レインダンスが聞こえる

  
Jポップ・クリティーク 10  レインダンスが聞こえる
   
 こんばんは。町田でぇ~す。
 火曜日のJポップ・クリティークの時間がやってまいりました。
 
 早いものですね。
 11月ももう終わり。
 だんだん街のクリスマス・イルミネーションも増えてまいりまして、気分はもう年の瀬モードですね。
 紅白歌合戦の司会も決まったとかで、芸能界の話題もですねぇ、年末っぽくなってまいりました。
 
 忘年会のシーズンになりますと、昔はけっこうカラオケなどにも行っていたのですが、最近は “酒ざんまいの日々” も医者に止められるようになりまして、最近はホント、「思い出したように」 行く … というペースになっちゃいましたね。
 そんなわけで、新しい歌を知るのはテレビぐらいになっちゃいましたので、最近のJポップはさっぱり。
 
 んなわけで、ここで採りあげる曲も、どうしても、一番カラオケの現役をやっていた80年代までの曲が中心になっちゃいますね。
 ご容赦を。
 で、今回も80年代の曲ということで、吉川晃司さんの歌を採りあげてみようかと思っております。
 
吉川晃司ジャケ
 
 ええ、前回はですねぇ、バービー・ボーイズの 『チャンス到来』 と、ポリスの 『見つめていたい』 を聞き比べていただきまして、80年代の終わりごろからJポップのリズムパターンがものすごく “洋楽化” されてきたというお話をさせていただきましたけれど、今日はちょっとその続きのようなお話をいたします。
 
 前回もお話ししたと思うんですが、J ポップという言葉が生まれ、その概念が定着したのは、まさに80年代の終わりなんですね。
 それまでは、日本人のつくった現代的歌謡曲を表現する言葉として、「ニューミュージック」 などという言葉が使われておりました。
 さらに、大昔は 「和製ポップス」 なんて言葉も使われておりましたですね。
 
 で、「ニューミュージック」 なんですが、これは、70年代的なフォークブームと、その後のアイドルポップ路線が合わさったような音楽でありまして、曲調やアレンジは、都会的なポップ感覚に満ち溢れていながら、曲作りはアーチストが自分自身で手掛けるという意味で、フォークブームの延長でもあったという音楽なんですね。
 
 それが、いつ頃から 「J ポップ」 なる言葉にとって代わられるようになったのか。
 おそらくそこには、なんらかの大きな転換があったように思われます。
 どんな転換だったのか。
 
 リスナーの志向の変化、音楽産業の構造的変化など、いろいろな理由があるかとは思いますが、私めが考えるのはですねぇ、80年代に入って、「録音技術」 が急速に進歩したからではないか…というふうに考えております。
 
 というのは、1970年代の後半からですねぇ、音楽を録音するスタジオにおいて、「デジタル録音技術」 が導入されてきたんですね。
 
 それによってですねぇ、多重録音技術などもどんどん進んできまして、1980年代の終わり頃には、48トラックなどというオーバーダビングも可能になってきます。
 これなんか、ビートルズが最初にスタジオで録音した時などは2 トラックだったということを考えると、すごい時代の進化ですよね。
 それだけじゃないんですね。
 録音技術のデジタル化によってですねぇ、同じリズムが続くような曲では、最初に16小節だけのリズムセクションを用意しておけばですねぇ、後はそれを機械的につなげていくというような録音の仕方が可能になってきたんですね。
 
 こういうことが可能になっていくと …、たとえばですねぇ、洋楽のセンスがたっぷり盛り込まれているようなリズムセクションがワンセット用意されればですねぇ、それが使い回しできるようになってきたんですね。
 
 さらに 「リバーブ・シミュレーター」 などというデジタルオーディオ機材が発達してきましてですねぇ、カッコいい欧米の音がデジタル処理によって、簡単に真似することができるようになってきたわけです。
 
 今までは、海外のアーチストが出す音 …… ギターなり、ドラムスに関してですけれども…その音を真似するにはですねぇ、「チューニング」 というアナログな方法しかなかったわけです。
 
 たとえば、
 「ヴァンヘイレンは、ノーマルチューニングした後に、ギターの各弦を半音低くチューニングしている」
 とかですねぇ、
 「ローリングストーンズは演奏前に完璧なチューニングを施した後で、少しだけそれを狂わせて、ノイズィなサウンドをつくっている」
 これ、「バッドチューニング」 などという言葉と一緒に、一時 「神話」 になりましたね。
 … ホントかどうか分かりませんが、そんな逸話が、まことしやかに流行った時代がありました。
 
 で、このようにですねぇ、現代のようなサウンドエフェクトが発達していなかった昔はですねぇ、誰もが必死になって、海外の音楽ビデオなどを何度も巻き戻しながらチェックしてですねぇ、まぁ好きなミュージシャンの奏法やチューニングを盗んだわけですが、今は音響特性を簡単にコントロールするミキシング技術が相当発達いたしまして、誰もが簡単に原曲のイメージに近い音を出せるようになったわけであります。
 
