新ブログ開設のお知らせ

 
 ここのところ、ブログの表示スピードが急に遅くなり、一時は管理画面を読み込むのに20秒以上、長いときは1分以上かかるようになりました。
 
 ブログサービスを管理しているホビダスさんとも連絡を取り合い、いろいろと対策を相談させてもらったのですが、抜本的な解決は不可能だということで、同サイト内に新しいブログを設定していただくことになりました。

 今後は、新ブログ「町田の独り言 2」の方にお越しいただければ幸いです。

 http://campingcar2.shumilog.com/

 これまでのエントリーは、そのまま温存いたします。
 表示速度が遅いため、ご迷惑をおかけすると思いますが、過去ログに興味をお持ちの方は、これまで通り、こちらの方をご閲覧ください。

 ブログの反応が急に重くなった原因はよく分かりません。
 ひとつには、アクセス解析の「stat press」のフリーズが災いしたのではないかという推測もできそうです。
 こちらの不手際により、stat press の「古い訪問履歴を自動的に削除」の項目を「削除しない」のまま放置したため、ブログ開設以来のアクセス解析データがすべて処理の対象になってしまい、その膨大なデータ量に耐えきれなかったのか、1ヶ月ほど前から、stat pressがまったく反応しなくなりました。
 その影響を受けて、ブログ全体が反応速度が異様に重くなってしまったのかもしれません。

 また画像データを神経質に圧縮・縮小することなく放置してきたので、その容量が大きすぎたことも災いした可能性もあります。
 
 いずれにせよ、また一から出直しです。 
 新ブログのアクセス解析を試みると、1日の訪問者が10人とか20人で、まさに9年前にはじめてブログを立ち上げたときの状況を思い出します(笑)。

 最初の頃は、訳も分からず夢中に更新していたのですが、それも楽しい思い出。 
 心機一転、頑張りますので、よろしくお願い申し上げます。


 
 2015年 5月2日
  
 

カテゴリー: 未分類 | 6件のコメント

アー・ユー・レディー?

トラッドロック夜話 17

 「何、これ…」
 女は、僕の突き出したコンサートの券を取ろうともせず、ちらっと眺めただけで、ストローでコーラを吸いながら、僕をにらんだ。
 「ロックだよ、ロックミュージック」
 「私、興味ないもの」
 「騙されたと思ってさ、一度ナマを聞いてみろよ」

 僕は、その挑発的な目つきに対抗するように、わざと突き出した2枚のコンサートの券を、ひらひらと女の顔の前で振った。

 「強引な人ね」
 「一度ライブを見ると、ぜったい君も好きになるって」
 「私、まだあなたとデートするかどうかも決めていないのよ」
 「俺だって同じだよ。俺にだってさ、今後デートに誘う適性が君にあるかどうか、試してみる必要があるのよ」
 「それが、そのコンサートってわけ?」
 「うん。これを聞いてさ、君がロックという音楽を好きになれば合格だ」
 「バカじゃないの、あなた。自分の都合だけで女が動くとでも思っているの?」
 
 女が、黒縁メガネ越しに僕をにらむ。
 明るい陽射しが入り込む喫茶店の窓際の席。
 女の白いブラウスが、テーブルに反射した外光を浴びて、目を突き刺すように迫ってくる。
 化粧っけのない顔。
 素っ気ないひっつめ髪。
 優秀そうなオデコが広がっている分、頭の良さは伝わってくるけど、色気なんてこれっぽちもない。
 でも、そのメガネを外し、髪を自然に垂らせば、かなり可愛い子であることは間違いない。
  
 そういう僕の視線を、メガネ越しにはねつけるように、女はいう。
 「もしね、女の子の関心を誘うなら、まず相手の望みってのを聞いて、それに合わせるのが普通でしょ?」
 「じゃぁ、君の望みって何よ?」
 「あなたみたいなチャランポランな男子に邪魔されずに、しっかり勉強すること」
 そう言って、女はバッグからフランス語の教科書とノートを取り出して、バンッと音が出るぐらいの勢いで、テーブルの上に置いた。
 「どうするの? 一緒に勉強する? それともそのコンサートの券をもらってくれる女の子でもナンパに行く?」

 「やれやれ … 」
 僕はそうつぶやいて、煙草に火をつけ、天井に向かってゆっくり煙を吐き出した。

 フランス語の夏期講習を受け付けてくれる専門学校に通った最初の日に口をきいた女。僕の席のすぐ後ろに座り、いきなり文句をつけてきたのが、そいつだったのだ。

 「あの、もう少し椅子を前に引いてくれない? 窮屈だから」
 そう言って、女は、ポンポンと筆箱で僕の肩を叩いた。
 「あ、悪かった」

 ―― 生意気なやつだな …。
 そう思いながら振り返ると、意外とおとなしそうな女がこっちを見ていた。
 地味 !
 第一印象はそれ。

 とても、筆箱の先で他人の肩を叩くような人間には見えない。
 しかし、無表情な女の顔には、自分の邪魔をする人間には容赦しないという強さがにじみ出ていた。

 最初の日はオリエンテーリングだけで、勉強範囲の確認と講習態度に対する注意事項などが確認されただけだった。
 「サァ、アシタカラ、シッカリ ヤリマスヨ」
 若いフランス人の男の教師が、聴講生の顔を万遍なく見回しながら、そう言う。
 人々が席から立ち上がる音が、教室内に響き渡る。
 その音に混じって、
 「なによ、時間があるのだから、今日から授業を始めればいいのに」
 というつぶやきが、僕の背中に浴びせられた。
 振り向くと、メガネ女が口をとがらせている。

 「そうだよな、授業料泥棒だよな」
 僕も、そいつに合わせて相槌を打った。
 「あなたも、そう思う?」
 「もちろん」
 … なんて言ったけど、ほんとうは今日はこれで帰れるのかと思って、僕はホッとしていたのだ。

 女と並んで、校舎の門を出た。
 「お茶する?」
 僕は、話しかけてみた。
 「目的は?」
 すかさず女が問い返してくる。
 「一緒に勉強させてもらおうと思って」
 ふん、と女は鼻を鳴らしたが、「30分だけよ」と意外な返事をよこした。 

 「あなたは、なんで夏期講習を受けることにしたの?」
 喫茶店のテーブルをはさんで、女が尋ねてくる。
 「じゃぁ、君はなぜこの学校でフランス語やることにしたの?」
 僕は逆に聞き返した。
 「私、お父さんがデパートに輸入服を卸しているのよ。フランスのデザイナーブランドを」
 「ピエール・カルダンとか?」
 「もう古いわよ。… でね、私もその家業を継ぐつもりなの。生活の半分はフランスで暮らす計画だからフランス語やるの。あなたの場合は?」

 「いま、うちの学校では全共闘運動が盛んでさ、フランス語の授業は必ず潰されちゃうんだよ。“クラス討論” とかいって」
 「何を討論するの?」
 「授業料値上げについて。その反対運動をやるわけ」
 「まだ、そんなことやってんの?」
 「いや、それはもっと深い思想闘争の一環みたいだよ」

 …… バカバカしい、と鼻で笑って、女はため息をついた。
 「じゃ、フランス語、何もやってないわけ?」
 「そうなんだ」
 「定冠詞の男性単数と女性単数の違い知ってる?」
 「“ル” とか “レ” とかいうやつ?」 
 「“ル” と “ラ” 」
 「知ってんじゃん。教えてよ」
 「そこから知らないなんて、明日からの授業にもついていけないわね」
 「コーヒー代出すからさ、教えて。たまにケーキも奢るから」
 
 女が何を考えたのか知らないが、その日から、そいつは僕に授業の補習をやってくれるようになった。
 ただし、時間はきっかり30分。
 授業後の一休みに、コーヒーをただで飲めると計算したのかもしれない。
   

 「今まで勉強を教えてくれたお礼」
 と言って、僕はある日ロックコンサートの券を2枚用意し、彼女の前に見せたのだ。
 「ね、行こうよ。楽しいよ」
 煙草を灰皿に押し付けて、僕はもう一度、彼女の前でチケットをひらひらと振った。
 「誰のコンサート?」
 「グランド・ファンク・レイルロード。… 知ってた?」
 「知っているわよ。知性のないアメリカの3人グループ」
 「ほぉ、知ってんだ」
 「私、ああいう音楽嫌いなのよ。頭の悪そうな人ばっかりが聞いているから」
 「じゃ、頭のいい人の音楽ってのは?」
 女は視線を宙にさまよわせ、少し考えてから、
 「クラシック以外なら、ブラザースフォーとか、ピーター・ポール&マリー」
 と答えた。

 「ふぅーん……」
 僕は、わざとつまらなそうにして、視線を窓の外に泳がせた。
 「そういうの、いいと思わないの?」
 女が、眉をしかめて僕の顔を覗き込む。
 「退屈だよ。時代の先端をえぐっている感じがしない。やっぱロックでしょ。グランド・ファンクは二流かもしれないけれど、ナマを聞いてみると、きっとそれなりの刺激があると思うよ」
 「いつなの?」
 「今日だよ」
 「バカじゃない? 普通そういうのは相手の都合をまず聞いてから日にちを合わせるものでしょ」
 「都合悪い?」
 「当たり前じゃない。私あなたのようなヒマ人じゃないから」

 会場は、水道橋の後楽園球場だった。
 なんだかんだと言いながら、女は僕のあとを付いてきた。
 「ロックって、機械の力を借りて、強引に音をひずませて、どこが面白いの?」
 女はまだ抵抗を続けている。

 「それがいいんじゃん。アンプで音を増殖することで、人間に新しい感覚をもたらすんだからさ」
 「反自然的よ。反自然的ということは反社会的ということ。マリファナなんか吸って “知覚の変容だ” とか喜んでいる人たちがいるけれど、それとおんなじよ」
 「そうかなぁ、“メディアはマッサージだ” とマクルーハンは言ってるぜ。新しいテクノロジーは、新しい感受性を人間にもたらす。その代表例がロック」
 
 女は一瞬立ち止まり、小首をかしげて僕の顔を覗き込んだ。
 「へらず口が好きなのね。いかにもイマドキの軽薄男」
 「君は?」
 「軽薄男の強引さに負けた、軽薄女」
 そういって、女ははじめて笑った。

 スタンド席を埋め尽くす大観衆だった。
 しかし、野球見物と違うのは、若者しかいなかったこと。男も女も長い髪をなびかせ、サイケデザインのシャツや白いTシャツ姿で通路を闊歩していた。
 ステージは、グランドの中央。
 カナダのロックバンド、マッシュマッカーンの前座がひとまず終わり、あとはメインバンドのグランド・ファンク・レイルロードの登場を待つばかりとなった。

