愛があるなら年の差なんて

 
「年の差婚」 が増える理由
 
 10歳どころか、20歳ぐらい年上の男性を結婚相手に選ぶ女性が増えた。
 

 俳優の篠原涼子が、夫に市村正親を選んだのは、市村正親が56歳のとき、自分が32歳のときだった。
 プロゴルファーの東尾理子が俳優の石田純一と結婚したのは、純一57歳、理子35歳のときだった。
 
 他にもそのような熟年男性と若い女性の結婚例は、芸能界にはいっぱいある。
 
 俳優・寺田農 (68歳) の再婚相手は、35歳年下の一般女性。
 ショーケン (60歳) は、12歳下のモデルと結婚。
 堺正章 (65歳) の相手は、22歳年下の女性。
 加藤茶 (68歳) の再婚相手は、45歳年下の女性。
 
 ま、生活が華やかでお金もある男性タレントの場合は、年を取っても女性から魅力的に見えるのかもしれないが、そうでない一般の人々の結婚においても、 「熟年男性と若い女性の結婚」 は年々増えているのだそうだ。
 
 ある調査によると、男性が11歳以上年上である結婚例は、5年前まで15%に過ぎなかったが、一昨年では46%を占めるようになったという。
 
 どうやら、ここ数年続いていた 「婚活」 ムーブメントも、新しい局面に入ってきたのかな … とも思う。
 
 これまでの婚活では、女性が男性を選ぶとき、まず経済力を中心に容姿、身長、学歴など、すべての “スペック” が高得点である男性が標的にされてきた。
 
 ところが、高度成長も終わり、バブルも弾けた今の日本において、あらゆる面で 「ハイスペック」 を誇れる男性などいるはずがない … ということが、適齢期の女性にもだんだんわかってきた。
 大企業の御曹司で、高学歴、年収も当然多く、各界の有名人とも交流があり、イケメン、スポーツ万能、しかも妻に優しく … なんていう80年代のトレンディドラマに出てくるような男が、この世にいるわけがないのだ (いたとしても、そういう男は普通の女性が見つけた時には、もう誰かの旦那になっている) 。
 
 そうなると、普通の女性が結婚相手を探す方法は二つしかない。
 
 まず、ひとつは、見てくれが不細工、会話も退屈、女性をリードするのも下手 …… という男性でも、経済的に安定した男性を選ぶというもの。 (もうひとつは後で詳述) 。
 
 「経済的に安定している」 ということは、社会に出ている年数が長い … すなわち、年齢的にもそうとう上の男性を意味する。
 
 平成21年のサラリーマンの平均年収は、約403万円というから、最低でも年収500万、さらに上を望んで年で、年収1,000万ぐらいの未婚男性を探すとなると、今までの “狩り場” で探すのはもう無理となる。新しい “未開拓地” に分け入って、 「異性としての魅力がないと放っておかれた男たち」 にターゲットを定めるしかない。
 そして、この 「永久不況」 の時代を生きていくには、 「それもやむなし」 と割り切る女性が増えていると聞く。
 
 これに関しては、時代が一巡したのかもしれない。
 
 かつて 「良縁」 は、共同体からもたらされるものであった。
 その昔、地域共同体や血縁共同体には、必ずその構成員のハブとなるようなオバさんがいて、婚期の遅れそうな男女にお見合いの世話をするのが当たり前だった。
 
 ところが、昭和30年代~40年代くらいの邦画やテレビドラマを見ていると、そういう見合いの評判が徐々に悪くなっていく様子が分かる。
 それらの映画やドラマに出てくるお見合い相手の男性は、必ずお金持ちだが、ケチで、見てくれも不細工であり、女の方は若くて美人だけど、貧乏だった。
 封建的な因習を嫌う “近代女性” は、そこに、自分の体と心が 「金で買われる」 というおぞましさを見た。
 
 そういう “刷り込み” が現実社会にも浸透していって、親が決めたお金持ちの男性とのお見合いを蹴って、金もない若い男性と駆け落ちするような女性が、実際にあちこちで現れるようになった。
 それは、 「恋愛」 と 「結婚」 が結びついて、 「恋愛結婚」 という言葉が生まれた時代だった。
 
 どうやら、それがまた一巡したように思える。
 今は、 「恋愛」 よりも、 「生活の安定」 の方の価値が高いと判断する女性の時代がまた巡ってきたように思う。
 
 で、このような “妥協” のような結婚の方が、案外うまく行くことが多い。
 最初から過度な期待を持たないために、一緒に生活していく過程で発見された 「相手の長所」 が、どんどん新鮮に見えてくることもあるからだ。
 
