RVってどうよ?

アメリカのRVリゾート01
 最近、キャンピングカーを販売している業者さんたちと話すときに、ときどき出てくるテーマのひとつに、
 「キャンピングカーって言葉に代わるものはないか?」
 というのがある。
 つまり 「キャンピングカー」 というと、 「ああ、キャンプするためのクルマね」 と短絡的に受け取られてしまい、キャンプそのものに興味のない人にそっぽを向かれるというのだ。
 ある販売店の人が、キャンピングカーとは関係ないイベント会場で、無差別に 「キャンピングカーに興味ありますか?」 と来場者に尋ねたところ、5人に2人が、 「俺、キャンプファイアーやバーベキューなんかしないもん」 と答えたという。
 要するに、 「キャンピングカー」 という響きから、キャンプファイアーやバーベキューしか連想しない人はいまだに多く、そういう人に限って、 「キャンプ」 というと、山に入ってタキギを集めたり、テントの周りに穴を掘るものだと思い込んでいるという。 
 確かに、キャンピングカーには、キャンプをするために適した装備を持つものが多い。
 しかし、今キャンピングカー業者さんたちが扱っているキャンピングカーというのは、キャンプだけでなく、普通のドライブも十分こなせるし、広い意味で  「旅をするクルマ」 になっている。
 そこのところをキャンプに関心のないお客さんにどう理解してもらえるか。
 それが、一部の業者さんたちの悩みのタネになっているらしい。
 彼らの話を聞いていると、 「キャンピングカー」 という言葉に、自分たちの扱うクルマのカテゴリーを十分に表現していないという “もどかしさ” を感じているという思いが伝わってくる。
 考えてみると、 「キャンピングカー」 という言葉を使うのは、世界の中でも日本だけである。英語文化圏でも 「キャンピングカー」 という言葉が通じるという人もいるが、用語としては、普及も定着もしていない。
 北米文化圏で、日本のキャンピングカーに相当するものを表現するときは 「レクリエーショナル・ビークル (RV) 」 を使うし、ヨーロッパではトレーラーを 「キャラバン」 、自走式を 「モーターキャラバン」 と呼び、いずれも 「キャンプ」 という概念に縛られてはいない。
 クルマに生活設備を積んで、野山で遊ぶことを先に覚えた欧米人に比べ、日本ではオートキャンプ場が整備されてからキャンピングカーが市販されるようになった。
 日本のキャンプ文化の礎が築かれようとしていた時代は、オートキャンプの発展に貢献した人たちと、キャンピングカーに関心を持つ人たちが重なっていたので、キャンプをより便利に楽しく経験するためのツールとして、キャンピングカーという存在はごく自然に認知されていった。
 しかし、欧米においては、キャンピングカーは必ずしも 「キャンプ」 だけを目的としたクルマではない。それは広い意味で、 「旅行のためのクルマ」 である。
 彼らも旅の宿泊場所としてはキャンプ場を使うのだが、キャンプ場そのものが、日本のキャンプ場とはひと味違っていて、キャンプそのものを目的とした場所というよりも、 「自動車旅行のための宿泊施設のひとつ」 という位置づけがなされており、建設される場所も、場内整備も、自動車旅行を前提とした造りになっている。
 私は、最近の日本のキャンプ場というのは、欧米並みの 「宿泊施設」 という条件を立派に満たすものが増えてきたと感じる。場内にお風呂や食堂を備えたところも多くなり、ひと昔前のキャンプ場が持っていた 「汗くさい」 「泥だらけになる」 というイメージとはかけ離れたスマートなキャンプ場が増えたと思う。
 しかし、ある人に言わせると、
 「それは町田さんがキャンプ場を知っているからですよ」
 ということになる。
 「キャンプ場を知らない人からすると、キャンプというのは虫やヘビが寄ってきても気にしない、タフな精神を持つ野人趣味の遊びに過ぎず、難行苦行をいとわない人たちのレジャーと思われてしまうんですよ」
 と、その人は語った。
 そして、結論として 「キャンピングカーという言葉は、野人趣味を持つタフな人たちの “暑苦しいクルマ” と思われがちだ」 という話になった。
 
