『ベスト・キッド』 ざんまい

 
 WOWOW で放映された映画 『ベスト・キッド』 三昧 (ざんまい) の休日だった。
 ラルフ・マッチオと、ノリユキ・パット・モリタが主役を演じた旧作も観たし、ジェイデン・スミスとジャッキー・チェンがコンビを組んだ新作も観た。
 
 好き好きはあろうが、 (個人の好みでいえば) 断然、2010年にリメークされた新作の方がいい。
 その理由は、主人公を演じたジェイデン・スミス (ウィル・スミスの実子) の可愛さに負うところが大きい。 
 
 
  
 新作に関しては、日本語吹き替え版と字幕スーパー版の両方を観たが、これは日本語吹き替え版の方がよかった。
 字幕版と比べるよく分かるのだが、かなり意訳した部分と、けっこう原語を直訳した部分とが混じっている。
 そのバランスが絶妙なのだ。
 つまり、原語のニュアンスが生かせる部分はけっこうストレートに訳し、原語どおりでは日本人に理解しづらい部分は、大胆に別の言葉に置き換えている。
 
 この訳者の配慮によって、新作 『ベスト・キッド』 の吹き替え版は、なかなか洒落た会話が横溢する質の高いエンターティメントになっていた。
 

 
 ストーリー展開は、アメリカ人の好む 「無の状態から精進を重ね、最後は栄光の頂点にたどり着く」 というパターンを踏襲したもの。
 『ロッキー』 以来のアメリカ的スポ根映画 … といってしまえば、それ以上の何ものでもないのだけど、そういう設定は、案外観客を泣かせるものなのだ。
 
 『ベスト・キッド』 でも、その基本構造は守られている。
 学校でいじめに出遭い、ボコボコやられっぱなしの少年が、カンフーを習って、最後は 「少年カンフー大会」 の会場で、宿敵の少年を破って、栄光をものにするという話。
 勝利の栄冠を手にするまでの過程が、同時に主人公の成長過程をなぞるという構造になっている。
 
 その主人公を、ジェイデン・スミスがまたなんとチャーミングに演じたことか。
 オヤジの指導力なのか、天性のものなのか分からないが、この子が演じる演技は、その表情、立ち居振る舞いすべてにおいて、現在のハリウッドスターの中でも一番の光彩を放っている。
 まるで、地上に舞い降りた “黒い天使” という感じなのだ。
 
 
 
 彼は、決して、ただボコボコやられるだけの惨めな少年ではない。
 けっこうわがまま。
 適度にいたずら好きだし、時には鼻持ちならない生意気さも発揮する。
 だけど、それがすべて少年の危うい自尊心から生まれてくるものだけに、観客は逆にハラハラする。
 「それ以上生意気にふるまうと、社会のしっぺ返しを喰らうぞ」
 と、少年のか細い身体を、そっと後ろから支えたくなってしまうのだ。
 一言でいうと、 “可愛い子” なのだ。
 
 その少年にカンフーを教えるのが、これまた見た目にはサエないマンションの管理人。
 その役を、往年のカンフー映画スターであるジャッキー・チェンが好演する。
 彼は、いつも世捨て人のような脱力感を漂わせ、もう20年くらい笑顔を忘れてしまったような敗残者の面影を背負っている。
 足が悪いのか、いつも心持ち足を引きずるように歩き、後ろから迫る自転車すら避けきれないのではないかという危うさを漂わせているのだ。


 
 傷つきやすい少年と、世捨て人のコンビ。
 その二人が、荒れ果てた庭の片隅や、自然の野山などで、手作りの教材を使いながら地味な訓練をスタートさせる。


 
 それに対し、ライバルとなる少年たちは、本格的な道場で、近代的なカンフーを学んでいる。
 彼らを指導するコーチは、 「冷酷非情」 に徹することが勝利への道であると生徒たちに教え込み、卑劣なルール違反を犯すことすら奨励する。
 
 “泣かせるストーリー” のお膳立てはそろったというところか。
 
 本当は、こういう “泣かせる話” は嫌いなのだ。
 “感動的な映画” というものは、実は、見え透いた 「物語の方程式」 を忠実になぞっているに過ぎない。
 ハリウッド映画は、すべてのパーツが計算づくで組み上げられている。
 つまり、どこで観客が感動し、どこで泣き、どこでカタルシスを得られるかという鉄板の法則を忠実になぞっているに過ぎない。
 
 いつかは、この方程式の構造を批判するつもりではあるけれど、とりあえず 『ベスト・キッド』 には泣いた。
 隣で見ていたカミさんに気づかれぬように、こみ上げてくる涙をそっとぬぐった。


 
 涙の理由は、ひとえに、ジェイデン・スミスの可愛さから来るものだ。
 だから、旧作の 『ベスト・キッド』 の方では泣かなかった。
 
 

カテゴリー: 映画&本   パーマリンク

『ベスト・キッド』 ざんまい への3件のコメント

  1. helen より:

    i love you jaden <3

  2. helen より:

    会いたい  話してみたい
     あたし今レッスンうけてるの タレントとモデルの!!!
     だから次日本来たとき絶対会いに行くからね
     あたしの名前覚えといてほしいな

  3. 町田 より:

    >helen さん、ようこそ。
    はて … 、あなた様は、どちら様でしょう?

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">