アトランティス2007(日産ピーズフィールドクラフト)

お勧めキャンカー16「ATLANTIS

 日産ピーズフィールドクラフトの野望。

 新型アトラスをベースにした「アトランティス」というクルマを見ていたら、ふとそんな言葉が浮かんだ。
 
 「野望」などという言葉を使うと、何やら下品でワルっぽいイメージを抱く人がいるかもしれない。
 しかし、「野望」は「希望」のスケールがでっかくなった時の言葉である。
 「希望」が口を開けて待つものだとしたら、「野望」は自ら進んで取りに行くものだ。
 カッコいい言葉なんである。

 KOEIの戦国時代ゲーム『信長の野望』が変らぬ人気を集めているのは、それが「野望」だからだ。
 『信長の希望』だったら、きっと誰も遊ばないだろう。
 
 で、ピーズさんの野望。
 アトランティスを引っさげて、お台場のショーに乗り込んできた日産ピーズさんには、
 「やがて、国産キャブコンのアタマを取ってやる!」
 ぐらいの気迫が感じられた。
 

 
 なにしろ、ベース車のニューアトラスは、この7月にリリースされたばかり。
 それが10月末の「東京トラックショー」では、もうシェルを積んだキャブコンの形でデビューしている。
 開発期間は、正味2ヶ月ほど。
 この異例の開発スピードは、このクルマが、実はそうとう前から密かに企画されていたことを物語っている。
 そうでなければ、あれほどの完成度の高さは生まれない。
  「これがキャブコンの初挑戦? ウソでしょ?」
 と言いたくなるほどだ。
 
 開発担当者の畑中一夫取締役に、そこのところを聞いてみた。
 「すでに3年ほど前からの構想だった」
 という。

 
 
 今までのピーズクラフトさんの開発するクルマは、キャラバンやセレナをベースに、簡易的な装備を組み込んだライトキャンパー的なものが多かった。
 「しかし、いつかはキャブコンからバンコンまでを揃える総合メーカーとして名乗りを挙げたい。それも、カムロードやハイエースが主流の国産キャンピングカーシーンにおいて、日産ベース車の凄さをキャンピングカーの分野で訴えたい」
 そういう畑中さんの気持ちは、すでに3年ぐらい前に固まっていた。
 
 あの世評の高いキャラバンベースのバンコン「グルーヴィー」も、ある意味で、このアトランティスを開発するための準備だったという。
 グルーヴィーのような本格的な家具を搭載するキャンピングカーを、どこまで緻密に仕上げることができるか。
 
 その正否が、次のジャンプの距離を決める。
 畑中さんは、それに賭けた。
 幸いなことに、グルーヴィーの成功は、このアトランティスの開発を自信をもって進めることにつながった。
 

 
 実際、このアトランティスを眺めていると新鮮だ。
 あきらかに、カムロードとは違うたたずまいのキャブコンが生まれている。
 ベース車自体にエッジが立っている。
 それに合わせて、シェルも、スクエアなフォルムに凛々しさを湛えたバランスの良いデザインにまとまっている。
 
 全長は4.96m。全幅1.96m。
 5m×2mの規格をわずかに縮め、取り回しの良さを追求している。
 ターニングサークルは4.4m。
 これは、日産車でいえばキューブの回転半径だ。
 小回りの利くキャブコンであることが、それからも分かる。
 
 エンジンは2リッターのガソリンと、3リッターのディーゼルターボ。新長期排ガス規制をクリアしたものだ。
 特にディーゼル車は、時速100~120㎞ぐらいの巡航速度で走っていても、そこからスロットルを踏み込めば、さらに力強く加速していくというから頼もしい。
 カムロードのように、キャンパーシャシーが開発されているわけではないので、ワイドトレッドのような設定はない。
  
