JATA旅博2011

 
 10月1日(土)~ 2日(日)の2日間、東京ビッグサイトにて、 『JATA (ジャタ) 旅博 2011』 が開催されるというので、プレスとして事前見学に行ってきた。


 
 この 「旅博 (たびはく) 」 というのは、世界中の国や地域が、それぞれの観光スポットや地元のグルメを紹介するアジアでは最大級の “旅の祭典” 。毎年10万人を超える旅行ファンが来場するというビッグイベントとして人気を集めている。
 
 特に今回は、東日本大震災からの復興を支援するという意味合いも込めて、海外旅行のブース以外に国内ゾーンも設けられ、小間数も986という過去最大規模となる。
 
 

 参加国および参加地域は144。それぞれの最新観光情報を紹介する地域色豊かなブースが居並ぶほか、趣向を凝らしたステージも用意され、いながらにして “世界旅行” を楽しめるようになっている。
 
 今回は、私がアメリカでレンタルモーターホームの旅を楽しんだときのナビゲーターを務めてくれた 「トラベル・デポ」 の小林社長 (↓) もブースを構え、モーターホームを使った北米旅行の面白さをプレゼンする。
 
 
 
 イベントの開催に先立って、シンポジウムも行われたので、見学してきた。
 『アウトバウンドの復興に向けて』 というテーマで、日本人の海外旅行市場を拡大するための課題の摘出と、その具体的な解決策を論じ合うというもの。


 
 モデレーターは、元 NHK ニュースキャスターの磯村尚徳氏。
 パネリストとして、JTB 代表取締役の田川博己氏。
 阪急交通社の代表取締役の生井一郎氏。
 H.I.S代表取締役の平林朗氏らが出席された。
 
 少しメモをとったので、印象に残った部分だけ簡単に要約して紹介する。
 
 まず、今回の東日本大震災が、海外旅行・国内旅行にどのような影響を与えたのかが論じられた。
 
 震災直後は、やはり 「自粛」 という風潮が広まったため、旅行のキャンセルなどが相次ぎ、旅行業界の売り上げはそうとう落ち込んだという。
 
 この 「自粛」 という日本人の精神構造は、海外のメディアからは不思議なものに見られ、ニューヨーク・タイムズなどは、 「日本人は津波のあと、 “自粛” という第二の津波に襲われた」 と報じたというエピソードなども紹介された。
 
 しかし、やがて 「自粛するよりも、観光旅行などを活発化させ、経済を活性化させることによって復興を支援しよう」 という機運が高まり、4月の後半からは旅行業界も復調の気配を示した。
 特に、海外旅行の出国者数は、この 8月には過去最高を記録したという。
 
 震災よりも、海外旅行の障害となったのは、各国の紛争。
 中国・韓国などの近隣諸国への観光旅行が上昇機運に乗ったとき、2009年には、韓国のヨンピョン島で北朝鮮からの砲撃事件が起こったり、2010年には、中国の反日感情をあおった尖閣諸島問題が起こったりして、そのたびに観光客が一気に激減した。
 さらに最近では、観光地として人気のエジプトやギリシャで動乱や暴動が起きて、観光客の足が遠のいた。
 
 このような各国の紛争を、どのメディアも誇大に報道しすぎるという。
 メディア界には 「Bad news is news,Good news is No News」 (悪いニュースはニュースになるが、良いニュースはニュースにならない) という言葉があるが、その言葉を地で行くように、紛争・動乱・災害などが起こると、どのメディアも一番ひどい状況の映像を繰り返し流し、沈静化したときは、まったく報道しない。
 
 だから、すでに安全が確保された地域でも、 「安全になった」 という報道が流れないため、旅行客の足は遠のいたままになる。… というような、業界の嘆きも正直に吐露された。


 
 日本人の海外旅行は2000年をピークに、その後一度もそれを超えることなく2010年に至っているという。
 その理由を深く掘り下げる話は聞けなかったが、ここ10年で、日本人の旅行に対する考え方が大きく変わったというのは、業界共通の認識のようだ。
 
 かつては、名の知れた観光地をめぐるだけのツアーで満足していた日本人が、最近では、個的な体験を重視するようになってきた。
 しかし、そのような意識変化に対し、現状では、どの旅行業者も十分に応えきれる商品を出していない。
 
 どうすればいいのか?
 詳しく聞きたかったところだが、特に決定的な有効策というのは出されていない。
 
 ただ、ヒントとして、 「生活スタイル」 と 「グルメ」 をパックにした商品の例として、 「シャンパンを楽しむツアー」 という提案が出された。
 
 今、日本のシャンパンの消費はうなぎ登りに上がっているという。特に最近は直線に近い形で急上昇しているとか。
 シャンパンというと、昔はレセプションなどの乾杯用の酒として、パーティの口開けに少量だけ出されるというイメージだったが、それが今は、30代、40代ぐらいの女性同士の集まりの席では、ボトル感覚でオーダーされるようになった。
 
 OL たちがよく口にするキーワードとして、ここ数年 「自分へのご褒美」 という言葉が定着してきたが、それが 「自分たちへのご褒美」 となり、その褒美のゴージャズ感を表現する酒として、シャンパンに注目が集まったのだという。
 
 そこで、シャンパンをリゾート感覚のツアーを演出するときの小道具として使い、「シャンパンの銘柄物語」 「シャンパンの正しい飲み方」 などという “教養” の衣をまぶしてパック商品として売り出す。
 