 ところが、あれほど晴れわたっていた空が、そのとき急に曇り、どこからともなく突風も吹いて、一瞬のうちに会場全体が嵐に巻き込まれた。
 さらに、上空にカミナリ。
 それを合図に、空が割れたような豪雨が場内に降り注ぎ始めた。
 観衆のどよめきが、地鳴りのように湧き起こった。

 「ひどいじゃない、傘なんかもってないのよ、私」
 女がなじるように、僕の顔を覗き込んだ。
 「傘を持っていないのは、みんな同じだよ」
 僕たちは、雨をしのげる場所がないかと辺りを見回したが、ぎっしり詰まった観衆のため、身動きすら取れない。

 雨はますます激しくなり、ヒョウまで混じって、会場のあちこちから悲鳴のようなものまで上がってくる。
 ステージ前に立てかけられていた「GRAND FUNK RAILROAD」という看板がばらばれと吹き飛ばされ、宙に舞って、グランドをすべっていくのが見える。

 「…ったくぅ。あなたなんかに付いてくるんじゃなかった」
 女はびしょびしょに濡れた顔を歪めて、憎々しげにつぶやいた。
 「ま、いいじゃない。ロックは反自然的な音楽かもしれないけれど、雨は自然 の大いなる恵み。テクノロジーと自然の美しい調和」

 「よくいうわ … 。口だけペラペラ動く人なのね」
 女はハンカチを取り出し、しきりに自分の顔からしたたり落ちる雨をぬぐっていたが、やがてそのハンカチも水けをたっぷり含んで、使い物にならなくなった。
 そのため女は、顔を拭くのもあきらめたらしく、髪も額もびしょびしょに濡らしたまま、人のいないステージをにらみ続けている。

 グランド・ファンク・レイルロードは、いっこうに現われない。
 会場内に「中止らしい」という噂も流れ始め、不穏な空気さえ垂れ込め始める。
 「グランド・ファンクは必ず演奏をやると言ってます。雨がしずまるまで、もうしばらくお待ちください」 
 そんなアナウンスまで流れ始める。
 それを合図に、場内から「No Rain ! No Rain ! 」という声が広まりはじめ、やがて球場を揺るがす大合唱となった。

 いつの間にか、隣にいた女が合唱に合わせ、「No Rain」と、小さく唇を動かしていた。思いもかけない暴風雨が、彼女のわだかまりを押し流したのかもしれない。
 「雨もいいもんだろ?」
 僕はその顔を覗き込んだ。
 「そうね。ここまで濡れちゃうと、もう破れかぶれだわ」

 女は、メガネを外して水滴を払い、ついでにヘアバンドも解いて、濡れた髪をかき上げた。
 まったく別の女がそこにいた。

 「可愛いじゃん」
 僕は、思わずつぶやいた。
 女は、聞こえなかったように前を見つめ、今度は、「No Rain」の合唱にはっきりと声を合わせた。
 僕はその肩を抱き、体をゆすりながら、彼女と大声で叫び続けた。
 
 突然、会場が騒然となった。
 降りしきる雨の中を、ギターを抱えたマーク・ファーナーがステージに踊り出たのだ。
 雨のために待たされた聴衆がいっせいに立ち上がり、球場全体が、地震のように揺れた。


 
 ドン・ブリュワーの短いドラミングが拍子を刻んだと思うと、マーク・ファーナーの小刻みなカッティングがそれに続き、彼らのオープニングテーマである「Are You Ready」のイントロが鳴り響いた。
 女は、いきなり椅子の前に立ちあがり、そのイントロに合わせて腰を左右に振り始めた。
 僕は、その横顔に向かって、「アー・ユー・レディー?」と声をかけた。
 女は、拳を振り上げ、「イエース !」と応えた。
 ロックを受け入れる準備は整ったといわんばかりだった。

トラッドロック夜話 16「君の友だち」

トラッドロック夜話 15 「冷たいバラード」
 
 

カテゴリー: 音楽 | 4件のコメント

老人がおかしくなってきちゃった

 
 最近、なんだか老人の犯罪が増えているような気がする。ストーカー殺人事件みたいなものもあったし、怨恨による殺人もあったように記憶する。ついこの前だったか、老人による強盗もあった。
 市長が、市の女性職員にセクハラしたり、学校の元校長が未成年の女子相手に買春したりしたするなんて話もニュースをにぎわせた。

 年齢を確かめると、みな60歳代中頃か後半。
 要するに「爺さん」だよ。
 昔なら、縁側に座って、「今日は昼飯に何を食べたんだろう …」 なんてぼんやり考えながら、庭の雀なんか一日中見ているような人たちだよね。

 その爺さんたちが、最近はやたら殺気立ったり、色気づいたりしている。
 「騒音を出すな」って隣の家に怒鳴り込んだり、接客態度が悪いといって店員を叱ったり、若者みたいに惚れた女性のストーカーをやったり、元気というか生臭いというか、一言でいうと、「迷惑ジジイ」になりつつあるんだな。

 なんで、そうなっちゃってきたのかな。

 強盗系の犯罪が増えてきたのは、老人の間に大きな経済格差も生まれてきたことも挙げられるかもしれない。
 裕福な老人も多いけれど、そうじゃない老人たちは、経済的に困窮しているといわれている若者たち以上に悲惨な感じもする。

 性的な犯罪が増えてきたのは、年とって自分の欲望をコントロールする能力が衰えてきたことを意味するようにも思える。
 昔より食い物が良くなって、体力だけ維持できるようにはなったけれど、残念ながら、精神を制御する力が肉体に追いつかなくなっちゃうんだろうね。

 ま、いろいろな理由があるんだろうけれど、全体的な傾向としては、今の時代の変化が早すぎて、老人たちには「世界」が見えなくなってきたのだろうと思う。
 
 自分がまさにそうなんだけど、今年65歳になる俺なんか、だんだん「世界」が見えにくくなってきたように感じる。

 たとえば、自分よりも下の世代がなじんでいるネットコミュニケーション。
 「LINE」などを通じて、1日中画面を見ながら誰かと交信しているという感覚になじめない。
 そういう “つながり” が楽しいのか。常に誰かとつながっていないと不安になるのか。
 そのへんの “気分” のようなものがよく分からない。
 
 だいたい人間というのは、二十歳ぐらいまでに培った感性を一生引きずって生きていくものだけど、今の65~66歳ぐらいの老人が青春を送った時代と現代を比べると、同じ日本といってもまったく違った国になっている。
 政治や経済はもとより、文化も、風俗も違う。
 1960年代当時と、2010年代とでは、江戸時代と明治時代以上に差が大きい。

 まず、スピード感が違う。
 60~70年代というのは、鉄道網が整ったり、高速道路ができたりしたけれど、基本的に19世紀に誕生した蒸気機関車のスピード感とそれほど違わない生活感覚に染まったまま生きられたのだ。 
 しかし、ネット社会の情報流通のスピード感は、地上を走る乗り物に譬えられるスピード感を軽々と超えた。

 老人たちの暴走は、激しい時代の波に呑まれ、自分たちが培ってきた(と思っている)“常識” が通用しなくなってきたという苛立ちにも遠因がある。
 
 時代の変化は、人間のコミュニケーションルールも変えた。
 接客業だって、昔は訪れる客の風体や表情から、その人が何を求めているかをすばやく察知し、それに合わせて対応するスキルが確立されていたけれど、今は効率を優先したマニュアルどおりの対応で終始するから、それを味気ないと感じる老人だって出てくるだろう。

 レストランなどで、メニューの渡し方が悪いとか、水を入れたコップをぞんざいに置いたとか。そんなことで店員を怒っている老人がいるけれど、それは彼らが攻撃的になっているというよりも、戸惑いから来る怒りなのだ。

 聞いた話だけど、近所の公園に大型犬をリードから解き放って遊ばせている老人がいるという。
 近所の人が、「子供に噛みついたら危ないので、リードぐらい付けたらどうですか」と注意したところ、「お前はこの公園の管理人か? 管理責任者でもない人間がエラそうなことを言うな !」と逆ギレされたらしい。

 これだって、飼い犬をリードなしで散歩させておいても誰も文句などいわない時代があったことの名残りだといえなくもない。
 彼らは、他人に対して非寛容な態度を取るけれど、きっと心の中では、「なんでこんな息苦しい時代になってしまったんだ?」という戸惑いを抱えているはずだ。

 そういう戸惑いが、感情表現の乏しい人の場合は、周囲に対する八つ当たりになる。
 体感的にいうと、そういう人々が多そうに思えるのは、60代の後半あたり。
 いわゆる “団塊の世代” の中核に位置する人たちだね。
 私も、かろうじて団塊世代の終わりの方にしがみ付いている人間だから、心情的にはこの世代と同じ気持ちを共有しているけれど、でも、やっぱ団塊の中軸となっている人たちを見ていると、自分とはどこか違うものを感じる。

 どう言えばいいのかな … 。
 よくいえば、彼らはロマンチストであり、理想主義者。
 … つまりは妄想家で、融通の利かない原理主義者。

 で、こういう人たちは、たいてい理屈好きで、政治に対しても社会に対しても一家言を持っていたりする。
 彼らの言動は、基本的には “反権力・反体制” で、自民党が政権をとっても民主党が政権をとっても、批判的である。
 永遠の “反抗する若者” なのだ。
 
 昔、「赤軍」という左翼組織があった。
 70年代初期に、よど号ハイジャック事件や、イスラエルのテルアビブ空港乱射事件などを起こしたグループである。
 そのときの赤軍メンバーであった重信房子が現在68歳、岡本公三が67歳、奥平純三が66歳、坂東国男が68歳。
 彼らがよど号を乗っ取り、機長に北朝鮮へ行けと脅しながら、メディアに訴えた言葉が、「我々はあしたのジョーだ」(ちばてつやの漫画)というものだった。

 当時、私は彼らの言葉を「ロマンチックだなぁ !」と思った一方で、そんな漫画的理想主義で “革命” を目指していくということの “危うさ” に、うすら寒いものを感じた。

そういう人々を、「原理主義者」っていうんだろうな。

 「原理主義者」っていうと、政治思想や宗教の基本原理を厳密に守る頑固者というイメージがあるけれど、現代の日本の原理主義の根幹にあるのは、漫画とかアニメとか、そういったエンターティメントのなかの出来事を現実化しようという心の動きだと思うんだ。
 オウム真理教の世界が、まさにそれだったものな。

 こういう “原理主義 症候群” に罹った人は、けっして現実化されない理想社会との対比で、現在を語る。
 老人にとっての “理想社会” とは、後戻りできない「自分の若い頃に体験した世界」のことを意味し、ゆえに彼らは、ずっと現代社会を呪詛することになる。
 その怒りの激しさが、敵対する他者を許さないようになる。

 つまりは、謙虚さがなくなるわけ。 
 謙虚ってのは、自分以外の人間やら世の中の動きを冷静に見つめるところから生まれる。
 その視線の透明性を、「謙虚」という。
 謙虚であることを忘れた「居直り老人」には、たぶん痴呆が訪れるのも早くなるのではないか。
 これ、実は自分に対する自戒の言葉でもあるんだけど … 。
  
 
関連記事 「困ったおじさんたち」

参考記事 「困ったおじさんはなぜ生まれてきたのか」

参考記事 「老人性症候群の進み具合チェック」

参考記事 「いたずらジジイ(暴走老人)」
  
 

カテゴリー: コラム&エッセイ, ヨタ話 | 6件のコメント

ブログが重たい !

