車中泊ブームを考える

 東京駅前にある 「八重洲ブックセンター」 に行った。
 そこの地下には “アウトドア書籍コーナー” があって、キャンプ、ハイキング、山登りなどに関する雑誌、書籍、ムックがまとめて置かれている。
 
 そこに行けば必ずあるはずの 『ランドネ』 のバックナンバーを探しに行ったのだけど、いやぁ、アウトドアコーナーに足を止めてみて、ちょっと驚いた。
 
 いま、アウトドアの一番の目玉は “車中泊” なのだ!
 下りのエレベーターを下りたすぐ横、つまりアウトドア書籍コーナーの入口を堂々と飾るのは、八重洲出版さんの 『クルマ旅fan』 … 「車中泊で旅に出よう」 というムック。
 そして、日経MJに載った車中泊記事の紹介をはさみ、その隣りを飾っていたのが、わが 『キャンピングカースーパーガイド2010』 だった。
 
CSガイド2010表紙
 
 その2冊を筆頭に、そのコーナーには 「車中泊のコツ」 やら 「車中泊スポット」 などを紹介するあらゆる書籍がごっちゃと積まれていた。
 
 それにしても、メインに堂々と飾られたのがうちの本だということもあって、
 「こりゃうれしいね」
 と、棚をしげしげと見回し見ると、棚の一角に店員さんの手書きのキャッチが添えられているのを発見した。
 そこには、
 「キャンピングカーじゃなくても、普通のクルマで楽しめる車中泊…」
 みたいな文言が書かれているではないか。
 
 「おい、おい」
 そりゃそうだが ……。
 うれしさも半分になった。
 
 だって、そう書かれちゃうと、 「キャンピングカーまで必要ないのね」 と思う人だって出てくるわけじゃない?
 
 でも、まぁ、うちのムックをいちばん目立つところに掲げてくださった八重洲ブックセンターさんには御礼申し上げます。
 
 それにしても、 「車中泊」 に対するメディアの関心は日増しに高まっているようだ。
 (社) 日本RV協会 (JRVA) さんに聞くと、マスコミから一番多くかかってくる電話は 「車中泊」 に対する問い合わせだという。
 キャンピングカーは、確かに 「車内で寝られる」 ように設計されたクルマ。だから、単純に 「車中泊の理想形」 のように思われるのだろう。
 
 「車中泊を効率よく成功させるコツのようなものがあるんですか?」
 なんていう質問がよく寄せられるらしい。
 
 しかし、RV協会さん側は、そのような車中泊ブームを手放しで喜んでいるというわけでもなさそうだ。
 最大の懸念は 「マナー問題」 だという。
 増え続ける車中泊愛好者の中には、道の駅のような公共の駐車場で泊まるときのマナーを心がけない人も出てきたとか。
 
 週末などの混んでいる道の駅などで、堂々と椅子やテーブルまで広げてしまう人。
 エアコンなどを回すために、夜中までエンジンをかけっぱなしの人。
 家庭からの持ち出しゴミをどんどん投棄してしまう人。
 食べたカップ麺の残り汁を路上にぶちまけてしまう人。
 トイレの洗面所で、鍋や皿まで洗ってしまう人。
 トイレまで行かず、木の陰で用を済ませてしまう人。
 
 ごく一部だろうけれど、車中泊愛好者といわれる人の中には、そういう傍若無人の振る舞いをする人も混じっているという。
 
 そうなると、それを見かねて、 「車中泊禁止」 を打ち出す道の駅やSA・PAが出てこないとは限らないし、現に、すでにそれが実施された場所も出てきたという話も聞いた。
 
 もともと道の駅や高速道路のSA・PAの駐車場は 「宿泊施設」 ではない。
 あくまでも、ドライバーが 「休息する場所」 である。
 まぁ休息の中には “仮眠” も含まれるから、 「朝まで “仮眠” する」 ことだってありうる。
 
 そういうゆったりした解釈のもとで、道の駅などにおける車中泊が黙認されてきたという経緯がある。
 だから、マナーの悪いお客が増え続ければ、道の駅や高速道路の管理者はちゅうちょすることなく 「宿泊禁止命令」 を出すこともできるわけだ。
 