 ま、そういう発想は、企画をひねり出すときのヒントになるかもしれない。
 ただ、成功するかどうか、焼酎しか飲まない私にはよく分からない。
 
 面白いのは、 「宗教ツアー」 という提案だった。
 実際に、ヨーロッパ旅行では、相変わらずバチカン宮殿めぐりのようなものは人気があるらしい。
 
 しかし、宗教という視点では、あまり商品化されていない。
 でも、今は宗教ブーム。
 池上彰氏の 『宗教がわかれば世界が見える』 という本も飛ぶように売れている。
 カギを握るのは “団塊世代” だとか。
 
 池上氏の著作では、冒頭、 「団塊世代が、いよいよ身近に迫った “死” に対する準備の必要性を感じ始めた」 という記述がある。
 「彼ら (団塊世代) は、自分の配偶者や親を見送り、友人や先輩の葬式が増えたことを経験するようになった。これが宗教ブームの一因をつくってきた」
 と、池上氏は書く。


 
 シンポジウムの席上、磯村氏はそれを取り上げて、ここに新しい旅行スタイルを見出すヒントがあるという。
 
 それに呼応して、 「仏教の源流の地を眺める」 とか 「カトリックの聖地を訪ねる」 といった宗教ツアーはこれから検討する余地があるという人もいた。
 
 宗教に関心を持ち始めたといわれる団塊世代が、236万人になる。
 そして、その人たちはそろそろ年金を手にするようになる。
 だから、 「団塊世代の宗教ツアー」 。
 … というのだが、私は、個人的にちょっと疑問。
 
 そのほかの印象的な話として、海外旅行の目的地に、ここ数年、顕著な変化が表れてきたという話題には、ちょっと興味を覚えた。
 
 2008年以降の一番人気はカンボジアだそうだ。
 2番はベトナム。
 3番はトルコ。
 かつて人気を誇ったヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどは相対的に落ち込んでいるという。
 
 カンボジアやベトナムといった東南アジアが注目されてきたのは、エスニックブームとも重なる。
 かつて、アジア旅行といえば、古い寺院を訪ねたりする 「歴史遺跡や古代文化の旅」 というイメージが強かったが、最近はグルメ、エステ、リゾートが主流。
 
 “南の楽園“ としてハワイが脚光を浴びていた頃、東南アジアはまだ発展途上国として、未開発のイメージが強かった。
 ところが、急激なリゾート化が進み、今は、新しい刺激に満ちたエキゾチックな場所として認知されてきた。
 
 トルコも同様。
 ここ数年のトルコ観光のキャンペーンがうまかったのかもしれない。
 東洋と西洋の “狭間の地” である特性を生かし、東の文化でもなく、西の文化とも異なる一種近未来的なリゾート感を打ち出した広告展開が斬新であった。
 私が個人的に一番見たいのは、トルコでは 「陸軍博物館」 なのだけれど、そういう歴史オタク系の好みを排したところが良かったのだろう。 (オレは不満だけど) 。
 
 相対的に、ヨーロッパ観光はあまり伸びていない。
 その中でも、クロアチアとかスロベニアという旧東欧文化圏は人気があるという。
 やはり、パリ、ロンドン、ローマというかつての御三家は、テレビなどの露出度が高すぎて、 “既視感” が強すぎるのかもしれない。
 
 なかでも、スイス旅行の落ち込みが大きいとか。
 スイスといえば、風光明媚な自然と、街の清潔感、それに永世中立国というような政策上の理想主義が評価されて、日本人の人気を一身に集めていた。
 
 ところが、ここ最近、ヨーロッパ各国では、エコツーリズムのような自然観光資源を生かしたツアーに重きを置くようになった。
 スイスは、そういった新興のエコツーリズムの流れに対し、新味を打ち出せなかったのではないかという。
 
 しかし、早いうちから観光立国の看板を掲げたスイスは、やはりインフラ整備においては群を抜いている。
 だから、スイスが巻き返しを図るとなると、すごいパワーを発揮するだろうと、磯村氏は語っていた。
 
 アメリカへの出国も減ってきている。
 しかし、これはビジネス旅行が減ってきたことが影響しているという。
 今の日本のビジネスマンは、アメリカに行くよりもアジアに出かける機会の方が多くなった。それと呼応するように、観光客の足も伸び悩むようになった。
 
 アメリカ旅行の活気を取り戻す秘策がある。
 
 個人的な見解を言わせてもらえれば、やっぱりアメリカ映画では、西部劇を復活させるべきだ。
 都市部はいざ知らず、アメリカの大地に一番似合うアイテムは馬だ。
 馬が走ってこそ、あの荒涼としたアメリカ中西部の風景に輝きが生まれる。
 アメリカは、もっと西部劇の新作をどんどん出すべきだ。
 … ってなことは、シンポジウムでは誰も言っていなかった。
 だから、私がここで言う。
 
 このあとも議論が続いたようだが、用があったので、ここで退席。
 
 会場に戻ると、トラベル・デポの小林さんが、ブースづくりを終えたところだった。
 頑張ってね。
 
 

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JATA旅博2011 への2件のコメント

  1. motor-home より:

    町田さん
    JATA旅博2011、および弊社ブースをご紹介いただき有難うございます。連日、大変な盛り上がりになっております。いよいよ本日が最終日になります。今後ともよろしくお願いします。

  2. 町田 より:

    >motor-home さん、ようこそ。
    お疲れさまでございました。
    また、motor-home さんのブログにてもご紹介いただき、ありがとうございます。

    「旅博」、かなり盛り上がったようですね。
    こちらのブログにも、金曜日ぐらいから「旅博」の検索ワードでお越しくださった読者の方がそうとういらっしゃいます。
    こんなに反響があったとは、ちょっとびっくりでした。

    またいろいろな情報をお寄せ下さい。
    ありがとうございました。
     

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