 
 最近、ブログが急に重くなってしまって、にっちもさっちも行かなくなってしまった。
 もともと重いブログではあったんだけど、開くのに10秒以上かかるなんてことはなかった。

 それが、10日ぐらい前から一気に重くなって、「ホビダス」のサイトを開いて自分のブログにアクセスし、画面が立ち上がるまでに15秒~20秒。長いときは1分以上かかるようになってしまった。

 さらに、自分のブログ内のデータ処理をするときも異様に時間がかかるようになった。
 たとえば投稿を更新して、「投稿を表示する」のボタンを押し、データアップした画面が立ち上がるまでに4分以上。

 そのことと関連があるのかどうか分からないが、アクセス解析が不能になった。
 ダッシュボードの「StatPress」ボタンを押しても、待機時間の表示がずっと続くだけで、まったく作動する気配がない。

 これに関しては、ブログサービスのホビダスさんに相談メールを送って返答をもらった。

 ホビダスさんがいうには、 
 「オプションの設定が『削除しない』という設定になっていたために、ブログ開設から最近の表示までがすべてStatPressの処理の対象に入ってしまい、グラフ生成の処理が完了できない状態になっていた」
 とのこと。

 そこで、
 「次回より『古い訪問履歴を自動的に削除:削除しない』部分の『削除しない』を 6ヶ月または1年に変更。
 また、『Automatically delete spider visits older than:削除しない』部分の『削除しない』を 1weekまたは1月にすれば、古いログファイルが処理の対象外になり、レポートページが表示されるようになるはず」
 と教えてもらったのだが、指示通りに操作しても修正機能が働かず、画面が一向に変わらない。
 現在、続けて対応してくださるのを待っている状態。

 ま、アクセス解析ができるかどうかは、そんなに困ったことではないけれど、ブログが重いのは困る。

 重い理由にはいくつかあって、自分の場合、一番の要因は、やはり画像データが大きすぎて、かつ多すぎることに由来すると思う。

 もちろん、これに関しては、画像アップするときに4,000×3,000ぐらいのやつを600×400ピクセルに圧縮していたんだけど、結局、それでも大き過ぎたようだ。
 WEBにUPするときに推奨されるのは、450×340ぐらいらしいから、容量オーバーのものが少しずつ堆積して、それが読み込み速度の遅さの原因になっていると思われる。
 
 また、管理画面のトップページに表示する記事の件数が多過ぎるということは知人に指摘された。
 これはすぐに減らそうと思い、「表示規定」の「最大投稿数」を10にまで絞ったが、まったく画面に反映されず。
 システムの根本的なところで、何か不具合が生じているようだ。

 こういうとき、I Tリテラシーのない私なぞは、ほんとうに途方にくれるばかり。
 自分で何とかしないといけないと少しは思い、いろいろネットで検索していたら、根本的な解決方法は見つからないまでも、いくつか面白い情報に出合えた。

 ひとつは、「NUMION ストップウォッチ」というネット上のサービス。
 自分のブログがどのくらい重いのかという表示速度を測るソフトだという。

 これは、
 http://www.numion.com/Stopwatch/index.html
 というアドレスにアクセスして、出てきた画面の窓に、自分のブログのURLを入力するだけ。
 そうすると、自分のブログが公開されるまでの時間が表示される。

 通常は、1~2秒程度なのだろうが、私の場合は、画面が現われるまでに6秒。画面がしっかり固定されるまでに11.6秒かかっている。
 めっちゃ遅いじゃないのよ~。
 泣ける。

 また、Googleが提供する「PageSpeed Insights」というサービスもあって、これにアクセスすると、その人のWEBページのコンテンツを解析し、ページの読み込み時間を短縮する方法まで提案してくれる。

 これも、下記のアドレスを読み込み、そこに自分のページのURLを入力するだけ。それだけで、「モバイバル(携帯端末)」と「パソコン」の両方を分析し、それぞれのスコアを表示してくれるのだ。

 http://developers.google.com/speed/pagespeed/insights/

 スコアは、0~100のポイントで表示され、もちろん数値が大きい方が良好。
 85ポイント以上であれば、そのページのパフォーマンスは非常に高いらしいのだが、自分のブログは、モバイバルで「47/100」。パソコンで「34/100」。
 これもめっちゃ悪い。
 
 上記のサービスで分析してもらったところ、問題点として下記の二つが指摘された。
 問題の解決方法としては、
 ① 画像を最適化する。
 ② サーバーの応答時間を短縮する。
 というわけだ。

 サーバーは自分で持っていないので無理として、「画像を最適化する」には、“ロスレス圧縮”すればよいらしいのだが、ほら、I Tに弱い私などは、もう「ロスレス」って意味が分からない。
 
 ま、ファイルサイズを小さくしたりするだけなら、少しは個人でもできそうな気がしたので、過去の不要な画像ファイルを削除したり、最近の画像の容量を圧縮したりしてみたが、なにせエントリ数だけでも2,030。画像点数は6,600もあるので、10エントリほど対応してみたが、とても読み込み時間を短縮するには至らず。
 これは、時間のあるときに作業することにして、今はあきらめた。

 ネット情報を閲覧していると、画像ファイルを効率よく圧縮するソフトもあるらしいのだが、それも、どうやってインストールしていいかも分からず。
 トホホホ … (ノ_・。)

 サイトの表示速度と、ユーザーの離脱率は綿密な関係があって、表示速度が2秒遅くなるだけで約50%のユーザが離脱していくという話もある。
 モバイルの場合は、5秒以上ブログが表示されないと、約74%のユーザーが離脱していくとか。

 … と、いわれても、今は「読み込みスピード」を短縮するための作業をしている時間も余裕もないので、ブログサービスのホビダスさんにお任せするしかない。
 
 

カテゴリー: コラム&エッセイ | 6件のコメント

涙腺のゆるむ音楽

 
 他人の「夢」の話は、聞いていても面白くないと、よく言われる。
 それと同じように、他人の “涙腺のゆるむ音楽” の話も面白くない。
 話し手の個人的事情が絡み過ぎて、聞き手の共感を誘うのが難しいからだ。

 音楽というのは、その本人が聞いている環境や時代背景と切り離すことができないので、どこぞの白髪頭のオヤジから「この曲を聞くと初恋を思い出す」とか告白されてもさ、そいつの若い頃も想像できないから、やたらシラけるばかりである。

 それを承知で、俺さまが選んだ、自分だけの「涙腺のゆるむ音楽」というのを、今回は強引に列記する。
 聞きたくないヤツは、耳を塞いでいろ。
 … というか、この先は読まなくてけっこう。
 でも、興味ある人は読んでみて。お願い !

 で、そういう音楽とは何か? …というと、R&Bが「ソウル・ミュージック」と呼ばれた時代のブラック系音楽。
 特に、60年代末から74年、75年くらいまでに流行っためちゃめちゃ甘いアメリカのSOUL MUSICを聞くと、俺さまは泣けるのである。
 別に、ひとつひとつの曲が、固有の思い出と絡んでいるわけではない。
 しかし、その手の音楽の全体を通して、甘酸っぱい感情が胸の奥から湧き起こってくるのだ。
 ま、福生あたりのブラックのバーで遊び始めた時期と重なるからかな。

 60年代末から71~72年頃というのは、新宿のディスコなんて行ったって、「ジ・アザー」などを別にすれば、ソウル・ミュージックよりもロックの方が主流で、みんなジミヘンの「フォクシーレディ」とか、シカゴの「長い夜」とか、ジャニス・ジョップリンの「ムーブオーバー」で踊っていたのだ。
 
 そんなとき、青梅線周辺の横田基地あたりの「B・P」のような黒人兵系のバーでは、ジュークボックスだったけれど、本物のソウルミュージックのドーナツ盤がかかっていた。
 その頃、俺さまは吉祥寺のビルの2階のイタ飯屋と下の階のスナックでバイトをやっていて、週末になると、立川から青梅線に乗り換えて、牛浜の「B・P」などに顔を出していた。

▼ 「B・Pで楽しむ戦場帰りの少年兵とアフロヘアの少女」 ―― 1973年に「文化出版局より発行された紺野慧(こんの・とし)氏の『ソウル・ミュージック・イン・ジャパン』よりスキャン。この本は当時の俺さまのバイブルだった。牛浜の「B・P」を知ったのも、この本による

 で、その1970年代当時、「今日はどんな曲がかかっているのだろう」ってな期待を込めて、「B・P」のドアを開ける。
 ドアの向こうには、燃えたぎるような熱気と、黒人スラングの英語と、最新ブラックミュージックが渦を巻いている。
 客の7~8割が基地の黒人兵か、そのガールフレンド。

 その雰囲気は、ちょっとアレだね。ほら、マービン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイング・オン」のイントロの感じ。
 曲が始まる前に、バーの雑踏とか、客の話し声なんかが聞こえる … という、あのシチュエーション。
 で、誰かが、「おう、どうした?(Wha’t happen)」ってな声で、店に入ってきたやつに話しかける感じね。

▼ 「B・P」の店内(1970年当時)。紺野慧氏の『ソウル・ミュージック・イン・ジャパン』より

 で、その「B・P」では、ジュークボックスから踊れるような曲が2~3曲続くと、誰かがソウルバラードを選んでコインを入れる。
 とたんに、あのちょっと古めかしくて田舎臭いスナックの意匠が、サテンのカーテンと、ミラーボールが輝くニューヨークあたりのナイトクラブの空気に包まれる(←行ったことないけど)。
 確かに、ニューヨークのソウルバーなんて知らないけれど、当時の俺さまにとって「B・P」というのは、めくるめくような光彩に満たされた “異文化” と “最先端音楽” が奔流のように流れ出す夢のパラダイスだったのね。

 で、今日は、日本ではあんまし有名じゃない(と思われる)曲をどんどん流す。
 というか、俺さまが(俺さまだけが?)知らないグループや知らない曲をYOU TUBEからいっぱい拾ったからだ。
 いずれも、60年代末~70年代初期の雰囲気をたっぷり湛えた曲で、そういうのを聞いていると、「今日はどんな曲がかかっているんだろう」と期待に胸を弾ませて、「B・P」のドアを開けていた時代の気分がよみがえってくる。
 
