日本のRVの歴史

 日本に、いつ 「キャンピングカー (RV) 」 なる乗り物が登場し、それがどのように発展していったか。
 それをまとめる仕事を始めて、2年が経過してしまった。
 決してのんびり構えていたわけではないのだが、いろいろな人に取材をして、それを原稿にまとめ、その内容が正しいかどうか再度チェックしてもらうという手順を踏まえていると、ついつい時間がかかってしまう。
 この間、取材させていただいた人々は20人以上に及ぶ。
 今も現役のビルダーの社長さんとして活躍されている人もいれば、すでにリタイヤされて、のんびりと余生を楽しんでおられる方もいる。
 ハンドメイドのキャンピングカーを造り続け、業界とは関係ないところでキャンピングカーの発展に寄与された方もいる。
 「当時のことはおぼろげながら覚えているものの、詳しいことは忘れてしまった」
 という人も多い。
 そういう場合は、年表や資料にも目を通してもらい、じっくりと時間をかけて思い出してもらう。
 なにしろ、国産初のキャンピングカーというものが生まれたのは、1950年代 (昭和30年代) のことだから、今から60年も前のことになる。
 その国産初のキャンピングカーに乗られた方は、すでに亡くなられており、その周辺で活躍され、そのデータを保存されている方々ももう60代~70代という歳になる。
エスカルゴ号001
▲ 国産初のキャンピングカーといわれる 「エスカルゴ号」
 「町田さんがこの資料をまとめておかなければ、貴重な証言が保存されないまま終わるところでしたね」
 取材させていただいた人の中には、そう励ましてくれる人もいた。
 乗用車の歴史をまとめるなら、各メーカーに資料が残っており、データを保存する公的機関もある。
 しかし、個人が手作りでキャンピングカーを造ってきた歴史の長い日本では、それを統括してまとめようとした機関もなく、当然、資料も少ない。
 実作に携わった人たちの証言だけが、唯一の貴重なデータとなる。
 最初は雲をつかむような状態だった。
 それでも、いろいろな証言が蓄積して、縦糸に横糸が絡まるように、徐々に立体化されてくると、おぼろげながらも 「日本のキャンピングカー史」 が浮かび上がるようになった。
 面白い発見がいくつもあった。
 日本のキャンピングカーは、60年代の後半から70年代のはじめに、ひとつの大きな盛り上がりを見せたにもかかわらず、石油ショックのせいで一気にしぼんでしまい、再び興隆するには10年のラグがあったことも分かった。
 その “空白の10年” を支えたものは、ひとつは、個人が自分の乗りたいものを好きなように造ったハンドメイドキャンピングカー。
 そしてもうひとつは、内装・外装をにぎやかにドレスアップしたバニングだった。
 日本のキャンピングカーは、この両者が絡み合い、刺激しあいながら発展してきたのである。
 そして、それらのクルマに、ひとつの理想像を与え、完成度を高めさせたのが輸入キャンピングカーだった。
 
 本書では、それらに携わるヒーローたちが登場する。
 たぶんその人たちが、日本のキャンピングカーを発展させた伝説の人物として記録されることになるのだろうし、そうあってほしいと思いつつ原稿を進めた。
 だから、堅苦しい表現はできるだけ避けて、そういう人たちの熱い思いがそのまま伝わるように、会話形式を重視した。
 「あれは、はっきりとは思い出せないんだけど、たぶん…」
 というような話し方になったときは、その言葉をそのまま使って臨場感を出すように工夫した。
 スタジオ録音ではなく、ライブの感覚。
 そのナマっぽい空気を読みとって、
 「面白かったから一気に読んでしまった」 と言ってくれた人もいた。
 
 すでに9割方のテキストを書き終え、今はその手直しと写真や資料の整理に取りかかったところだ。
 これが発表されるのは秋になると思うが、いまだに上手いタイトルが浮かばない。
 読んでくださった方の中には、 「物語」 という言葉を入れた方がいいという人もいれば、 「キャンピングカーというより、広い意味でのRVの歴史」 と謳った方がいいという人もいる。
 誰もが、 「自分の歩いてきた道のりが、ひとつの資料として後世に残ることを楽しみにしている」 という気持ちを抱いていることだけは伝わってきた。
 しかし、自分はこれを “プロトタイプ” だと思っている。
 この資料が刊行されることによって、ここに登場しない方々からも、さらなる証言や新事実が寄せられることになるだろう。
 そのような声をもう一度収録し、より完成度の高い資料としてまとめあげたときに、ようやく、どこに出しても恥ずかしくない “量産型” の資料が生まれるように思う。
 資料が完成して公開されたあとは、このブログにおいても、少しずつ連載するような形を取りたい。

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日本のRVの歴史 への2件のコメント

  1. TJ より:

    何でも始まりを探るのは難しいですよね♂定義があればそれに沿って判断できますが、黎明な時期の物は始まり、最初は『元祖』と『本家』みたいなものですよね。 それを集約すれば、“量産型” の元になるものがRVの歴史では始まりでしょうね!!
    競技でいうところの公式記録と非公式記録のようなものですね。

  2. 町田 より:

    >TJさん、ようこそ。
    日本で、手作りのキャンピングカーを作る人が登場してきた頃の話を聞くと、それを作った方々の目的は千差万別であったことが分かります。
    自然の姿をカメラに収めたかった人。絵を描くためのアトリエ代わりに使われた人。もちろん、スキーやキャンプを目的にされた方々もいらっしゃいました。
    だから、それぞれの目的に応じて、みな「元祖」であり、みな「本家」だったんですね。当然、公式記録も非公式記録も混在しています。
    その混沌たる状況が、またひとつの面白さに繋がっているのかもしれません。
    TJさんの扱われる旧車もそうでしょうけれど、何でも初期の頃のものというのは、ひとつの機能に特化していこうとするばするほど、逆にいろいろな可能性がそこから派生してくるという面白みがありますね。
     

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