの歌詞も最高にいけてます。この曲で40カウントで踊るステップは最高に美しい、かっこいい、難しい(キレよく踊れる人はなかなかいない)ですが、踊れるか踊れないかなんてことは問題外。とにかく楽しめばそれだけでカッコいい。

    • 町田 より:

      >木挽町さん、ようこそ
      ミラクルズのステージパフォーマンス、ほんとうにカッコいいですよね。
      スモーキーのバラードの美しさも極上ものです。
      フィリー系もいいけれど、ここにはモータウンサウンドが熟成したときの本当の凄味が出てますよね。このあとのスティービー・ワンダー、マービン・ゲイなどがあそこまで飛翔できたのは、スモーキーあたりが基礎工事をしっかりやったからでしょうね。
       

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