 
▼ 最初は、The New Birth の「 I Can Understand It」。詳しい人がいたら教えてほしいんだけど、72年ごろに向こうで流行っていたといことぐらいし分からない。
 でも、こういうリズムは好きだな。ファンキーでグルーヴィー。腰が自然に横に揺れていく。


 
 
▼ First class 「What about me」。これもいつ頃の曲なのか? サウンドだけ聞くと新しげな雰囲気もあるけれど、曲調は70年代初期の典型的な “甘茶ソウル” 。
 しかし、ただ甘いだけでなく、「ニューハーフ的な美しさ」というのだろうか、どこか妖しげな雰囲気もあるな。
 この時代のソウルコーラスグループのバラードの特徴をあげれば、このニューハーフ的な淫靡さなのね。ファルセットボイスを担当するボーカリストが必ず一人いたせいかもしれない。
 でも、この倒錯的な色気ってのは、ハマるとやみつきになる。


 
 
▼ スイートなソウルの典型例のひとつ。Delegation 「Oh honey」。フローターズの「フロート・オン」の雰囲気に近いセブンス系2コードの繰り返しで終始する曲だが、神経が次第に甘いメロディーに侵されて、一種の麻薬的陶酔の境地にいざなわれていく。

 こういう曲を聞きながら、夕暮れの街をコルベットのオープンカーかなんかでゆったり流して、街を歩いている女に声かけるってのが、俺のこの頃の理想だったの。
 でも、ついに果たすことなく60代になってしまったよ。
 …… 残念。
   
    
▼ Tierra による「Together」。
 オリジナルはイントルーダースだけど、ティーラの方がラテンフレイバーが強くなり、サウンドやアレンジが甘く切ない。時代が少しくだるせいかもしれない。好きな曲のひとつ。

 これを聞くと、いつもひとつの情景が頭に浮かぶ。
 山田詠美の『ソウルミュージック・ラバーズ・オンリー』の世界さね。
 空想の中の俺さまは、まだハイスクールの生徒っていう設定でよ。先輩たちが集まるパーティーに呼ばれて、慣れないネクタイかなんか首から垂らして。
 で、ちょっと年上の可愛い黒人娘に話しかけられてさ。

「そんな隅っこにいないで、もっと真ん中に来てチキンでも食べなよ。それとも私と踊る?」
 なんて言われてさ。
 そういうのも、ずっと憧れてきた夢のパターンのひとつだったな。
 
 
▼ Tavares は、日本でもよく知られたグループだが、この曲(「Wonderful」)はYOU TUBEで拾うまで知らなかった。70年代SOULの力強さと甘さがほどよくブレンドされた名曲のひとつだと思われる。「♪ Wonderful」と歌い上げるコーラスパートが素晴らしい。


 
 
▼ The Intrigues 「The Language Of Love」。これも当時FENなどでよくかかっていたが、歌い手も曲名も知らなかった曲のひとつ。YOU TUBEでようやく歌手名と曲名を知ることができた。甘いメロディー。涙、涙、ただ涙 … 。


 
  
▼ The Five Stairsteps 「Tell Me Why」。ミディアムテンポのたゆたうようなリズムが心地よし。
 こういうのを聞いていると、ソウル・ミュージックは都会の音楽だということがよく分かる。街のネオンとか、ステージ周りの暗がりを妖しく照らすミラーボールなんかと無性に相性がいい。どこかアンニュイな雰囲気を持っているのもたまらない。


   
   
▼ Denise Lasalle 「Love Addict」。
 この人がどういう人なのか、実はよく知らない。だけど、スタックス系のサザンソウルのサウンドを現代的にアレンジしている感じで、なかなかノリが良い。泥臭いサザンソウルのアーシーな感じを生かしつつ、今風に洗練されている。

 それにしても、上のアルバムジャケットが凄いよね。
 「虎を踏みつぶしちゃう女」。
 やっぱりレディーソウルってのは、こういう肉食獣的パワーがないと、やっていけねぇんだろうな。

 背景は、成金趣味的なプールのある豪邸。
 こういう家は、きっと室内も、白壁に金モールが入ったような “チープなゴージャス感” に溢れているんだろうな。
 白人や日本人がそういう趣味に陥ると、単なる悪趣味だけど、黒人だとキッチュな遊び心が出てくるから不思議だ。
 
 
▼ Soft Touch の「Is This The Way To Treat A Guy You Bet It Is」。
 タイトルが長すぎて、覚えられない。
 これも当時のFENでよく聞いたが、グループ名もタイトル名も知らなかった曲のひとつ。もっともこんな長いタイトルは、FENを聴いていた当時も聞き取れなかったと思う。
 イントロの「♪ ウゥウ~」っていう女性コーラスの歌声が流れるだけで、俺さまは絶対可愛い黒人娘をガールフレンドにするんだって夢想していた当時の気持ちがよみがえる。


 
 
▼ これも好きな曲。Mel&Tim の「Starting All Over Agein」。
 ジョニー・テイラーが「テーラーメイド」というアルバムのなかでカバーしていて、そっちを先に覚えて感激したが、オリジナルのメル&ティムもなかなか良い。
 地味だが、味わいのある曲で、何度も聞いていると美しいメロディーに聞こえてくる。
 最初は、女を幸せにできないダメ男が、「心を入れ替えてやり直すからごめんね」とか言い訳する歌かと思っていたが、どうも歌詞にはキリッとした真面目さが込められているようだ。
 ゴスペルとは違うけれど、精神的にはそれに近い宗教性がにじんでいるように思う。


 
 
▼ 言わずと知れたフィラデルフィアソウルの大御所、The Stylisticsの典型的な甘茶バラード「Betcha by Golly, Wow」。
 このグループは、大ヒット曲の「誓い(You Make Me Feel Brand New)」を擁したサードアルバムで大ブレイクしたけれど、むしろこの「Betcha by Golly, Wow」などを収録したファーストアルバムの方が味がある。
 この曲も、1回だけ聞くと地味な印象を伴うが、何回も噛みしめるように聞いていると、「あぁ、ソウルバラードっていいなぁ … 」というしみじみとした思いに駆られる。


 
 
▼ 最近 … といっても2004年ぐらいに制作された新生The Temptationsによる「I Wonder Who She’s Seeing Now」の動画。
 これが、いいんだな !

 ここに出てくる女 !
 まさに、これが俺さまの好み。
 理想の美女だ !!
 ちょいとアリシア・キーズ似だよね。

 話の設定がよく分からないのだけれど、どうやら、かつて惚れ合った仲の男女が、ナイトクラブで偶然再開するというシーンを描いたものらしい。
 だけど、女には連れがいる。
 それも、金の力で女を組み敷いているようなブ男。

 … とはいっても、かつての恋人という設定の男も典型的な遊び人風情でさ、とても堅気の仕事をしているように見えないところが、面白い。 

 かつて恋人だった男は、「ハーイ ! ご無沙汰だったな」と女に話しかける。
 そのときの二人の表情がいい。
 「しばらくね」
 「待たせ過ぎだぜ」

 ま、そんな会話が交わされている感じなのよ。
 かつての恋人の男は、「なぜ女がこんなブ男の相手をしているのかが解せない」という表情を最後まで貫く。
 その男の表情を見て、女の連れのブ男が、勝ち誇ったようにニンマリする。

 なんか、観ていて切ない。
 しかし、その切なさのなかに、粋な甘さが漂う。
 これが、SOUL MUSICの遊びのセンスなのよ。
 
 
 ここまで聞いてくれた(読んでくれた)人、あなたは偉い !!
 他人の「涙腺のゆるむ曲」なんてのに最後まで付き合うというのは、忍耐か愛のどちらかがないと耐えられないものだ。
 それは、他人の自己満足に付き合うというようなものだからね。
 感謝! 感謝 ! 感謝 !
  
 
参考記事 「ソウルミュージック解説本の名著」
 
参考記事 「70年代スイートソウル」
 
参考記事 「70年代スイートポップス」
 
参考記事 「アフロヘアの少女」
 
 
  

カテゴリー: 音楽 | 10件のコメント

第3回 世界RV会議

  
 現在、世界中を走っているキャンピングカーは、いったい何台なのか?
 欧米やアジア、オセアニアも含め、キャンピングカーを自国で生産している国々の年間生産数・販売数はどのくらいか?
 今後、キャンピングカーの爆発的な普及が見込まれそうな国はどこか?
 世界が注目している新時代のキャンピングカーとは、どんなものか? 
 
 そんなワールドワイドな視野に立って、世界中のキャンピングカーの動向を報告し合う重要な場「世界RV会議(World RV Conference)」の第3回目の会議が、この2月25日から27日にかけて、オーストラリアのメルボルンで開催された。

 日本からは、一般社団法人日本RV協会(JRVA)の増田浩一氏ら9名の役員および関係者が参加。日本のキャンピングカー産業の現状報告を行うとともに、各国のRV関係者との貴重な意見交換を行った。

 ここでは、日本のキャンピングカー業界を代表して基調報告を行った日本RV協会の増田会長(↓)に、その会議の内容をうかがい、世界のRV業界にまつわる最新情報をご紹介する。
  
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今後のキャンピングカーの姿が決まる重要な国際会議
 
【町田】 「世界RV会議」とは、そもそも何を目的としたどういう会議なのでしょうか。
【増田】 世界の主要キャンピングカー生産国が集まり、それぞれ自国のキャンピングカー事業の現状を報告し合いながら、世界のマーケット動向を調査したり、共通の課題に取り組んだりするためのものなんです。
 その会議で情報交換することによって、それぞれの国のRV産業の生産性を高め、ユーザーに健全で安全なRVライフを提供するための会議ですね。
 第1回目は2008年にドイツのデュッセルドルフで開かれ、2回目は2013年にアメリカ・フロリダ州のタンパで行われました。
 今回オーストラリアで開かれたのは、その3回目ということですね。

【町田】 参加国と、その参加者たちの顔ぶれはどんなものだったのでしょう?
【増田】 主要メンバーは、エリアでいうとヨーロッパ、北米、オーストラリア、日本、中国なんですが、前回まで出席していた南アフリカが参加しなかったため、北米エリアがアメリカとカナダに分かれ、オーストラリアエリアでは、ニュージランドが加わりました。だから、全部で7エリアですね。

【町田】 いったいどのくらいの人々が集まるんですか?
【増田】 総勢279名でした。一番多かったのは、やはり主催国のオーストラリアのRV関係者で、179名。
 その次が中国のキャンピングカー関係者なんですよ。前回の会議では25名だったのですが、今回はなんと43名 !
 各国に与えられたプレゼンテーションの時間もだいたい30分程度なんですが、中国だけは2時間以上もプレゼンに費やしていました。
 それだけ、いま中国はキャンピングカー産業の育成や市場規模の拡大に力を入れているんでしょうね。
 参加人数の3番目は、アメリカの18名。ヨーロッパの人は各国に分かれて出席していましたが、トータルで16名。日本は9名で臨みました。

