ケイタイの時代

 レンタルモーターホームで、アメリカを走る。
 出発は明日。
 ドコモショップに行って、海外で使えるケイタイ電話を借りてきた。
 メモリーを移植するのに、わずか10秒。
 いやはや、なんとも便利な世の中になったものだ。
携帯電話画像
 それにしても、近年こんなに普及した文明の利器というものは、他にないのではなかろうか。
 今の小学生の3割は、ケイタイ電話を持っているという。
 これが中学生になると、6割弱にまで跳ね上がる。
 彼らは、「食事中やだんらんのなかでも、ケイタイを手放すことができず」、「勉強中や授業中でも (友達からメールの返信が来るのか来ないのか) 気になって仕方がない」 という。
 この内閣府のデータを雑誌で紹介したコラムニストは、そのような状態を 「ケイタイ依存症」 として嘆いた。
 その著者が見るかぎり、ケイタイ電話がなければ、自己のアイデンティティすら獲得できない子供たちが増えつつあるという危惧が感じられたからだろう。
 確かに、ケイタイ電話の影響力って、大きい。
 パソコンの普及が人類に与えた影響なんて、軽く凌駕してしまう。
 パソコンは 「便利な道具」 。
 しかし、ケイタイは 「なくてはならない道具」 。
 その差は歴然としている。
 しかし、考えてみると、不思議だ。
 歩きながら、あるいは電車に揺られながら、何100kmと離れた人間と話したり、メッセージを送り合ったり、テレビを見たりというのは、20世紀に青春を送った人間たちにとってはホラーかファンタジーの出来事でしかなかった。(ファンタジーとは、いまだテクノロジーの進化によって実用化されないものの総称ともいえる)。
 20世紀の人間は、テクノロジーの力を借りて、目と耳の機能を、それ以前に暮らしていた人々の何千何万倍と容量アップした。
 
 たとえば電話。
 その機能を一言でいえば、
 「聴覚神経が、その人間の身体の外に飛び出した」
 といってもいい。
 つまり、聴覚をつかさどる神経細胞が人間の耳穴からヒュルヒュルと外に流れ出し、遠隔地にいる他者の神経細胞と、直接絡み合ってコミュニケートを果たす。
 それが 「電話による会話」 である。
 とはいいつつも、固定電話では、テクノロジーの力を借りてパワーアップした聴覚機能を発揮する場所も、家の中とか公衆電話に限定せざるを得なかった。
 ケイタイ電話は、さらにそこから一歩踏み出した。
 固定電話と違って、ケイタイは 「会話する場所」 を選ばない。
 「あなた、今どこをほっつき歩いているの? 夕ご飯が冷めないうちにとっと帰りなさい」
 “天からの声” は、突然下って、地に落ちる。
 居酒屋でクダを巻いているときに、突然天からメッセージが届くなどというのは、神に認められた予言者しか経験できなかったことなのだ。
 素朴に考えてみれば実に不思議なことだ。
 おそらく、ケイタイ電話が普及する前と今では、人間の感受性や思想は大きく変わっているはずである。我々がそれに気づかないのは、ケイタイ電話が普及しすぎて、生活の中にどっぷり溶け込んでしまったからだ。
 しかし、遠い将来、長期スパンで時代の流れを眺めるようになった未来の人間たちは、こういうだろう。
 「人類の文明史には、大きな転換点が二つありました。新石器時代とケイタイ時代です」
 「ケイタイ時代」 が、将来の人類にとって、良い響きの言葉として伝わっていくことを祈りたい。

カテゴリー: コラム&エッセイ   パーマリンク

ケイタイの時代 への4件のコメント

  1. テスト

    携帯からのてすと。あ~この携帯のカメラ30万画素でどうかと思っていたら、Lサイズでも写真小さいですね!!でも、上手く使えば大丈夫かな!?携帯電話で海外からのブログ投稿試してみます^^

  2. ロス

    ロスに着きました。まだ13日の午後3時になるところです!

  3. TJ より:

    町田さん携帯アドレス登録でホビダスに投稿できるので日々のレポートしてください!!

  4. 町田 より:

    >TJさん
    参考になるトラックバックありがとうございます。
    そうか…携帯から投稿。考えていなかったなぁ。
    トライしてみます。
    でも、景色に見とれて忘れちゃうかもしれません。
    帰ってきたら、まとまったレポートを書くつもりです。

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