キャンピングカータイヤのバースト

 
 ついに、自分の乗っているキャンピングカーのタイヤがバーストするという経験を味わった。
 過去24年間キャンピングカーを乗り継いできて、いろいろなアクシデントやトラブルに見舞われたことあったが、実は、バーストだけははじめてなのだ。
 
 日中、炎天下の高速道路を走行中、左車線をノロノロ走る数台のトラックを追い抜こうとして加速した矢先だった。
 「ドン!」
 という鈍い衝撃音がして、重量物が地面に落下したような、 “引きずられる” 感覚が車体を貫いた。
 
 運良くクルマ 1 台分が停められる待避スペースが見えたので、そこまでゆっくりと走り、クルマを停めて下回りを覗いてみた。
 後輪ダブルタイヤの内側の一本が、ものの見事に “破裂” していた。
 
 が、そのまま走れないこともないのだ。
 現に、この待避スペースまで、 “おそるおそる…” とはいいつつも、実は普通に走ってきている。
 ダブルタイヤのありがたみというものを、はじめて実感した。
 
 かといって、そのまま走り続けることは危険すぎる。
 昔、トラックのドライバーから、「ダブルでも、1 本破裂したときは、次々と破裂するから気をつけた方がいい」 … という話を聞いたことがある。おそらく、ダブルタイヤのうち 1 本がバーストするということは、それと同じ時期に購入したものは、みな耐用年数が過ぎていると解釈していいということだろう。
 
 とりあえず、次の SA か PA に入り、カーナビで最寄りの 「タイヤ屋」 を検索し、携帯電話で問い合わせることにした。
 
 最初の 2 軒は、155/13 R というトラック用小径タイヤの在庫がないと断られた。
 3 軒目に電話した店には、それがあるという。
 
 ただ、そこまで距離が多少ある。
 最寄りのインターを降りて、さらに一般国道を走り、合計15~16kmほど走らなければならない。
 ダブルタイヤによってようやく荷重を分散して支えている後輪が、1 本だけでそれに耐えきれるのかどうか。
 破裂したタイヤ側のもう 1 本がイッてしまえば、今度こそ立ち往生。ヘタすると、追突事故など招いて大惨事。
 
 仮に、タイヤが持ったとしても、タイヤを支えるリヤアクスルなどの駆動系にはそうとう苛酷な負担をかけることになる。そっちの損傷における事故の危険性もけっこう高い。さらに、パンクしたタイヤが摩擦熱で炎上し、最悪の場合、エンジンルームにまで引火する … なんてことだって考えられないことはない。
 
 ま、それだけの危険を覚悟で、行けるところまで行くと開き直ることにした。
 
 で、結果的には、そのタイヤ屋さんまでは (運のいいことに) 制限速度内で普通に走って、普通に信号に止まり、普通に加速して、難なく逃げ込むことができた。
 
 
 
 「ま、ゴムの耐用年数が過ぎていたということでしょうね」
 と、新品と交換してくれたタイヤ屋さんはいう。
 
 「目視でははっきり見えないかもしれないが、よく見ると、細かいひび割れが出てきたり、ゴム成分も固くなってきている。替えどきが来ていたということですよ」
 
 
 
 タイヤの劣化をどこで見定めるかという問題は非常に難しい。
 ミゾが残っているかどうかというのは目安にならない。走行距離が出ていないクルマなら当然ミゾは減らない。
 しかし、タイヤのゴム成分には “賞味期限” があり、走らなくても、年月が経てばタイヤはどんどん劣化していく。
 
 実際、前輪は 3年ほど前に交換したものの、後輪は 4 本とも 7 年近く交換していなかった。キャンピングカーのタイヤは、3年毎ぐらいに交換するのが当たり前 … と言われてきたタイヤを、その 2 倍以上使ったのだから、いつ破裂してもおかしくはない状態だったのかもしれない。
 
 それでも、空気圧には敏感な方だったので、月に一度は近所の 「タイヤ館」 に寄ってエア圧をチェックしてもらい、減っている場合は窒素ガスを入れていた。
 
 「耐用年数からすると、そろそろ交換時期ですね」
 と、 「タイヤ館」 のスタッフには、かなり前から言われていたけれど、目視した限りにおいてはミゾもまだ残っているし、致命的といえるほどのヒビ割れも確認できないとも言われた。
 現に、バーストした 3 日前ぐらいにその店に行って、エア圧チェックをしてもらったばかりだったのだ。
 