 だからといって、キャンピングカーを別の言葉に置き換えようとしたとき、果たして何がいちばん適切なのか。
 その有効な答はない。
 「レジャーカー」
 「ピクニックカー」
 「プレジャーカー」
 などという言葉を唱える人もいるが、これほどまでに定着した 「キャンピングカー」 という言葉に、今すぐ取って代わるようにも思えない。
 そのことに気が付いた日本RV協会さんは、もう10年くらい前から 「旅ぐるま」 という言葉を考案して、それを普及させようとした。
 しかし、10年経った今も、キャンピングカーを 「旅ぐるま」 と言い換えている人は少ない。
 だったら、いっそのこと、北米風に 「RV」 といってしまうのはどうか。
 「RV」 という言葉は、レクリエーショナル・ビークル (recretional vehicle) の略で、 「休暇・楽しみのための自動車」 という意味を含み、バンコン、キャブコン、トレーラー、モーターホームすべてを包含する。
 まさにキャンピングカー業者さんの求める概念にぴたりとハマり、この言葉なら、欧米のみならず、世界に通用する。
 実は、キャンピングカーを欧米流に 「RV」 という言葉で表現しようという考え方は前からあった。
 しかし、それが定着しなかったのは、日本では、 「RV」 という言葉がランクル、パジェロなどのSUVやステーションワゴン、ミニバンを表現する言葉として定着し、本来の 「RV」 という概念からズレてしまっていたからだ。
 しかし、1990年代に流行ったような “RVブーム” も一段落し、 「RV」 という言葉から、クロカンタイプのSUVを連想する人たちも、だいぶ高齢化した。今やファミリーレジャーに使う乗用車としては、 「ミニバン」 という言葉の方が主流になり、今ちょうど 「RV」 という言葉が宙に浮き始めている。
 「RV」 という言葉の本来の意味を取り戻すのは、今がチャンスのような気がする。
 そう思いませんか?
 日本 “RV” 協会さん。
 関連記事 「RVって何のこと?」

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RVってどうよ? への6件のコメント

  1. 渡部竜生 より:

    いや、おっしゃる通り。
    私の拙い「セミナー」でも、キャンピングカーだからって”キャンプ”しなくてもいいんです!が、まず導入です。
    ただ、RVはどうなんでしょう?相変わらず報道ではRV車という表現は健在ですし、タイヤなど用品メーカーも「RV車用」なんて分類してますから。
    間違った意味(?)で定着してしまった名称を取り戻すのか、新しい名称を考えるのか…悩ましいところですね。

  2. ジョージ より:

    遠慮なくいわせていただくなら、町田さんも、業界用語に対するフェティシズムを捨て切れてないように思えます。
    「RV」といったって、女房子供はぴんと来ません。
    それならいっそ「トラベリングカー」でいいのではないか。これなら、女房子供にも通じる。
    「ツーリングカー」より、何かのどかな語感がある。外国ではこのことばにどんなイメージがあろうと知ったこっちゃない。「日本語」として定着させればいいのです。和製英語というか、あくまで日本語として定着させることができるかどうかが勝負です。
    「トラベリング・バンド」といえば、CCRの歌だったでしょうか。ちがったかな。うまく思い出せません。
    「トラベル」は、「トラブル」から来ているという説があります。旅では何かと不測の事態が起きる。
    しかし、さらにそのおおもとは「タブー」にあった、という説もあります。
    「タブー(禁忌)」、すなわち隠されてあるもの。その隠されてあるものを見つけてゆくのが「トラベル」。
    「タブー」と「たび」、似ていると思いませんか。
    旅は、日常生活に隠されてあるものを発見するイベントです。
    夫婦や家族の愛も、その隠されてあるもののひとつかもしれないし、あの山の向こうに隠されてあるものを見つけにゆくことでもある。
    「山のあなたの空遠く」にある「幸い」とか景色とかを見つけにゆくこと。
    まあ、人が旅に対して抱いているイメージの無意識、というところを、面倒でも分析しなおしてみる必要もないではないだろうと、思わないでもない、なあんて。

  3. 町田 より:

    >渡部竜生さん、ようこそ。
    「東京キャンピングカーショー」での渡部さんのセミナーを拝聴しました。
    初心者が知りたがっているところを適切に取り出し、分かりやすい言葉でとても面白く解説されていて、ほんとうに感心いたしました。
    キャンピングカーに関心を示す人たちが増えている時代に、このような適切な初心者用セミナーが開かれることは、とても意義のあることだと痛感しました。
    「RV」という言葉が、まだまだクロカン系SUVや、ミニバン、ステーションワゴン、1BOXカーなどを総称する呼称であるという通念は、確かにいまだ健在です。
    しかし、今のキャンピングカー業界がこぞって「RV」という呼称を使い始めれば、「RVとはキャンピングカーを中心とした旅のクルマの総称だ」という意識が、案外早く若い人たちの間には浸透してしまうのではないかという気もしています。
    それには、キャンピングカー専門誌を編集されるメディアの方々も、「キャンピングカー」という言葉を10使うところを、、そのうちの3~4ぐらい「RV」に置き換えて、徐々に読者に馴染ませていくという戦略も必要かもしれませんね。
    そうすれば、一般の報道でも、徐々に「キャンピングカー」という意味で「RV」を使う人が出てきそうに思えるのですが。