 しかし、リヤサスペンションには、耐過重性を強化した重荷重サスペンションの設定がある。
 「ちょっと、今の国産車の主流シャシーでは太刀打ちできないほどの素晴らしいコーナリングですよ」
 と、暗にカムロードを指しているのか、畑中さんは胸を張る。
 このあたりは、まだ試していないので、まぁ、言葉を信じよう。
 
 室内レイアウトは、オーソドックス路線。
 対面ダイネットにリヤ2段ベッド。
 それによって、7人乗車の7人就寝が実現されている。
 

 
 最初のキャブコンなので、奇をてらうより、いちばん需要の多いところを狙ったとのこと。
 「どこにでもある定番レイアウトのなかで、いかにピーズクラフトらしさを出すか」
 それが最大の課題だったとも。
 
 勝負ポイントのひとつは質感。
 樺(かば)の天然木を使った木工家具は、造りの精度の高さ、仕上げの緻密さで上級キャブコンとしての貫禄は十分だ。
 シート地は、大胆なチェーン柄で、オレンジの縁取りが回っている。
 派手だ。
 しかし、楽しい。
 
 エントランスドアを開けて、中を覗き込んだだけで、このクルマの放つ強烈な個性が目を捉えて離さない。
 イベントで展示されたとき、きっとこの柄を記憶にとどめる見学者は多いことだろう。
 

 勝負ポイントの二つ目は、きめ細やかな「便利装備」。
 たとえば、エントランス脇に設定されている傘立て。
 単座シートの上に展開できるフライングテーブル。
 電子レンジの専用スペースも、あらかじめ寸法取りをされた上でギャレー上に設定されている。
 プロトタイプに近いモデルなので、シンクなどはさらに使い勝手をよくしたツインバーナー一体型のものに変更されるという。
 

 
 エクステリアの話に戻るが、スカート部ももう少し短く切られて、段差のある路面をまたいでも擦らない形状のものに変更される予定。
 いくつかの改良点は出るようだが、基本形は完成の域に達している。
 これなら、熟成するのも早いはずだ。
 今後パリエーションが追加されるようになってくれば、カムロード系キャブコン勢もうかうかしてはいられない。
 
 アトランティスの完成度を見て、すでに、新型アトラスに注目しているビルダーは多い。
 おりしも、ベース車としてはライバルに当たるカムロードもモデルチェンジを遂げたばかり。
 日産アトラス VS トヨタカムロード。
 この対決が、国産キャブコンシーンに新しい刺激を与えてくれることは間違いないだろう。

 ちなみに、アトランティスのお値段は、
 2WD 2000cc ガソリン 5AT 5,480,000円。
 2WD 3000cc ディーゼルターボ 6AMT 5,860,000円。
 
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アトランティス2007(日産ピーズフィールドクラフト) への2件のコメント

  1. matsumoto より:

    新型アトラス、ホントいい顔していますね。個人的には大好きです。エッジが立っている。ホントにキリリとした感じ。セダンとかスポーティカーと違うんだから目一杯スペース効率考えました的な割り切りがいいですね。
    欲しいのはやはりリアをワイドトレッドにしてなおかつダブルタイヤ仕様。これでカムロードにがっぷりよつ以上になるはず。ライバルができるとお互いに向上する力が働く、本気でアトラスがキャンピングカーベースを狙ってくると業界全体がおもしろくなるでしょうね。

  2. 町田 より:

    >matsumotoさん
    新型アトラスは本当に魅力的ですね。インパネあたりもトラックっぽいところが払拭されて、かなり洗練されています。
    リヤにも1万5~6千円…だったかな? そのぐらいの加算で、重荷重サスが設定してもらえるようですし、場合によっては増しリーフ、あるいはエアサスの装着などで、さらに安定性を向上させる余地があるようですね。
    まぁ、ワイドトレッドは欲しいところですが…。
    ベースシャシーが増えることは、ユーザーにとっても選択の余地が広がるわけで、おっしゃるように、>「業界全体が面白くなる」きっかけになるでしょうね。

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