 そんな例をひとつ取りあげて、聞き比べてみましょう。
 
RAINDANCEがきこえるジャケ
 
 まず最初に、吉川晃司さんが1985年にリリースした 『レインダンスがきこえる』 。
 次に、その歌のヒントになったと思われる、同年パワーステーションが海外でヒットさせた『サム・ライク・イット・ホット』。
 これを2曲続けて聞いてみたいと思います。
 
 では最初に、吉川晃司さんの 『RAIN-DANCE がきこえる』 を聞いてみてください。
 
▼ 『RAIN-DANCE がきこる』 (YOU TUBE より)

 ええ、いかがでしたでしょうか。
 では、次。
 パワーステーションの 『サム・ライク・イット・ホット』 をどうぞ。
 
▼ The Power Station 『Some Like It Hot』 ( YOU TUBE より)

   
 2曲続けてお聞きいただきましたが、ええ、この2曲が似ているのはですね、ともにリズムセクションがタイトで、しゃきっと決まっているところなんですね。
 これは、ドラムスの残響処理に、ゲートリバーブという手法が使われているわけなんです。それによって、カミナリのようにバシャコン! と響きわたる音が前面に出てきているわけなんですね。
 
 このゲートリバーブという手法は80年代初頭にけっこう流行りまして、それを意識的に全面に打ち出したパワーステーションは一時期、時代の寵児になっています。
 もともとこのパワーステーションというのはですねぇ、デュラン・デュランのメンバーの一部と、古くからヴォーカリストとして活躍したロバート・パーマーが一時的に組んだセッション用のバンドだったんですけれども、これが商業的に大ヒットしてですね、ロバート・パーマーの人気も復活したわけですね。
 
ロバート・パーマー1
 
 ええ、聞いてお分かりのように、非常にデジタルで人工的な音ができあがっておりまして、まぁ、当時の雰囲気というものをよくつかんでいるわけですが、それと同じ手法で音をまとめた吉川晃司サイドもですねぇ、なかなか負けない音を出していたように思います。
 
 で、このような進歩を遂げることによって、「J ポップ」 は初期の目的を遂げたように、私は感じております。
 どういうことかというと、1988年、J-WAVE のスタッフたちと、邦楽担当のスタッフたちが集まって 「洋楽っぽい邦楽」 をつくるという試み。
 つまりですねぇ、「日本人による洋楽」 を確立しようとしたしたもくろみ。
 そのもくろみは、今はもう完全に果たされたなぁ…と、私などは感じておりますね。
 サウンド的には、もう 「洋楽」 を聞く必要がなくなってきた。
 そんな思いすらいたします。
 
 だから、今の若い人たちにとって、「音楽」 といえば、ほとんどの人にとって 「邦楽」 を意味するようになったのではないでしょうかね。
 
 ただ、私めが考えるのは、このようにサウンド的な成熟を遂げたJポップスからですねぇ、抜け落ちたものがひとつあるように思います。
 
 それは 「歌詞」 の部分ですね。
 歌詞においては、むしろ多くの J ポップが昔より “後退” している。
 テキトーにノリのよい英語を交えた、単なる 「響き」 と化した歌詞か、あるいは誰も否定できない 「愛」 、「誠実」 、「優しさ」 などを無条件に歌い上げる歌詞。
 今のJ ポップの歌詞は、そのどちらかに集約されてきたような感じを受けます。
 歌詞の面白みがなければ、私はやっぱり洋楽を聞いていた方がいい…と、感じちゃいますけどね。
 
 ま、そんなことを言っているうちに、今日もまた時間となりました。
 それではみなさん、ごきげんよう。
 
 
J ポップ・クリティーク 「ひこうき雲 (松任谷由実は荒井由実を超えたか) 」
  
J ポップ・クリティーク 「チャンス到来」
   
 

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レインダンスが聞こえる への7件のコメント

  1. ミペット1号@試作品 より:

     こんにちは、なんか凄く懐かしい・・。ちょうどこのころ好きだったのが、A-HAで。
     ビートを効かしたダンス物よりも、どちらかというとメロディーラインが綺麗な物が大好きで。ちょうど、80年代は中高生でした。
     それで、墜落の話、おととい被害状況の把握に行って来ました。フロント周りは大きく大破していたけど、フレームは変形もなくて。
     でも、やはりすさまじい衝撃だったみたいで、大変なことになってました。

  2. たぬき より:

    初めまして。いつも楽しく読ませてもらってます。
    ゲートリバーブと言う言葉を町田さんのブログで目にするとは思っていませんでした。80年代、自分もアマチュアでドラムをやっており、レコーディングでいかにしてあの音を作れるかに一生懸命だった時期があります。当時はどうやったらあんな音がでるのか凄く疑問で色々と試しました。最終的に大枚ははたいてリバーブとゲイトを買いそろえた事を思い出します。
    ちなみにゲートリバーブを最初にやったのはあのフィルコリンズですね。

  3. ムーンライト より:

    またまた登場!新人DJ・ムーンライトです。
    登場したものの、先週の打ち上げのバーボンがまだ効いていまして。
    いや~、でも楽しかったですよ。
    町田さんとディレクターさんとの打ち上げ。
    でも、あのディレクターさんは随分と無口な方ですね・・・
    本当に街はクリスマス気分ですよね。
    クリスマスと言えば、私にとっては日本橋ロイヤルパークホテルでの大木トオル・クリスマスディナーショー。
    今年は40周年記念ショーなので、特にワクワク!
    そして今回は、人形町の洋食「そときち」でのランチもとっても楽しみ!
    チロリが老人養護施設で活動するきっかけになった○○○外吉さんという方がいます。
    (8月に放映された「アンビリバボー」でも紹介されました)
    美空ひばりさんが歌う筈だったCD「魂のかけら」を発見した日、この方のご家族が書いておられるブログも見つけました。国際セラピードック協会の大木トオル代表にはとても感謝しているそうです。(コメントもお読みください)
    http://sotokichi.blog36.fc2.com/blog-entry-13.html
    その「そときち」さんが11月27日にTBS「はなまるマーケット」で紹介されるそうなんです。
    http://sotokichi.blog36.fc2.com/blog-entry-90.html
    町田さん。ダイエットは順調のようですね。
    多忙の年末に備えて、体力のアップを!たまに分厚いお肉は如何ですか?
    「そときち」さん。実に美味しそうなんです!私。絶対、行こうと思っています。
    ビーフかつれつ、ポークカツ、トンカツ、・・・もう、迷っちゃって。

  4. ムーンライト より:

    訂正です。やっぱり、まだ酔ってる。(@_@;) 
    ポークカツ、トンカツ・・・? 同じですよね。
    ポークソテーの間違いです。
    限定10食のカツカレーもいいし、本当に迷っちゃ
    って・・・
    「そときち」さんのお客様で、ビーフかつれつにするか、ポークソテーにするか、迷ってしまい、「ビーフソテー!」と注文してしまったという方も。(笑)
    お客様がお書きになった記事(↓)。
    http://blog.goo.ne.jp/bays_star/e/1bad7358d06e4152646d4594fe11bda9
    http://blog.goo.ne.jp/bays_star/e/065bc1417d5675e30a89736c1b3c8995
    美味しそうです!
    このお店でランチをいただくために例年より早い飛行機を予約しました。
    今、店内にサイン入りの大木トオル・クリスマスディナーショーのポスターがはってあるそうです。

  5. 町田 より:

    >ミペット1号@試作品さん、ようこそ。
    フロント周りの大破はショックだったでしょうが、身体の方にはさほどダメッジがなかったようで少し安心しました。後遺症など残らないようにお祈り申し上げます。
    A-HAがお好きだったのですね。私も80年代にはよくFMなどでエアチェック (← 死語!) したものでした。「テイク・オン・ミー」 など結構流行りましたね。爽やかなヴォーカルが印象に残っています。
    洋楽にもなかなか強そうなミペットさん、またいろいろ勉強させてください。

  6. 町田 より:

    >たぬきさん、こちらこそ初めまして。
    私も、ほんのチョイだけでしたが、ドラムを叩いていた時期があります。チューニングすら無関心でいたドラマーだったので、たぬきさんのような本格派からコメントをいただくと恥ずかしい限りです。
    でも、あの時代、ゲートリバーブを利かせたドラムスというのは衝撃的でしたね。すごく “80年代っぽい” 音に思えたものでした。
    最初の試みたのはフィル・コリンズだったのですか。また、いろいろ教えてください。

  7. 町田 より:

    >ムーンライトさん、ようこそ。
    打ち上げは楽しかったですね。またのお越しをお待ちしております。
    今回の 「そときち」 さんの情報といい、前回の美空ひばりと大木さんのコラボの話といい、ムーンライトさんの情報アンテナの感度とその指向性の広さには、ホント脱帽するばかりです。
    アドレスを頼りに、いろいろな情報ソースに飛んでみました。
    どれも楽しい記事で、心がなごみました。
    トンカツ、ポークソティ等、豚系の食事が大好きなんです。
    「そときち」 さん、実においしそうですね。
    今度人形町に行く用事があるとき、私もまた訪ねてみようと思いました。
    音楽の話あり、グルメ情報ありで、ムーンライトさんのコメントにはいつも楽しませてもらっています。
    今回もありがとう。

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