  4. 町田 より:

    >ジョージさん、ようこそ。
    面白いご意見、興味深く拝読いたしました。
    >「トラベル」が「トラブル」に通じ、さらに「タブー」に起源が求められ、「タブー」が日本語の「旅」にも近いというのは、確かに偶然の符号以上の結びつきが感じられて、面白い見方だと感心いたしました。
    旅とは「隠されたものを発見していくプロセス」であるというご意見は卓見であるように思えます。
    ただ、『世界ウルルン紀行』みたいな番組も普及して、この地球上に文化的なタブーを見つけるのもだんだん難しくなってきましたね。
    そういう時代には、今ある一見平凡な光景の中に「新しさ」を発見していくしかないように思うのです。その中で、ジョージさんがおっしゃるように、「夫婦や家族の愛」という発見もあるでしょう。素敵なご意見、勉強させていただきました。
    ただ「RV」という言葉は、国際規格にかなった言葉なので、本来の意味でこの言葉を普及させていくことは、そんなに難しくないように思います。
    今は、確かに「女性や子供」にはピンと来ない言葉かもしれませんが、女性や子供は感受性も鋭敏なので、「RV」という言葉に新しい意味を感じる度合いも、中高年の男性よりは高いのではないかという気がしています。
    ジョージさんのおっしゃる「トラベリングカー」もいい言葉です。RV協会さんの提唱する「旅ぐるま」にも近い感覚があるし、これも一般に定着しやすい言葉かもしれません。
    いずれにせよ、「キャンピングカー」という言葉を、どのような言葉に置き換えられるかということを議論するのは、キャンピングカーの認知度を高めるにはとてもいいことです。
    皆様も、どんどん新しい提案を提出してみてください。
     

  5. 福来たる より:

    はじめてですが、コメントさせて頂きます。
    いつも、ブログを楽しみにしております。(笑)
    私自身も「キャンピングカー」にはとても興味があるものの、「キャンプ」には全く興味がありません。
    ある程度調べていくと「キャンピングカー」と「キャンプ」は必ずしも結びつくものではない、ということが分かってきますが、例えば、家族からは、なぜ「キャンプ」嫌いなのに、「キャンピングカー」のことばかり調べているの? と言われます。
    多分、世間一般の人はこの感覚に近いのだと思います。
    そこで、キャンピングカーの呼び名についてですが、私的にはどうもRVは「SUV」というイメージになってしまい、キャンピングカーと別物の感じがしてしまいます。
    思い切って「キャンカー」ではどうでしょうか?
    キャンピングカーの短縮形ですが、語源のことを深く考えずに「キャンカー」という名前が定着すれば良いのでは?
    もちろん、完全な和製語ですが、「軽キャンカー」などもかなり市民権を得て来た単語だと思うので、そこから「キャンカー」ではいかがでしょうか?

  6. 町田 より:

    >福来たるさん、はじめまして。
    「キャンカー」 という言葉は使いやすいので、私もこのブログでは、特に軽自動車のキャンピングカーを中心に「キャンカー」と表現しておりました。
    実際にネットでは、かなりこの言葉を目にする機会が増えたと思います。
    しかし、専門誌や一般メディアにはなかなか浸透しないんですね。
    やはり、ある程度メディアの方々が意識的に採り上げてくれないと、用語というものはなかなか一般には認知されないようです。
    「キャンピングカー」という言葉が使いづらいという話はあちらこちらで聞くことがあるのですが、モノを書く立場からいうと、「キャンピングカー」という言葉自体が長いので使いづらいと思っています。
    それだけで8文字使います。
    実は、このホビダスのサイトでは、タイトルとして表示される文字数が8文字までなので、「キャンピングカー」という言葉を使うと、それだけでタイトルを独占してしまいます。
    「キャンピングカーの面白さ」などというタイトルのブログを書こうと思っても、このホビダスでは「キャンピングカー……」となってしまい、すべての文字が表示されません。
    そんなわけで、私個人としては 「RV」という言葉を使えば、タイトルに入れられる文字数がとても増えるので、ありがたいかな…と。
    まぁ、そんな個人的な思惑も絡んでいるのですが、「キャンカー」という言葉自体は、私も使っていますので、それも大いにアリ! とは思っています。
     

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