最古のキャンピングカー雑誌

 
 「キャンピングカーに焦点を当てた古い専門誌を持っている」
 という連絡をさる方からもらって、それを拝見に行った。
 昭和47年(1972年)頃に創刊された雑誌で、誌名が『オートキャンプ』(交文社)。
 話は聞いたことがあったが、実物を見るのは初めてだった。
 
 文字は横組み。本文はすべてモノクロだが、巻頭グラビアには、「アメリカのキャンピングカー事情」などというレポート記事のカラーグラビアもあり、立派なキャンピングカー専門誌の体裁をとっていた。
 
 日本のキャンピングカーはトレーラーから普及したらしく、トレーラーの掲載記事がたくさん載っている。
 フランスベッド製作によるキャラベルエアD410のロードテストなどという特集も組まれていた。
 キャラベルエアは、キャンピングカーガイドを最初に手がけた頃には、まだ現役で製作されていたトレーラーだったので、懐かしい思いでページをめくった。
 
 ほぉ、と感心するのは、この時代、試験場のテストコースにトレーラーを持ち込んで、制動テスト、旋回テスト、スロラームテストなどを行い、緻密なデータアップをしていること。
 創業期のキャンピングカーメーカーの自信と、メディアのやる気が伝わってくるような誌面づくりだ。
 
 「慣性ブレーキの作動原理」を詳述した、マニアックなページもある。
 ブレーキ機構の詳細な断面図などを11点も掲載し、技術解説書の趣きがある。
 最大傾斜角のことを取りあげた記事では、誌面全体が計算式で埋まり、物理学の教科書を眺めている気分になった。
 
 読者対象が、今のような既製品を買う人々ではなく、ハンドメイドで作ろうとしていた人たちだったせいか、概して技術書的なニュアンスが強い。
 
 逆に、それだからこそか、「良いキャンピングカーとは何か」というテーマを強く意識した、熱気のようなものが伝わってくる。
 
 この雑誌が登場した1972年は、連合赤軍の浅間山荘事件などがあった年。
 グアム島で、横井さんが救出され、田中角栄の「日本列島改造論」構想が持ち上がって、地価が暴騰し始めるなど、激動の年であった。
 
 20世紀最大の音楽世界のヒーローであったビートルズの正式解散が発表になり、日本の音楽シーンでは、吉田拓郎の「結婚しようよ」が大ヒット。
 時代が大きく変わろうとしていた気配が、至るところに蔓延していた。
 
 そんな時代に、日本のオートキャンプが大きな潮流となる予兆を示し、キャンピングカーという存在が、人々の注目を集めようとしていたわけだ。
 その動向をいち早く見抜き、キャンピングカーの最新情報を読者に提供しようとしていた交文社の「オートキャンプ」の編集スタッフには頭が下がる思い。
 いい雑誌を見せてもらった。
  
 

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