 バーストしたことを機に、タイヤ屋さんやキャンピングカー業者さんに、タイヤに関する知識をいろいろと仕入れてみた。
 しかし、話す人によって、微妙に見解が異なる。
 
 まず、路面温度。
 これは、当然温度が上がっている方が、バーストが発生する率が高くなる。
 そう教えられてきたし、常識的にもそれが正しいように感じられる。熱によって、タイヤの内圧が上がるからだ。
 
 しかし、タイヤ屋さんの中には、「温度はあまり関係ない」 という人がいる。それよりも、ゴムの劣化、空気圧不足などから来る要因の方が大きいのではないかというのだ。
 それに対し、キャンピングカー屋さんは路面温度の上昇には気をつけた方がいいという意見でほぼ一致していた。統計的にみても、キャンピングカーの場合は特に夏場のバーストが多いとか。
 
 このあたりは、キャンピングカーのタイヤにかかる荷重の問題、さらにキャブコンなどの場合は、構造的に放熱しにくいものがあることなども関係してくるかもしれない。
 
 また、後輪ダブルタイヤの場合、内側のタイヤの方がバーストする率が高いという感想を持っているキャンピングカー屋さんが多かったが、タイヤ屋さんによると、特にそういうことはない … という。トラックなどのダブルタイヤでは、バースト発生率では内側も外側も変わらないとか。
 このあたりは、もう少し突っ込んで研究してみる必要がありそうだ。
 
 一口に 「バースト」 といっても、実はその発生原因を厳密に特定するのは難しいという話もある。
 あるビルダーさんが話してくれたが、お客さんのクルマで、買ったばかりの新品タイヤが、1年もしないうちに、2回もバーストしたことがあるとか。それも右側の前輪ばかり。かといって、シャシー側に、特に問題は見当たらない。
 
 「もしかしたら、そのクルマが、右の前輪だけに西日が強烈に当たるような場所に保管されていたとか、例えばそういうことなのかもしれない」
 という。
 
 そのビルダーさんは、キャンピングカーのタイヤについて注意しなければならない話として、こんなことを語ってくれた。
 
 「結局、ある程度の大きさのキャンピングカーともなると、お客さんも毎日運転するわけではない。場合によっては、盆暮れやゴールデンウィークに乗るだけで、それ以外は車庫に放りっぱなしの場合もあるだろう。
 それで、使うときにいきなり走り出そうとするのが間違い。保管している間に空気圧も減っていれば、タイヤそのものも変形している。
 それが、いきなり高速道路などに乗って、高回転で回り始めるわけだから、タイヤもかわいそう。
 だから、タイヤの空気圧チェックも含めて、1 ヶ月に 1 回ぐらいはエンジンをかけて、サラっと車庫の周辺を走ったりすることも必要なのではないかしら。
 それもできないというのであれば、せめて、2 週間に 1 回くらいはクルマの位置を20㎝でも、30㎝でも動かして、タイヤの接地面を変えてあげるとかね」
 
 ま、そういうことなんである。
 
 「それと…」 とといって、彼は少し声をひそめて、次のようなことを語った。
 
 「実は、キャンピングカー用のベースシャシーとしてメーカーが付けてきたタイヤは、コストを抑えるために、それほど丈夫なタイヤを付けてきているわけではない。専門的にいうと、プライ数が大きいものではない。
 もちろん数字上の安全性は確保できるものだが、できれば、早めに交換してしまった方が望ましい」
 
 だから、そのショップでは、お客さんに、それとなく 「最初のタイヤ交換は早めにしておいた方が安心できますよ」 と伝えているのだそうだ。
 
 タイヤの管理は怠ると大変なことになるが、自分自身で気をつけていれば大事故は未然に防げる。
 ちなみに、日本RV協会 (JRVA) では、タイヤ管理に関して、次のような呼びかけをしている。ご参考までに。
 
 http://www.jrva.com/jrvanews/2008/tire.html
 
 

