喫煙エリアの憂鬱

 2010年の10月から煙草が値上がりするという。
 愛煙家は、安いうちに備蓄しようとカートン買いに走っているが、これを機会に煙草を止めることを考えている人も相当数いるという。
 
 私は煙草を吸う。
 しかし、今後どうしようか … と思案中でもある。
 「健康のために禁煙する」 という考えはまったくない。
 小遣いを節約するために禁煙 … という気もない。
 
 ただ、電車や映画館の中とかカミさんが支配しているわが家のリビングなど、 “禁煙区域” で過ごしているときは、煙草を吸わなくてもまったく平気でいられることを考えると、自分では、 「煙草を止めるときは案外すんなり止めてしまうだろうな」 という気もしている。
 でも、まぁ、値上がりするまでは吸うつもりでいる。
 
 それにしても、都会では、急激に煙草を吸うスペースが消滅している。
 駅構内、ホテルの中、道路。
 すべて 「禁煙」 区域になってきた。
 煙草を吸わない方なら、 それを 「当然!」 と思われるだろうが、自分のようなヘビースモーカーにはちと辛い。
 都内での所用を済ませて、
 「さて、一服」
 となると、もうカフェの喫煙コーナーにでも入るしかない。
 
 ところが、こういう煙草好き人間にとってホッと一息つけるオアシスのような領域に、堂々と煙草を吸わない人たちが詰めかけて、その “貴重な?” なスペースを奪ったりすることがあるから、泣けてしまう。
 駅構内のスタンドカフェ。
 どう考えても煙草なんぞには縁もなさそうなオバサマ方が3人、こんもりした背中を寄せ合って、談笑にふけっている。
 
オバサマ方の背中
 
 ただでさえ、喫煙エリアは席数が少ない。
 しかも、狭いガラス張りの密室に押し込められて、息する空気も薄そうな密閉空間の中で、コーヒーカップを手に持ったまま、一服したいがために席の空くのを待っている “愛煙家” が大勢いるというのに、このオバサマ3人組は、まったく頓着する様子がないのだ。
 
 で、その隣の 「禁煙エリア」 はどうかというと、清々しい空気に満たされた席がガラ空き。
 そっちに行けばいいじゃん。
 だって、ここケムいでしょ?
 
 … と思わぬでもないのだが、オバサマ3人は 「ケムい」 という感覚すらマヒしているようなのだ。
 「アハハハ」
 「ヒャヒャヒャ」
 と、素敵なくらいに大きな口を開けて、他の客の吐く煙を吸引する 「清浄機」 の役目を引き受けている。
 
 早く席空けてくんないかな … と、しばらくコーヒーカップを手に持って立っていたけれど、彼女たちが立ち去る気配は一向にない。
 クリームソーダかコーヒーフロートか知らないけれど、とっくに中身の空いたグラスに今度は水を注ぎ、ストローでかき回して、コップにこびり付いたクリームを水に溶かして吸い上げ、甘さの余韻を楽しんでいる様子。
 
 心の中で、彼女たちにそっと尋ねる。
 「ここケムくない?」
 
 煙草を吸わない人にとって、密閉された喫煙エリアは、絵に描いたような劣悪な環境だと思うのだが、そこでも平然としていられるというのは、やはりすごいことかもしれない。
 オバサマ方の胆力恐るべし。

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喫煙エリアの憂鬱 への11件のコメント

  1. スパンキー より:

    同感。おばさまは夢中になると視野が狭くなります。回りが見えません。しかし、一端注意などするものなら、鉾先は一気にこちらに向き、「なんてここの空気は汚いのー!」とか、もう手に負えません。この傾向は、すでに10代から顕著な女性もおります。気をつけましょう!女性恐るべし。

  2.  煙草を吸わない人にとって、密閉された喫煙エリアは、絵に描いたような劣悪な環境だと思うのだが、そこでも平然としていられるというのは、やはりすごいことかもしれない。
     オバサマ方の胆力恐るべし。

  3. 町田 より:

    >スパンキーさん、ようこそ。
    確かに、オバサマが集まったときのパワーというのは、すごく熱量が多い…つまり高カロリー型のエネルギーが発生しているように感じますね。
    一人一人個別のときはそれほど感じないのですが、トークの大好きなオバサマが3人ぐらい集まると、そこから目に見えない高密度エネルギーが無尽蔵に空中に放出されていくのを感じるときがあります。
    …もったいないなぁ…とも。
    その高カロリー熱源って、このエコの時代に、何か有効活用できないものでしょうかね。
     

  4. TOMY より:

    健康とか節約ではなく、これだけ世の中が禁煙に走っている中で煙草を吸える環境を見つけることはかなり難しいと思います。確か、今年から湘南の海も禁煙になったと思います。昔は(私が20台のころですが)メンソールの煙草と夏の海はベストマッチでした。時代の変化に追従しましょうよ。10年くらい前は、私も酒を飲むとつい吸ってしまいましたが、今は煙草を止めましたというよりは、吸いたいと思いません。これは、もしかしたら歳のせいでしょうか?