【町田】 今回の会議のテーマは、どのようなものだったのですか?
【増田】 基本的には、世界のRVマーケットをどのように拡大していくかということなんですが、エコロジーを意識した軽量設計の問題、若い層にRVの魅力をアピールするにはどうすればいいかという問題、またインフラ整備をどう進めていくかという問題など、テーマは多岐に渡りました。
 各エリアの代表による基調報告の時間は短いんですが、その分、個別のテーマを深く掘り下げる分科会が充実していましたね。

【町田】 それにしても、3日間とは長かったですね。
【増田】 でも、休憩時間がけっこうあるんですよ。
 会議が始まる前にティータイムがあり、それが終わると立食形式のランチタイム、午後の会議が終わると、今度はディナータイムのパーティー。
 そういうと、皆さん、参加者がみなのんびりとくつろいでいる姿を想像されるかもしれませんが、実はこの休憩時間が大事で、そこでみんな個別の情報交換を行うんですね。
 ロビー活動に専念する参加者もいれば、基調報告や分科会でも聞けなかった詳細情報を求め合う人もいる。
 今回は、このティータイムやランチタイムの懇親会がいかに重要なものであるかを知りました。

【町田】 そういう席上で、はじめて出会う外国のRV関係者と上手に意思疎通を図るコツというのがあるんでしょうか?
【増田】 まず、相手の聞きたい話の骨子を迅速に理解し、当意即妙の回答をスラッと出すこと。
 込み入った話になると、通訳の力を借りなければなりませんでしたけれど、相手の心をキャッチするひらめきは大事ですね。
 それと、「くるま旅」のマークを添えた日本の団扇(うちわ)を用意して配ったんですよ。オーストラリアは夏ですから、けっこう暑いんですね。
 そんなときに、皆さん団扇を扇いで涼を取ってくれて、「日本人は粋なことをするね」と、けっこう喜ばれました。
  
【町田】 各国のキャンピングカーの生産台数などがどのくらいなのか、またその中で、日本はどのくらいの数のキャンピングカーを生産しているのでしょうか 。
【増田】  キャンピングカーの数が一番多いのは、やはりアメリカで、現在の総保有台数は950万台。2014年の年間生産数は35万7千台です。
 次がヨーロッパ(欧州連合)。
 これは、ヨーロッパのキャンピングカー産業をすべて集約した形で集計されたもので、総保有台数は549万台。 2014年の登録数は13万7千台です。  
 次がカナダで、保有台数100万台。2014年の販売数は5万2千台です。
 4番目がオーストラリア。
 保有台数は、55万7千台。2014年の販売数は3万5千台。
 5番目が、わが日本。
 保有台数は、8万5千台。2013年の生産数は4千4百台。
 最後は中国。
 保有台数は、2万台。2014年の販売数は6千台です。
 これをトータルすると、現在のキャンピングカー主要生産国が擁するキャンピングカーの総保有台数は、およそ1,665万台と推定されることになりますね。

【町田】 中国を除けば、キャンピングカー先進国である欧米の普及率と比べると、日本はまだまだ “発展途上国” ですね。保有台数も生産数も、一ケタ落ちるわけですからね。
【増田】 そうなんです。その理由のひとつは、日本のキャンピングカーの歴史がまだ浅いということ。欧米の歴史の半分ですからね。
 それと、キャンピングカーを普及させるために重要なインフラ整備がようやく着手されたという事情がそこに反映されていると思いますね。
 
 
日本の軽キャンピングカーに諸外国の目が集中

【町田】 日本のキャンピングカー事情は、諸外国から、どのように見られているんですか?
【増田】 やはり、特殊なジャンルのキャンピングカーが普及しているということで、みんな関心を持っていますね。
 その一つが軽キャンピングカー。
 これは日本だけに存在するもので、外国の人からすれば、ずいぶん不思議な乗り物に見えたと思うんですよ。4~5年前だったら、「日本人はよくこんなに小さなキャンピングカーを作るなぁ…」という “おもちゃ感覚” で見られたのでしょうが、実は、今回はこれを真剣に受け止めている人が多かった。

【町田】 どういうことでしょう?
【増田】 いま世界のキャンピングカーは、ダウンサイジングの方向に向かっているんですよ。
 やはり、化石燃料の枯渇への危惧、地球の温暖化など、エコロジーへの関心がキャンピングカー業界にも広まってきたんですね。
 そうなると、小型・軽量化を進めて燃費を良くするという方向にシフトしていかざるをえない。
 ヨーロッパメーカーは、早くからRVの軽量化問題に取り組んでいましたが、あの大排気量の自動車をガンガン走らせていたアメリカですら、そういうことを意識し始めるようになってきたんですね。
 軽キャンピングカーが、そういうニーズに応えるベストの解答だというわけではないですが、ダウンサイジングの一つの例として、関心を寄せる人が多かったですね。

【町田】 ほかに日本のRV業界が注目を集めた例というものがありますか?
【増田】 RVに限ったことではなく、日本経済全体に対する考察で、勉強になる話がありました。
 世界経済を分析している経済研究所の方が、ゲスト講演されたんですよ。
 それによると、「日本が経済大国として話題を集めた時代は終わったが、逆にいえば、日本という国は、国民に欲しい物がしっかり行き渡り、みなが満足している非常に安定した国なんだ」
 というわけですよ。

【町田】 ほう ! 借金大国なんですけどね。
【増田】 そうなんです。“ギリシャ危機”などと心配されているギリシャより借金が多いんですからね。
 でもギリシャとは明らかに違う、というわけですよ。
 そのゲスト講演をした人が言うには、「日本国の借金は日本人からの借金である。政府が信用されているからそういうことが可能になるのであり、国の安定度では世界でも珍しい国だ」
 というわけなんですね。
 今、中国などの経済成長率は、減速したといわれても7.1%だといわれていますよね。その前は2ケタ成長でした。
 それに対して、日本の成長率は1%とか1.5%とかいわれている。
 でも国情が安定していると、消費者が余裕のある消費行動をとるため、商品選択も洗練されてくる。そういう国の製品はチャーミングだ」
 というわけですよ。
 
 
中国は、アジア最大のRV大国になるか?

【町田】 なるほど。面白いですねぇ。
【増田】 でもね、うかうかしていると、キャンピングカー産業も中国に追い抜かれるかもしれませんね。
 最近の中国の「長城汽車(長城自動車)」の作っているキャンピングカーなどを見てみると、… 中身は詳しく分かりませんが、もうデザインなんかヨーロッパ車の雰囲気ですよ。フィニッシュなどの精度は日本並み。もしかしたら、アメリカよりも精度は上がっているかもしれない。
 とにかく中国の富裕層が、今キャンピングカーという存在に注目するようになってきたんですね。

【町田】 中国にはそれだけのキャンピングカーマーケットがあるということですか?
【増田】 人口が14億人でしょう。キャンピングカーを買える富裕層はその1割しかいないとしても、1億4千万人の潜在ユーザーがいるわけですからね。
 だから、今回の世界RV会議に参加した欧米のRV関係者は、みな中国マーケットへの参入を意識していました。RVIA(アメリカのRV業者の団体)も、中国に支社を出しましたし、3年後の世界RV会議の主催国も、中国に決まりました。

【町田】 中国人は、それほどキャンピングカーが好きなんですか?
【増田】 富裕層の好みは、まだゴージャスなVIPカーに集中しているかもしれませんが、高額な輸入キャンピングカーにも注目が集まっているようです。
 なにしろ、中国人の間にはキャンピングカーを運転する人口がどんどん増えているんです。
 というのは、今回オーストラリアに行って分かったことですけど、レンタルキャンピングカーを借りてオーストラリアを回る中国人観光客がたくさんいるんですね。
 彼らは右ハンドルだろうが、車体が多少大きかろうが、まったく問題なくオーストラリアの大地を走っていくんですね。 
 ただ、運転は豪快になりがちなので、車体をこすったりすることも多いと聞きました。
 でも、観光に来るような人はお金持ちが多いので、「修理費? 100万円でいいのかな?」というような感じではないのでしょうか(笑)。
 
【町田】 オーストラリアに限らず、中国人観光客はどんどん海外に進出していますね。
【増田】 そういう中国人ツアーに焦点を合わせて、各国の旅行会社が中国人向けのレンタルキャンピングカーの企画を進めていますね。
 これはニュージランドの話ですけど、「レンタルキャンピングカーのパック旅行」用プロモーションビデオでは、もうすでに中国語のものが大量に作られているんですよ。
 中国人のタレントかモデルのカップルを使い、ニュージランドの景色の良い所にキャンピングカーを止めて、バーベキューをしたり、キャンプ場でくつろいだりする姿を10分か15ぐらいに編集してあるんです。
 そういうビデオを中国の旅行会社と組んで、中国国内に流すんですって。

【町田】 宣伝戦略が日本とは違いますね。
【増田】 ええ。世界のRV産業は、みなコマーシャルにもずいぶんお金をつかっているんですよ。
 私たちからすると、キャンピングカー文化の根付いている欧米などは、放っておいても、キャンピングカーがどんどん売れていくのだろうと錯覚しがちですが、実はそうではないんですね。広報宣伝にものすごい資金を投入しているんです。
 アメリカなどではRVの宣伝に、なんと年間15億円もかけているんだそうです。そして美しいプロモーションビデオなどを制作して、絶えず消費者の購入意欲を刺激しているんですね。
 
  
オーストラリアで人気の“砂漠の車中泊”

【町田】 やはり、外国はキャンピングカーで旅するシチュエーションが充実していますから、車を郊外に持ち出すだけで、いい“絵”が撮れるんでしょうね。
【増田】 日本と違って、ヨーロッパは山や湖の風景がきれいだし、アメリカには広大な大平原がありますしね。
 オーストラリアなんか、町を一歩出ると、もう砂漠ですからね。
 で、面白い話を聞いたんですけれど、今オーストラリアでは、キャンピングカーを使って、砂漠 … 彼らは「アウトバック」と言ってますけれど、そういう砂漠や土獏のような、何もない荒野で寝泊まりするのがブームになっているんですって。
 
【町田】 オーストラリアも、手付かずの自然がたくさんありますからね。
【増田】 なにしろ、あの大陸は、全ヨーロッパの面積よりも広くて、北欧から地中海まですっぽり入ってしまう。
 そして、人口の大半は都市に集中していますから、都市から離れれば盗賊や暴漢に教われたりする確率はものすごく低くなる。
 で、オーストラリアのキャンピングカー愛好家は、この都市から離れた砂漠や草原にどんどん進出していっているんです。

