AtoZ (エートゥゼット) 「バンビ」

 
 真後ろにエントランスドアを持ってきたキャブコンは、意外と少ない。
 トラックキャンパー (ピックアップキャビン) は例外なくこのスタイルだが、それはトラックの荷台にキャビンを積載するという性格上、必然的にその形を取らざるを得ないわけで、これは分かる。

 しかし、キャブコンになると、ほとんど見かけない。
 なんでだろう?
 … と思う。

 自分の乗っているキャンピングカーが、まさにこのバックエントランスモデル。
 それだけに、その使い勝手の良さは “折り紙付き” だと思うのだけれど、ごく少数のキャブコンを除くと、あまり “同士” がいない。
 だから、同じバックエントランスの仲間を見ると、それだけで、抱擁を交わして頬ずりしたくなる。

 このバックエントランスの利点は、レイアウトの自由度を生かしたスペース効率の良さにある。
 なにしろ、フロント側にせよ、リヤ側にせよ、サイドパネルにドアをつけると、ステップの面積も含め、それだけでデッドスペースが生まれる。

 それを解消するのがバックエントランス・スタイル。
 ドアをダイネットから遠ざけることによって、リビングに広がりを持たせることができるし、かなり長めのサイドソファーを置くことも可能だ。
 ボディ長のあるクルマなら、扉をどこに設けようが、室内のゆとりは確保できるだろうけれど、5m程度のキャブコンの場合、バックエントランスを実現することによって得られるダイネットの解放感は筆舌に尽くしがたい。

 もちろん、リヤ2段ベッドなどは組めないので、夫婦・親子がダイネットを崩さずに就寝するなどという芸当はできない。
 また、入口がオーニングの下に来ない … とか、リヤにサイクルキャリアが積めない…などというデメリットも生まれる。

 しかし、使っている自分から見ると、たいした問題じゃない。
 そのようなことよりも、ボディが小さくても広々したリビングが取れるということのメリットの方がよほど大きい。

 また、横側の扉がすべて開かないような狭い駐車スペースに押し込んだ時に、真後ろから出入りできるというのは、意外と便利なのだ。
 そんなわけで、バックエントランスの自分のクルマに無類の愛着を感じている私は、同じような設計思想のクルマに出会うと、やっぱりうれしい。
 「身内」 、ないしは 「仲間」 という意識が生まれる。
 その仲間の一人が、AtoZ (エートゥゼット) さんのバンビ。

バンビ5282

 同社は、すでにアミティRRで、このバックエントランスモデルを成功させている。
 ただ、さすがにボンゴのボディ長では、前向きシートを入れることはかなわず、サイドパネルを背にテーブルを挟むという変形ダイネットの形に収めた。

 もちろん、これはヨーロッパ高級車にもあるスタイルだから、広さは取れるし、ゆったり感も生まれる。
 しかし、基本的には横座りシートなので、 「夫婦2人用」 。家族が数人いた場合は、走行中には横座りで移動しなければならない人が出てくる。
 そこで、ボディ長にゆとりのある日産アトラスを使い、走行中は前向きになるセカンドシートを確保したのが、このアトラスベースのバンビなのだ。

バンビ5285
 
 よくできたクルマである。
 ダイネット周りの解放感を実現するために、縦方向に伸びる家具類を全部リヤ側の通路に振り分けて集中させた。

バンビ3748

 バックエントランスから入ると、右がカセットトイレの装着も可能なマルチルーム。
 左はクローゼット。
 クローゼットの隣には、引き出しに小分けされた室内収納が並ぶ。
 収納の上は、40リットル冷蔵庫。
 その上が電子レンジ。
 生活機能を全部リヤ側に回したので、ダイネットには、応接間的な 「ゆとり」 と 「贅沢さ」 が加わった。そのため 「リビング」 、あるいは 「サロン」 という言葉がふさわしい雰囲気が生まれている。

バンビ3763

 実は、このクルマには新しい試みがある。
 キッチン手前まで土足で上がっていけるように、床にFRP製のトレーが敷かれているのだ。
 これは、どうしても入口周りに広いステップと下駄箱を確保しづらいバックエントランスの弱点を補うもの。
 このFRP製トレーが、ちょうど家屋の “玄関” の役目を果たしており、そこが靴置き場となる。

 実は、私の場合はもっと徹底しており、通路は全部マットで埋めて、 「オール土足OK」 にした。自動車用ゴム製フロアマットを通路幅に合わせて切り、それをつなげたのだ。
 だから、バックドアから土足で入り、そのまま運転席に座って走り出すことができる。
 汚れたら洗えるので、少々泥のついた靴で上がっても犬がオシッコを漏らしても大丈夫。おかけで、マット下のカーペットは新品同様である。

 バンビの場合は、FRPトレーが冷蔵庫の先で途切れるが、野外から冷たい飲み物などを冷蔵庫に取りに入ったときなど、そこまでは土足で上がれる。
 同社はアミティRRにも、同様のトレーを開発したという。
 バンテックのコルド・ランディというキャブコンも、開発スタッフが “土間” と名づけるくらいの広々としたFRP製トレーをドア内側に設けている。

 このような 「土足OKスペース」 は、こらからじわじわっと日本のキャブコンにも広がっていくかもしれない。
 子供と犬がいれば、そういうスペースの 「ありがたみ」 も分かってくるからね。

 参考記事 「アレン」

カテゴリー: campingcar   パーマリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">