 
 さて。
 
 女性が 「婚活」 に活路を見出すもう一つの方法がある。
 それが、今までとは逆のケースの、 「年下婚」 。
 
 タレントのほしのあきが、騎手の三浦皇成と入籍したのは、ついこの前。
 ほしのあき34歳。
 三浦皇成21歳。
 その差は、13歳。
 
 その数ヶ月前ぐらいだったか、俳優の小雪が、8歳年下の俳優松山ケンイチと結婚していたことが報道された。
 
 体系だった資料に当たったわけではないが、あるネット情報によると、 「年上妻と若い夫」 の結婚件数は、40年前は 1割しかなかったそうだが、バブルが崩壊した90年代から増え始め、2011年では、4組に1組が 「姉さん女房」 。しかも、最近では、その妻と夫の年齢差はますます広がっているという。
 
 このように、年下の男性をターゲットにする女性たちというのは、何を考えているのか。
 
 「先行投資」 である。
 
 もちろん、年下の若い男性は、たいてい金を持っていない。
 さらに、社会経験も不足しているから、女性に対する “包容力” なども持ち合わせていないように見える。
 
 しかし、女性の社会進出が当たり前になり、男性社員よりも会社から評価されて、給料も保証されているような女性には、そんなことはあまり関係ない。
 
 それよりも、他の女性に影響されて、女性に対する変な先入観を持たれる前に、素性の良い男をゲットして、自分好みの夫に仕立てていく方が、彼女たちにとっては 「理想の家庭」 を築きやすい。そう考える女性が増えてきたという。
 
 そこには、最近の若い男性の生活感覚が変わってきているという背景が絡んでいる。
 
 ある女性に言わせると、
 「最近の若い男の子は、女性に対する依存度が低い。だから、自分の身の回りのことを自分で始末する習慣を身につけているし、家事でも育児でも、女性から言われる前に、自分から率先して行なおうとする」 … とか。
 
 つまり、バブル崩壊後、家父長的な空気を漂わす家庭が存在しなくなり、 “オヤジの権威” などにこだわらない男の子が増えたこと。また、ダブルインカム (共稼ぎ) が当たり前となり、身の回りの世話を母に頼らない子が増えたことなどが、女性に 「年下婚」 を見直すきっかけを与えたのだという。
 
 そうなると、年下男性は、共稼ぎなどを念頭に置くアラサー、アラフォーにとっては、実に都合が良い。
 日本の旦那たちは、これまで妻を母の代行と見なし、身の回りの世話などを妻に依存する傾向が強かったが、ここに来て、はじめて、家庭内における 「自立」 と 「協働」 を学んだ男性が日本にも現れるようになったのである。
 もちろん男が若ければ、女にとって、夜の夫婦生活における満足度も高い。
 
 こうして、
 「熟年男性と若い女性のカップル」
 「若い男性と熟女のカップル」
 … の両方が増加してきたわけだが、それぞれの女性たちには、それぞれ固有の悩みもあるようだ。
 
 まず、熟年男性を夫に迎えた女性は、
 「結婚して10年ぐらい経つと、自分の年齢に比べ、相手があまりにも老人臭く見えるようになってきて、それが生理的に耐えられなくなった」
 という。
 
 一方、若い男性を夫に迎えた女性は、
 「加齢によって自分の魅力が失われたときに、彼が他の若い女性に心を移さないか心配だ」
 という。
 
 それぞれの心配も分かるような気がする。
 
 しかし、これらの悩みは、別に 「年の差婚」 だけがもたらすものとはいえない。
 
 「相手の老人っぽいところが見えてきて、生理的に耐えられなくなってきた」 というのは、実は、年齢差とは関係ない。
 女性は、一度男性のことを 「イヤだな …」 と思うと、相手の何もかもがすべてイヤになるときがある。
 そのなかで、たまたま相手の 「老い」 が意識にのぼったというだけのことに過ぎない。
 
 また、 「男性が他の女性に関心を移す」 のも、妻の年齢とは関係ない。
 妻が若くて美人であっても、男は、他の女性に心を移すときは移してしまう。
 
 だから、 「年の差婚」 から派生する問題というのは、実は年代・世代を超えて、結婚した当事者同士を等しく襲う問題に過ぎない。
 
 そう考えると、 「年の差婚」 というのは、晩婚化、非婚化あるいは少子化などという社会問題に対して、人々が無意識に選んだ解決策なのかもしれない。
 世の中は、放っておいても、案外うまく回っていくように出来ている。
    
 

カテゴリー: コラム&エッセイ   パーマリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">