【町田】 そういう場所には、当然コンビニもガソリンスタンドもないわけですよね?
【増田】 日本国内の“くるま旅”を連想するとまったく違いますね(笑)。3日間走っても誰にも出会わないような場所までキャンプに出かけるわけですから。
 周囲は見渡す限り、地平線。
 荒涼たる大地の空を飛ぶ鳥の影すらなく、地上を走る獣の姿さえなし … というほど過酷なところでもないんですけど、ま、文明社会に疲れた心を解放してくれる大自然が広がっている。

【町田】 そういうところで使うキャンピングカーともなれば、かなり重装備になるでしょうね。
【増田】 そうなんです。水タンクも容量が大きくなくてはならない。ガスも必要だし、100Vを取るための発電機も必需品。砂漠の中にはガソリンスタンドもないので燃料も積まなければならない。
 また昼と夜では寒暖の差が激しいため、FFヒーターも必需品。
 食事は車内で作るから、キッチン機能も充実していなければならず、シャワー設備もトイレ設備も必要。

【町田】 フル装備になるわけですね。
【増田】 それだけの装備品を載せた状態で、路面の荒れた場所を走るわけだから、悪路走破性も高くなければならない。
 そのためオフロードタイヤが標準となり、後輪はダブル。
 さらに、段差やわだちを乗り越えるために、足は強化ショックで固められ、剛性確保のためにスタビライザーも装着される。
 ボディは各種のプロテクターで補強されているから、キャンピングカーというよりも軍事用車両に近い雰囲気ですね。
  
  
国土の使用環境が、それぞれ異なるRV思想を生み出す

【町田】 本当の意味での「アウトドア」ですねぇ!
【増田】 そうそう。日本では、そんなヘビーデューティーな車を作ったところで使う場所がないけれど、オーストラリアではしっかりと需要があるんですね。
 しかしね、実は、まったく問題がないわけではないんですよ。
 
【町田】 どういうことでしょう?
【増田】 そういう砂漠の中で車中泊を楽しむことを「フリーダムキャンプ」というのですが、これが今、従来からあるキャンプ場やRVパークのオーナーたちを圧迫するようになってきたんですよ。
 だって、そういうフリーダムキャンパーは、従来からあるキャンピングカー用の宿泊場所にはお金を落とさないわけだから。
 それと、もう一つ問題になってきたのは、自然破壊ですね。砂漠の中に平気でゴミを捨ててしまう人たちも増えてきたんです。

【町田】 マナーの問題は、どこの国でも共通したテーマですね。 
【増田】 それと、まずキャンピングカーの作りそのものが、時代に逆行しているわけですよ。
 世界のキャンピングカー業界は、いま小型化・軽量化を進めていこうとしているのに、オーストラリアの車は重量が増えているのだから。
 これに関しては、オーストラリアのRV関係者も言っていました。
 「自分たちだって、そうとうな軽量化を進めているんだ。しかし、お客さんがヘビーデューティーな車両を求める以上、軽量化にも限界があるんだ」…ってね。

【町田】 ヨーロッパでは考えられないような開発思想ですね。
【増田】 そうですね。ヨーロッパは舗装率も高いし、高速道路を走る機会も多い。そのため、ヨーロッパ車はボディを軽くして、小さなエンジンでも走れるようにしている。
 そういう各国の設計思想の違いが分かって、面白い会議でした。
 
 
日本のファミリー向けキャンピングカーが、次のRVユーザーを育てる

【町田】 そういう海外のキャンピングカー事情と日本が違うのは、どんなところですか?
【増田】 外国のRV関係者が興味を持つのは、日本のインフラなんですよ。「日本のキャンピングカーユーザーは、“道の駅”で休憩・仮眠を取るんだ」と言っても、その「道の駅」という概念が伝わらない。
 彼らは、キャンピングカーが無料の場所で、しかもある程度のセキュリティーが保証されたまま休憩できるという状態をうまくイメージできないんですね。
 あと、ユーザー層も異なる。
 欧州などでは、リタイヤしたシニア層が中心となりますが、日本の場合は、けっこう子育て中のファミリーも多い。

【町田】 それが日本のキャンピングカー人口の活力になっていますもんね。
【増田】 そうなんです。欧州などは、確かにシニア層が厚いけれど、逆にいえば、ヤングファミリー層には十分に浸透していないということも意味しているんですよね。
 だから、会議の席上で、「ヤングジェネレーションへの普及をどう図っていくか」というテーマが討議されたとき、私は、「日本の場合は、ファミリーで使えるキャンピングカーというものにもけっこう力を入れている」と答えたんです。
 なぜかというと、「親と一緒にキャンピングカー旅行を楽しんだ子供というのは、大きくなって自分の家族を持ったとき、必ず自分の子供にも同じ楽しみを与えてやりたくなるものだ」と言いました。
 日本のキャンピングカー作りには、そういう “車育” … つまり、キャンピングカーを通じての子育て教育というものまで意識に入れている、とね。

【町田】 そうしたら?
【増田】 けっこう反応が良かったですね。拍手がありました。

【町田】 そのほか、世界のRVの動向として、印象に残った話は?
【増田】 今回はじめて知った話ですけど、実は、欧米ではRV業界に参入している会社の数がどんどん減っているんですって。
 ヨーロッパでは「CIVD」、アメリカでは「RVIA」という業者団体があって、… 日本の「JRVA」みたいなものですけど、そこに所属する会員数が減ってきて、RVIAでは、この5年~10年の間に半減しているということでした。

【町田】 それは、RV産業が衰退してきたということですか?
【増田】 いえいえ、そうじゃなくて、ヨーロッパでもアメリカでもRVメーカーの統廃合が進んできたということなんですよ。
 ヨーロッパでは、ハイマーという非常に大きな優良企業がありますが、そこが大小合わせた8社のRVメーカーを束ねています。
 そういうように、ヨーロッパではグループ化が進んできたんですね。
 アメリカも、大きなRVメーカーが吸収合併を進めていて、弱小メーカーはその傘下に入ることによって、延命を図っているんですね。
 こういう統合が進んできた結果、パーツの共有化などが図られるようになって、合理化やコスト減も進められることになり、生産量は逆に上がったらしいです。だから、業界全体の収益は上がっているんです。
 
 
これからの課題は、レンタカーシステムとインフラ整備

【町田】 なるほど。世界中で進んでいる広い意味での産業構造の変化にキャンピングカー業界も対応しているということなんですね。
 そういう世界のRV産業の変化をつぶさに見て来られて、日本のキャンピングカー業界の成長のために、何かヒントになるようなことはありましたか?
【増田】 ひとつは、やはりレンタルキャンピングカー・システムの構築ですね。オーストラリアやニュージランドは、これがすごく普及している。そうやって、海外からの観光客にキャンピングカーを使って観光してもらうというシステムができあがっている。
 キャンピングカーが普及していくには、やはりレンタカーにも力を入れていかなければならないと気づきました。

【町田】 2020年の東京オリンピックには、たくさんの外国人観光客も来るでしょうから、彼らがオリンピック見物で来日したときに、キャンピングカーを使った観光ができるというようになれば、キャンピングカー文化になじんだ外国人には楽しいでしょうね。
【増田】 そうなんです。そういう様子を日本人が見てキャンピングカーに関心を抱いてもられば、国内の普及も図れる。
 そのためには、インフラの整備をもっと進めていかなければならないでしょうね。
 現在、JRVAでは「RVパーク」の普及という形で進めていますけれど、このシステムをもっと充実させて、多様化させ、いろいろな楽しみ方ができるような形にもっていきたい。
 それと、別にRVパークでなくても、普通の道の駅などの駐車場においても、もう少し公認された形でキャンピングカーの宿泊が可能になるような制度を検討していきたい。そんなふうに考えています。
 
 
参考記事 「第2回 世界RV会議レポート」

参考記事 「第1回 世界RV会議」
 
日本RV協会ニュース
「キャンピングカー市場の発展を目指す日本RV協会『第3回世界RV会議』に参加 各国のRV関係者と意見交換を実施」

  
 

カテゴリー: campingcar, news | 2件のコメント

「怖い絵」とは何か

 
 近ごろ、“美術の解説本” がやたらと刊行されているような気がする。
 その大半は、「名画の見方」のようなものだ。
 ゴッホ、マネ、モネ、ルノワール、フェルメール、ダ・ヴィンチ、ラファエロ ……。
 そういう有名な画家の人気作品の観賞の仕方を手ほどきするような本が多い。
 
 といっても、難しい芸術論が語られているわけではなく、たいてい “謎解き” の要素を採り入れた読み物が主流となっている。
 装丁や判のサイズなども女性読者を意識したものが多く、昔の美術解説書のような “硬い” イメージはない。

 アートを題材にした、お洒落で、知的なエンターティメント。
 昨今の「絵画の手引き書」は、そんな傾向を強めている。
 
 このような美術解説本ブームのきっかけとなったのは、中野京子さんが2007年に出した『怖い絵』からではないかという気がする。
 この本は大いに当たって、発売後まもなくベストセラーになり、その後、『怖い絵2』、『怖い絵3』という続編が次々と誕生することになった。

 この『怖い絵』シリーズは、難解な美術解説書が多いなかで、美術に関心がない人でも面白く読めるし、一章読むと、その絵に対するウンチクが語れるほどに、まとまった知識が得られる。
 
 そういった意味で、この著者の関心領域の広さには、いつも感心する。
 本職の美術史、図像学に限らず、広く歴史一般に対する関心の持ち方に対しては頭が下がる。
 さらに、著者は、科学史、技術史、服飾史にも精通。
 そのような多岐に渡る情報を、誰が読んでも楽しめる「知的なエンターティメント」に仕立ててしまうこの作家の力量はたいしたものだと思う。
 
 この中野京子さんの本以来、美術の語り口が変わったように感じられる。
 絵画を知らない素人でも分かるように、小難しい美術論を最小限に抑えた平易な文章になってきている。
 それは、ある意味でいいことだと思う。
 
 しかし、正直にいうと、中野さんの本は、どこか自分には物足りないのだ。
 その理由は何なのか。

 実は、こんなことがあった。
 
 本屋を回っているうちに、角川文庫から発行された中野京子さんの『怖い絵 泣く女編』という本を見た。
 『怖い絵』シリーズは1作目から欠かさず読んでいるので、これも条件反射的に買ったのである。
 
 ところが、随所に、以前見たような “絵” が掲載されているのに気がついた。
 
 「あれ、同じ本を買っちゃったのかな?」
 自分にはよくあることなので、一瞬そう思った。
 しかし、読み進めていくと、文章の方ははじめて読むもののように思える。
 
 「きっと同じ “絵” を、前とは異なる切り口で解説した本なのだろう」
 と思って読んでいたが、そろそろ終わる頃になって、やっと文章も前に読んだことがある … という確信を深めた。
 
