最も寂しい風景

 
 アメリカ人とは、世界で最も寂しい風景を見てしまった最初のヨーロッパ人である。
 といった人がいた。
 確かに、写真や映画に登場するモニュメントバレーなどの景色を見ると、基本的に 「森の民族」 だったヨーロッパ人たちが、言葉を失ったのもよく分かる。
 
 世界のポピュラーミュージックの中で、「ロンリー」 とか 「ロンサム」 という言葉が最も多く使われるのもカントリー&ウエスタンだとか。
 
 「さびしい!」
 と恥かしげもなく、あっけらかんと訴えるアメリカ人のつぶやきには、大自然の中で孤立した人間の本源的な寂しさというものが秘められているのかもしれない。
 
 しかし、アメリカ人たちは、その 「寂しい景色」 が好きなようだ。
 実際にモニュメントバレーなどに行くと、アメリカ人ですら、「わぁおー!」 と叫んで、群がって写真を撮るという。
 映画 『駅馬車』 、『バックトゥー・ザ・フューチャーⅢ』 、『フォレストガンプ』 などにも、この風景はさんざん登場する。彼らの意識の中に刷り込まれた原風景なのだろう。
 
モニュメントバレー16
 
 確かにこの光景は、どこか荘厳だ。
 「自然の威容」 ともいうべき風格があって、 言葉本来の意味での 「スピリチュアル」 な美しさに満ちている。
 
 ずっと昔、片岡義男がコピーとナレーションを務めたカーオーディオ (パイオニア) の 「ロンサムカーボーイ」 のCMで、この風景が登場したとき、泣けた。 
 以来、この風景が自分の 「旅の原点」 となった。
 
 ドライブとは、音楽を楽しむ行為だ、という思い込みもそのときに生まれた。
 今回、そこを走る。
 カーラジオをつけっぱなしで走るつもりだけど、そのときどんな音楽が鳴っているのか。
 きっと、生涯忘れられない音楽になりそうだ。
 (じゃ、行ってきます)
 

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最も寂しい風景 への2件のコメント

  1. ムーンライト より:

    「北米大陸モーターホームの旅」
    もう、ご出発なさったのでしょうか?
    グランドキャニオンには行ったことがあります。
    でもそれは、団体・バス旅行でした。
    自分で運転する旅! いいですねっ。
    同じ風景を見ても、体に感じる思いは全く違うと思います。
    『社長失格』という本に、誘われてラスベガスへ行った話が出てきました。
    「飛行機で簡単に行けるのに、何故、延々何時間もレンタカーを連ねて!?」
    著者は、ハンドルを握りながら不審に思います。
    そして、荒野の中にラスベガスの眩い光が見えた時、「あ~!」と思うのです。
    町田さん、素晴らしい旅になることでしょう。
    お気をつけて。
    「北米・ドライブと音楽」の記事を楽しみにしております。

  2. 町田 より:

    >ムーンライトさん
    ゴメントを頂きながら、ずいぶん返事が遅くなって申し訳ございませんでした。
    やっと帰ってきました。
    「荒野の中にラスベガスの眩い光りが見えたとき、あ~っと思う…」 という話。まさに、あの街はワンダーランドですね。
    自分で運転した体験記、期待にそえるかどうか分かりませんが、これから少しずつ綴っていこうと思います。
    ムーンライトさんのように、実際にその場所を行かれた方のご感想もいただけると、勉強にもなるし、励みにもなります。

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