  5. 町田 より:

    >TOMYさん、ようこそ。
    お久しぶりです。
    禁煙・喫煙というテーマは、それぞれの立場があって、一言で収めきれない微妙さがあるように思います。
    もちろん 「健康」 や 「環境」 にとって、煙草は害悪以外の何ものでもないわけで、吸っている人は、吸わない人に対する配慮というのは絶対必要ですね。
    だから、吸わない人に迷惑がかかっていないか。自分もそれには大変神経をつかっています。
    しかし、周りに人がいないとき、そして灰皿がある場所では、やはり吸ってしまいますね。
    それは、煙草と同時に消え行く 「文化」 みたいなものが、自分には惜しい感じがするからです。
    古いモノクロ時代の映画とか、昔の小説とか、煙草や煙草の煙は、登場人物のセリフよりも雄弁に、何事かを語っていたことがありました。
    気のせいでしょうが、煙草をやめてしまうと、雄弁に何事かを語っていたその 「何か」 が遠のいていってしまう感じがするのです。まぁ、ただのセンチメンタリズムだと思いますけどね。
    新しいものに敏感になれない年寄りの愚痴ですので、お目こぼしください。

  6. 旭川の自称美女 より:

    きつい言い方ですが、煙草はやめるべきです。私は小学生時代喫煙エリアのせいで不快な思いをしたことがあるのです。その気持ちを考えれば煙草などすえないはずです。
    また、薬物に手を出す前兆と呼ばれることもあります。田代さんみたいになりたくなければ喫煙はやめましょう。今回の田代さんの逮捕は薬物治療の難しさを語っていると思うので。

  7. 町田 より:

    >旭川の自称美女さん、ようこそ。
    >「きつい言い方」……いえいえ、ご忠告ありがとうございます。
    今回の煙草の値上がりは、喫煙者にとってひとつの潮時を考えさせるいいチャンスかもしれませんね。
    「煙草 → 健康を害する」 というキャンペーンを張りながら、それを国家が税収にしているという矛盾にはやはり納得できないものがあります。
    この件に関しては、やはり怒っています。
    そういう意味で、「やめてやる!」 という気持ちは確かにあるんです。
     

  8. kamado より:

    私も喫煙者です。
    止められないのか、止めないのか。
    >また、薬物に手を出す前兆と呼ばれることもあります。田代さんみたいになりたくなければ喫煙はやめましょう。今回の田代さんの逮捕は薬物治療の難しさを語っていると思うので。
    少し異論があります。
    ほんの少し。
    喫煙が薬物に手を出す前兆とのことですが、初めて聞きました。確かなデータがあるのでしょうか?
    そうであれば、薬物中毒者は今の数十倍か数百倍、もしかしたら数千倍にもなるのではと愚考いたします。勿論根拠はありませんが。
    禁煙をした友人に「お前は意志薄弱だ、世の中禁煙と言う風潮になるとすぐ尻馬に乗って禁煙をする、こちとらは意思が固いので」なんて煙に巻いていますが、そのうち禁酒法ならぬ禁煙法が・・・・
    もう少し喫煙弱者や少数派に暖かい眼差しをと云うのは無理なのでしょうね。
    町田さんと同様に神経を使って小さくなって吸っております。それでも人非人のように言われてしまうのですから。
    ですので、町田さんとは反対に禁煙法が成立するまで「やめないぞ!」なんて思う今日この頃です。

  9. 町田 より:

    >kamado さん、ようこそ。
    煙草の問題は、本当に難しいですね。基本的に、私は 「他人が迷惑と感じることだけはするまい」 という1点だけ守りたく思っています。
    ただそれも、ついつい周りに甘えてしまって、十分守れないときがあることを情けなく思ったりもしています。
    kamado さんがおっしゃることもよく分かります。
    まぁ、なんとなく思っていることなんですが、
     「喫煙者」 は病気。
     「反喫煙論」 は宗教。
     あまり、過激な感情論に走ることなく、ごく自然に本数が減っていって、気づいたら、いつの間にかやめていた…というのが自分の理想なんですけどね。
     

  10. kamado より:

    >「喫煙者」 は病気。
    「反喫煙論」 は宗教。
    座布団2枚!
    パソコンの前で煙草を吸いながら、「ああまた今日も○○本も吸ってしまった」と自己嫌悪に駆られるのです(冗談です)。
    一部の人が乱暴な振舞いをすると、○○人は××だ!と断定するように、一部の喫煙者の振舞いによって全喫煙者が人非人のように非難されてしまうのは理不尽ですね。
    そして、町田さんのお気持ちは良く分かりますが、他者に迷惑をかけないつもりでも、迷惑をかけないで生きることなど出来ないのだという現実をいつも思っています。別に喫煙の言い訳ではありません。
    異なる意見に同意できなくても、お互い尊重しあえたらよいですね。
    >あまり、過激な感情論に走ることなく、ごく自然に本数が減っていって、気づいたら、いつの間にかやめていた…というのが自分の理想なんですけどね。
    本当に、それができれば言う事なしですね。

  11. 町田 より:

    >kamado さん、ようこそ。
    >「一部の喫煙者の振る舞いによって、全喫煙者が人非人のように非難される」…という傾向は確かにありますね。煙草を吸える場所がどんどん縮小されてしまったのは、多分にそういうことが多かったからだろうと思います。
    だから、一時は、自分が喫煙者でありながら、平気で煙草をポイ捨てする人を本当に憎みました。
    「お前らのせいで、俺たちが煙草を吸いづらくなったんだぞ」と怒りを込めてにらんだこともあります。
    でも、今はそれほどでもありません。どんなに喫煙者がマナーを守ろうが、煙草を吸う場所がどんどん狭められていくのは、やはり時代の趨勢だと思うからです。
    そして、煙草で人に迷惑をかけないようになっても、人間はどこか別のところで、また別の迷惑をかけてしまう動物のようにも思います。そこは、まさにkamado さんのおっしゃるとおりですね。
     

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