チェーザレ 破壊の創造者

 
 惣領冬実さんの描かれたコミック 『チェーザレ 破壊の創造者』 。
 土曜日の日にこれの 3巻を買い、今日、別の書店で、1巻と2巻をようやく探して手に入れた。

破壊の創造者=本

 わが家の場合は、カミさんと同じコミックに入れ込んで、しばらく 2人ともハイ状態になってしまうことがある。
 以前、山岸涼子の『日出処の天子』にハマったときもそうだった。
 日本人には 「聖人」 のごとく扱われる聖徳太子のイメージを、見事にくつがえしてくれたのが、『日出処の天子』 だった。
 ここで描かれた聖徳太子は、同性愛者で超能力者の美少年。しかも、邪悪な性格ときている。
 私もカミさんも、どうやらこういうキャラクターに入れ込んでしまうようだ。

 惣領冬実さんの描くチェーザレ・ボルジアという人物も、「邪悪さ」 という意味では、イタリア史でも稀代の悪のスーパースター。
 私には、塩野七生さんの『チェーザレ・ボルジア 優雅なる冷酷』のイメージが強いのだが、このコミックもまた、新しい解釈が加わって面白い。
 何よりも、絵が好み。
 時代考証もしっかりしているし、作中に引用されるルネサンス時代の絵画や建物も正確に描写されている。
 塩野七生さんの 「チェーザレもの」 に加わって、新しい作品が誕生した感じだ。

 しかし、こういうチェーザレ像も、やはり塩野さんの作品が出てこなければ、日本で採り上げられることもなかったかもしれない。

 文芸評論家の福田和也さんは、『悪の読書術』 という本で、こんなことを書いている。

 「塩野さんは (チェーザレ・ボルジアを描くことによって) 日本人の歴史意識の中に、それまで存在していなかったイタリアへの強い関心を作り出しただけではない。
 この悪名高いボルジア家の貴公子の一代記を書くことによって、日本の文章に、悪と官能を強烈に呼び覚ましたのだ。
 あるいは、善悪の彼岸にある、権力それ自体の魅力、権謀の輝き、非人間的なふるまいにこそ現れる人間の高貴さを描きだした」

 善人は、どんなに英雄的なふるまいをしても、みなどこか同じようなキャラクターに見えてしまう。
 しかし、悪役には、千差万別の個性がある。
 人間の演じるドラマを面白くしてくれるのは、魅力的な悪役なのかもしれない。
 
 
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チェーザレ 破壊の創造者 への2件のコメント

  1. ブタイチ より:

    愛人の話より…
    >連日近くの町まで出て、買い物。カミさんと同じコミックに入れ込んで、しばらく2人ともハイ状態になってしまうことがある。
    の方が自分に近い感じがして親しみを覚えます!(笑)
    愛人って…不倫ってことですよね~!
    キャンピングカーを持っているくせに…妻には内緒で隣町にスポーツカーを所有し続けることが平気でできる人でないと…成立しない話ですよね~(笑)!
    自分は妻との買い物にいつまでも喜びを感じていたい男なので…(笑)
    でも…
    愛人の話にみなさんがどんなコメントを残されるかチョコチョコチェックしていましたけど…(笑)。

  2. 町田 より:

    ブタイチさん
    >「キャンピングカーを持っているくせに、妻には内緒で隣町にスポーツカー…」
     なんか、この言葉が妙に面白かったです。
     実際に、そういう財力の方がいらっしゃったら、それはそれで、(少しだけ)うらやましい…。
     
     隣町にあるスポーツカーに乗るために、その人は、夏場は汗をかきかき苦労されているんでしょうね。
     想像すると、ちょっと笑いがこみ上げてきます。

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