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キャンピングカータイヤのバースト への6件のコメント

  1. タイムジャンクション より:

    キャンピングカーも普通車も、間違った扱い方でタイヤの寿命縮めている場合も多いですね。タイヤのゴム自体が小さな穴で呼吸しているので、そこにタイヤワックスぎとぎとに塗ったり泥だらけのまま乗っているだけでも賞味期限短くしています。

    • 町田 より:

      >タイムジャンクションさん、ようこそ。
      さすが専門家の方からの貴重なアドバイスありがとうございます。タイヤワックスがかえってタイヤの劣化を早めているという話はけっこう聞きますが、なるほど、「小さな穴で呼吸している」 ところを塞いでしまうからですね。
      タイヤはよく “生もの” と言われますが、まさに 「呼吸」 しているわけですね。
      また、いろいろと教えてください。
      TJ さんから頂くコメントは、楽しくて、ためになります。
       

  2. hoso より:

    私は未経験ですが、キャンピングカー乗り(自走)にとって、
    バーストは怖いです。
    夏はSAでタイヤを触ってみると、
    後輪が熱くなってるので、心配になります。
    リヤの加重を軽くしたいのですが、
    なかなか難しいです。

    • 町田 より:

      >Hoso さん、ようこそ。
      キャンピングカーは、タイヤにかかる荷重が普通の乗用車よりはるかに大きいため、タイヤへの負担も大きなものになりますね。バーストに関しては、普通のクルマよりも神経質にならざるを得ないことは明らかです。
      おっしゃるように、リヤ荷重を軽減することはなかなか難しいです。
      そのへんまで考慮して、重量配分の適正化を意識しながら設計されているクルマもありますが、すべてのキャンピングカーがそうだとは限りません。
      また、そこまで判断してキャンピングカーを買う人は少ないかもしれません。
      だから今乗っているクルマに関しては、重量のある不必要な装備品は極力抑えるとか、走行中の荷物を軽減するとか、タイヤ圧には常に気を配るとか、スピードを出しすぎないとか、そういう総合的な対処法を細かく積み重ねて行くしかないのかもしれませんね。
       

  3. 奥 有祐 より:

    実は、私もバースト経験者です。昨年の夏休み、福岡より富士山を見に行こうということで旅だったのですが、広島に入る手前でバースト!!その日はやはり猛暑!右後ろのタイヤで溝はまだ深く残っておりましたが、その溝の部分が帯状にきれいに剥がれおちてしまい、後にはワイヤーむき出しの丸い、まるで浮輪チューブのまま走っているという状態になりました。バースト時には、バリバリという衝撃音と同時にひどい蛇行をはじめ逆ハンドルを切りながら4~5回は横転しそうになりながらもなんとか持ち直し、路肩に停車することが出来ました。本当に生きているのが不思議な気がするくらいひどい蛇行でした。最寄りのタイヤショップで交換してもらい、旅行を続けましたが、一つ思い当たることはバーストの前に、ハンドルのブレがあったということです。タイヤは経年変化したタイヤは高速走行すると必ずと言っていいほどブレはじまるということです。溝の残りは関係しません!!私はたまたま運が良かったのだと思っています。長く乗ったタイヤでハンドルがブルブルとブレはじめたら迷わず即タイヤ交換をしてください。命あってのキャンピングカーライフですから!!

    • 町田 より:

      >奥 有祐さん、ようこそ。
      バースト体験の貴重なレポートありがとうございます。
      キャンピングカーに限らず、常日頃自動車に乗っている人ならば、誰でもバーストしたときの危険性を意識せざるをえないはずですが、自分で経験していないと、なかなかその怖さを実感できないように思います。
      そういうときに、奥さんのような体験者のコメントからはいろいろと学ばせてもらうことが多いです。
      キャンピングカーの場合、バーストが原因となった横転事故がけっこうあります。普通の乗用車よりも重心高の高いクルマが多いですから、バランスを崩しやすいんでしょうね。
      私も、これを機に、残りの後輪タイヤ3本すべて交換しました。
      おっしゃるとおり、「命あってのキャンピングカーライフ」 ですから。
       

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