吉田隆志さんによる米国キャンピングカー事情

 
 フォトジャーナリストの吉田隆志さんとお会いする機会があった。
 このホビダスのサイトでもブログを綴られている motor-home さんのご紹介によるものである。
 
 といっても、私は単なるヤジウマ。
 motor-homeさんと吉田さんの打ち合わせの席に、ただ 「面白そうだから」 という理由で、同席させていただいたに過ぎない。
 
 吉田隆志さんは、30年にわたって、アメリカ人の生活や自然を写真に撮り続けてこられた方である。
 

 
 撮影のために、1ヶ月に及ぶキャンピングカー旅行を年に幾度となく経験され、乗りつぶしたキャンピングカーや乗用車も6台に及ぶという。
 その吉田さんが、ご自分の名刺を見せるようにカバンから取り出されたのが、下の本。

 それを見て、思わず声が出た。
 「あっ! これ持ってます!」
 『アメリカン・キャンピング』 (1989年 辰巳出版発行)
 キャンピングカーの仕事を始めた頃の私の愛読書であった。
 
 エアストリームの大会を中心に、アメリカ人のキャンプライフやモーターホーム事情を美しいグラビアで紹介した、当時としては貴重なキャンピングカー書籍で、私はそこに掲載された写真を、ため息をつきながら眺め、そして、そこに書かれた記事を参考に、自分の記事を構成したりしていた。
 

 よもや目のまえにいる方が、その著者だったとは!
 失礼ながら、うかつにもそのことに気づかなかった。
 事前に気づいていれば、自分が所有しているその本を持参して、サインをもらっていたものを…。
 悔やまれてならない。
 
 この 『アメリカン・キャンピング』 という本は、海外のキャンピングカーを紹介したものとしては古典的な名著に入る。
 当時も、そして今も、いまだにこれを超えるアメリカのキャンピングカーを紹介した本を、私は知らない。
 
 その本で紹介されている当時の話題の人気車種は、ウィネベーゴの 「レシャロ」 。クラスCのカットウェイシャシーは、どれもフロントグリルが真四角の3代前のエコノライン。輸出用ハイラックスをベースにしたマイクロミニが全盛を誇っていたことを物語る写真もある。
 
 写真に撮られた自走式モーターホームは、今となっては古色蒼然としたものばかりだが、面白いことに、エアストリームのたたずまいだけは、今も基本的に変らない。
 

 そのエアストリームを米国で所有するただ一人の日本人メンバーとして、吉田さんは 「ワーリー・バイアム・キャラバン・クラブ・インターナショナル (WBCCI) 」 の大会に参加した経験を持っている。
 
 ちなみに、彼の会員ナンバーは27160.
 栄えある日本人メンバーとして誇れるナンバーだ。
 
 「人との交流なくして旅行なし」
 と、吉田さんは語る。
 旅の楽しさは、なによりも現地の人たちとの触れ合いがもたらすもの、という信念を吉田さんは持っている。
 「それにはキャンプしかない」 という。
 ホテルでは、隣人と話したくても、いきなり相手の部屋をノックするわけにもいかない。せいぜい出会い頭に、微笑みを交わすのが関の山だ。
 
 しかし、アメリカのキャンプでは、見ず知らずの人同士が声をかけ合うことが礼儀。
 お互いのモーターホームに誘い合って、ディナーをともにし、酒を酌み交わし、情報交換を行う。
 
 吉田さんは、それを繰り返すことで、アメリカ人とアメリカ文化を、どの日本人よりも深く知ることになった。
 
 「キャンプを楽しむアメリカ人を知るたびに、彼らのたくましい行動力とスケールの大きい生き方に半ば圧倒され、感動し、勉強させられた」 という。
 
 吉田さんは、現在キャンピングカーを使った海外旅行クラブ組織を運営する計画を練っている。
 
 「もっと多くの日本人にアメリカを見てほしい。それにはキャンピングカーの旅が一番!」
 吉田さんの信念は一貫して変らないようだ。
 
 この日、私たちが落ち合った東京・帝国ホテルのラウンジには、もう一人の憧れの人が来ていた。
 塩野七生さん
 私が、吉田さんの話を夢中になって聞いていた席から、わずか5mほど先に、塩野さんも私に背を向けて、出版社の取材を受けていた。
 

 15~16年ぐらい前か。
 やはりこのホテルのロビーで、私は塩野さんと落ち合い、ある雑誌の対談の打ち合わせをしたことがある。
 そのときは、一番好きだった 『愛の年代記』 という短編集を持参して、表紙の裏にサインをもらった。
 
 「サインなんて、意味がないのに…」
 と、塩野さんは苦笑いを浮かべながらも、快くペンを走らせてくれた。
 
 そんなことが懐かしく思い出された。
 憧れの人に、同時に2人も会えるなんて。
 なんとも贅沢な1日だった。
 
エアストリームネタ 「エアストリーム話」
  

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吉田隆志さんによる米国キャンピングカー事情 への4件のコメント

  1. ブタイチ より:

    おもしろい素敵な人がいるんですね~。
    さぞや共通の話題で、すばらしいひと時だったのでしょう。自分も同席したかったぐらいです(笑)。
    町田さんのブログでキャンピングカーの現状を勉強させてもらっていますが…やっぱり、自分は、吉田さんのご
    意見に一番素直に共感できますね(笑)!

  2. 町田 より:

    >ブタイチさん
    もし吉田さんとの座談の席にブタイチさんがいらっしゃったら、きっとブタイチさんにも実りある時間がもたら
    されたでしょうし、それ以上に、吉田さんが「話の解る仲間」として、とても喜ばれたような気がします。
    このような席を設けていただいたmotor-homeさんにも感謝です。

  3. motor-home より:

    町田さん
    先日は同席有難うございました。「アメリカンキャンピング」の情報量の豊富さには感動しました。その後どこ
    を探しても見つかりません。認知度upにも絶対繋がると思う為、町田さんのお力で是非再出版お願いします!。
    吉田さんが私と同じく「モーターホームの旅をもっともっと日本の皆さんに広めようとしていきたい!」という
    ことに共感を持っていただけ、今後いろいろな取り組みの中で、町田さんにもご協力いただきながら、是非認知
    度upに向け取り組んでいきたいと思います。
    引き続きよろしくお願いいたします。

  4. 町田 より:

    >motor-homeさん
    こちらこそ、貴重な機会を設けていただき、ありがとうございました。
    吉田隆志さんの『アメリカン・キャンピング』はアマゾンで探してもないみたいですね。
    あれだけの本が今絶版となっているのは残念なことです。
    絶版や品切れの本をスキャナーで取り込んで少量出版するオンデマンド出版という手法がありますから、そうい
    う形で、再び世に出すことは可能だと思います。
    それに携わる出版社も知っていますから、今度調べてみます。
    あの本は、確かにmotor-homeさんのおっしゃるように、北米モーターホームやエアストリームのファンにとって
    はバイブルのような本でしょうね。

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