 本棚を丹念に調べてみたら、やっぱり、同じ本を2冊買っていたのだ。
 この角川文庫本の『怖い絵 泣く女編』(↓)は、実は、以前刊行された単行本の『怖い絵2』を文庫化したものであり、表紙のデザインが変わったため、同じ本だと気づかなかったのだ。


 
 ちょっとショックだった。
 同じ本を、終わり近くまで読んでもまったくそれに気づかなったということは、前に読んだ文章が頭の中に残っていなかったということである。
 
 著者に対しては、はなはだ失礼なことかもしれないが、けっきょく書かれていたものが印象に残っていなかったのだ。

 それは、どうしてなのかなぁ … と、少し考えた。
 
 結局、“解りやすさ” を狙った本の限界だと思った。
 美術を解説する “語り口” を、平易でなじみやすいものにするということは、その絵画を、「言葉で分かるレベル」にまで引き下げてしまうということに他ならない。
 結局、そこが “物足りなかったんだなぁ … ” と思うのだ。
 
 絵画というのは、言葉では説明のつかない部分を最後まで持ってしまう。
 言葉で解説できてしまう絵画なら、それは絵画である必要はないのだ。
 
 ところが、中野京子さんの博識は、その言葉で解説できない部分にも、解剖学者がメスをふるうように掘り下げていき、その闇の奥に眠っている “内蔵” の部分までをも白日のもとにさらしてしまう。
 
 しかし、本当の意味での「怖さ」というものは、言葉では説明のつかない闇の中に埋もれているはずだ。
 なのに、この本は、それを “言葉” で説明しようとする。

 「言葉で説明する」
 ということは、人間に思考力を取り戻させて、冷静さを回復させることにつながる。
 だから早い話、恐くなるのだ。
 本としては正解なのかもしれないが、そこで本当の「怖さ」は後退する。
 
 でも、ひょっとしたら、それこそ今の時代のニーズに応えるものかもしれないとも思った。
 
 現代社会は、「恐怖」より「不安」の方が勝っている社会である。

 「恐怖」と「不安」は、一見、似ている。
 どちらも、人間にネガティブな感情を植え付けるものだが、恐怖は「不条理」に属し、「不安」はロジックに属する。

 つまり、「不安」は、不安の原因を探るための思考回路を残している。
 しかし、「恐怖」は問答無用 ! とばかりに、人の思考を破壊する。

 エンターティメントにたとえて言えば、次のようになる。
 不安 → ミステリー/サスペンス
 恐怖 → ホラー

 TVドラマや小説においては、圧倒的に「ミステリー/サスペンス」の方が、「ホラー」よりも多い。
 やはり人は、「不安」を解消する糸口が見えたときの「安心感」が欲しいのだ。
 
 『怖い絵』シリーズは、まさにそのようなニーズに応えている本である。
 ホラーではなく、ミステリーなのだ。
 そこには、本当の怖さはないが、「怖さ」をゲームのように楽しむための洗練されたロジックは保証されている。

 そうは分かっているのだが、やはり物足りない。
 
 
関連記事 「中野京子 著『怖い絵』」
  
参考記事 「ジョルジョ・デ・キリコの世界」

参考記事 「エドワード・ホッパーの “晩秋” 」

参考記事 「ベックリン 『死の島』 の真実」

参考記事 「ハンマースホイの 『扉』 」
 
参考記事 「ヴァロットンの絵の謎」

参考記事 「官能美の正体 (ロココの秘密) 」
   
  

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「奥様」はキャンピングカーのどこを見ているか?

  
 キャンピングカーの購入に際して、「財布のヒモを握っているのは奥様だ」とよくいわれる。
 実際にキャンピングカー販売店のスタッフに聞くと、「とにかく奥さんが “うん” と言わないかぎり、契約のハンコがもらえない」と話す人が多い。

 それだけ、キャンピングカーが、女性の間にもしっかり浸透してきたということなのだろう。
 昨年版の『キャンピングカー白書』によると、今やキャンピングカーのメインユーザーは「夫婦2人(&ペット)」だとか。
 旦那さんの定年退職を機に、キャンピングカーを買って国内旅行を楽しむシニアカップルが急増しているという。
 それが事実ならば、キャンピングカーの車種選定においても、奥様の意向が強く反映されるのは当然だろう。

 では、奥様は、「キャンピングカー選び」にどのくらい関与しているものなのか?
 奥様が好むキャンピングカーとは、果たしてどのようなものなのか?

 実は、このあたりを深く掘り下げた調査がない。
 「キャンピングカー選びには奥様の好みが反映している」という販売店サイドの意見も、売り買いの現場から感じた “感触” でしかない。

 日本RV協会(JRVA)が現在ホームページを通じてアンケート調査(下記アドレス参照)している内容は、ずばりその点を衝いたものである。
 http://www.jrva.com/

 ここでは、「キャンピングカーの車種を決める際に奥様とご主人とでは意見が分かれたか?」、「女性がキャンピングカーに求めるときに最優先するものは何か?」など、販売店スタッフのみならず、広くキャンピングカーユーザーなら誰でも関心のある調査内容が採りあげられている。

 アンケートの締め切りは、4月17日だそうだが、すでにある程度の傾向が出ている。
 興味を持ったので、途中経過を自分なりに分析してみたい。
 
 
キャンピングカーの車種選択で、意見が分かれたときは?

 まず質問【1】。
 ここでは、「キャンピングカーの車種を決める際に、ご主人様と奥様とでは意見が分かれたか?」ということが尋ねられている。

 キャンピングカー選びは、かつては旦那の独断で進められることが多かった。普通の乗用車と違い、キャンピングカーにはかなり電装系を中心に込み入った機能を持つ搭載機器が多い。
 そういうものに関心を持つのは、だいたい男と相場が決まっていて、「電気やメカに弱い女は黙ってろ」的な風潮が、かつてはまかり通っていた。
 
 だが、キャンピングカーに同乗する奥様の比率が高くなるにしたがって、「車内にトイレがないと嫌だわ」(掃除するのはだいたい旦那だが … )とか、「車内で洗顔するスペースがないわ」とか、「室内の色が殺風景」などと、女性の視点からキャンピングカーにリクエストする要素が増えてきて、これが車種選定において、旦那と奥さんの意見が分かれる状況を作り出した。

 質問【1】は、そのへんを探ろうとした設問であるが、これがなんと、「最初から夫婦の意見が合って、買う車に迷いがなかった」という回答が39.0%を獲得して1位になっている。

 2番目は、「奥様がキャンピングカーのことはよく知らなかったので、ご主人すべて一人で決めた」(29.8%)というもの。
 3番目は「奥様の意見がほぼ採り入れられ、ご主人がそれに同意した」(11.7%)。
 4番目は「ご主人の意見がほぼ通り、奥様がそれに同意した」(10.7%)。

 注目したいのは、意見が分かれたときには、奥様の意見が優先されているというところ。
 奥様がキャンピングカーに対する知識や関心を持ってくると、旦那が一人で決めるのは難しい状況になってきたことがうかがえる。
 
 となると、「(判断が割れず)最初から夫婦の意見が合った」という回答が1位になっていることは、旦那さんが事前に奥さんの意向を十分汲み取った結果、仲良く「合意した」という意味だと採れるし、奥さんの方も、旦那に負けないくらいキャンピングカーに対する知識を持つ人が増えてきたことを物語っている。
 
 
車種選びで、意見が分かれたときの争点は何だったのか?

 では、車種選定で意見が分かれた場合、それは何が問題になったのか(質問【2】)。
 1位、購入金額について(27.0%)。
 2位、(内外装の)デザインの好き嫌い(20.0%)。
 3位、レイアウトや装備類の使い勝手(19.0%)。
 4位、ベース車や架装の内容から判断した走行性能(15.9%)。 
 
 購入金額について意見が分かれたというのは、よく分かる。
 「一生の買い物」と思い、キャンピングカーにあれこれと夢を詰め込もうとする旦那と、一家の経済状況を見つめて、冷静かつ合理的に判断する奥様の違いがそこに表れている。
 「デザイン」の好き嫌いが上位に上がってくるのも、女性ならでは。
 デザインセンスにおいては、日頃自分の化粧やファッション、小物類のデザインの見極めにおいて美意識を研ぎ澄ませている女性の方が敏感であることは間違いない。
 
 
旅行計画の主導権を握るのは、どっちか?

 さて、キャンピングカーを購入した夫婦は、どのようにして旅行計画を立てるのか。質問【3】では、旅行計画の主導権を夫婦のどっちが握っているのかを問うている。

 1位は、「ご主人が主体となって旅行計画を立て、奥様の同意を求める」という回答だった。
 これも、旦那の独善がまかり通っているというよりも、旦那が奥様のためにかいがいしく旅行先を調べ、サービス精神を発揮していると見るべきだろう。
 ないしは、「ちゃんと楽しめるところを探しなさいよ」とプレッシャーをかけられて必死になっているという状況を示しているともとれる。
 
 2位以下は、次のとおり。

 2位、「ご夫婦両方がお互いに案を出し合い、両者の合意で計画を進める」(35.7%)。
 3位、「子供の学校の休みなどを利用して、子供が喜びそうな旅行先を優先して選ぶ」(10.8%)。
 4位、「奥様が行きたい場所などを探し出して、ご主人に提案する」(8.9%)。

 このあたりは、夫婦あるいは子供を交えた家族が仲睦まじく、旅行計画を練っている様子が伝わってくる。
 
 
奥様がキャンピングカーは運転することがあるのか?

 奥さんがキャンピングカーを運転する比率はどのくらいなのだろう。
 質問【4】で、それを尋ねたところ、「(運転が苦手、免許がないなどの理由により、)いっさい運転しない」奥様が半数(54.4%)を超えて1位になっていることが分かった。

 ま、少し大きなキャブコンや輸入車のサイズになると、最初は男だってビビる。「運転が苦手」ということを理由に、旦那にハンドルを取らせる奥さんが多いことはそれなりに納得できる。
 奥様が運転するのは、「ご主人が疲れたりするときに限って自分が運転する」(2位 36.9%)というわけだ。

 ちなみに、4位と5位には、「両方とも運転するが、ご主人より自分の方が運転する機会が多い」(2.0%)、「ご主人が運転しないので、自分が運転する」(1.3%)という回答が上がった。 
 ともに比率は少ないが、運転にも意欲を燃やす積極的な奥様が現われてきていることがうかがえる。
 
 
女性がキャンピングカーを選ぶときに最優先するものは?
 
