車中泊研究会

 
 道の駅での 「車中泊」 について、いろいろな角度から真摯に研究しようという動きが活発になっている。
 そのひとつとして、 「東北 『道の駅』 車中泊研究会」 という会が発足し、2010年のこの10月より、東北の道の駅における車中泊利用などの実態およびニーズを調査することになった。
 
 この会は、近年 「道の駅」 で増加している車中泊利用の長時間駐車やマナー違反などによるトラブルを防ぐため、利用者それぞれの実態とニーズ課題を把握し、提言として取りまとめるために発足したもの。
 その目的は、 「車中泊利用者のニーズ」 と 「道の駅としてできるサービス」 との融合を図るところにあり、疲弊が著しい地方経済の活性化を促進するために、 「車中泊利用者を周辺地域観光に誘導するなど、地域振興の方向性を検討する」 という最終着地点が想定されている。
 
 今回の調査の実施地域として選ばれたのは、
 1) 福島県いわき市 「道の駅・よつくら港」
 2) 山形県飯豊町 「道の駅・いいで」
 の2ヵ所。
 
道の駅いいで
 ▲ 道の駅いいで
 
 調査期間は、 「道の駅・いいで」 では10月8日 (金) ~17日 (日)、 「道の駅・よつくら港」 では10月22日 (金) ~31日 (日) が予定されている。
 期間内は、この両道の駅において、乗用車、キャンピングカー、事業用トラック等も含め、車中泊利用するドライバーへのアンケート調査や聞き込み調査が行なわれる。
 
 質問項目に関しては今後詳細が決定されるが、現在のところ 「車中泊するための目的」 、 「旅行人数」 、 「旅行日数」 、「今日の出発地」 、 「明日の目的地」 などを尋ねることが決まっている。
 また、そのような定型的な設問のほか、詳細を好意的に語ってくれる人の “ナマの声” も重視するらしく、立体的な奥行きを持つ調査結果が予想される。
 分析には、大学の研究機関や民間の研究機関、日本RV協会、道路行政・土木行政を担当する各省庁も関わる模様。
 そのような識者・専門家を交えた討議の末、来年 (2011年) 3月ぐらいまでに報告書がまとめられ、 「道の駅」 を利用する共通ルールの “ひな形” が作成されることになっている。
 
 現在、道の駅等の公共駐車場を利用した 「車中泊」 は大ブームとなっており、各メディアもそれに呼応して、その取材報道の件数も激増した。また、書店では 「車中泊」 スポットやノウハウを紹介する書籍や雑誌が一大コーナーを占める勢いとなっている。
 
 しかし、急増した 「車中泊」 の実態を、統一されたフォーマットで正確に調査する試みは今までなされたことがなかっただけに、その実態にメスを入れるこの調査は非常に有意義であるように思う。
 言葉を変えていえば、このような調査を必要とするほど車中泊ブームの “負の部分” も見えてきたということになる。
 
 ある道の駅の 「駅長」 さんによると、増え続ける車中泊利用者の中には、
 1) 大量のゴミを駐車スペースに置きっぱなしで去っていく人
 2) トイレ棟などの電源を利用 (盗電) して、炊飯器などを使う人
 3) 駐車スペースに堂々とテントを張ったり長椅子を出して寝てしまう人
 4) 駐車スペースで焚き火を行い、周辺を焦がしたりして破損させてしまう人
 …などがいるという。
 
 以上のような行動をとる人たちは、新規参入と思われる乗用車ユーザーに多く見られるが、キャンピングカーユーザーのマナーは比較的いいとか。
 
 道の駅の管理に携わる人たちを悩ませているのは、たとえマナーの悪い車中泊客によるトラブルが多発するようになっても、 「道の駅」 の登録・案内要項等には 「車中泊」 という概念に対する記載がないため、 「車中泊」 そのものを受け入れることも、受け入れ拒否もできないというところにある。
 
 このように、マナーやルールにおいてさまざまな問題が発生している車中泊だが、一方では、このブームが周辺地域の経済を活性化させるのではないかと期待する自治体や地方企業も多い。
 もし道の駅の利用者がそこで連泊するようになれば、物産展・レストランなどで消費される金額はどのくらいになるのか?
 また、そこから観光地や街中に繰り出す比率はどのくらいなのか?
 さらに、そのときに利用されるバス、電車等の2次交通使用率はどのくらいなのか?
 道の駅などを統括する管理者たちも、そこらあたりには敏感になっており、今回の調査でそれらの期待を満足させる結果が出れば、道の駅におけるキャンピングカーユーザーへのインフラ整備などにも具体的な動きが生まれる可能性は高い。
 
 漏れ聞くところによると、今回の社会調査を提案した 「全国車中泊研究会」 の鈴木あきら代表は、キャンピングカーオーナーとして各地を旅することを趣味としている人だという。
 会を発足させた背景には、快適なキャンピングカー旅行を実現するためのインフラ整備を目指したいという動機もあるとか。
 そして、それを実現するためには、まず車中泊の実態を把握し、それを分析しながら共通マナーを確立することが先決…というのが 「全国車中泊研究会」 の基本的スタンスであるとのこと。
 
 こういう動きは、ときに同時多発的に起きるものである。
 一般社団法人 日本RV協会においても、現在、各省庁、各自治体向けの 「キャンピングカーオーナー向けインフラ整備 (RVパーク構想) の提案」 がまとまりつつあり、すでに一部地域では試験的に協議が進められているという。
 
 同協会は、数年前から 『くるま旅マナーハンドブック』 や 『マナーステッカー』 の配布などを通じて、キャンピングカーユーザーが公共駐車場を使用する場合の共通ルールの確立を目指してきた。
 ある道の駅の駅長さんが口にした 「キャンピングカーユーザーは比較的マナーがいい」 という観察も、そのような背景が前提になっているのかもしれない。
 「車中泊研究会」 による社会調査や日本RV協会によるマナー啓蒙などによって、 「車中泊」 が日本の新しい旅行文化として成熟していくことに期待したい。
 
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