深い言葉

 朝、なにげなくテレビのスイッチを入れたら、地震災害に見舞われた人が、焼け野原のような大地にたたずんで、インタビューに答えていた。

 津波で町全体が壊滅的な被害を受けた土地らしく、千人を超える遺体が発見された場所だという。
 報道記者の差し出すマイクに向かって、その人はこみ上げる悲しみに耐えかねたように、深くため息をついた。
 そして、泥と瓦礫に埋まった大地を見回してから、
 「自分には命があるから、まだいい。命さえあれば、あとはなんとかなる」 と答え、笑顔をつくった。

 重みのある “笑顔” だった。
 自分の持てるものをすべて失い、何人もの知人を失った、涙の果ての笑顔だったのだろう。
 その人たちの供養のためにも、 「自分は生き抜いてやる」 という覚悟の笑顔のような気がした。

 「命さえあれば、あとはなんとかなる」
 という言葉は、まだ何も失っていない自分を、打ちのめしたと同時に、励ました。

 たぶん、私には、その人の言葉の100分の1も実感できていない。
 過不足なくモノがあふれる時代を生きてきて、足りないものが出てくるたびに悲観的な未来を思い描いていた私には、まだこの言葉の持つ重みが “体感的” に把握できていない。
 しかし、その言葉の深さは分かる。
 心に残る言葉は、シンプルでも、その底は果てしなく深い。

東北地方太平洋沖地震

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深い言葉 への6件のコメント

  1. TOMY より:

    こんばんは、町田さん
    第二次世界大戦で完敗した日本。
    その後の復興には世界を驚かせました。
    GDPを押し上げ、世界に冠たる技術大国に日本を作り上げました。
    それは、我々の親達が頑張ったからです。
    日本人には計り知れない潜在能力があります。
    神戸の復興だって、予想を遥かに上回るスピードでした。
    見てろよ世界!
    日本人を甘く見るなよ!!
    東北人を甘く見るなよ!!!

  2. デルタリンク宮城 鈴木 より:

    町田さんこんにちは。地震後ずっとTVを見続けていますが、TVは相変わらずワイドショー的な報道のように感じています。石巻市の日赤赤十字病院に各TV局のメインとなるキャスターがきて報道しておりましたが、その近辺についてはなんら情報、報道をしておりません。石巻市は人口の7割に当たる10万人ほどが非難している状況にもかかわらずです。既にドキュメント風の番組を流している局さえあります。県内にいて、県内の情報が何も入っていないのが実情です。私の両親も石巻に住んでいますが、すんでいた場所の状況すらわかりません。昨日,石巻に住んでいる親戚とやっと連絡が取れましたが、自分のすんでいるところ以外はまるっきりどのようになっているかわからないとのことです。地域内での情報が入らない状況なので、TV、ラジオ以外に情報の入手方法がありませんが、今流れているTVを見てる限る期待は出来ません。

  3. 町田 より:

    >TOMYさん、ようこそ。
    いろいろな報道で、世界のメディアが日本をどのように見ているのかということが伝えられてきました。
    その多くは、「これだけの災害を被りながら、日本では暴動が起きていない」 とか、「民衆が秩序正しく行動を行なっている」 ということに感心しているものでした。
    それを聞いて、改めてびっくりしました。良い意味で “日本の常識は世界の非常識” だったんですね。
    そのことからも、道は厳しくとも、復興への足取りは力強いものになっていくように思いますし、またそう期待します。
    ただ、現在はまだ復興どころか、災難の救援すらおぼつかない状況です。被災地の方々を、どう助けていけるか。
    今後の復興が成功するかしなかは、そこにかかっているように思います。
     

  4. 町田 より:

    >鈴木様
    コメント拝読し、胸がつまりました。なんとお返事したらいいのか判らないくらい、言葉を失っています。
    私たちも、新しい地震情報を手に入れるためにはかなりテレビに頼っています。そのテレビが日が経つにつれワイドショー化していることは感じておりました。
    また、視聴者の多くが東京、神奈川などの大都市に集中しているせいか、現在の報道部の神経も 「福島県の放射能が東京に及ぶのか、どうか?」 というところに軸足を移しているようです。
    しかし、鈴木様のコメントを読み、現地のせっぱ詰まった状況を改めて認識いたしました。いまだご両親との連絡が取れないという状況、心苦しい胸のうちをご推察申し上げます。そのお苦しみに対し、被災地から遠いところでテレビ報道などを見ている私など、本当に、なんとお言葉をかけていいのやら検討もつきません。
    せめて、できる限りのことをいたします。
    どんなご支援が良いのか、遠慮なくご連絡ください。
    鈴木様のご両親の無事を、心からお祈り申し上げます。
     

  5. デルタリンク宮城 より:

    町田さん、ご心配ありがとうございます。先ほど弟より連絡が入り両親が無事避難所に避難している報告がありました。一安心です。展示場は原発より80km程離れています。こちらも気がかりです。かなりの人数の人が福島を離れているようです。展示場の前が国道6号線ですが、今日は上下線とも交通量が多かったです。下りは福島ナンバーが目立ちました。
    余震はTVではあまり報道されていませんが、体感で震度2から3の揺れが結構続いています。
    やっと先ほど安否情報の報道がされ始めました。
    自治体も被害の大きさについていけない状態のようです。

  6. 町田 より:

    >鈴木 様
    本当に良かったです! 我が事のように感じられるほどうれしい報告でした。
    しかし、まだまだ予断は許しませんね。
    東北地方は異例の寒さが到来とのこと。避難所の多くは暖房の燃料が枯渇という情報も聞きました。どうかお体を大切に。
    関東でも、相変わらず、夜になると立て続けに余震が襲ってきます。
    なんとか、これ以上の震災が拡大しないことを祈るばかりです。

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