江戸再発見とRV

 
 「江戸時代」 が再び見直されている感じがする。
 『週刊文春』 の2009年 2月5日号を読んでいたら、「私の読書日記」 というコーナーで、フランス文学者の鹿島茂さんが、こんなことを書かれていた。
 
 「最近、(江戸時代の) 鎖国に興味を持ちだしたのだが、それには二つ理由がある。
 一つは、地球温暖化による水飢饉と干ばつで世界崩壊の兆しが見えてきた中で、日本は、鎖国の間、幕府の将来を見据えた指導によって持続性のある資源消費率を達成したことにより、エコロジー的な破産を免れたこと。
 つまり、鎖国体制は、水資源と森林資源の保存に与って力があったのである。
 もう一つは、グローバル経済の破綻で、貿易立国が成り立たなくなった以上は、自給自足を根幹とした一国経済を目指すほかなくなったこと。鎖国体制は、この意味でまたとない模範を示しているわけだ」
 
江戸日本橋の絵
 
 かつては、誰もが江戸時代の鎖国を 「日本の後進性と閉鎖性」 の元凶と捉えた。
 しかし、鹿島さんがいろいろ海外の研究を調査してみると、どうやら日本の 「鎖国」 というのは、金融危機やら環境対策が問題となる現代社会を考える場合、けっこう見直されるべきシステムであるらしい。
 
 また最近の研究においては、「鎖国時代」 の初期というのは、実は日本は貿易依存体質の国家であり、通常その言葉からイメージされる実態とはかなり異なっていたともいう。
 鎖国といっても、長崎の 「出島」 では中国・朝鮮を相手にした海外貿易が行われていた。
 ところが、この時に 「銀・銅という鉱物資源が流出し、日本の貿易収支が赤字になっていた」 とも。
 
 それを時の八代将軍吉宗が、輸入に頼っていた生糸や砂糖を国産化するなどして、国内産業を発達させる政策に舵を切った。
 そのおかげで、「国産品の品質・価格両面における国際競争力が上昇し、19世紀を迎えるころには、消費財の貿易依存体質から脱却することに成功した」 というのである。
 
 以上の説は、まったくの孫引きで、学者でもない私はことの真偽を確かめるほどの知識も教養もない。
 ただ何となく、「温暖化対策」 とか 「水・森林資源保護」 、「内需拡大」 などといった、いま日本が直面している課題を考えるヒントが、江戸期の鎖国体制にありそうな “気配” だけは感じとれる。
 
 こんなことが気になったのは、実はキャンピングカー業界でも、そのような問題に関心を持ち、自分なりにいろいろ考えている人たちが多いという事情があったからだ。
 まずRVランドの阿部和麿社長は、将来的な起こりそうな水飢饉や干ばつに備え、「農業の推進」 を提唱されて、業界でもいち早く農園づくりを始められた方だ。
 
阿部和麿代表
 
 阿部さんの “RVランドファーム” 計画は、キャンピングカーユーザーのクラインガルテンを開発するというビジネス戦略でもあるのだが、その視線は大胆なくらい遠くにまで及び、わが国の産業を興隆させる契機の一つとして、「農業立国」 という選択肢があることまで射程に入れている。
 
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 江戸時代が、持続性のある資源消費率を達成した時代であったことを評価しているのは、キャンピングカーランドの増田英樹社長だ。
 
キャンピングカーランド増田氏001
 
 彼は、西洋が産業資本主義を確立し、工業社会化していく過程で、石油資源への依存度を強め、結果的に資源の枯渇を招き、さらには二酸化炭素の排出を前提とした産業社会を造り上げてしまったこと反省すべきだと主張する。
 そして、それへのアンチテーゼを早くから提唱していたのが、江戸期の鎖国政策を切り盛りした徳川政権であったことに着目する。
 
 さらに彼は、いま未曾有の大不景気時代といわれる厳しい情勢の中で、江戸期の文化・伝統を見直すことで、そこから脱出する方向を模索しなければならないとし、その 「不況をチャンスに変える」 推進力となるものこそ、キャンピングカー (RV) 産業であるという。
 
 彼にとって、キャンピングカー産業の将来は、そのような問題意識をどれだけ関係者が自覚的に捉えるかどうかにかかってくる。
 このような人たちの話を聞いていると、なかなかキャンピングカー業界というのは 「英知の宝庫」 だという気もしてくる。
 幸い、お二方の談話をこのブログにて収録することができた。
 いま一度、ここに紹介してみたい。
 
 
 「RVランド式農業」 阿部和麿
  
 「不況時代のRV」  増田英樹
 

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