 そういうこともあって、RV協会さんとしては、キャンピングカーが宿泊する場所としては、キャンプ場か湯YOUパークのような 「車中泊が正規に認めている場所」 を推奨し、やむなく道の駅などで泊まるときは 「マナー遵守を心がけるように」 と、マナーリーフレットやステッカーなどを配布して啓蒙しているという。
 
高速道路のPAにおける車中泊
▲ 高速道路のPAにおける車中泊
 
 「車中泊」 ブームとどう向き合うか。
 キャンピングカー事業者たちによって構成される (社) 日本RV協会のなかでも、そういう議論が起こっているらしい。
 
 それはそうだろう。
 現在、ミニバンやワンボックスで車中泊している人は、将来のキャンピングカーユーザーに最も近い場所にいるように見えるからだ。
 
 しかし、一方で、現在の車中泊愛好家は、あくまでも普通乗用車で寝泊まりすることを楽しんでいる人々であって、機能としてのキャンピングカーを求めている人たちとは違うという意見もあるとか。
 
 判断は難しいところだ。
 車中泊している人たちには、いろんな考え方の人がいるだろうし、車中泊の目的も千差万別。だから、このブームの性格を一言でくくることは難しい。
 
 しかし、まぎれもなく、新しいことが今起こっている。
 「自動車旅行」 は、モータリーゼーションの黎明期からひとつの旅のスタイルを確立してきたが、それはホテル、旅館、モーテル、あるいはキャンプ場などといった宿泊場所と必ずセットになったものだった。
 クルマそのものが宿泊施設になるという発想が乗用車オーナーの隅々にまで浸透したのは、今回がはじめてといってもいい。
  
 ひょっとしたら、日本のモータリゼーション文化は、これから第2ラウンドを迎えるのかもしれない。
 
 
 関連記事 「車中泊の社会実験」
  

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車中泊ブームを考える への4件のコメント

  1. 刀猫 より:

    お元気になられた様で何よりです。
    この1~2年の車中泊ブームは凄いですよ
    連休中はローカルな道の駅でも車中泊車が
    何台も居ますし、人気の道の駅など夜中でも満車です。
    マナーの件ですが、この流行りで車中泊を始めた
    人たちにとってはテーブルを出して食事したり
    トイレで炊事する事が流行りの先端でカッコ良い
    事と思っているようです・・・
    キャンピングカーに乗られている多くの方々は、
    車中泊マナーについて考えられていると思いますが
    問題はこのブームでのミニバン乗用車の人達。
    啓蒙の手段が無いでしょ・・・
    究極の車中泊車としてキャンカーに乗り出した
    自分としては車中泊がこれ以上嫌われる事に
    なるなら降りるしかないかなと・・・
    あ、だから車中泊からキャンピングカーへ
    は潜在需要はありだと思います。

  2. いや~、期待せず、久しぶりに覗いてみたら
    復活してましたね。
     
    これからの楽しみが増えました。
    まだまだ残暑が厳しいですが、お身体に気を
    付けて、独り言をつぶやいて下さい。

  3. 町田 より:

    >刀猫さん、ようこそ。
    前にいただいたコメントに返信も差し上げず、申し訳ございませんでした。
    この夏の 「車中泊」 のブームはそんなにすごかったのですか。お盆休みはずっと家で静養していたため、外の空気は分かりませんでした。
    車中泊の時に、椅子・テーブルを車外に持ち出したり、トイレで炊事するというのは、人に迷惑のかからない場所ならいざしらず、混雑した観光地だと、やっぱりそれを見て快く思わない人は必ず出てくるでしょうね。
    そういう中で、 「やはりキャンピングカーの人はさすがに行儀がいい」 と思われないと、昔キャンピングカー泊を禁止した道の駅が出たように、今度も危ないかな…という心配が頭をもたげてしまいますね。
     

  4. 町田 より:

    >トスケン・ゴローさん、ようこそ。
    お気遣いいただき、ありがとうございます。
    夏のビックサイトのショー … 今回こそはお会いできるかな … と楽しみにしていたのですが、ちょうどその前に体調を崩してしまい、ショーそのものに出向くことができず、残念です。
    こちらもゴローさんのブログを楽しみにしております。
    お会いできる日がありましたら、よろしくお願いいたします。
     

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