日本で最初のキャンピングカー

 
 今、日本のキャンピングカーの歴史を調べるため、資料集めをしている。
 いろいろ協力してくださる人が出てきて、古い雑誌や新聞の切り抜きなどをコピーして送ってくれる。
 
 昨日届いた資料で、国産キャンピングカーの1号車というクルマを知ることができた。
 それは、なんとオート3輪であった。
 造られた時代は、1958年(昭和33年)。
 
 洋画家の桐野江節雄(きりのえ・さだお)さんという方が、広い世界に絵の題材を求めるため、オート3輪をキャンピングカーに改造し、そのクルマでアメリカ、メキシコ、ヨーロッパを回ったという。
 
 昭和33年という年がどんな年であったか。
 東京タワーが完成した年で、月光仮面が登場し、ジャイアンツの長嶋選手が新人王を獲得した年。
 それこそ映画 『ALWAYS 3丁目の夕日』 の年である。
 
always
 
 国産車はまだ黎明期。
 スバル360がこの年に登場し、大いに話題になったが、町を走る国産車といえば、みなオート3輪。
 そのオート3輪をベース車として、国産キャンピングカーは産声をあげた。
 
 資料には、「マツダのオート3輪」 としか書かれていない。
 しかし、この時代のマツダの3輪車ということからして、多分、ベースとなったのは、T2000というクルマだろうと思われる。
 
マツダT20 0
 
 中がどのように改造されていたか分からない。
 当然、ベッドや、着替えや画材を入れる収納庫などは完備していたのだろうが、水周りなどはどうしていたのだろうか。
 
 それにしても、安定性の悪いオート3輪で、よくアメリカ、メキシコ、ヨーロッパを回りきったと思う。
 走行距離は97,290㎞。4年4ヶ月を費やした旅だったという。
 当時、桐野江氏は33歳だったというから、若さが支えた旅だったのだろう。
 
 『チャーリーとの旅』 を著したジョン・スタインベックのキャンピングカー旅行も印象深いが、あちらはアメリカ国内。スケールの雄大さからいうと、桐野江氏の方が上かもしれない。
 
 このオート3輪キャンピングカーの名前は「エスカルゴ号」。
 キャンピングカーのことを、よくカタツムリにたとえることが多いが、まさに「住居」を背負った旅という思いが強かったのだろう。
 
 このときの旅行記をまとめた 『世界は俺の庭だ』 という著作もあるようだ。
 
 これをどこかで手に入れたいと思っている。
 メンテはどうしていたのか。故障などしたときパーツ補給はどうしたのか。
 気になるところである。
 
 日本のキャンピングカーの黎明期の話は、意外と知られていない。
 一説によると、1955年(昭和30年)には、歌手の田端義夫氏が、地方巡業のために、大型バスを改造して、キッチン、トイレ、寝室、応接間まで造り込んだクルマを使っていたという話もある。
 ただし、こちらは未確認情報。
 
 国産キャンピングカーの歴史がどこから始まるのか。
 どなたか、ご存知の方は教えていただけると助かる。 
 

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日本で最初のキャンピングカー への4件のコメント

  1. TJ より:

    3輪車をキャンピングカーにしていたんですね。先日のイベントのダイハツ・オート3輪の荷台も長さがありフラットなので横になって寝られるスペースがありました。
     ワンボックスタイプで自分が見た記憶だと日本車では初代三菱デリカのキャンピングカーですね。

  2. 町田 より:

    TJさん 貴重な情報ありがとうございました。
    「エスカルゴ号」が荷台の上にどんなシェルを乗せていたのか、興味のあるところです。
    詳しく調べて、状況が分かったら、また報告いたします。
    初代三菱デリカのキャンピングカーというと、60年代の後半から70年代にかけて造られたものでしょうね。
    70年代以降のものなら、ビルダーさんが造られた可能性が高いですが、60年代から70年台初期のものならば、ユーザーが自ら手づくりしたハンドメイドだと思います。
    国産キャンピングカーは、みな手づくりで始まったと聞いています。
    もっとも、その手づくりキャンピングカーを造っていた人たちで、腕の良い人たちは、その後ビルダーになっていったようです。

  3. CHAZ より:

    エスカルゴ号は,なにかの雑誌?で写真を見たことがあります。
    キャブの断面をそのまま後ろに伸ばしたような,結構スタイリッシュなシェルでした。(室内高は低そう)
    側面と屋根の接合部は面取りしてあって明り取りの窓(昔のバスのような)が並んでいます。側面には窓はなく,いろいろと文字が(どこに行くとか,もちろん欧文で。地図なんかもあったかな?)書かれていました。

  4. 町田 より:

    CHAZさん、貴重な情報ありがとうございました。
    エスカルゴ号というのは、日本のキャンピングカービルダーでは草分け的な存在であった武ボデーさんが造られたという話は聞いていましたから、ある程度はしっかりした造りになっていたのだろうな…という予測はありましたが、詳しい状況までは分かりませんでした。
    参考になりました。
    いずれ、エスカルゴ号について少し詳しく知っておられる方にもお会いできると思いますので、そこで何か分かりましたら、またこのブログを通じて、CHAZさんにもご報告できると思います。

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