 いよいよ、キャンピングカーの開発スタッフがいちばん知りたがっている「奥様のキャンピングカー評価」。
 質問【5】では、「女性がキャンピングカーに求めるときに最優先するものは何か」を尋ねている。

 それによると、1位は「購入価格帯も安く、維持費にも負担のかからないキャンピングカー」というものだった。
 やっぱり奥様は、現実主義者だなぁ … と思う。
 生活の中でのキャンピングカーというものをしっかり考えている。
 
 2位は、ちょっと意外な解答が上がってきた。
 それは「トイレ機能が充実しているキャンピングカー」(15.8%)である。
 
 これが “意外だ” というのは、実は昨年版『キャンピングカー白書』によると、ユーザーが購入しているキャンピングカーではトイレの装着率が下がってきたことが判明しているからだ。
 日本では、車内にトイレがなくても不便を感じないようなインフラが整っている。
 「道の駅」しかり。高速道路の「SA・PA」しかり。

 子供をたくさん乗せて旅行するファミリーの場合は、トイレスペースに場所を取られるより、その分たくさんの人間が寝られるベッドや荷物の収納スペースを増やしたいと思うはずだ。
 女性が「充実したトイレ機能」を求める傾向が出てきたとしたら、それは乗車するのが「夫婦2人だけ」という、いわば子育てが終わって余裕が出てきたシニアカップルの増加を物語っていそうな気がする。

 それ以外の回答は、次のとおり。
 3位 「日常の足として気楽に使える運転時の取り回しの良いキャンピングカー」(14.2%)。
 4位 「収納スペースの多いキャンピングカー」(10.8%)。
 5位 「女性でも簡単にベッドメイクできるキャンピングカー」(10.0%)。
 6位 「洗顔や着替えなど女性の身だしなみを整える機能が充実したキャンピングカー」(9.2%)
 7位 「可愛らしさや美しさが漂うデザインセンスの良いキャンピングカー」(8.3%)。

 いずれも、女性の立場を反映した回答が続いており、男性の評価とはまた異なった意見が見られるのが興味深い。
  
  
旅行中、旦那と波長が合わないと感じるときは、どんなときか?

 旅行すると夫婦げんかが起こる、という話をよく聞く。
 仲の良い夫婦とはいえ、四六時中顔を突き合わせる時間が増えると、だんだん相手がうっとうしくなることもあるからだ。

 キャンピングカー旅行の場合はどうか。
 質問【6】では、「旅行中、ご主人と波長が合わないと感じるときは、どんなときか?」を尋ねている。

 1位は、「観光に時間をかけるか、温泉でゆっくりするかなど、時間の使い方で意見が分かれる」(23.9%)というものだった。

 よくある話である。
 旅行とは、仕事や家事に振り回される「日常」から解放されることである。
 いわば、自分の「やりたいこと」に素直になれる時間を手に入れるわけだ。
 となると、日頃あまり表に出なかった夫婦間の趣味、感受性、価値観の違いがあからさまに浮かび上がることになる。
 「時間の違い方で波長が合わない」というのは、それぞれの人間性がストレートにぶつかり合う状況を浮かび上がらせた結構奥深い問であったかもしれない。

 2位は、「長距離移動中、同乗者に休憩も取らせずに、長時間運転を続ける」(18.2%)。
 これも、ありがちな話。
 要は、旦那の気配りの問題だ。

 3位は、「長時間一緒にいると、話題につまる」(12.5%)。
 これは、なかなか深刻な回答だ。
 キャンピングカー旅行に限らず、結構こう告白する主婦の話を聞く。
 これも、旦那のコミュニケーションスキルが問われていると言わざるを得ない。

 4位は、「たまには街に出て、地元のお店などで外食したいと思っても、ご主人は車内でカップ麺のような食材ですまそうとする」(9.1%)。
 5位、「疲れて早く寝たいときがあっても、昔話などをくどくどと話しだし、休ませてくれない」(1.1%)。

 ま、このあたりの設問と回答は、奥様が見るより、旦那さんが見て勉強する方がいいのかもしれない。
   
   
奥様は買ったキャンピングカーのどんなところに満足しているか? 

 最後の設問【7】は、「現在乗っているキャンピングカーに満足しているとしたら、それはどのようなところか」を問うている。

 いちばん多かったのは、「ホテルや旅館などの予約が要らなくなったので、時間的な制約から解放され、気ままな旅が楽しめるようになった」(42.4%)というもの。
 これは、奥様の意見というよりも、男女を問わずキャンピングカーを買った人たちの共通した認識だろう。

 2番目は、「ペットと一緒に旅行することが楽になった」(26.5%)。
 これも近年のペットブームを反映している。
 子育てを終えたシニアカップルの場合、子供の代わりにペットを連れてキャンピングカー旅行をするというスタイルがかなり定着してきた。
 そんなことも、この回答からうかがえる。

 4位は、「釣り、スキー、サーフィン、野鳥観察などの趣味を楽しむ “前線基地” を確保できるようになった」(11.3%)。
 5位は、「ベッドメイクが楽になり、収納スペースも増えたので、乗用車よりも車中泊が快適になった」(10.6%)。

 4位と5位は、奥様が感じた利点というよりも、広くキャンピングカー全般が持っているメリットである。特に、一般乗用車よりも「車中泊が快適になった」というのは、キャンピングカーならではの特性であろう。
 
 
 以上、4月4日現在の日本RV協会のホームページに掲載されている「ユーザーアンケートコーナー」から拾ってみたが、締め切りが4月17日だから、最終的に集計したときには以上の結果とは異なっている場合も大いにありうる。

 皆様も試してみたらどうだろう。
 ちなみに、アンケート調査へのアクセスはこちら。
 (↓)
 http://www.jrva.com/(← 2015年4月17日以降はアンケート内容が変わっているのはずなので注意)
 
 

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RVパークまほろぼ

※ この記事は、下記をご参照ください。
 「町田の独り言 2」   RVパークまほろぼ 

 
 
 

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くるま旅車中泊大会(東北キャンピングカーショー)

※ Page Speed Insights の解析により、画像データ容量が大きかったため、読み込み速度が遅くなっていると指摘されたエントリーなので、機能が回復するまで一時的に画像を削除しています。

 キャンピングカーショー会場での車中泊大会。
 そんな画期的な催しが 3月21日(土)~22日(日)にかけて、東北キャンピングカーショーが開かれた「夢メッセみやぎ」の屋外展示場にて行われた。

 今回の東北キャンピングカーショー会場における車中泊大会は、くるま旅クラブ株式会社が主催したもので、「くるま旅クラブ」会員を中心に、日頃親睦の機会のないユーザー同士の交流を意図して企画されたもの。

 これまでも、JRVA(日本RV協会)がキャンピングカーショー会場におけるユーザーキャンプを実施したことはあったが、数々の特典を設け、主催者側が食事や飲料まで用意した本格的な車中泊大会というのは、今回がはじめて。

 この日参加したのは、くるま旅を楽しみながら、同好の士との語らいを期待して参加したキャンピングカーユーザー28組。
 会場には遠路はるばる集まってきたキャブコン、バンコン、バスコン、トレーラーなどの様々なジャンルのキャンピングカーがずらりと勢ぞろいすることになった。

▼ 関東ナンバーなど他府県ナンバーの車両が目立つ

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 ストーブで温められたテントの中で、18時30分にセレモニーがスタート。くるま旅クラブの高橋宣行専務取締役が、次のように挨拶。
 「今回は初の“車中泊大会”にご協力、ご理解を賜り、本当にありがとうございました。今日はお互いに知らない方同士で友達になっていただき、今後は、皆様が旅先で出会ったときにも、そこで楽しい語らいの場を持っていただけるような集まりに発展させていきたい」

▼ 交流会に先立って、「つわものツアー」の“旅楽ポイント”で、3月23日現在1位を獲得している「まさまさまーさん」(左)と、2位の「しんチャン」さん(中)の表彰式が行われ、高橋専務(右)より表彰状が授与された。

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 旅楽ポイント1位の「まさまさまーさん」に、つわものツアーのポイントランキングでトップに立った感想を聞いてみた。

【町田】 つわものツアーにはどのように取り組んでいるんですか?
【まさまさまーさん】 いちおう仕事を持っているので、週末の旅が基本ですけど、金曜日の夜に家を出て、土日に楽しんで帰ってくるというようなことを月に2回ほど繰り返しています。あとはGWとかお盆とか正月を使って旅をしていますね。

【町田】 それだけ旅をしていると、レポートをまとめるのが大変でしょう?
【まさまさまーさん】 ええ。とにかく写真をいっぱい撮るので、その中からいいものを選んで時系列に並べて、どこに寄ったかということを写真の時間を見たりして確認する作業が大変ですね。
 道の駅などは見つけたらすぐに写真に撮っているので、自分でも分からなくなることがあるんですよ。だから、SAや道の駅の名前をまず撮ってから、風景を撮るようにしています。

【町田】 トップに立った感想を一言。
【まさまさまーさん】 まだまだ先が長いので、ずっと1位を保ち続けているのは難しいように感じます。でも最後まで頑張って、上位の方に居られたらいいな … とは思っています。

 それまでトップを独占していながら、表彰式のときだけ惜しくも2位になった「しんチャン」さんの話を聞いた。

【町田】 つわものツアーのポイントランキングで、上位を維持する秘訣は何ですか?
【しんチャン】 気力、体力、お金、好奇心。要は、もう古希(70歳)になるので、自分の好きなことだけをやっていきたいと思っているんです。それが「くるま旅」。

【町田】 ブログのレポートが面白いと評判ですが、面白い場所を見つけたり、面白い記事を書くコツは何でしょう?
【しんチャン】 旅先で出会う若い女性を好きになること。冗談ですよ(笑)。
 旅が好き、キャンピングカーが好き、酒が好き、食い物が好き、女房が好き … ということですかね。
 ちょっと真面目に話すと、テレビなどで面白い場所があるという情報に接したとき、こまめにリサーチをします。そして、わりと入念に旅の計画を立てるんですよ。こんな顔(こわもて?)に似合わず、意外と繊細なんです(笑)。

 今回の車中泊大会ではアトラクションも用意され、スコップ三味線の名手が登場。民謡からベンチャーズまで、絶妙な “スコップワーク” を披露。
 本来なら同じスコップを叩く音が繰り返されるだけなのに、スコップを支える膝の位置、叩く角度や場所で音色が微妙に変化。その独特のリズムで場内を沸かせる。

▼ おいしい里芋をふんだんに使った大鍋料理が参加者に振る舞われ、みな絶妙な “東北の味” に舌つづみ。

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 ほかに、海上自衛隊の護衛艦「さわゆき」のレシピによる特製ポークカレーも登場。
 参加者たちは、思わぬごちそうに上機嫌。 

▼ 野外でも、くるま旅クラブの会員や主催者側スタッフなどが和気あいあいと「くるま旅」談義を楽しむ。

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 大成功に終わった第一回「車中泊大会」。くるま旅クラブ株式会社では、今後も機会あるごとに、このようなイベントを積極的に運営していくという。
  
  

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